【管理組合必見】管理費・修繕積立金の値上げ前に確認すべき重要ポイント

マンション管理

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マンションの管理費や修繕積立金の値上げは、管理組合にとって避けて通れない課題の一つです。
しかし、値上げの必要性が十分に説明されないまま総会で議案を提出すると、住民からの強い反発を招く可能性があります。

この記事では、

✅ 管理費・修繕積立金の値上げが必要な背景
✅ 値上げの具体的な理由とその判断基準
✅ 住民の理解を得るために押さえるべきポイント

について、マンション管理の専門家であるマンション管理士が詳しく解説します。

値上げの議論をスムーズに進めるための参考にしてください。

管理費・修繕積立金の値上げ前に!管理組合が確認すべき重要ポイント

今回のテーマは次の項目を中心に紹介します。

・管理費・修繕積立金の値上げが必要な背景
・値上げが必要な具体的な理由
・値上げ議案の検討時に確認すべきポイント

総会で十分に説明や議論を行わずに、急に値上げの議案を出してしまうと、区分所有者の反発を招く可能性があります。

そのため、まずは

・理事が理事会において必要性を討議する
・直近の総会ではなく、将来的な総会で決議する予告
・事あるごとに必要性を話していく

ことから行っていくことが良いでしょう。

そうすることで、ニュース等では聞いていたものの、

「うちのマンションも値上げについて考えていかなければならないタイミングに来ているのか」

という認識を、区分所有者が徐々に持ってきます。

今回は管理費や修繕積立金の値上げについて、順を追って確認します。

なぜ管理費・修繕積立金の値上げが必要なのか?その背景を解説

最初に、管理費や修繕積立金を値上げするに至る背景についてです。

具体的にはどのようなことが考えられるのでしょうか。

値上げにおいて考えられる点を挙げてみたいと思います。

長期修繕計画と実際のコストにズレが生じている

まず考えられることとして、マンション竣工当初に作成された長期修繕計画や管理費計画が、長年見直されていないケースがよくあります。

その結果、現在の物価や人件費の上昇に対応できず、管理費や修繕積立金が不足する状況になりがちです。

また、物価の上昇や管理員人件費の上昇を配慮していない状況も多いです。

作成当初のそのままになっており、特に

・最近の物価の上昇
・管理員や管理会社の人材不足からくる人件費高騰

などが該当します。

2,30年前の計画をそのまま見直さずに実施していたのでは、ギャップが出ているのは当然でしょう。

直近はなんとか辻褄が合うにしても、10年後、20年後といった将来的には厳しい状況となります。

また特に竣工直後のマンションは購入しやすさが優先され、修繕積立金が低めに設定されていることも多く、実際に住んでからそのギャップを認識してしまうこともあります。

これらの点を充分に認識しておく必要が有るでしょう。

管理会社の人件費上昇が管理費に与える影響

通常のマンション管理における

・管理会社のフロントや管理員
・修繕工事を行う際に必要な職人不足

による人件費の高騰などが挙げられます。

・管理員のなり手がなかなか見つからない
・フロント担当1人当たりの担当マンションの増加
・マンション管理の複雑さなどに伴い適切なフロント担当の手当てができない
・長時間労働をさせられない

等で人員が割けないなどもあるでしょう。

管理員やフロント担当者の確保が難しくなっており、給与水準を上げなければ人材を確保できない状況です。

そのため、管理会社が人件費を値上げし、それが管理費や修繕工事の費用に影響を及ぼしています。

想定以上の劣化が進む共用部分—修繕費の負担増大

共用部分の劣化が想定以上に進行すると、計画していた修繕よりも追加工事が必要になります。

結果として、修繕積立金が不足し、早急な値上げを検討しなければならないケースも発生します。

過去計画的に工事を進行しなかった場合には、要所要所の劣化が見られ、結果、工事費用が余分に掛かってくることとなってしまいます。

予め修繕積立金を充実させておくとともに、各工事項目ごとに長期修繕計画をしっかりと立てて見積もっておく必要があるでしょう。

積立金が不足!今のままでは修繕計画が破綻する?

劣化を発見するたびに修繕工事をしていては、

・コストがどんどん積み上がり、割高になってしまう
・大規模修繕工事の際の工事サイクルと合わなくなる

ことも考えられます。

結果、大規模修繕工事の間に工事せざるを得なくなってしまうかもしれません。

一緒に出来る工事もバラバラに実施することで非効率化、高支出に繋がる可能性も出ます。

結果的に修繕積立金が足らない状況が続き、管理組合として深刻な課題に直面する可能性もあります。

どんなケースで管理費・修繕積立金の値上げが必要になるのか?

前述の様な背景から、管理組合にとって、管理費や修繕積立金の値上げが必要になる場合があります。

管理費、修繕積立金それぞれに分けて記載します。

管理費を値上げせざるを得ないケース

普段の生活において、マンション管理の費用が必要になってきます。

・管理員を雇っている場合はその人件費
・管理会社に依頼をしている場合は事務管理費用等の費用

が掛かるでしょう。

一方で、管理組合としては極力支出したくはないというのが本音かと思います。

その場合、値下げして欲しいといった場合はどうなるでしょうか?

管理会社にとっては、マンションからの管理費が重要な売上となります。

場合によっては、管理会社が採算を理由に契約の継続を拒否し、管理業務を維持できなくなるリスクもあります。

または、値下げにより管理の質の低下が懸念されるかもしれません。

お互いの話し合いの中で

・省けるところは省くこと
・管理組合自らできるところはないか

などの検討も合わせて行う必要があります。

それでも足らない場合や、管理会社からの管理委託費値上げを要請された場合は、管理組合に対して管理費の値上げを検討しなければならないかもしれません。

今は人件費が高騰しており、さらに働き方改革により、管理会社フロント担当や管理員の長時間労働の見直しも入る世の中です。

そのため、逆に管理委託契約において値上げさせて欲しいという提案もありえるでしょう。

修繕積立金の増額が避けられないケース

普段の管理に関する費用が管理費であるのに対して、将来的な修繕のために貯めておく費用が修繕積立金です。

修繕積立金の値上げは、今後の修繕工事に必要な資金が不足すると判断された場合に行われます。

特に、長期修繕計画の見直しで「想定よりも高額な修繕が必要」と判明した際に、値上げが検討されます。

そのため、将来どのような工事を行うことでいくら必要になるのか、長期修繕計画を立案する必要があります。

そこで、

・値上げが必要なのか
・それとも今の修繕積立金の水準で維持できるのか

の判断になります。

値上げを検討する前に!管理組合が確認すべき4つのポイント

最後に、管理費や修繕積立金の値上げをする際に確認しておきたい事項を確認しておきます。

突然の値上げは危険?住民合意を得るための工夫

足らなくなったからと言って、総会で急に値上げの議案を提示しても、区分所有者からの理解を得るのは難しいでしょう。

値上げの議案を出すにしても、

・予め前期の総会で将来的な値上げの可能性を予告する
・長期修繕計画と修繕積立金計画の見直しに着手するすることを共有する
・理事会で長期修繕計画案や修繕積立金計画案を十分討議する

ことがまずは必要となります。

また、値上げの根拠として、現状の費用明細や今後の計画などを準備することで、区分所有者に納得して貰わなければなりません。

そのための準備が必要であり、マンション全体として合意形成を図っていくことが求められます。

大規模修繕工事の延期や見直しは本当に可能か?

マンションに使用される材質も継続的な品質改良により、より長持ちするようになってきています。

そのため、これまで12年周期と考えられることも多かった大規模修繕工事の周期も、今後は伸びていくことも考えられます。

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインや、管理計画認定制度における評価基準となる長期修繕計画期間も、

「30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上」

とあります。

解釈によれば、

国の基準では平均でも15年以上(30年÷2回)として考えられる

こととなり、12年の周期から考えても伸びていることが分かります。

今後は18年、20年と伸びていくことも考えられます。

仮に12年→18年となると、6年分の修繕積立金が確保できます。

マンションの劣化の度合いにもよりますが、

大規模修繕工事の先送りにより修繕積立金を確保することができないか

についても一つの視点となるでしょう。

修繕積立一時金と段階的な値上げ、それぞれの課題とは?

大規模修繕工事に合わせて、

・区分所有者から工事のための一時金を徴収すること
・5年に一度などの段階的に修繕積立金を増額させること

については、区分所有者に将来的な負担を強いることとなります。

区分所有者としては、自身のマンションを良くする大規模修繕工事のための資金であっても、一時的な支出や継続的に増加することには生活への影響から抵抗があるでしょう。


出典:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン 段階増額積立方式の例

国土交通省においても、マンションの修繕積立金に関するガイドライン

「段階増額積立方式や修繕時に一時金を徴収する方式など、将来の負担増を前提とする積立方式は、増額しようとする際に区分所有者間の合意形成ができず修繕積立金が不足する事例も生じていることに留意が必要です。」

とあり、均等積立方式が望ましいとの見解を示しています。


出典:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン 均等積立方式の例

修繕積立金を見直すなら、段階的に少しずつ上げていくのではなく、長期を見越して1度だけとし、その後は均等積立方式を長期修繕計画においても採用していくことが望まれます。

段階増額方式で管理費を上げるのは現実的?

いくら国土交通省が「均等積立方式が望ましい」と言っても、マンション管理組合によっては、急に修繕積立金が均等になるまで引き上げるのは難しいでしょう。

また、その方法についても、国土交通省は望んでいません。

そのことから、国土交通省は段階増額積立方式であっても望ましい値上げ方法について、修繕積立金ガイドラインを改定して説明しています。

詳しい記事は以下

で、具体的な数値を用いてシミュレーションしながら、細かく解説していますので、上記からご確認下さい。

まとめ

どこのマンションでも必ず課題となる、管理費や修繕積立金の値上げを確認しました。

管理費や修繕積立金を値上げしなければならないと分かった場合には、早い段階から値上げタイミングを検討し、管理組合で合意形成を図りながら進めていくことが求められます。

しかしながら、総会決議を経て、管理組合において着地し、値上げするまでには時間を要することとなります。

その間も修繕積立金の増加は進まず、一方で世の中の物価や人件費の高騰は進行していきます。

まずは、今の金額が適切なのか、取り急ぎ確認することから始められることをお勧めします。

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