横浜市と周辺の斜行エレベーター付きマンション【地下室マンション】

マンション管理

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神奈川県は、全域においてアップダウンが激しい丘状の地域が非常に多いのが特徴です。

とりわけ横浜の自然環境は、市域の7割以上を占める丘陵地・台地に発達した谷戸を中心とした田園環境です。
※横浜市 花鳥風月のまちづくりより

そのような丘陵を利用した戸建てやマンションも非常に多く見られます。

っして、マンションの建て方にも一工夫がなされている所が比較的見られます。

丘の尾根を利用して斜面上に住戸が立ち並ぶものは「斜面マンション」と呼ばれます。

通常のマンションに比べ、外観の特徴とともにエレベーターにも工夫が凝らされています。

今回は「斜面マンション」の中でも「斜行エレベーター」を兼ね備えているマンションを紹介します。

その前に…横浜市の地下室マンション条例を確認

横浜市には、斜面上にマンションを建てる場合において、条例で制約を定めています。

地下室マンション条例の背景

背景として、横浜市の地下室マンション条例によると、

近年、市内の斜面緑地において、周辺の住環境に比べ相当に大きなボリュームとなる「地下室マンション」に関する紛争が多発していました。これは、平成6年の建築基準法の改正により、住宅の地階部分の容積率が全国一律に緩和され、平地では地上3階までしか建築できない低層住宅地でも斜面地を利用すれば、実質、中高層のマンションでも建てられるようになったことによるものです。特に近年は緩和制度を最大限利用した極端な事例が増加していた…

とあり、ルール作りが必要との事でした。

有識者とともに検討した結果、平成16年6月1日に施行されています。

地下室マンションとは?

同じく横浜市の資料(横浜市斜面地における地下室建築物の建築及び開発の制限等に関する条例の概要)によれば、地下室建造物として、

周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える共同住宅、長屋又は老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するものの用途に供する建築物で、当該用途に供する部分を地階に有するもの

とあり、これに該当するものが「斜面マンション」にあたるようです。

地下室マンションには制限がある!

具体的な制限の内容は、同じく横浜市の資料より確認してみます。

神奈川県や千葉県はこのような斜面に沿って建てられているマンションが多いです。

また、多くの方がご覧になったことがあるでしょう。

しかしながら、制限が数多くあるのも事実です。

高さ制限と盛土(土を地面の上に盛る)の原則禁止が挙げられます。

さらには、景観美化を配慮した緑地や空地の設置等も義務付けられています。

横浜市と周辺地域にある斜行エレベーター付きの斜面マンション

斜面マンションのうち地下室マンションは、横浜市は条例に沿う必要があります。

中でも珍しい斜行エレベーターが付いているマンションを筆者が4件(横浜市3件、横須賀市1件)ピックアップしています。
(それぞれ全面道路もしくは離れた道路上から撮影しています)

ライオンズテラス弘明寺

まず初めに紹介するのが、磯子区岡村にあるライオンズテラス弘明寺です。

弘明寺とついているものの、縄文時代の遺跡として有名な三殿台遺跡の近くです。

入り口左上に、斜行エレベーターらしき斜めの滑り台上の構造物があります。

不動産会社のホームページの情報によれば、ライオンズテラス弘明寺は、1998年10月に建てられた総戸数は39戸、地上8階建てのマンションです。

この区域は、市街化区域における第一種低層住居専用地域ということです。

同制限地域は、高い建物が建てられない地域でもあります

そのため、このような斜面を利用してマンションを建てたのでしょう。

斜面上からすると、2階ぐらいの建物に収まる形で、周辺の景観と馴染んでいます。

サンヴェール横浜永田グランテラス

続いて紹介するサンヴェール横浜永田グランテラスになります。

京急井土ヶ谷駅からバスまたは徒歩でアクセスできるこちらのマンションも斜行エレベーターを持っているマンションのようです。

不動産会社のホームページの情報によれば、サンヴェール横浜永田グランテラスは1996年2月に建てられた、総戸数は83戸、地上10階、地下1階からなっています。

確認したところ、三重発動機という会社のホームページにサンヴェール横浜永田グランテラスの理事長インタビューが掲載されておりました。

エレベーター2基のうち、1基が斜行式だそうです。

横から見たところを撮影できなかったのですが、同じくGoogleMapでみることができました。

階段状になっており、高台の上にやや高めの住戸が立ち並んでいます。

用途地域としては、第一種住居地域ということです。

少し高めの住戸も建築可能なため、周辺の戸建てよりも高くなっていました。

ガーデンテラス逗子東

横浜市から少しだけ外れますが、京急田浦駅から徒歩10分強にあるガーデンテラス逗子東も斜面上にあるマンションです。

逗子という地名が付いていますが、住所は横須賀市船越町3丁目にあります。

建築は1998年10月であり、総戸数69戸、地上13階と斜面に長く並んでいます。

隣の公園の敷地内から、斜面エレベーターを確認することができました。

ちなみに、都市計画上の用途地域は、第一種低層住居専用地域にあるマンションです。

隣にニックライブステイツ湘南田浦という、1988年1月に建てられた15階建てのマンションが建っていました。


よこすか わが街ガイド 法規制・まちづくりより検索の上抜粋

横須賀市船越町3丁目の用途地域を調べてみました。

丁度ニックライブステイツ湘南田浦がある中央の黄色い所は第1種住居地域でした。

こちらは高層のマンションを建てることでできる区域です。

その上の緑のところにある台形状のものがガーデンテラス逗子東であり、用途地域が違っていることがわかります。

近隣のマンションでもこのような差があるのは、見ていて興味深いところではあります。

ルネ上星川

最後に紹介するのが、横浜というよりも斜面マンションでは筆頭格といえる、上星川駅近あるルネ上星川です。

相鉄線に乗っていたり国道16号を走っていると、気づくかもしれませんね。

斜面上に広がる壮大な住戸が確認できます。

国道16号沿いにある戸建てや小規模マンションの後ろの斜面にあるマンションです。

斜面マンションの代表格とも言えるでしょう。

不動産情報によると、ルネ上星川は1987年7月に建てられた、総戸数771戸、19階という非常に大きなマンションです。

国道16号沿いにある入り口の所からみてみました。

この先にエレベーターが斜面に沿って走っており、ケーブルカーの様なイメージで上階まで上がっていく感じでしょうか。

GoogleMapでルネ上星川の入り口をみると、その様子がより確認できます。

以前、こちら

でもルネ上星川について触れています。

1987年竣工で正式には横浜市の地下室マンション条例以前に竣工しています。

また、はまれぽでの紹介

で詳しくルネ上星川の情報が掲載されていました。

そこには斜行エレベーターの様子が具体的に記載されています。

記事を見ると、まさにケーブルカーに乗っている様なエレベーターでした。

子どもたちは非常に興味深く映るのではと思いました。

そして、上層階は高台のうえにあるということです。

横浜市内が一望できる景観も素晴らしいようですね。

まとめ

筆者がたまたま発見した斜行エレベーター付きマンションを取り上げました。

ライオンズテラス弘明寺、サンヴェール横浜永田グランテラス、ガーデンテラス逗子東、ルネ上星川の4か所とも特徴あります。

横浜市内は7割以上が丘陵地・台地で人口が密集している都会です。

そのため、どうしても斜面にマンションを建てる必要性が出るようです。

斜面にマンションを建てるとなると、階段だけでは当然住民の負担も大きくなります。

そこで、エレベーターを創る際の工夫も必要です。

ほかにも斜行エレベーターがあるマンションはありそうですので、機会あれば取り上げたいと思っています。

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