管理委託契約書はどこを見る?標準管理委託契約書・別表の確認ポイント【令和8年4月改正】

マンション管理

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管理会社から更新用の管理委託契約書や重要事項説明書が届いたとき、委託費の総額だけを見て、前年踏襲で総会議案にしていないでしょうか。

管理委託契約書で確認すべきなのは金額だけではありません。管理員が何曜日・何時間勤務するのか、清掃や設備点検をどこで何回行うのか、滞納督促をどこまで行うのか、長期修繕計画の見直しが委託費に含まれるのか――こうした具体的な内容は、主に別表に記載されています。

この記事では、国土交通省の最新のマンション標準管理委託契約書を基準に、重要事項説明書との違い、契約本文と別表の見方、令和8年4月改正で確認すべき点を整理します。

確認する順番は、

①重要事項説明書で説明された契約条件が、契約書・別紙・別表に適切に反映されているか
②本文で責任・費用・更新条件を確認する
③別表で業務の対象・回数・時間を確認する
④前年の契約書との差分を確認する

の4点です。

▼今回のコラムの全体像です(画像クリックで拡大します)

※2025年12月26日:【令和8年4月改正】標準管理委託契約書で整理された「管理の前提条件」を追記
※2026年5月11日:内容を大幅に更新しました。
※2026年9月26日:内容を大幅に更新しました。

  1. 管理委託契約書と重要事項説明書の違い
    1. 管理委託契約書とは?基本から解説
    2. マンション標準管理委託契約書の内容を分かりやすく解説
    3. 管理委託契約の主な条項と押さえるべきポイント
      1. 管理事務の内容及び実施方法、第三者への再委託、善管注意義務(3~5条)
      2. 管理事務に要する費用の負担及び支払方法(6条)
      3. 管理事務室等の使用(7条)
      4. 専有部分等への立入り(13条)
      5. 管理規約の提供等(14条)
    4. 管理委託契約書別表第1 「事務管理業務」の内容とは?
      1. 基幹事務
        1. 管理組合会計の収入及び支出の調定
        2. 出納業務
        3. 管理費等滞納者に対する催促
        4. 通帳等の保管等
        5. マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整
      2. 基幹事務以外の事務管理業務
        1. 理事会や総会の支援
        2. 各種の点検業務
    5. 管理委託契約書別表第2 「管理員業務」の内容とポイント
    6. 管理委託契約書別表第3 「清掃業務」のチェックポイント
    7. 管理委託契約書別表第4 「建物・設備管理業務」の確認事項
  2. なぜ管理委託契約書のチェックが重要なのか?
  3. 【令和8年4月改正】管理業者管理者方式で確認したいこと
    1. 管理者事務と管理事務を分ける
    2. 利益相反と工事発注の透明性を確保する
  4. ⚠️ 契約書に潜む「3つの落とし穴」とチェックすべき最重要項目
    1. 落とし穴(1):管理会社の「免責範囲」が過度に広くないか
    2. 落とし穴(2):委託費の変更
    3. 落とし穴(3):管理組合からの「解約条件」が厳しすぎる
  5. 管理委託契約書のポイントまとめ|前年踏襲で承認してはいけない

管理委託契約書と重要事項説明書の違い

管理会社との管理委託契約時に交わす、管理委託契約書の内容を確認します。

要点について、確認しておいた方が良い点を中心に、具体的に解説します。

細かい点も多いですが、特に重要なポイントを中心に解説します。

管理委託契約書とは?基本から解説

管理委託契約に関しては、契約締結前の重要事項の説明と、契約成立時の書面の交付を分けて理解することが重要です。

重要事項説明書は、管理業者が契約を締結しようとする前に、契約条件を説明するための書面です。一方、管理委託契約書は、総会決議を踏まえて管理組合と管理会社が合意した最終条件を定める書面です。

したがって、重要事項説明書で変更点を確認した後、契約書本文、別紙、別表まで含めて最終条件が一致しているかを確認します。

重要事項説明書については、こちら

に詳しく紹介していますので、合わせてご参照ください。

そして、国土交通省は、管理委託契約の標準書式として「マンション標準管理委託契約書及び同コメント」を公表しています。これは法律そのものではなく、典型的な住居専用・単棟型マンションを想定したひな形です。

実際の契約では、マンションの規模、設備、複合用途の有無、団地か単棟か、管理方式などに応じて、追加・修正・削除が行われます。

したがって、確認すべきことは「標準書式と一字一句同じか」ではありません。自分のマンション固有の設備・業務が契約書と別表に漏れなく記載されているか、標準書式から変更された箇所が不合理な内容になっていないかを確認してください。

国土交通省「マンション標準管理委託契約書及び同コメント」
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001972228.pdf

国土交通省「標準管理委託契約書等の策定・改正について」
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk3_000001_00095.html

マンション標準管理委託契約書の内容を分かりやすく解説

今回のコラムとあわせて、国土交通省が公表している最新の「マンション標準管理委託契約書及び同コメント」と見比べてみてください。
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001972228.pdf

と見比べてみてください。

また、重要事項説明書のひな形(作成例)https://www.kanrikyo.or.jp/format/pdf/jyuuyou/jyuusetsurei_20220603.pdf

とも見比べて頂ければ、重要事項説明書が分かりやすいことが分かります。

契約書の立て付けとしては、

・どのマンションでも一般的な取り決めとなる契約書の条項が並んでいる
・細かく記載すべき金額等は条項の外の別紙として表で記載している
・別表として、マンション独自の記載がある
(締め日や期間、実施回数等の記載)

という形になっています。

管理委託契約の主な条項と押さえるべきポイント

契約の条項に記載されている内容を確認してみます。

重要事項説明書と被る分は、そちらをご参照頂ければより分かりやすいでしょう。

代わりに、記載されていない所を中心に厚めに紹介します。

以下、画像は国土交通省の標準管理委託契約書ひな形からの抜粋となります。

国土交通省のひな形は一般的な記載・取り決めとなります。

マンション個別で管理会社との取り決めを行う場合もあるでしょう。

その際は別個の解釈(ひな形から契約書面の修正等)も考えられます。

管理事務の内容及び実施方法、第三者への再委託、善管注意義務(3~5条)

また、「第三者への再委託」は、管理会社のみで完結しない業務は、第三者への委託を実施することで業務を行う取り決めです。

「善管注意義務」とは、

「善良なる管理者の注意義務」という民法上の言い回しです。

業務受託側がその専門的立場から、通常期待される注意義務を払うことです。

管理事務に要する費用の負担及び支払方法(6条)

4項に管理事務を行うにあたって、掛かってくる諸費用は管理費負担であるということが記載されています。

管理事務室等の使用(7条)

すなわち、これら備品は管理組合側で準備するということです。

2項は、管理事務室で使用する備品について、管理会社または管理組合のどちらが負担するかという点が記載されています。

例えば、管理事務室のコピー代負担は以下のように取り決めできます。

✅総会用など枚数が多い印刷物 → 管理組合が負担
✅理事会用など軽微な印刷物 → 管理会社が負担

このように、管理委託契約書には具体的な費用負担の取り決めが記載されるため、事前にしっかり確認しておくことが重要です。

専有部分等への立入り(13条)

これは、最新版の標準管理規約にも同様の定め(管理会社ではなく、管理組合や理事長として記載)があります。

災害時等の緊急時において、管理組合や理事長が対応できない場合は、管理員をはじめとした管理会社側にでも対応可能にしています。

管理規約の提供等(14条)

管理会社が代わりに、管理規約や滞納状況、修繕履歴等が出せる定めです。

もちろん、区分所有者より管理会社が対応した方がスムーズな場合もあります。

代わりに不動産業者からの要請に対応できることへの配慮されています。

管理委託契約書別表第1 「事務管理業務」の内容とは?

続いて、別表についても確認しておきます。

契約の条項には、概要しか記載されていません。

細かなことは別表等に逃がすことにより、詳細が記載されています。

そのため、この別表も見逃すことができない重要な情報が折り込まれています。

別表において確認しておいた方がよい点を、具体的に確認していきます。

標準管理委託契約書の別表は、上記の最新「マンション標準管理委託契約書及び同コメント」に収録されています。本文・別表を前年の契約書と並べて確認してみてください。
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001972228.pdf

基幹事務

別表に書かれている内容において、まずは基幹事務から確認します。

管理組合会計の収入及び支出の調定

また、毎月の収支状況の取り決めも明文化され、記載がなされている形です。

出納業務

・管理費等の収納のタイミング
・収納・保管口座の口座名
・保証内容等

の記載がなされます。

以下、出納業務について管理組合との契約形態により、重要事項説明書のコラムでも紹介したイ、ロ、ハの方法のそれぞれのケースがひな形には紹介されています。

こちらは「出納(保証契約を締結して甲の収納口座と甲の保管口座を設ける場合)」なので、重要事項説明書の「イの方法」となります。

管理費等滞納者に対する催促

管理会社は管理組合と決めた間は、電話や自宅訪問等で督促を行うものの、支払わない場合は業務を終了することとなります。

すなわちこれ以上は督促対応は行わないとの取り決めです。

管理会社としては、管理組合を支援するために一定の間は督促業務を行います。

一方で、管理会社は管理費等の督促を専門で行う訳ではありません。

従って、その後の対応は管理組合の責任によって行うこととなります。

通帳等の保管等
マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整

改善のための助言はしてくれるものの、この場合は

長期修繕計画案の作成や劣化状況の調査診断等は別個の契約

であることが定められています。

すなわち、管理委託契約の対象外ということになります。

実施する場合には、別途契約を締結し、業務を依頼しなければなりません。

ただし、管理委託契約の中で既に定める場合もあります。

記載例としては、

二 長期修繕計画案の作成業務及び建物・設備の劣化状況などを把握するための調査・診断を実施し、その結果に基づき行う当該計画の作成及び見直し業務を実施し、管理組合に提出する。

など、長期修繕計画を作成や見直しをする旨の記載があれば、契約内に含まれることとなります。

もし、分かりづらい場合は、必ず管理会社に

長期修繕計画案の作成や見直しは管理委託契約に含まれるのか?

を確認するようにしましょう。

さらに、外注により管理会社以外の業者が行う場合もあるでしょう。

発注の補助等を実施して貰える事となりますが、あくまでも間を繋ぐ業務が中心になる点に注意が必要です。

基幹事務以外の事務管理業務

理事会支援と総会支援業務についてです。

理事会支援業務としては、組合員等の名簿整備がまず挙げられています。

自治体が進める管理計画認定制度においては、組合員等の名簿が1年毎に更新されているかというチェック項目があります。

ポイントとしては、「組合員等」という点であり、

この「等」には「区分所有者+賃借人」が含まれる点です。

契約上、この名簿の整備が入っている場合は、管理会社との業務上の確認を行った方がよいでしょう。

理事会や総会の支援

また、理事会の支援についてです。

この場合、開催日の調整や議事録案の作成も管理会社が行うこととなります。

そのため、

・2ヶ月に一度等適切に開催されているか
・理事会議案の提示がなされているか
・議事録案が適切に提出されているか

等も確認が必要でしょう。

総会の開催についても同様となります。

各種の点検業務

そのため、管理会社経由で手続きをすることとなるでしょう。

設計図書や修繕履歴の保管に関する内容が契約に含まれていれば、

・管理会社が適切に保管・管理しているか
・設計図書や修繕履歴に漏れがないか

を、管理組合や理事会側でも定期的に確認することが望まれます。

管理委託契約書別表第2 「管理員業務」の内容とポイント

管理員の勤務形態や、実施する業務の取り決めが記載されます。

・建物の外観目視点検
・照明器具の稼働状況
・ポンプ等諸設備の運転、作動状況

は管理員が実施する場合があります。

また、立会業務として、外注業者やゴミ搬出も挙げられます。

さらに、報告連絡業務として、

・掲示板への文書の掲示や各戸への配布
・点検結果等の報告

も含まれます。

管理委託契約書別表第3 「清掃業務」のチェックポイント

どこまで実施するかは管理会社との取り決めや金額次第となるでしょう。

それぞれの項目について、回数と頻度の記載が行われることとなります。

項目が多いため、一部抜粋して紹介します。

当然頻度や回数が多いと綺麗になりますが、その分金額も上がるでしょう。

費用対効果と清掃後の質を考えながら、回数、頻度を判断することとなります。

また、業務実施においては、

・清掃は通常要すると認められる範囲と時間で実施
・使用頻度が多くてすぐに汚れる所は通常の作業を実施した段階で作業完了
・実施において使用する光熱費は管理組合負担

が明記されています。

管理委託契約書別表第4 「建物・設備管理業務」の確認事項

別表の最後、第4で建物や設備の管理業務の取り決めが細かくされています。

また、今回は点検内容の詳細を細かく紹介しませんが、一部抜粋して紹介します。

あくまでも管理員や専門業者による目視点検となるため、劣化状況を細かく知るためには、詳細の調査をする必要が出てくるでしょう。

特殊建築物の定期検査は、自治体により対象になる場合や対象外になる場合も想定されます。

そのため、マンションの状況を確認する必要があるでしょう。

また、エレベータの点検は必ず実施しなければならない法定点検(昇降機定期検査)と、メンテナンス会社と契約で決まったタイミングで実施する定期点検があります。

それぞれの実施頻度について記載されています。

・消防法に規定する機器点検や総合点検
・機械式駐車場がある場合の点検

等も記載されます。

なぜ管理委託契約書のチェックが重要なのか?

管理委託契約書の説明においては、契約内容とともに別紙の詳細資料を含めて、重要事項説明書の記事で記載した以外のところを中心に紹介しました。

該当設備がなかったり、管理会社との取り決めがなかったり等で、紹介内容の全てが管理委託契約に折り込まれるかどうかは、マンションによって異なるでしょう。

一方で、自分自身のマンションに関することで分からないことは多いものの、管理委託費は毎月支払う管理費から充当されることとなるため、どのようなことに使用されるかは知っておいてよいかと思います。

その観点から、前項で紹介した全ての内容を把握する必要はないものの、区分所有者としては月額の管理費や、イレギュラーで非定期的に発生してしまう費用、さらには、「点検を実施するとこれぐらいの費用が発生するのか…」などのイメージを掴んでおくことも大切です。

管理委託契約は、多くの管理組合で総会議案として扱われます。現状と照らして内容・金額が適切であれば承認すべきですが、前年踏襲ではなく、なぜ承認するのかを理事会として確認しておくことが重要です。

現状と照らし内容が適切で金額的にも妥当なら否決の必要はありませんが、

なぜ可決するのか、改めて管理委託契約内容を確認することで、事前に見解を固めておくことも重要

と言えるでしょう。

【令和8年4月改正】管理業者管理者方式で確認したいこと

今回の改正で最も大切なのは、通常の理事会方式の全てに新しい義務が一律に加わったわけではないという点です。

改正の主眼は、管理会社が管理組合の管理者を兼ねる「管理業者管理者方式」への対応です。理事会を置かない場合には、管理者としての業務と、管理会社として受託する管理事務を分け、利益相反やチェック不足を防ぐ必要があります。

管理者事務と管理事務を分ける

管理会社が管理者を兼ねる場合、「管理会社が理事会を支援する」という通常の契約のままにせず、どの業務を管理者として行い、どの業務を管理委託契約に基づいて行うのかを明確にする必要があります。

同一会社内であっても、管理者事務と管理事務の部門・担当者を分け、担当者の所属、報告系統、監事による確認方法まで説明を求めることが重要です。

利益相反と工事発注の透明性を確保する

管理会社が管理者を兼ねる場合、その管理会社との契約や解約など、管理組合と管理会社の利益が相反する事項では、管理者である管理会社自身が管理組合を代表できません。監事または総会で選任・指名された者が管理組合を代表する仕組みと、実効的な監査体制が必要です。

また、管理会社または関連会社が工事を受注する場合や施工会社の選定に関与する場合には、工事費用の内訳・積算根拠、選定経緯、管理会社・関連会社の関与を説明できる状態にしておくことが重要です。

なお、WEB会議等のIT活用やカスタマーハラスメントへの対応も現行書式では扱われていますが、令和8年4月改正の中心事項として説明するのは適切ではありません。

⚠️ 契約書に潜む「3つの落とし穴」とチェックすべき最重要項目

管理会社から提示される管理委託契約書は、管理組合の合意(総会決議)をもって契約締結となります。しかし、総会で可決されてしまえば契約締結となるため、議案が諮られる前の段階で、リスクになり得る3つの落とし穴を詳細に確認しておくことが不可欠です。

特に以下の3つの項目については、標準管理委託契約書から逸脱した条項になっていないか、この記事を通じて、専門家の視点から確認すべき具体的なポイントを整理していきましょう。

項目確認するポイント個別契約で注意する点
免責範囲管理会社の善管注意義務を前提とした免責か賠償額の上限、過失の程度による免責、追加の免責事由がないか
委託費の変更金額と業務内容の変更が、重要事項説明書・契約書・別紙・別表で一致しているか管理会社の一方的な増額や、業務内容を伴わない不明確な負担増となっていないか
解約・更新標準書式では、双方が少なくとも3か月前の書面による申入れで契約を終了できる通知期限、中途解約時の費用、通帳・鍵・設計図書・電子データ等の引継ぎが不合理でないか

落とし穴(1):管理会社の「免責範囲」が過度に広くないか

契約書に潜む最初の落とし穴は、管理会社が自らの責任を過度に軽くしていないかという点です。免責(めんせき)とは、管理会社に落ち度があった場合でも、損害賠償責任を負わない範囲を定める条項のことです。

なぜこれが落とし穴なのか?
国土交通省の標準契約書でさえ、管理会社が不利にならないよう一定の配慮がされていますが、問題は、提示された契約書が標準委託契約書から逸脱して管理会社に有利に書き換えられているケースです。

【チェックすべき具体的な条項】
管理組合側は、以下の2点を厳しくチェックする必要があります。

1. 「重大な過失」がない場合も免責範囲に含まれていないか(軽微なミスで済まされないか)。
2. 管理会社の責めに帰すべき事由により管理組合が損害を被った際の損害賠償の上限額が不当に低く設定されていないか。

過度に管理会社の免責が広い契約書にサインすると、何か問題が起きた際に「契約書に書いてありますから」と責任逃れされ、管理組合がすべての費用を負担する事態になりかねません。

落とし穴(2):委託費の変更

管理委託費の増額提案を受けた場合、値上げ率だけで判断してはいけません。管理員の勤務日数・時間、清掃の場所・頻度、設備点検の対象・回数、定額委託費と実費精算項目が、前年契約からどう変わるかを確認してください。

標準管理委託契約書には、管理会社が人件費上昇等を理由に一方的に委託費を増額できる条項も、値上げ率の上限もありません。金額や業務内容を変更するなら、管理組合と管理会社が合意して契約条件を変更することになります。重要事項説明書、契約書、別紙・別表に変更内容が同じように反映されているかを確認しましょう。

落とし穴(3):管理組合からの「解約条件」が厳しすぎる

管理会社との契約において、最も管理組合の自由度を奪うのが「解約条件」に関する条項です。管理会社と長期的に付き合っていくことは望ましいですが、万が一の際の「逃げ道」は確保しておく必要があります。

なぜこれが落とし穴なのか?
管理会社は、解約を防ぐため、解約通知期間を不当に長く設定したり、高額な違約金を要求する条項を盛り込むことがあります。このような条項にサインすると、管理会社のサービスに不満があっても、解約に伴う負担や関係悪化を恐れて、サービスの見直しや値上げ交渉ができなくなる事態に陥ります。

【チェックすべき具体的な条項】

✅解約通知の期間:標準的な期間(通常3ヶ月程度)よりも不当に長く設定されていないか(例:6ヶ月〜1年)。期間が長いほど、次の管理会社を探す負担が増大します。
✅中途解約時の違約金:契約期間の途中で解約した場合に、残存期間の委託費全額など、不当に高額な違約金が発生する条項になっていないか。違約金は、管理会社の実損額の範囲内に収まるのが一般的です。
✅相見積もり取得の難易度:他社と比較検討するために相見積もりを取得しようとした際に、現在の管理会社に知られないよう秘密裏に実施しなければならないという難易度が伴います。しかし、契約書上の解約条項が明確であれば、秘密裏に行う必要性は低くなります。

管理委託契約は、管理組合が「不満なサービス」を我慢する鎖になってはいけません。契約締結時に、いつでも適切な手続きで自由に見直せる権利が確保されているかを必ず確認しましょう。

管理委託契約書のポイントまとめ|前年踏襲で承認してはいけない

管理委託契約書では、まず重要事項説明書で説明された契約条件が、契約書・別紙・別表に適切に反映されているかを確認します。その上で、本文の責任・費用・解約更新条項と、別表の具体的な業務内容をセットで読みます。

特に委託費の増額や管理品質の見直しが提案されたときは、金額だけで判断してはいけません。管理員の時間、清掃や点検の頻度、長期修繕計画の扱い、実費精算の範囲、緊急時の対応が、前年契約からどう変わるのかを確認してください。

管理委託契約書は、管理会社を疑うために読む書類ではありません。管理組合と管理会社が、委託する業務、責任分担、費用、緊急時の対応を共通認識にするための契約書です。だからこそ、前年踏襲で承認せず、本文と別表の差分を毎年確認することが、管理品質と組合財産を守る基本になります。

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