大規模修繕工事を行う前に、マンションとして考えておかなければならないことが多々あります。
工事の計画が具体化されれば理事会や修繕委員会を中心に事が進むことになりますが、それ以前に検討しておかなければならないことも多々あります。
前回までに管理計画認定制度の話題を記載しましたが、その前にすべきこととして今回はこちらのテーマを記載します。
大規模修繕工事を考える前に確認しておきたいこととは
大規模修繕工事を将来的に考えていく前に、考えておかなければならないことについて、どのような事が挙げられるのか、紹介します。
そもそも計画はあるのか
まず確認しておかなければならないのが、大規模修繕をいつ実施するのか、管理組合として明確に計画性を持って組合管理を行っているのかが前提となります。
まず、マンションに長期修繕計画があるかどうか、確認が必要です。
長期修繕計画が有るか無いか分からない段階では、少なくとも定期的に更新されていない可能性があります。
仮に有ったとしても、いつ計画されたものかが分からないものとなっている可能性もありますよね。
大規模修繕工事に備えて、計画的に長期修繕計画が立案され、5年程度ごとの定期的な見直しがなされているかがまずは重要です。
※国土交通省 長期修繕計画作成ガイドライン 9ページより
修繕積立金は適正に積み立てられているか
大規模修繕工事を実施するにあたっては、修繕積立金から充当することとなります。
予め、区分所有者より普段の管理に使用する管理費と将来の修繕に備えておくための修繕積立金を分けて徴収し、それぞれ区分して経理をしておく必要があります。
3.管理組合の経理 ⑦管理費と修繕積立金の区分経理がされている
⑭長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でない

場当たり的な修繕をしていないか
長期修繕計画がなければ、大規模修繕ではなく、場当たり的に壊れたところを修繕し続けることも考えられます。
もちろん、やむを得ずに修繕しなければならないところは、速やかに修繕を行う必要があるのですが、逆に、本来は大規模修繕時期に合わせて修繕を定期的にしなければならないところが見逃されてしまう可能性があります。
場あたり的な修繕を行わないためにも、修繕時期の計画を立てて、そのために修繕積立金の適正額を徴収することが必要となってきます。
理事会が適正に機能しているか
マンションの管理組合においては理事会が結成されているところがほとんどでしょう。
また、理事会が定期的に開催され、議案に沿って議論を行われた結果、次の手が打たれてるサイクルが保たれていることが大切です。
管理会社がある管理組合においては、1,2か月おきに定期的に理事会が開催されているでしょう。
そうでない場合は、理事長と理事は決めて、定期的に開催を行っておらず、問題が発生すれば集まるなどになっていないでしょうか。
理事会はいわばマンション管理組合という会社組織の取締役会的な位置づけであるため、定期的に開催して、課題について討議することが望まれます。
管理規約が古くなっていないか
国土交通省が最新の法令に合わせて、こういう形のものが望ましいという、標準管理規約が定期的に改訂され、最新版が共有されます。
最新版は令和3年6月22日に改正され、時代背景にあわせてITを活用した総会や理事会、置き配のルール、管理計画認定制度の申請についてなどが織り込まれています。
最新版に合わせることで、区分所有者への利便性の配慮とともに、マンション管理もより実施しやすくなります。
必ずしも合わせる必要はありませんが、古くて今の時代に合わないものや、長年変更していない場合は、管理組合として変更を検討すべきでしょう。
まとめ
大規模修繕工事を行うには、事前の準備のほかに長年の計画性が必要です。
また、十分な修繕積立金がないと修繕も行えず、さらに壁面や廊下、階段などの劣化が進行することとなります。
計画的な管理とともに長期修繕計画を適切に立案、さらには5年程度ごとの見直しを行い、マンションが適正な状態に保たれていくことが重要です。
管理組合や理事会として、定期的にチェックしていくことが重要でしょう。
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