今すぐ検討したいマンションの高経年化・高齢化への対応方法とは

マンション管理

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自宅のマンションが徐々に高経年化してきており、さらに少子高齢化と相まって、住民が高齢化し、若い世代の入居が無く、子どもも少なくなっている

このような悩みを持たれている管理組合や理事会も非常に多いと思われます。

タワーマンションの竣工ラッシュを見れば感じるかと思いますが、国土交通省の調査 によると、2021年度の新規マンション供給戸数は10.7万戸となっており、10年連続で10万戸超の供給となっています。

一方で、マンションが建ってから40年を超える、いわゆる「高経年マンション」も数多く存在し、2021年末現在、40年以上が94.5万戸、50年以上が21.1万戸というデータが、同じく国土交通省の把握している数値として出ています。

今回は、

・マンション住民が全体的に高齢化しているのが気になっている
・マンションも高経年化していて今後が心配だ
・高齢化、高経年化にどのような対応をすればいいのか知りたい

このような悩みを持つマンションに対して解決策を考えていきます。

時の流れとともに増え続ける高経年マンションの課題とその対策を、国のデータも参考にしながら考えます。

マンションが直面する2つの老い

マンションは一般的に、「2つの老い」に直面しつつあると言われています。

マンションが建ってから時間が経ってしまう「高経年化」とともに、住民の「高齢化」の2つの問題です。

最近では、マンション管理に欠かせない管理員さんも高齢化してきており、これらの働く方の老いを加えると「3つの老い」とも言われることがあるようです。

日本全体の構造変化として、回避できない課題となっており、今後の対策が非常に大きな課題となりつつあります。

マンションの高経年化の進行

冒頭に述べたように、1980年代に建てられた築40年以上のいわゆる「高経年マンション」が大幅に増加してきています。

1982年以前に建てられた、2021年末における築40年以上のマンションは115.6万戸にも及び、これが20年後の2041年末には425.4万戸までに増えると想定されています。

出典:国土交通省 築後30、40、50年以上の分譲マンション戸数より

マンション住まいが一般化した現代、それ以降もどんどんマンションが建ってきていることを考えると、今後もますます増加傾向になってくるでしょう。

特に、1981年5月以前に建てられた、旧耐震基準マンションは一定の耐震処置が必要となっています。

一方で、それ以降に建てられた新耐震基準のマンションであっても、大規模修繕工事を中心に、適切な修繕が実施されていなかった場合においては、劣化が進行していることも考えられます。

住民の高齢化

高経年化に合わせて見られるのが、マンション住民の高齢化です。

1980年代にファミリー層として新たにマンションを購入された方も、住み続けていれば70代以上の高齢者となっている方が中心となっています。

高齢者世帯が増えると、管理組合活動にそれなりの支障が発生し始めます。

具体的には、マンションの管理組合には、理事や監事が必要であり、これらには一定の負担を伴うものであることから、高年齢者にとって就任しづらいという課題が発生します。

さらに、年金暮らしの高齢者世帯が多くなれば、マンション住民の中にも収入が現役世代に比べ減少している方も増えてきます。

そのような場合において、場合によっては管理費、修繕積立金等の滞納問題も発生し、管理組合として問題視する必要がでてきます。

マンションの維持・保全の重要性

今後においてマンションにおける、高経年化、高齢化の流れは避けることができません。

そんな中でも、マンションを適切に管理し、傷んだところの修繕を行いながら、マンションを維持、保全していかなければなりません。

一方でマンションが高経年化しても、自分たちの世代で終わりではなく、子や孫の世代に住まいを引き継いで行く必要があります。

マンションは管理次第で長年維持可能

前提として、マンションはメンテナンス次第では長年維持可能です。

マンションがどれぐらい持つのかという指標の一つに、減価償却の概念である、法定耐用年数という考え方があります。

鉄筋コンクリート造の建物としてのマンションには47年という数字がありますが、税金の考え方における話であり、マンションの寿命を指している訳ではありません。

実際に躯体や壁面、給排水管に対する更新により、80年や100年住み続けられることも十分考えられます。

もちろん、長期修繕計画を適切に立案したうえで、しっかりと修繕積立金を確保し、大規模修繕工事を実施すべきタイミングで行うことも大切になってきます。

耐震性能や断熱性能の確保

旧耐震基準で建築されたマンションは、新耐震基準に比べて耐震性に課題が残ります。

耐震補強等を施すことにより、対処する必要があるでしょう。

国や自治体などが準備する補助金を使って耐震性やバリアフリー化を充実させることも可能になって来ています。

また、高経年マンションは断熱性能においても徐々に劣ってくることとなり、国や自治体は補助金を準備して断熱性能を高めるための施策にも力を入れています。

管理組合としてこれらに対応することにより、住みやすい環境づくりを構築していくことは可能となっています。

長期修繕計画の作成と定期的な見直し

長期修繕計画は、竣工時に作成したものの、その後見直されておらず大規模修繕工事の際に改めて見直すことが多いようです。

長年マンションを維持、向上させていくためには、定期的に見直しの機会を設けるとともに、長期的な計画が重要となってきます。

国土交通省の長期修繕計画ガイドラインでは、将来30年以上の長期修繕計画が必要となっており、計画期間中に2回以上の大規模修繕工事の計画が含まれていることが望ましいとされています。

また、計画は5年程度毎に見直すことで、将来を見越した長期修繕計画としていくことが望まれます。

外部役員の起用

管理組合内では、総会や理事会が有機的に機能していることが重要です。

そのためには、内部で理事や監事を準備したい所ですが、先述した高齢化の進行とともに、残った現役世代を中心とした、若い世代への管理組合運営の負担も増大する傾向にあります。

若い世代に是非なって欲しいとは思うものの、平日は労働で、週末は家族サービスと、管理組合運営には中々負担を伴うものであることも事実でしょう。

なり手がどうしても上手く配置できない場合は、外部の専門家を中心として、一定の報酬を支払ってでも理事や監事になって貰う、いわゆる「第三者管理者」を設置することも視野に入れていく必要があるかもしれません。

マンションの建替えは現実的か?

今後40年以上の高経年マンションは、60年、70年等、時間が経過して、本当にマンションにそのまま住んでいくことが果たしていい事なのかを考えることもあるでしょう。

最終的に、終焉を迎えることも想定する必要はありますが、まだまだ一般的ではないのが現状のようです。

マンション建替えを考える場合

マンションの建替えが可能なのは、おそらくは地価が高く、建替えても新たにこれまで以上に住民の入居が見込まれる立地であることが考えられます。

都会の駅近ならタワマンにして新たに入居者を募ることができるなどのイメージは湧くかもしれませんが、地方都市や、都会であっても駅から離れているところの建替えは果たして現実的なのかという課題も残るでしょう。

また、一時的にも他に住まなければならないため、現状の住民にも負担がかかることとなります。

さらに、現在の法律では、特別決議であっても区分所有者と議決権の5分の4以上の決議が必要で、ハードルが非常に高い状況となっています。

現在、法制審部会では、建替え要件をこれまでの5分の4から、4分の3や3分の2へ引き下げる案なども審議されているようです。

国としても、大規模修繕工事だけではなかなか難しいと考えられるマンションにおいては、建て替えをしやすくすることで、将来的な老朽化マンションを未然に防ごうという対策を考えていると思われます。

マンションの建替え実績は?

国土交通省のマンション建替え実施状況によると、2022年4月1日現在、工事完了済みは270件、実施中は41件、実施準備中は5件となっています。

出典:国土交通省 マンション建替えの実施状況より

マンション建替法によらない、区分所有法や民法によるものと考えられる建て替えが最近3年は進んでいないのに対して、マンション建替法が整備されてきたことにより、こちらに基づいた建替えにシフトしてきていることが読み取れます。

冒頭に述べた、築40年以上のマンションが94.5万戸、50年以上が21.1万戸であり、戸数ではあるものの合計115.6万戸に対して、建て替えが件数にして上記であることから、余程でない限りは建て替えが難しい現実が読み取れます。

現時点では、ほとんどのマンションにおいて建替えは「非現実的」であると言えるかもしれません。

まとめ

国土交通省のデータを参照しながら、マンションの高経年化の実態と、マンション自体の高齢化について紹介しました。

最後に述べましたが、多くのマンションでは簡単に建替えは難しいのが現実でしょう。

そのためには、高経年マンションも今後維持向上させていくことで、住み続けることができる環境づくりが大切であると考えられます。

マンションの管理を適切に行うとともに、計画性を持った修繕をおこなうことで、数十年、さらには100年でも住み続けられるマンションにしていくことが現実線として考えられることかもしれません。

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