【必ず作成・見直ししたい】長期修繕計画の重要性とは?

マンション管理
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長期間に渡って長期修繕計画を見直していない、または長期修繕計画を作成していないというマンションも比較的あるようです。

また、長期修繕計画はどのように作成・見直すのか、そのような疑問を持たれる管理組合も多く、筆者に対しても相談を頂くこともあります。

管理計画認定制度の事前確認を行うこともある筆者ですが、長期修繕計画については比較的確認しており、審査を行う全てのマンションが修正して提出しています。

古いマンションだけではなく、新築後さほど時間が経っていない新しいマンションにおいても同様です。

今回は長期修繕計画を作成、見直しすることにおける重要性について紹介します。

【必ず作成・見直ししたい】長期修繕計画の重要性とは?

今回、長期修繕計画の重要性として紹介する内容は次の項目です。

・なぜ長期修繕計画が必要なのか?
・長期修繕計画が作成されたのに更新されていない理由
・長期修繕計画作成・見直しのおもなポイント4項目

なぜ長期修繕計画が必要なのか?については、そもそも長期修繕計画が必要である理由が分からない場合もあることから、具体的に紹介します。

また、ついつい忘れてしまうことですが、長期修繕計画が作成されたにもかかわらず、更新されていない点について解説します。

そして、長期修繕計画の作成・見直しのポイントは、どこに注意して作成・見直しを考えればよいのか、国土交通省が提示しているデータにも触れながら紹介します。

なぜ長期修繕計画が必要なのか?

まずはじめに、なぜマンションには長期修繕計画が必要なのかという点について確認しておきます。

将来のどの工事をすればよいか明確化する

マンションは住み続けていると、徐々にいたるところが劣化して、痛んでくることとなります。

一方で、どの箇所がどの程度で修繕が必要になるかは、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでも一定の目安が提示されています。


※国土交通省 長期修繕計画作成ガイドライン84ページから抜粋

たとえば、この画像に記載されているものであれば、給水管は19~23年を目安に更生工事(管の中をきれいにする工事)を、30~40年で取替工事を行うことが目安であると記載されています。

他の修繕工事項目含め、安心安全な暮らしを継続するためには、大規模修繕工事においていつ、どのような工事が必要になるかが明確となっています。

工事のお金をどれぐらい準備しておけばよいか明確化する

将来のある時期に工事を計画すれば、どのくらい金額が必要となるのか、現時点で目安をつけておく必要があります。

そもそも将来計画した工事に対して、現時点から将来において修繕積立金を現状のままでいくと果たして足りるのかどうかが不明確なままでは、管理組合として計画性がないということになり、区分所有者や住民も不安になってしまいます。

足りてない場合は、新たに修繕積立金を増額することを検討する必要がありますし、足りている場合は、管理組合口座に置いておくだけでなく、上手く運用したほうがいいなど、新たな検討課題も発生することとなります。

長期修繕計画を明確にして区分所有者に計画を周知する

長期修繕計画は、長くマンションに住むための区分所有者全員が確認すべき計画であるといえます。

確認することで、将来管理組合としてどのような工事に備えておかなければならないのか、修繕積立金は十分なのか、また足らない場合はどうすればいいのかなど、計画を周知することで、区分所有者としての意識も高まります。

新たに計画された長期修繕計画は管理組合総会において決議を行い、管理組合の将来計画として活かしていく必要があります。

長期修繕計画が作成されたのに更新されていない理由

長期修繕計画という概念がなかった時代のマンションは別として、竣工時に長期修繕計画が立案されスタートしています。

マンションの長期修繕計画・大規模修繕工事の変遷と今後の課題(関東学院大学 田辺邦男)24ページによると、長期修繕計画の考え方が認識され始めたのは1980年代頃からとのことのようです。

長期修繕計画が作成されたことを前提として、なぜ更新されていないマンションが多いのか、確認してみます。

長期修繕計画が当初から作成されていない、または紛失した

国土交通省が行った平成30年度マンション総合調査によると、長期修繕計画の見直し時期としての調査があります。

長期修繕計画の見直し時期は、「5年ごとを目安に定期的に見直している」が56.3%、「修繕工事実施直前に見直しを行っている」が12.5%、「修繕工事実施直後に見直しを行っている」が10.1%となっています。


※国土交通省 平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状 (6)長期修繕計画の見直し時期(新規調査項目) 10ページから抜粋

一方、見直しを行っていないマンションの割合は5.7%となっていました。

一定の期間で見直しを行っている一方で、見直しているものの時期は上記以外であったり、見直していない、不明であるなどが2割強あります。

また、本来国土交通省が推奨している、5年程度ごとの見直しを行っているのは半数強であり、それ以外のマンションは長いスパンでの見直しになってしまっている傾向が読み取れます。

そして不明のなかには、先ほどの関東学院大学のデータからみると、80年代以前に建てられたマンションでは、長期修繕計画を作成したことがないところも含まれるかもしれません。

長期修繕計画の見直しが理事会や総会で決議されていない

前項の円グラフによると、長期修繕計画は大規模修繕工事の前後においてなされたものの、そもそも施工会社や設計監理会社からの提出にとどまり、区分所有者への周知がなされておらず、さらには決議されていないことも考えられます。

大規模修繕工事の設計図書の中に、参考資料として長期修繕計画が紛れ込んでいて、誰も気づかなかったといったようなことも想定されそうです。

その場合は、「うちのマンションは長期修繕計画がない」ということにもつながってしまい、区分所有者にとって存在すら知られないままとなってしまう可能性もありそうです。

理事会や総会で承認されたものの、その後のチェックがなされていない

大規模修繕工事後において、理事会や総会では長期修繕計画として承認されました。

ここまでは良かったのですが、その後は総会関連資料や設計図書の中に入っており、適切なタイミングでのチェックがなされておらず、そのままとなっています。

筆者が見たマンションの中でもこのケースが比較的多いと想定され、大規模修繕工事を実施して計画は立てたものの、前回以降全く見直さずに10数年が過ぎてしまった、そのようなパターンです。

長期修繕計画作成・見直しのおもなポイント4項目

長期修繕計画の必要性とともに、更新されていない理由を確認したところで、今後どのように作成を行い、見直しを行っていく必要があるのか、紹介します。

竣工時や大規模修繕工事の際に作成した後には定期的に見直す

マンションが建った時の竣工時や、その後の大規模修繕工事の段階で長期修繕計画が作成されるかと思います。

「計画を作成して貰って終了」するというのではなく、必ず理事会でチェックしたのちに、総会の決議を経て、マンションの計画として活かしていく必要があります。

これには、見直しを途切れさせないように、理事会において常に確認のタイミングを設けることや、管理会社を採用している管理組合においては、遅滞なく見直しを提案するように管理委託契約書等で定めておくことも考えられます。

ちなみに、長期修繕計画ガイドラインによる、計画の見直しに関する国土交通省の見解(93ページ)は以下のとおりです。

◆長期修繕計画は、作成時点において、計画期間の推定修繕工事の内容等に関して計画を定めるものであり、本文に掲げる不確定な事項を含んでいますので、5年程度ごとに調査・診断を行い、その結果に基づいて見直すことが必要です。
◆例えば、新築後 15 年目以降の見直しでは、新築当初の 30 年の計画期間では推定修繕工事費を計上していなかった給排水管の取替えなどについても計上が必要となる場合があります。これに伴って計画期間の推定修繕工事費が増加しますので、修繕積立金の額の見直しも必要となります。
◆長期修繕計画の見直しは、大規模修繕工事と大規模修繕工事の中間の時期に単独で行う場合、大規模修繕工事の直前に基本計画の検討に併せて行う場合、又は、大規模修繕工事の実施の直後に修繕工事の結果を踏まえて行う場合があります。
したがって、その時期は、おおよそ大規模修繕工事の直前又は直後とその中間程度となります。
◆建物・設備の劣化状況等の現状を踏まえた見直しを行うために、事前に調査・診断を行います。大規模修繕工事の中間の時期に単独で行う場合は、目視等による簡易な調査・診断を行いますが、大規模修繕工事の直前又は直後に行う場合は、その基本計画を作成するために行う詳細な調査・診断の結果によります。
図解した見直し例は以下のようになります。
この図から、5年毎に定期的に見直しを行い、将来の修繕に備えていく必要があると考えられます。
ただし、長期修繕計画の見直しには一定の費用が掛かってくることから、どこまで調査や計画の作り込みを行うかは、理事会や修繕委員会等で議論して決めていく必要があるでしょう。

見直しが途切れた場合は新たなに作成しなおす

上記の5年程度ごとの見直しが途切れた場合は、5年が過ぎた場合であっても新たに作成しなおすことが必要です。

見直し時期のアンケート調査でも、「5年を過ぎてしまったために、次の大規模修繕がもうすぐ来るから、費用も掛かるしそのタイミングでいいのでは」と考えているマンションも多いと推定されます。

しかしながら、計画立案を先延ばしにすると、これまでの計画にずれが生じてしまったり、修繕積立金が適正かどうかにもずれが生じることとなり、マンションとしては好ましくないところです。

先述した通り、どこまで費用をかけるかという点もありますが、後追いで作成を検討することも望まれます。

国土交通省が提示するひな形や工事項目が入っているものを基準とする

国土交通省は「マンション管理について」というページで、長期修繕計画をPDF版、Excel版双方で公開しています。

イメージのみ上記で紹介しますが、具体的なひな形についてはダウンロードして確認頂ければと思っています。

このひな形を使えば、現時点の長期修繕計画の工事項目の内容を満たすものとなります。

とくに、推定修繕工事項目の19項目について満たしているかは、仮に管理計画認定制度への申請を行う場合は、この項目を満たしたものであるかが審査基準となってきます。

そのため、将来においても、国土交通省が推奨するひな形を使用して、継続的に計画を立てていくことが望ましいといえます。

修繕工事項目に合わせて修繕積立金の徴収額を試算する

各修繕工事項目の各年度に対して、いつ修繕工事を行うのか、金額を入れていく必要があります。

金額を入れることで、どの年においてどれだけの工事費用が必要なのか、算出することができます。

その際に足らない場合には、修繕積立金の残高が赤字として表示され、その年の工事のための修繕積立金が足らないということになります。

修繕積立金の金額で赤字が出ないように、徴収額を増額させるか、金融機関からの借入を検討するかなど、理事会や修繕委員会においても検討していく必要があるでしょう。

ちなみに、前項でも紹介した管理計画認定制度を申請する場合においては、「長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でない」という項目があり、一定の基準額をクリアする必要があります。

長期修繕計画は見直しを含めて継続的に作成することが重要

これまで紹介してきたとおり、長期修繕計画は途切れずに継続的に見直しながら作成していくことが大切です。

理事会や総会、また修繕委員会等で、継続的にチェックする機会を設け、計画が途切れないように見直しつつ、計画性を持ったマンション管理運営を行っていくことが重要といえるでしょう。

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