近年、多くのマンションで深刻化しているのが「役員のなり手不足」です。
高齢化や共働き世帯の増加によって、「理事をやりたくない」「負担が重い」という声は年々増えています。その結果、輪番制が機能しなくなったり、一部の役員へ負担が集中したりする管理組合も珍しくありません。
一方で、実際の現場では、一人の役員や理事長の存在によって管理組合の空気が大きく変わる場面もあります。主体的に動く役員が現れることで、理事会が活性化し、長期修繕計画や管理費・修繕積立金の見直し、防災対策などが前進していくケースも少なくありません。
さらに近年は、第三者管理方式や外部専門家活用といった新しい管理手法も広がり始めています。
本記事では、輪番制・立候補制・第三者管理方式の違いとともに、実際に管理組合が活性化するマンションの特徴について、マンション管理士の実務視点から解説します。
役員就任は輪番制か立候補か
マンション管理組合では、多くの場合「輪番制」によって役員を選出しています。
しかし近年は、高齢化や役員負担の増加によって、輪番制そのものが機能しなくなっているマンションも増えています。その結果として、
・立候補制
・外部専門家活用
・第三者管理方式
など、新たな運営方法を検討する管理組合も増加しています。
それぞれの考え方について、具体的に確認していきましょう。
輪番制
ほとんどのマンションにおいて、理事や監事の就任は輪番制が敷かれていると考えられます。
恐らくは、マンションの戸数に応じて、理事や監事の人数も決めているでしょう。
そのため、一度理事を務めても、マンションの規模に応じて、数年〜10年ほどで再び役割が回ってくることが一般的です。
さらに、各マンションの管理規約や細則によって、役員就任のルールが異なる場合があります。
そこには輪番制で、立候補も可とすることもあるでしょう。
しかしながら、マンションの住民の高齢化に伴い、理事や監事という重責は中々担えなくなってくることも事実です。
その場合は75歳や80歳までなどの年齢制限が掛かり、益々若手の住民に負担が掛かってくることとなります。
立候補や外部専門家の採用
さらに、輪番制以外であり得るのは、
①やる気のある区分所有者からの立候補
②第三者管理者などの外部専門家の活用
が考えられます。
住民の中には、①について「また同じ人が理事になるのか…」と懸念する声や、②について「外部の専門家が理事になるのはどうなのか?」と疑問を持つ方もいるかもしれません。
どちらにしても、役員のなり手不足は今後さらに深刻化していく可能性があります。そのため、
・役員手当の導入
・業務負担の軽減
・外部専門家との役割分担
など、現実的な運営体制を検討していく必要があります。
第三者管理者方式は?
とりわけ、②の第三者管理者については、マンション管理を管轄する国土交通省において、平成28年に標準管理規約の改正が行われました。
そこで、
近年、マンションの高経年化の進行等による管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでおり、これらの課題への対応の一つとして、外部の専門家の活用が考えられる。(中略)さらに進んで、外部の専門家が直接管理組合の運営に携わることも想定する必要がある。
と明確に外部の専門家として第三者管理者の必要性を指摘し始めました。
第三者管理方式は、役員不足への対応策として注目される一方で、
・管理会社への権限集中
・監視機能の低下
・利益相反リスク
なども指摘されています。
特に近年は、国土交通省でも外部管理者方式ガイドラインの整備が進められており、「導入すれば安心」という単純な話ではなくなっています。そのため、管理組合としては、
・どこまで権限を委任するのか
・監事機能をどう維持するのか
・区分所有者の関与をどう残すのか
といった視点が重要になります。
参考までにこちら
をご紹介します。
活性化する管理組合の特徴とは?

管理組合として、さらには区分所有者としては、やる気のある方に役員に就任して欲しいものです。
具体的にやる気のある役員とは、どのような方が該当するのか紹介します。
やる気のある管理組合役員がいる
前章における①の立候補された理事については、尊敬の念を抱きます。
なぜなら、立候補しているということは、マンションに対して非常に問題意識を持っていると考えられます。
さらに、マンションはみんなのもので自分だけのものではない、その為に自分が貢献していかないと全体が良くならないという、強い責任感も持っている方ともいえます。
恐らく実業務においても経営陣や管理職として同様の活躍をされている方でしょう。
そして、私が見て来た中では、大体そのような方はまだお子さんと一緒にお住いの、40~50代の方も多いです。
または、現役を引退され、比較的時間ができたことから管理組合に貢献したいという方です。
活動次第では、結果的には自分たちの資産価値向上にも繋がります。
すなわち、将来の子ども達や家族のことを考えると、なんとかして良いマンションにしたい、そのようなお気持ちが強いのだと思います。
管理組合のために主体的に動く役員の存在
実際には、仕事や家庭と両立しながら、限られた時間の中で管理組合活動に参加している役員も少なくありません。
特に理事長は、
・管理会社対応
・理事会運営
・修繕工事対応
・住民トラブル対応
など負担が大きく、特定の個人へ依存し過ぎる運営には注意も必要です。
逆に、このようなパターンで管理組合を回される温度感の高いマンションは、非常に将来性があり、価値も下がらず高評価で、住民の質も上がっていくというサイクルになります。
企業でいうところの、業績が好調で株価が下がらない、新入社員がどんどん入ってくる人気企業、と言ったところでしょうか。
しかしながら、このようなマンションは一握りで大半は輪番制で回って来た方が理事長をやっている所が多いです。
一方で、管理組合運営は理事会だけで完結するものではありません。
管理会社・マンション管理士・施工会社など、外部専門家との適切な連携も重要です。
そのうえで、理事会側にも一定の知識や主体性があることで、提案内容を適切に判断しやすくなり、結果として管理組合全体の運営品質向上にも繋がります。
区分所有者にマンション管理意識が高い人が多い
上記の2項目を実施していると、自然に区分所有者におけるマンション管理意識も向上します。
つまり、役員の活動によって管理組合全体の意識が向上し、輪番制であっても主体的に動く役員が増えていきます。
さらに、その姿勢が受け継がれることで、次世代の役員も積極的に関与し、管理組合の活性化が持続するのです。
役員不足時代に管理組合が考えるべきこと
役員不足は、今後ほとんどのマンションで避けられない課題になると考えられます。そのため、
・輪番制だけに依存しない
・役員負担を減らす
・外部専門家を適切に活用する
・区分所有者全体の管理意識を高める
といった視点が重要になります。
また、「一部の熱心な役員だけに依存する管理組合」は、長期的には継続性に課題が生じやすくなります。
持続可能な管理体制をどう構築するか――。
今後のマンション管理では、その視点がますます重要になるでしょう。
役員に悩んでいる管理組合は非常に多い
役員の就任がスムーズにいっていたり、理事会が機能しているマンションは少なく、悩みを抱えているマンションが大半です。
とりわけ、役員のなり手不足は深刻な課題であり、今後ますます加速していく可能性があります。
管理組合は、役員のなり手不足に早急に対応し、区分所有者全体を巻き込んで活性化を図ることが求められます。
具体的には、立候補の促進や第三者管理者の活用など、現実的な対策を検討することが重要です。







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