今回、管理組合からの質問で比較的多い管理会社の変更について紹介します。
管理組合として、どのようなことに注意したらいいのでしょうか。
今回は管理会社の変更について、
・具体的に管理会社を変更する場合の手続きは?
・管理会社変更を検討する際に注意すべきことは?
このような内容について紹介します。
今回は筆者がコラム記載や監修をしている管理会社変更サービス
管理会社マッチについても、少し紹介します。
管理会社変更のために検討すべきことは?
まずはじめに、管理会社変更を検討するにあたり、
管理組合としてなにを考えていかなければならないのでしょうか。
おもに検討すべき内容として、簡単に紹介します。
管理会社の変更を行うかどうかを理事会で検討する
検討に際して基本的な点ですが、
・新たな管理会社にお願いすることを考えるのか
この点を理事会にて整理する必要があります。
あとあと、なぜ管理会社を変更するのかを総会等で説明することとなります。
そのため、着手する段階から、理事長をはじめ理事の間においても、
理事会としての見解を明らかにしておく必要があるでしょう。
また、現管理会社に伝えるタイミングも上手く考えるべきです。
管理会社変更のための委員会を組成する
理事会の中で管理会社変更を検討してもいいでしょう。
しかしながら、
・多くの人を巻き込んで管理会社変更を検討することで合意形成を図りやすくする
などの観点から、管理会社変更を委員会方式で検討することも一つです。
理事会の分科会的な位置づけである、委員会で検討した内容について、
改めて理事会に上申することで、理事会で承認し進めていく、
そのような流れで進める形です。
これによって、忙しい理事の負担も減少し、業務を分担できることとなります。
候補会社を選定する
現管理会社からの変更する方向性を決め、委員会を組成したあとは、
どのような管理会社にするのかを検討する必要があります。
などの方法があります。
管理組合にとって適した方法を選択して、考えていくとよいでしょう。
具体的に管理会社を変更する場合の手続きは?
次に、管理会社変更を考えるにあたって、どのような手続きを経て
考えていく必要があるのか、簡単に紹介します。
委員会を立ち上げて管理会社変更を検討する旨を理事会で決議する
前章でも少し触れましたが、管理会社変更を検討することを理事会にて、
決議することによって、具体的に進めていくことが必要です。
決議なく曖昧なまま進めてしまうと、責任の所在が曖昧になってしまいます。
・委員会メンバーが変更したいって言った
など、あとあと出て来ると、管理組合としても不幸な状態になります。
理事会内で管理会社変更を検討することを決議して、
具体的に委員会を組成することが流れとして良いでしょう。
また、この場合、現管理会社が理事会を担当することとなるので、
理事会内でも変更決議については、管理会社が出席しない場で、
内々にやることも考えられます。
ただし、現管理会社側から契約継続しないと通達され検討する場合は、
現管理会社からの事情であるため、無理を含めて協力して貰うことも可能かもしれません。
また、次期の管理会社が決まるまで、支援してくれるでしょう。
次章の「管理会社変更を検討する際に注意すべきこと」でも、
この点については記載します。
組合員に対する説明会を開催し管理会社候補からプレゼンを受ける
委員会で管理会社候補を選定して、理事会でも承認を得たのちに、
各管理会社候補から、変更後の管理会社の体制や業務内容について、
プレゼンを受けることが重要です。
プレゼンにおいては、
・予定されるフロント担当者やその上司
・業務内容と金額
が明確になるため、組合員は必ず出ておいた方がよいものです。
組合員としては、
・フロント担当者が業務をしっかりやってくれる誠実な方か
・上司はフォローしてくれそうな体制になっているか
・業務内容と金額のバランスは管理組合にとって適切か
など、各社比較しながら検討する必要があります。
管理会社候補を1社に絞り込む
プレゼンを受けた候補管理会社の中から、1社に絞り込むことになります。
絞り込みにあたっては、
・参加、不参加に関わらず幅広い組合員からのアンケートの回収
なども参考にしながら、委員会や理事会で検討することになります。
総会で管理会社変更決議をする
決まった新管理会社の1社に対して、理事会として内定を出したうえで、
総会で決議する必要があります。
総会の決議においては、新旧管理会社の出席となることもあります。
そのような中で、なぜ管理会社を変更するのか、
委員会や新管理会社プレゼン等に参加していない組合員に対して、
改めて説明する必要があります。
また、この段階で総会に先立って新管理会社による重要事項説明会を開催して、
新管理会社との管理委託契約の決議を行うことも考えられます。
さらに、引継ぎ期間を考えて、
・現管理会社に対して契約満了で終わることができるのか
・場合によっては現管理会社に契約延長を依頼する必要があるのか
なども合わせて検討する必要があるでしょう。
新旧管理会社の間で引継ぎを行う
これまでの管理会社と新管理会社との間で、齟齬が生まれないように
必ず引継ぎ期間を設けて引き継ぐ必要があります。
そのためには、引継ぎ期間として3カ月程度見ておいた方がよいでしょう。
具体的には、
・図書の引き渡しや確認
・これまでの管理員さんを継続するか否かの整合
・変更に当たり新たに発生する購入物などの整合
などが発生すると考えられます。
引継ぎ期間内は、新管理会社の管理費は発生せず、
引継ぎ後から管理委託契約も新たに発生するのが一般的です。
このあたりも、十分確認することで、無駄に費用が発生しないように、
注意していく必要があります。
管理会社変更を検討する際に注意すべきことは?
最後に、管理会社変更を検討するにあたって、注意すべき事項があります。
管理組合として是非気をつけておきたいこととして、紹介します。
管理会社はできれば変更せずに進めた方が良い
これは管理会社を変更するかどうかの検討段階の問題となります。
できれば、管理組合は現在の管理会社と円満な関係を構築することで、
管理会社の変更を行わずに管理組合運営を行うのが一番よいでしょう。
新たな管理会社に変えるということは、管理会社にとっては売上の減少に繋がる一方で、
管理組合として非常に大きな負担を強いられることとなります。
それでも、変更することが望ましいということであれば、
変更を決議することも選択肢となります。
管理会社に変更を伝える前は秘密裡で検討する
管理会社を変更するかどうかの検討ならびに、変更することを決めるまでは、
事前に管理会社に伝えることなく進めることが必要かもしれません。
理由としては、事前に知れると、管理会社として一気にやる気をなくす場合があり、
管理組合運営に支障をきたす可能性もあるからです。
いずれ変更は知れることになるのですが、変更を決定するまでは秘密裡で、
内々に進めていくことも考えておく必要があります。
管理組合として負担が掛かる
これまで記載した通り、
・新管理会社候補のプレゼン会の開催と出席
・アンケート調査への協力やヒアリングへの参加
・新管理会社の重要事項説明会への参加
など、組合員としても新たな負担が発生します。
また、委員会に参加する委員も、新たに対応事項が発生するでしょう。
理事会においても、比較的重い検討事項が増えることとなります。
そして、総会に向けて、なぜ管理会社変更を行うのかを上手く説明する必要も
出てくると想定されます。
これらによる負担が相応に掛かってくることも予め想定しておく必要があるでしょう。
新旧管理会社引継ぎの際に手間が掛かることもある
原則、新旧管理会社の引継ぎは、管理会社間で行うことが一般的です。
しかしながら、管理組合側の確認事項として、
新管理会社から、新たに業務を開始するにあたっての質問に、
対応する必要も出てくるかもしれません。
とりわけ、組合員含めた住民にとっての関心事は管理員さんでしょう。
新たな管理会社となった場合に、これまでの管理員さんはどうなるのかという、
課題が必ず発生します。
マンションの事をよく知り、親切にしてくれた管理員さんは組合員にとっても、
引き続き担当して欲しいと考えるのが普通です。
具体的には、
・その場合の新たな管理員さんは新会社との契約となるのか
・それとも新たな管理会社から新たな管理員さんが着任するのか
などの課題も発生するため、丁寧に扱っていく必要があるといえるでしょう。
新管理会社の運営以降「思っていたのと違う」ということが生じる可能性
最後に、新管理会社へ引継ぎ後に発生する事象です。
引き継いだ後、管理組合運営の中で、当初想定していたことと、
新たな管理会社が実施することが違ってくるということです。
具体的には、
・新たに管理員さんが着任した場合の前任との業務や組合員への対応差
・前管理会社ではやってくれていた事項が新管理会社ではやってくれない
などが、もしかしたら組合員としても目に付くかもしれません。
このような事象が発生しないためにも、予め
・差異がある場合には管理会社より重要事項説明会での組合員への説明を必ず行ってもらう
・フロント担当者に対する会社や上長のフォロー体制の確認
などを明らかにして、事前に不安な個所を潰しておく必要があるでしょう。
管理会社変更は慎重に
管理会社の検討から引継ぎ、引継ぎ後の管理組合運営について紹介しました。
できれば、管理会社の変更は実施したくないと思っている管理組合が大半かと思います。
管理組合として、管理会社の対応が
「我慢の限界」
として、関係性が崩れ変更がやむを得ない場合もあるでしょう。
その場合であっても、管理組合として議論を尽くしたうえで、
慎重に変更を検討することが望まれます。
最後に、少し宣伝ですが、
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