マンション管理新聞の最新版で、筆者が気になった記事を紹介します。
今回は、数ある記事の中から3つ
・EV充電設備 補助継続 経産省・環境省
・「長寿命化」に18億円計上 国土交通省24年度予算案
について、記事の内容とともに筆者のコメントも紹介します。
エレベーターの後付けに成功
なかなか見たことがなく珍しいエレベーターの後付けですが、素晴らしい取り組みです。
こちらは、東京都葛飾区の高砂タウンハイツ(築41年、5階建て、49戸)の事例です。
涙ぐましい理事会の努力と新日本管財グループが建築基準法等の難題をクリアし、設置にこぎつけています。
同社グループの3例目の事例とのことです。
また、国土交通省と東京都、葛飾区等の補助金制度の利用によって、管理組合の負担が工事費の3分の1程度まで軽減できたとのことです。
成功のための具体的な対策は?
きっかけは現理事長が、5年前に以前検討していて断ち切れになった話を再検討した所からです。
中でも、容積率ほぼいっぱいの中で2014年の建築基準法改正により、
エレベーターの昇降路が容積率不算入となったことで、可能性を見出した
とのことです。
住民の高齢化を背景に、エレベーターの設置は必須とのことで理事会は一致していました。
ただ、下層階の住民からは、
「必要ない」
「エレベーターが無いことを理解したうえで購入しているのではないか」
などがあったようです。
しかしながら、一軒一軒説得を重ね、総会の特別決議による合意にこぎつけたようです。
また、
1階は実際に5段程度の段差があり、ショートステイに連れていくにも難しい
という1階住民からの要請もあったようです。
一方で、同社が建築基準法適合状況調査によって、
・用途地域変更による建物の高さがかつての15メートルから12メートルに制限された
という点も、要件を満たす増築方法により、葛飾区の特例の建築許可が得られたとのこと。
結果的に、管理組合内部では総会の特別決議とともに、自治体の許可も得られました。
高経年マンションにおいては法制度に合わせて柔軟に考えていく必要性
このように、テクニックによる要素が非常に多いです。
今後同様の課題は、エレベーターがない築50年以上の団地が増えている現状を考えると、同様の悩みを抱えているマンションも多そうです。
実際に、
「当初はエレベーターなしであることを理解して買っているのではないか?」
というのはもっともでしょう。
そうはいいつつも、高齢となるとそもそも上り下りが難しくなるのも事実です。
今後、広がっていく可能性はある一方、修繕積立金を十分準備する必要もあります。
EV充電設備、断熱リフォーム 補助継続 経産省・環境省
経産省は
電気自動車(EV)の充電設備やV2H充放電設備の購入費、工事費、外部給電器の購入費の補助事業を継続する
とのことです。
一方で、環境省は
既存集合住宅の断熱リフォーム事業(断熱リノベ)を従来と同様の内容で継続する
とのことです。
補助率は
・4階建て以上の集合住宅の場合は、内窓設置でSグレードと言われるサイズでは4.6万円
・カバー工法の外窓設置で12.2万円
を補助するとのことです。
EVや断熱系は引き続きマンションにとってのテーマです。
一方で、補助金はいつ打ち切られるか分かりません。
管理組合として検討したい場合は、注目して早々に着手することも必要となるです。
「長寿命化」に18億円計上 国土交通省24年度予算案
引き続き、2024年も、
マンションストック長寿命化等モデル事業と、マンション管理適正化・再生推進事業を継続する
とのことです。
前者は、23年度比4億円増の18億円、後者は3939万円減の1.616億円とのこと。
ほかに
子育て支援型共同住宅推進事業で、宅配ボックスの設置を補助事業に追加する
とのことで、要件を満たせば最大50万円の補助が受けられるものです。
具体的には、
18歳未満の子どもがいる子育て世帯の入居率が3割以上で、現行制度の子どもの転落防止措置に適合していることなどが要件
で、導入費×子育て世帯の入居率×1/3を補助するとのこと。
とりわけ、最後の宅配ボックスは、子育て世代はお金がかかるため、共働きが増え、昼間に配達されても受け取れないことが多くなることへの配慮かと考えられます。
継続的には子育て世代を卒業しても、昼間働くことから、宅配ボックスへの補助金は対象マンションも多く有効かと思われます。
補助予算ということで、早々に締め切られそうな感じもしています。
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