管理組合の総会で強引に決議されてしまったけど、果たしてあの判断で良かったのだろうか?
そのように感じる管理組合の方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、総会のやり直しは好ましくないでしょう。
また、筆者としてもこれまでこのような事例を確認したこともありません。
現実的には法的に考えると可能といえるかもしれませんが、今回はこのような疑問について、少々突っ込んでみていきます。
【管理組合Q&A】総会の強引な決議に対するやり直しは可能か?
結論からですが、場合によっては可能といえるかもしれません。
どのような場合なのか、具体的に紹介します。
強引な決議とは?
前提として、総会の議長は、公正な議事進行に努める必要があります。
議案書には総会の議題に対する内容説明がなされています。
改めて議場で説明することによって、当日の参加者への判断を求めることが必要です。
決議を強行にするような議事進行になると、議長不信任にあたるかもしれません。
しかしながら、このような流れになってしまうのは、
そもそも議題に興味がなかったり、意見もなく委任状を提出したり、無関心、無責任な区分所有者が要因となっている
ということも考えられます。
これは管理組合全体に対する責任ともいえ、一概に議長のみが要因であるとはいえないかもしれません。
総会のやり直しは可能なのか?
繰り返しですが、
一度決議したものを改めて決議しなおすことは、管理組合として好ましいことではありません。
しかしながら、区分所有法第34条の3、マンション標準管理規約第44条には、
とあります。
また、標準管理規約第44条2項には、
とあります。
よって法的には、2割以上の区分所有者数と議決権が得られれば、すでに決議した議案を再度審議するとして、招集し再決議が可能であるといえるでしょう。
総会のやり直しを考えるなら速やかな対応が必要
仮に総会のやり直しを考える場合は、速やかな請求対応が必要と言えます。
というのも、強引であってもすでに総会で決議されている場合は、その内容が管理組合としての総意として扱われます。
理事会や理事長がその決議内容にそって、速やかに業務を進めている可能性があるためです。
請求されたもすでに取り返しがつかないような状態にならないように、速やかに請求対応を行う必要があるでしょう。
再決議における注意点
改めて審議することとなると、すでに承認した区分所有者からの疑問が生まれます。
なぜ再審議することとなるのかは、改めて総会開催を請求した区分所有者が説明する必要があります。
例えば、大規模修繕工事の工事について再検討するような議案であれば、修正の工事内容や工事費、資金計画等を出し直して再審議する必要があるでしょう。
そのため、請求する側としても、
それなりの資料を準備するとともに、前回の総会以上に説明を尽くさなければならない
こととなります。
再決議の際の議長は誰が務めるのか?
この場合の議長は誰が務めるのでしょうか?
すでに行われた総会で決議された内容を再審議するとなると、その際に議長をやった理事長では普通考えると難しいでしょう。
そのため、このような5分の1以上の方からの請求によって、総会が開催される場合は、
請求した区分所有者の方の中から総会の議長を選ぶ
こととなります。
総会のやり直しが無いように綿密に準備を
そもそも、
総会のやり直しは理事長、区分所有者ともに、管理組合全体として実施したくはない
でしょう。
資料の準備や理論武装のための綿密な打ち合わせ等、準備に改めて手間が掛かります。
また、改めて区分所有者に対する説明を尽くさなければならないハードルもあります。
一度の総会で決め切ることが非常に重要です。
そのためには、議案を諮る総会においては、事前から準備をしておく必要があります。
とりわけ、大きな金額の支出を伴うものや管理規約の変更等は綿密に対策すべきです。
管理組合全体にとって大きな影響を及ぼす可能性がある議案については、
総会でいきなり議案を審議するのは危険といえるでしょう。
総会に諮る前に
・総会議案書ではなく、将来的に総会に諮りたい内容を区分所有者全員に対して方向性を記した資料を配布して合意形成を固めていく
など、管理組合としての対策も必要です。
また、大規模修繕工事や管理規約の大幅な変更は、
するのも有効です。
まずは区分所有者全体で納得感が得られるような工夫も大切でしょう。
管理組合内である程度、議論を尽くした段階で総会議案として上程することが望まれます。
その場合には、前半で述べた、
区分所有者の無関心、無責任な状況も極力回避していく
ように、区分所有者への参加意識を高めていくことができれば尚良いでしょう。
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