省エネ対策!マンション共用部分の電力削減方法を紹介【現状を確認】

マンション管理

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電気代の高騰で管理費も上がってしまうが、管理組合として対策はないのだろうか?

また、

専有部分の自宅に加えて、共用部分の光熱費も上がって管理費が上がると、生活費がひっ迫してしまう…

このような悩みを抱えている管理組合や区分所有者も多いでしょう。

そして今や、電気代をはじめとした光熱費の高騰が、マンション管理組合を直撃しています。

悲痛な声にあったように、電気代が高騰すれば自分自身の自宅の光熱費も、マンションの共用部分の光熱費も、二重で上がってしまうこととなります。

このような高騰に対する対策はないのか、今回考えてみたいと思います。

省エネ対策!マンション共用部分の電力削減方法を紹介【現状を確認】

今回紹介する内容は、おもな電力の削減方法の工夫策として以下の内容を紹介します。

・LED照明への切り替え
・センサーライトの導入
・エレベーターの省エネ運転
・再生可能エネルギーの利用
・その他の省エネ対策

マンションの共用部分は住民全体で使用するため、個々の住民が意識しにくいものの、電力消費量は意外と大きく、管理費の一部を占める重要な要素です。また、共用部分の電力消費を削減することで、住民の負担を減らし、環境に優しいマンション運営を実現することにも寄与します。

本記事では、共用部分における具体的な省エネ対策を紹介します。具体的には、LED照明への切り替え、センサーライトの導入、エレベーターの省エネ運転、再生可能エネルギーの利用など、実際の導入事例や費用対効果も交えながら、詳述します。

LED照明への切り替え

まずはじめに、LED照明への切り替えです。すでに多くのマンションでは取り組んでいる対策であると考えられます。

共用部分の廊下など、照明はマンション内で非常に多く使用されています。そのため、照明をLEDに切り替えることは、最も手軽で効果的な省エネ対策です。また、従来の蛍光灯や白熱灯に比べ、LED照明は消費電力が大幅に少なく、寿命が長いため、長期的に見れば交換コストの削減にもつながります。

以下、電気関連の公的機関であるパワーアカデミーの資料も参考にします。

導入のメリットは?

LED照明を具体的に導入する際のメリットは次の通りです。

・消費電力の削減: LEDは従来の蛍光灯に比べ消費電力は8分の1
・寿命の長さ: LED照明の寿命は約4万時間とされ、従来の照明に比べて約4倍長持ち
・交換の手間の削減:長持ちするため、電球交換の頻度が減り、交換にかかる手間や費用も削減可能
・環境負荷の低減: LEDは蛍光灯に含まれる有害物質の水銀を含まないため、廃棄時にも環境に優しい

などが挙げられます。

デメリットは?

逆に、デメリットとしては、次のようなものが考えられます。

・価格が高い:電球型蛍光ランプと比較して価格は約4倍と高い
・電球が重い:LED電球は、電源回路が入っているため、同じサイズの白熱電球や蛍光ランプと比較して重い
・光の指向性:LED電球の光は指向性(光に方向)があるため、部分的に暗く感じることも

電球の場合ですが、LEDの価格は4倍といえども、4倍長持ちして消費電力は8分の1であることを考えると、デメリットに余りあるメリットがあると考えられます。

導入事例は?

エントランスホール、廊下、駐車場など、24時間点灯が必要な場所を中心にLED照明を導入したマンションでは、月々の電気代が大きく削減されています。また、メリットでも記載した通り、長期的には電球交換コストの削減効果も大きいことが確認されています。

注意点は?

LED照明を選ぶ際は、設置場所に適した光量や色温度を考慮することが重要です。また、導入時の初期コストが高い点がデメリットですが、長期的なコスト削減を見越すと非常に有効な投資といえるかもしれません。

センサーライトの導入

共用部分の照明が常時点灯している場合、利用されていない時間帯の電力が無駄になります。これを防ぐために、場所によってはセンサーライトを導入することも考えられます。

また、センサーライトは、人の動きを感知して自動的に点灯・消灯するため、必要な時にのみ照明がつき、電力消費を大幅に削減できます。

導入のメリットは?

具体的なセンサーライトの導入のメリットは次のようなものが考えられます。

・電力の無駄を削減: 夜間や人が通らない時間帯に無駄な電力消費を抑えることが可能
・住民の安全性向上: 暗い廊下や階段でも、住民が通るときに自動的に照明が点灯するため、防犯効果も期待できる

夜間暗がりであると、特にマンションの共用部分であっても不安なところはあります。その点が解消できることも考えられます。

設置場所は?

センサーライトの設置に適した場所としては、玄関前の通路、光が少ない廊下、階段、ゴミ置き場、駐車場などが挙げられます。特に、夜間の利用が少ない場所や、日中でも自然光が少ない場所には効果的です。

また、エントランスや廊下は常時照明を使っているところも多いことから、センサーライトは使用しない可能性もあるかもしれません。

導入事例は?

夜間に利用されることが少ない階段や駐車場、通路にセンサーライトを導入しているところもあります。その結果、とあるマンションでは住民からも「必要なときにだけ照明が点くので安心できる」と評価を得ています。

エレベーターの省エネ運転

マンションの共用部分の中で最も電力を消費する設備の一つがエレベーターです。また、省エネ運転を導入することで、エレベーターの消費電力を効果的に削減できます。

具体的な省エネ運転方法は?

具体的な省エネ運転方法は以下の通りです。

・エコモード運転: エレベーターの稼働頻度が低い時間帯(夜間や深夜など)には、省エネモードで運転することで、消費電力を削減
・回生電力機能: エレベーターが下降する際に発生するエネルギーを再利用するシステムを導入することで、消費電力を大幅に削減
・待機電力の削減: エレベーターが使用されていない時間帯には、かご内の照明を切るなど待機状態での電力消費を最低限に抑える

回生電力機能については、東芝エレベーターのホームページに紹介がありますが、エレベーターのモーターが発電機として発生した電力を建物に戻して、建物内の電力として活用する仕組みです。

導入事例は?

東京都のデータによると、油圧式からロープ式へ更新の場合、約65%の削減効果があるとのことです。こちらは、26~30年周期で更新が推奨されている、エレベーターリニューアルタイミングの際に検討したい対策といえます。

再生可能エネルギーの利用

マンション全体の電力消費を削減するために、再生可能エネルギーの利用も重要な選択肢です。特に、共用部分の電力を太陽光発電で賄うことができれば、長期的なコスト削減と環境負荷の軽減が期待できます。

具体的には、以下の施策が考えられます。

太陽光発電の導入

東京都のマンションポータルサイトには、既存マンションへの太陽光発電の導入について触れられています。

こちらは、マンションの屋上や壁面に太陽光パネルを設置し、発電した電力を共用部分で使用する方法です。余剰電力が発生した場合は、電力会社に売電することで収入を得ることも可能です。

導入事例:パルプラザ小松川

同じく東京都の紹介データ「マンション太陽光発電導入ガイド」では、パルプラザ小松川(2棟、84戸)の事例が紹介されています。2020年に太陽光発電等の導入と照明のLED化によって、電気料金を年間約160万円削減したということです。

さらに、管理組合理事長のお話によると、大規模修繕の機会に合わせて、補助金を活用した初期費用と回収期間等を確認して、導入を決めたとのことです。また、太陽光発電等の容量は、太陽光発電で50kW、蓄電池で48kWhとのことです。

費用対効果は?

昼間に電力をつくり、ためておくことで夜間に使用する太陽光発電システムは、蓄電池も必要となります。また、東京都が示す導入モデルは、9階建て60戸の分譲マンションで、太陽光発電8kW、蓄電池16kWhを想定して、設置の総費用が800万円とのことです。

対して、東京都の補助金が630万円(令和5年4月)であり、差額の170万円がマンション管理組合の持ち出しになります。しかしながら、年間で約21万円の電気代削減効果が見込めるということで、初期費用は約8年で回収可能との試算を出しています。

5. その他の省エネ対策

共用部分の電力削減には、上記の対策以外にも様々な方法があります。

スマートマンションとしての取り組み

マンション全体でエネルギー管理をするというスマートマンションという取り組みも考えられます。さらに、スマートマンションを推進する一般社団法人スマートマンション推進協議会によれば、

・スマートマンションとは、マンション全体でエネルギー管理、節電及びピークカットを行い、エネルギーの効率的な使用や無理のない節電を実現するマンションのこと
・MEMS(マンションエネルギーマネジメントシステム:全体管理システムとHEMS端末で構成)を導入して、アグリゲータと呼ばれる事業者が、エネルギー管理サービスを行う

とあります。

また、このようなMEMSを導入することで、マンション全体の電力使用状況をリアルタイムで把握し、効率的なエネルギー管理が可能になります。これによって、電力消費のピークカットや、無駄な電力使用の削減が実現できます。

自治体でも、兵庫県尼崎市がスマートマンション推進事業(SDGsスマートマンション認定)として、スマートマンションを推進しています。

住民の意識向上

最後に、住民一人ひとりの省エネ意識を高めることも重要です。管理組合として、省エネに関する情報提供を行うことで、住民の協力を得やすくなり、マンション全体のエネルギー効率が向上します。

また、管理組合として新たな省エネ設備を導入する場合に、国や自治体の補助金獲得を目指すことも非常に有効的でしょう。

マンション管理組合として是非検討したい省エネ対策

マンション共用部分の電力削減は、管理費の抑制や環境負荷の低減に直結する重要なテーマといえます。LED照明への切り替え、センサーライトの導入、エレベーターの省エネ運転、再生可能エネルギーの利用など、具体的な対策を実施することで、事例に紹介した通り効果的に電力消費を削減することができます。

また、これらの取り組みは、初期投資が必要な場合もありますが、補助金もセットで活用できるうえ、長期的にはコスト削減効果が大きく、住民の満足度向上にも寄与します。

マンション管理組合として、これらの省エネ対策を積極的に検討し、実施することをお勧めします。

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