【要確認】中古マンション購入時にチェックすべき管理面の注意点は?

マンション購入

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マンションの購入を検討しているのだけれども、自分の部屋以外で注意すべき点はないのか知りたい。

また、

マンションは管理を買えと言われているけど、自分がマンションを購入する前に管理状態の実態ってわかるのだろうか?

このような疑問を持っているマンション購入検討者も多いと思います。

マンション購入時には、ついつい

・利便性を加味した立地
・周辺環境
・住居の間取り
・購入金額やローン額

などが優先されがちです。

もちろん、これらも購入の意思決定をするにあたって、非常に重要な要素でしょう。しかしながら、住んであとあと問題になってくるのが、

・マンションの管理状態
・役員への就任
・修繕積立金の積立額
・大規模修繕工事の時期

など、購入前には気にも掛けていなかった、住み出してから明らかになっていく課題でしょう。

今回は、管理組合外の課題ではあるものの、マンション購入検討者がなかなか知ることができない内容を、実際にマンションの管理に日々触れているマンション管理士の筆者が紹介します。

【要確認】中古マンション購入時にチェックすべき管理面の注意点は?

今回の記事で紹介する内容は以下のとおりです。

・ぜひ確認したいマンションの設備について
・マンション管理の状況も合わせて確認したい
・マンションの管理規約で確認すべきポイント
・修繕積立金や大規模修繕工事の状況
・管理組合総会や理事会の状況
・その他マンション管理で確認しておきたい論点は?

中古マンションの購入は、新築に比べて価格や立地条件が魅力的な場合があります。一方で、その管理状況が資産価値や住み心地に大きく影響するため、慎重な確認が必要といえます。

購入する側にはなかなか気づかない管理組合の視点から、中古マンションを購入する際に管理面で特に注意すべきポイントを紹介します。

また、立地や価格、間取り等、購入者が事前に注目するポイントは今回省いています。

ぜひ確認したいマンションの設備について

まずはじめに、購入者が確認したいマンションの管理状態についてです。仲介する不動産会社に資料を依頼した際にどこまで受領できるか、また購入者が理解できるかどうかはあるかもしれません。

具体的に対象マンションにどのような共用設備があるのかは、必ず確認しておきたいところです。具体的には、

・管理員さんの勤務状況
・駐車場や駐輪場の空き状況
・宅配ボックスの設置状況(マンションあたりいくつあるかなど)
・オートロックの場所
が挙げられます。

管理員さんの出勤状況

まず、管理員さんの勤務状況についてです。こちらは、そもそも通勤なのか、常勤なのかも確認が必要です。

常勤の場合は都度相談できる環境にあるのでよいですが、通勤の場合は夜間いないこともあり、急な用事があった場合に対応してもらえない可能性もあるためです。

両親共働きの場合は、子どもが一人で帰ってくる際には、非常に不安でしょう。管理人さんが平日の昼間にいる場合は、子どもを安全に見届けてくれたり、気に掛けたりしてくれるということもあります。

駐車場や駐輪場の空き状況

車を所有している方にとっては、マンション内に空き駐車場があるのかは必ず確認すべき内容でしょう。空きがない場合は、マンションの敷地外に駐車場を借りなければならないかもしれません。

また、マンションで借りる場合は、以下の点にも注意したいところです。

・周辺の駐車場価格と比べて適切か
・所有している乗用車が入るサイズの駐車場か
・空きを待つ場合はどれぐらいの順番待ちとなるのか

また、駐輪場についても、郊外のマンションであれば相応の駐輪場の準備があるものの、最悪空きがない場合が想定されます。その場合の対策等も不動産会社と確認しながら、考えておく必要があるでしょう。

宅配ボックスの設置状況

また、宅配ボックスの設置状況についても重要です。令和5年度マンション総合調査においては、1箇所あたりいくつの戸数に割り当てられるか計算したところ、以下のような結果となりました。

・20戸以下:7.1戸
・21~30戸:5.1戸
・31~50戸:5.5戸
・51~75戸:7.6戸
・76~100戸:10.0戸
・101~150戸:9.8戸
・151~200戸:11.2戸
・201~300戸:16.1戸
・301~500戸:12.1戸
・501戸以上:12.2戸
※国土交通省 令和5年度マンション総合調査の結果に筆者が独自計算
※総戸数規模別の平均設置台数データにおいて、総戸数レンジの下限÷平均台数で算出

戸数が少ないマンションは比較的割り当てられる反面、戸数が増えるにしたがって、空き宅配ボックスが少なくなる可能性が考えられます。

これによって、購入を検討するマンションのおける宅配ボックスが平均水準で設置されているかどうかの目安となります。

余りにも少ないと、配達員さんが持ち帰って再配達し、欲しいものがすぐに入手できない環境になってしまうことも考えられます。

オートロックの場所

比較的新しいマンションはどこもオートロックが施されていますが、入り口以外に出入り可能な場所、またそのオートロック状態もセキュリティ上確認しておきたいところです。

また、オートロックのタイプについても、使い勝手に影響することから、カード型やリアルな鍵であるのか、スマートフォンと連動したスマートロックに対応しているのか、パスワードが必要なのかなどもチェックが必要でしょう。

マンション管理の状況も合わせて確認したい

合わせて確認したいのが、マンションの管理状況でしょう。具体的には次のような項目を確認しておきたいところです。

共用部分の管理状態を確認

購入を検討する際には、必ず内覧を行います。内覧を行う場合は、購入を検討する住戸以外にも、細かく見ておいた方が良い点もあります。

また、中古マンションの共用部分の管理状態は、経年劣化や住民の利用状況に影響されます。共用部分の清掃やメンテナンスの状況を確認することで、マンション管理の重点項目や日常の生活の質を判断する材料になります。

具体的なチェックポイントとしては、

・エントランスや廊下、エレベーターの清掃状況
・壁面や廊下、バルコニーなどの劣化状況
・駐車場や駐輪場の利用状況
・防犯設備やセキュリティシステムの稼働状況

などが考えられます。

管理費の設定と見直し状況を確認

管理費の適正な設定とその見直し状況を確認することで、マンションの経済的な健全性を把握することができます。もし管理費が低すぎる場合、サービスの質が低下するリスクがあるため、逆に注意が必要です。

おもなチェックポイントは以下の通りです。

・管理費の金額と内訳(管理会社への管理委託費、清掃費、修繕費など)
・過去の管理費の値上げ履歴
・今後の管理費の見直し計画

修繕積立金の状況を含め、マンション管理組合の財産・管理に関する情報は、組合員や利害関係人が理由を付けることにより、書面交付を受けることも可能です(標準管理規約64条3項)。そのため、購入を検討しているマンションがどのような財政状態なのか、把握することも可能と言えるでしょう。

管理会社の実績と評価

中古マンションでは、すでに契約している管理会社の運営状況や評判を確認することが重要です。管理会社が適切な業務を行っているかどうか確認しておくことも必要でしょう。

おもなチェックポイントは以下の通りです。

・マンション管理担当の管理会社の確認
・管理会社の管理住戸数や棟数、評判
・過去のトラブルやクレーム、行政処分の状況

購入を検討しているマンション内のトラブルやクレームの確認は難しいでしょう。しかしながら、管理会社が行政処分を受けたのかなどは国土交通省がマンション管理業者に対するネガティブ情報等検索サイト

に管理会社名が出てくれば、過去どのようなコンプライアンス違反があったのか、確認が可能です。

ただ、名前の通っている大手であっても検索すると出てくる可能性があります。そして、対象となった会社は、行政処分に対する課題を改善するため、よりコンプライアンス体制が強固になっている場合も考えられます。

そのため、出てきたから良くない会社と一概に決めるのも難しく、あくまでも参考程度に確認頂く形が良いでしょう。

過去の大規模修繕工事の実施状況

分譲マンションは、壁面や廊下、屋上、ベランダなど、劣化したマンションを12~15年のスパンで定期的に修繕工事する必要があります。定期的に訪れる大規模修繕工事と言われるマンション管理組合の一大イベントです。

マンションにお住まいになられたことがない方でも、マンションに足場が掛けられ、黒いネットで覆われている姿を見たことがある方がほとんどでしょう。

定期的に大規模修繕工事を実施することとなりますが、その実施が適切になされているかにより、マンション価値にも影響することとなります。

過去の実施状況や今後の実施予定等、後述する長期修繕計画に基づいて確認することも一つです。

マンションの管理規約で確認すべきポイント

次に、マンションのルールである管理規約や使用細則は必ず確認しておきたい書面の一つです。具体的にどのような点に注意すればよいのか、紹介します。

管理規約の内容

中古マンションでは、管理規約や使用細則がすでに確立されており、住民全体のルールとして運用されています。購入前にこれらの内容を必ず確認し、自分の生活スタイルに合っているかをチェックすることが重要です。

具体的には、

・管理規約の最新の改定日と改定内容
・改定履歴
・生活において支障がある規定がないかどうか
・購入するとどれぐらいの期間役員(理事や監事)になる必要が出てくるのか

など確認しておきたいところです。特に、直近の改定日や改定履歴を見ることによって、国が定める標準管理規約という、最新版の法令に準拠した管理規約のひな形と合っているかどうか確認することも重要です。

規約が古いままになっていると、最新の法令や決まりに準拠していないマンションであり、住民としても生活上の制約が発生する可能性があるためです。

マンション独自の禁止事項や特別な制限

管理規約にマンション独自の禁止事項や制限が記載されている場合があります。例えば、管理組合役員の就任は、実際に住んでいる方である必要があることや、自宅リフォーム時の制限なども考えられます。

その他、ペットを飼うことができない、さらには多くのマンションで多い民泊禁止など、規約にはマンションが置かれる環境に則った、独自の細かなルールが設定されていることが多いでしょう。

使用細則の確認

管理規約に紐づく形で、マンションのルールをより細かく定めた使用細則が必ずあります。また、使用細則は

・ペット使用細則(ペットの飼育可否や飼ってよい動物を定める)
・駐車場、駐輪場使用細則(使用上のルールを定める)
・バルコニーの使用細則
・専有部分リフォームの細則
・集会室利用細則

など、管理組合が必要に応じて独自に定めたルールがあります。

前述した管理規約ともに、一連の資料になっていることが多いので、必ず閲覧することをお勧めします。

修繕積立金や長期修繕計画の状況

分譲マンションには、将来的な大規模修繕工事のために予め管理組合で必要資金を積み立てておく必要があります。具体的には、どのような点を確認すればよいのか、紹介します。

修繕積立金の計画と残高を確認

中古マンションでは、今後の定期的な修繕に備え、修繕積立金の計画が適切なものであり、かつ十分な残高が確保されているかが重要になります。なかなかマンション管理に詳しくない方にとってはピンとこない項目かもしれません。

しかしながら、最低限確認しておきたい点を紹介します。

・修繕積立金の現在の残高
・修繕積立金の見直し状況
・適正な額の修繕積立金が確保されているか
・将来的な工事計画と連動した修繕積立金計画になっているか

とくに、修繕積立金が過去見直されてきているのか、また今後見直す予定はあるのかは知っておく必要があるでしょう。

過去であれば、これまで修繕積立金を積み立てる努力を管理組合として行ってきたのか、またそこに意識が向いている管理組合であるかも知ることができるかもしれません。

今後の見直し予定については、購入者の新たな負担となる可能性があるので、その点は確認しておく必要がありそうです。

さらに、適切な修繕積立金の確保については、なかなか判断が難しいところですが、目安としては管理組合向けですが以下の記事

でも紹介していますので、合わせてご参照ください。

長期修繕計画の計画立案状況を確認

中古マンションでは、長期的な資産価値を維持するための計画が特に重要です。そのため、長期修繕計画の立案や見直し状況は確認しておきたいところです。

具体的には、

・長期修繕計画の有無
・長期修繕計画が定期的に更新されているか
・マンションの設備が踏まえられた計画になっているか

などもチェックのポイントです。

管理組合総会や理事会の状況

マンション管理組合の意思決定機関ともいえる、総会や理事会は住民にとって大きな関心事です。しかしながら、購入前においては、ほぼ気にならない論点であるといえます。

そのような中でも、予め確認しておいた方がよい点を紹介します。

総会や理事会の開催状況

まず、管理組合の意思決定機関である、総会や理事会が適切に実施されているのかどうかは確認したいところです。

おおむね、総会、理事会について

・総会は年に1回以上
・理事会は2か月に1回以上

開催され、定期的に管理組合内で決めごとを行っているかどうかは確認することが望まれます。

とりわけ、総会については、管理規約のひな型である標準管理規約では、第42条3項に、

理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない。
とあることから、最低限年1回は開催しなければならないこととなっています。

総会や理事会の議事録の保管状況

同じく、標準管理規約では、総会の議事録については、第49条3項に

理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

とあります。そのため、マンションの購入を検討している段階であれば、利害関係人と言えるでしょう。不動産会社経由で総会の議事録を取り寄せることも可能といえます。

理事会の議事録についても、総会の議事録の項目である第49条を準用するとのことであるため、閲覧の可能性があるといえます。役員が管理組合運営のためにどのような議論を行っているのか、垣間見ることも可能と言えば可能です。

役員の就任状況

中古マンションでは、すでに理事会や管理組合の役員が運営されていますが、その活動状況やメンバーの構成を確認することで、マンション全体の管理の質を判断することができます。

これは前述した、総会の議事録や理事会の議事録からも確認ができます。総会の議事録では誰が選ばれたか、そして理事会の議事録からは、選ばれた人がどのような役職に就いたかなども確認が可能です。

役員が固定化せずに、区分所有者が順番に輪番制で満遍なく役員を担当していることが重要です。これによって一定の役員が続けて就任する、いわゆる独裁的な体制でないかどうかも確認できるでしょう。

その他マンション管理で確認しておきたい論点は?

これまで紹介した以外でも、購入検討者がマンション管理上確認しておきたい点を紹介します。

住民構成

もし分かるようであれば、住民構成、とりわけ住民の平均年齢などの目安が入手できれば良いかもしれません。マンションは築年数に比例して住民やマンションの持ち主である区分所有者の年齢が上がっていく傾向にあります。

マンションの住民構成が高齢者に寄っていると、次のようなことも考えられます。

・高齢者は役員(理事や監事)対象外になる場合もあり、順番が回ってくる可能性が早くなる
・家族を持つ現役層の間でマンションに対する価値観が異なり、合意形成が難しくなる可能性
・古いマンションだとバリアフリーに対する修繕の必要性

古いマンションであっても、立地や周辺環境が良い、管理の状態が良く定評があるなどであれば、売買による住民の新陳代謝も期待できます。その結果、比較的若い現役層から高齢者まで様々な世代が居住し、これらの懸念が薄まることも考えられます。

外部オーナーの割合

マンションに住んでいない、いわゆる外部オーナーの割合によっては、高齢者が多いマンション同様、役員の順番が早く回ってくる可能性もあります。

とりわけ、利便性が良い住戸がワンルーム等の小規模であったりタワーマンション等、投資対象になりやすいものは、オーナーがそのマンションに居住していない可能性があります。

外部オーナーは役員対象外になっていることもあり、管理規約とともにどのような扱いになっているのか確認することも重要です。

外国人の居住割合

都心部のマンションを中心に、最近では分譲マンションでも外国人の居住者も増えてきました。どれぐらいの割合で外国人が居住しているのか、普段の生活にも影響があるかもしれないので確認しておきたいところです。

また、外国人は、過ごした国によっては日本のマンション文化とは違った価値観を持っている可能性もあります。例えば、ごみ出しルールや駐車、駐輪、共用廊下の使用など、本来のルールとは違ったことも考えられます。

そして、合意形成においても、価値観の相違により、認識が異なる可能性も考えられます。

購入前に是非マンションの管理状態を確認しておきたい

紹介した内容すべてを確認しなければならないということではありませんが、確認しておいて損はないと考えられる項目について「マンション管理組合の中の人」の視点で挙げてみました。

不動産会社によっては、これらすべてが分からない場合や、購入検討対象のマンション管理組合から入手できない場合もあることもご留意ください。

ただ、中古マンションを購入する際は管理面の確認は新築以上に必要です。管理状況が不明確な場合、将来的に大きな負担も考えられます。

それは知らなかった…ということも極力無いようにするため、購入前にしっかりと確認することが重要です。

この記事を参考に、慎重に物件を選び、安心して中古マンションを購入できるようにしてください。

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