マンション管理について基本的な課題や質問を、質疑形式で回答する形で紹介します。
今回は、
総会運営において、事前、総会時、事後において想定しておいた方が良い事に対する対応方法
についてです。
【管理組合Q&A】今回のコラム内容
今回は総会運営に関する課題として、以下の様なQ&Aを分かりやすく解説します。
✅総会の事前対策として全般的に何に気をつけておけばいいでしょうか?
✅特別決議の場合は事前に何に気を付けておけばいいでしょうか?
✅総会当日の対策は何に気を付けておけばいいでしょうか?
✅総会後の対策として何があるでしょうか?
運営の中には、理事会として想定しえないようなことが発生する可能性があります。準備する理事会においても色々と試行錯誤をしながらとなるでしょう。
総会を開催するにあたって、事前、総会時、事後に起こりうる内容を紹介します。
総会の事前対策として全般的に何に気をつけておけばいいでしょうか?
次のような事柄
✅初めて理事長としての総会
✅議案として区分所有者から反対意見が出そうな総会
✅必ず毎回出席して、総会で何かを言おうとする人がいる
などにより、理事長としては不安になることも多いでしょう。そのような不安を少しでも和らげるために、事前に考えておきたい内容としてこちら
✅総会議案書とともに、質問書を配布する
✅質問の締め切りは総会の1週間前等、必ず事前に提出期限を設ける
✅回答案は理事会メンバーで考える
✅時間がない場合は、せめて質問内容を理事会メンバー内で事前に共有する
✅管理会社や外部専門家にも協力して貰う
✅賛否が分かれそうな議案については早期に議案書と質問書を配布する
✅理事会メンバーとの情報共有のためのIT環境を整備する
を取り挙げ、具体的に解説します。
総会議案書とともに、質問書を配布する
総会に先立って、区分所有者全員に総会の議案書(招集通知や議決権行使書)を配布する必要があります。
それに加えて、必ずといっていいほど配布されるのが、総会議案やその他マンションの管理に関することを質問したり意見ができる質問書を配布することです。
質問状を配布するメリットとしては、
✅区分所有者からの事前に質問に対する理事会での対策が可能
✅専門家等の意見を回答に反映できる
✅区分所有者が気になっている点が理解できる
ことなどが挙げられます。
理事会にとっても、総会運営上有効な手段であるといえるでしょう。
質問の締め切りは総会の1週間前等、必ず事前に提出期限を設ける
質問書は総会開催1週間前等、ある一定の日を期日として、区分所有者の議案に対する賛否とともに回収するのが良いでしょう。
議案の賛否は集計のために事前に回収する必要があります。また、回答のための時間を確保するという意味から、同じタイミングで質問書を回収することが望ましいです。
本人の議決権行使とともに、質問書を一緒に提出しやすいことが挙げられます。
✅賛否の〇をつける書面
✅質問状を1枚にする
✅紙の表裏を使った仕様にする
など、議決権行使のタイミングで質問書が回収できる工夫をしておくのがよいでしょう。
回答案は理事会メンバーで考える
回答は理事長を中心に総会で行うこととなりますが、回答案はできれば理事全員で知恵を絞りながら出すことも重要です。
また、理事長一人の責任や負担とならないようにすることも重要であり、理事長としても各理事や監事から協力を仰いでいくことも一つです。
時間がない場合は、せめて質問内容を理事会メンバー内で事前に共有する
質問の回収から総会までの間は時間が限られていることもあり、質問内容を議論できない可能性もあります。
回収した質問に対する回答案は、事前に理事や監事と出すことができればよいのですが、せめてどのような質問が寄せられているのか、メンバーに共有しておくことが大切です。
回答案がまとまらなかったとしても、当日各理事から回答がなされることもあることから、このような場合は事前に回答案を考えてきて欲しいと依頼するのも一つの考え方です。
総会当日は30分~1時間ほど早めに集まって情報共有するとともに、理事長に回答案をインプットしていく事も重要と言えるでしょう。
管理会社やマンション管理士等の外部専門家にも協力して貰う
管理会社委託のマンションにおいては、議決権行使状況の集計に手間を取られる中ではありますが、回答案や議案の想定問答の作成に管理会社も協力して貰う必要があります。
また、マンション管理士や一級建築士等の外部専門家を顧問や第三者管理者として入れている場合は、同じく専門家の立場から回答案を出して貰うことも重要です。
それらは総会当日、理事長の回答への補足として直接専門家から発言して貰うことで参加者の説得力が増すこともあります。当日は質問に対しては、必ず発言して貰うよう、念を押しておくべきでしょう。
賛否が分かれそうな議案については早期に議案書と質問書を配布する
通常、総会の議案書の送付は総会開催の2週間前と管理規約に定められている場合も多いです。
議案によっては、それ以上の期間(3週間前など)を取り、質問回収後に回答案を十分に検討することも有効です。
十分に時間をとれば、柔軟な対応も可能となり、良い回答案も捻出できる可能性があり、総会対策にも有効といえるでしょう。
一方で、期限後にも質問も寄せられることから、その場合を想定しておくことも重要です。
理事会メンバーとの情報共有のためのIT環境を整備する
これらをスムーズに行うためには、理事会メンバー内で、メールやチャットツール等でやり取りできるIT環境を整備しておく必要があります。
✅紙でのやり取りとなると煩雑になる
✅印刷の手間が掛かったり、反応・回答までタイムラグが生じてなかなかまとまらない
等が挙げられるためです。
とくに竣工後年月が経っていないマンションは、比較的若い方も住んでいます。一定水準のITリテラシーが保てる状態にあり、対応しやすいでしょう。
一方で、高経年マンションは、役員にITに慣れていない高齢者も含まれる可能性があります。そのため、IT環境の整備においては丁寧に対応していくことも必要となります。
特別決議議案の場合は事前に何に気を付けておけばいいでしょうか?
次に、議決権を集めつつ、賛成票も集めなければならない特別決議議案への対策についてです。
特別決議議案とは、区分所有者及び議決権の4分の3以上(5分の4以上のものもあり)の承認
※令和8年4月からは、組合員総数の過半数・議決権総数の過半数の出席のもとで、出席組合員数及びその議決権総数の各4分の3以上の決議
が必要な議案となります。
特別決議議案のポイントとしては、以下の点が挙げられます。
✅特別決議議案の内容を丁寧に説明し総会参加を促す
✅議決権行使書の回収に注力する
✅期日までに提出がない住戸に対し、個別で議決権行使の協力を促す
特別決議議案の内容を丁寧に説明し総会参加を促す
まず、特別決議の内容としては、次のようなものが挙げられます。
標準管理規約(~令和8年3月末まで)
組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の決議
・規約の制定、変更又は廃止
・ 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
・区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
・建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
・その他総会において本項の方法により決議することとした事項組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上の決議
・ 建替え決議
一方で、令和8年4月からの改正区分所有法によれば、
標準管理規約(令和8年4月~)
出席組合員数及びその議決権の各4分の3以上の決議
・規約の制定、変更又は廃止
・ 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
・前号の敷地及び共用部分等の変更に伴って必要となる専有部分の保存行為等
・区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
・建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
・その他総会において本項の方法により決議することとした事項
・出席組合員数及びその議決権の各3分の2以上の決議要件のもの
・組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上の決議要件のもの
・ 建替え決議
となります。
具体的には上記リンクを確認頂くのが早いかと思いますが、ただ、多くの場合は管理規約の変更が該当することから、その議案を通すことを前提に記載します。
全ての区分所有者が守るべき管理規約のどこが変更になるのか、可能であれば事前説明会を開催したり、また事前に変更箇所を細かく案内して質問を受け付ける等、丁寧に説明していくことも一つです。
変更箇所は、新旧対比表などを用いると分かりやすくなります。
具体的にどこが変更になるのか、記載することは必要となるでしょう。
議決権行使書の回収に注力する
特別決議は、普通決議の過半数ではなく、区分所有者数と議決権の4分の3以上の賛成(令和8年3月迄の場合)を得ないと可決されません。
そのため、いかに有効票を集められるかが勝負と言えるため、当日総会への参加を含めた議決権の回収が重要です。
そのためには、本総会の承認事項としては、管理組合として重要な決議となるため必ず参加して欲しい旨を、全区分所有者に伝えていかなければなりません。
期日までに提出がない区分所有者に対し、個別で議決権行使の協力を促す
期日までに回答しなかった区分所有者に対しては、個別で議決権行使のお願いをすることとなります。
管理会社委託の管理組合は、管理会社と協力して、未行使の区分所有者一人一人に個別訪問や電話にて、議決権行使を促す必要があるでしょう。
また、最近では投資目的や住んでいない外部所有者が多くなってきています。
これらの区分所有者においても、議決権行使を行ってもらう必要がある事から、理事会としても議決権を出してもらうための事前の準備はしておく必要があります。
筆者が目にした例ですが、議決権行使した区分所有者に対して、管理費等を一定額減額するという事例がありました。
本来ならここまでしなくても自分たちのマンションのために大切な総会の決議に参加して欲しいものです。
総会当日の対策は何に気を付けておけばいいでしょうか?
総会当日は、以下のような対策が考えられます。
✅当日の参加者を把握する
✅議案の賛否提出状況を確認する
✅事前に準備しておいた総会用カンペや想定問答や質問書の回答を準備する
それぞれについて、確認していきましょう。
当日の参加者を把握する
当日の参加者の確認は重要であり、できれば事前にしたいところですが、出席予定であっても出席しない方やまたその逆も想定され、読みづらいところがあります。
出席状況により、毎回出席して厳しい意見を言う方がいれば、総会前に心の準備も可能なので、必ず確認したいところです。
議案の賛否提出状況を確認する
総会が始まる前には、議案の提出状況を事前に確認したいところです。
管理会社によっては、総会前にすでに集計が終わっており、理事会や理事長個別に共有がある場合も考えられます。
普通決議の場合、事前の議決権行使で可決の状態になっている可能性もあります。
当然総会はそのような状況ではない前提で進行する必要があります。
事前に準備しておいた総会用カンペや想定問答や質問書の回答を準備する
総会の流れを記載したカンペも管理会社委託の場合は準備されることが多いです。
もちろん、有った方がスムーズに進められると考えられます。
加えて、議案に対する想定問答や理事会で詰めた質問書に対する回答案も最終確認しておきたいところです。
当日はどのような質問が来るかは分かりません。
ただ、各議案に対する質問は想定問答案として準備できれば望ましいです。
仮に、議案の質問であっても回答が難しい場合や本当に調べないと分からない質問は、「そこまで細かいことは分からない」が、概要の回答は分かれば言うべきでしょう。
回答をしないとなると、その場で議決権行使しない方も発生します。そのため、議案に対する説明は尽くしていく必要があります。
また、事前の質問書に対する回答は
✅総会当日参加者に配布する
✅口頭により事前に寄せられた質問と回答を匿名で行うことにより説明する
のが丁寧で良いでしょう。
質問を出した区分所有者が当日参加し、質問に対する回答を受けて賛否の意思を固める可能性もあるため、回答が総会後になるのは避けるべきです。
総会後の対策として何があるでしょうか?
そして、総会後にも対応すべき事項として、以下のようなものが考えられます。
✅議案に対する議決の結果を報告する
✅区分所有者に対する事前質問への回答を行う
✅総会議事録を作成する
議案に対する議決の結果を報告する
当日参加していた区分所有者はお分かりでしょう。
一方で、出席せずに議決権を行使したり委任状を提出した区分所有者は、議案が可決されたのか、否決されたのかがわかりません。
そのため、第一報として、今回の議案についてどうなったのか掲示板等に掲示したり、各戸に書面を配布して共有することが必要です。
区分所有者に対する事前質問への回答を行う
事前に質問をした方で総会当日不参加である場合も考えられます。
丁寧に対応するなら、その質問をした区分所有者に対して回答を書面で配布したり説明することも一つです。
もしくは、全戸に今回の質問と回答書面を配布し、今回の総会で行われた対応を共有することも考えられます。
ただ、これらは理事会の手間にもなることから、どのようにするのかは理事会の方針や管理会社とも検討することが重要でしょう。
総会議事録を作成する
最終的には総会議事録を作成することで、本総会でどの議案が可決されたのか、否決されたのかを残す必要があります。
できれば、当日出た質問とその回答も議事録に簡単にまとめることが望ましいでしょう。
それにより、あとあとの区分所有者間における言った言わない等のトラブルも防ぐことが出来ます。
総会を上手く乗り切るために
総会は事前の質問だけではどのような質問が出るか分かりません。そのため、総会が近づくにつれて不安になることも多いでしょう。
しかしながら、挙げたような対応が柔軟にできれば、なんとかうまく現場対応を含めて乗り切ることができます。
✅事前の余裕をもった準備(最重要!)
✅当日参加する理事や監事、さらには管理会社や顧問等の力を借りる
✅理事長であれば誠意を尽くして進行する
などにより、上手く乗り切っていただければと筆者も考えています。





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