【規約解説】管理費はここに使われる!国土交通省の見解も踏まえ紹介

管理規約解説

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普段我々組合員が支払う管理費って、どのような用途に使われているのだろうか…?

また、

管理費から補修できるのはどういった内容や箇所なのだろうか…?

さらには、

管理費からの費用を自治会費や町内会費として扱うことは可能なのだろうか…?

などなど、管理費に関する内容で疑問を持っていることも多いと思います。

マンションを購入したけれど、毎月支払っている管理費が何に使われているのか、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?

分譲マンションに住んでいたら、毎月引かれる管理費が、管理組合の中でどういう位置づけになっているのか、気になりますよね。

本コラムでは、標準管理規約第27条に基づいた管理費の具体的な使い方と、国土交通省の見解、そして管理組合が注意すべき点について解説します。

【規約解説】管理費はここに使われる!国土交通省の見解も踏まえ紹介

今回紹介する内容は、以下の通りです。

・標準管理規約第27条「管理費」の紹介
・第27条「管理費」の補足・注意事項は?
・「管理費」に対して管理組合や区分所有者が気を付けておくべき事項は?

まずはじめに、標準管理規約第278条の条文より、管理費について紹介します。

管理費については、それぞれ項目があるので、イメージが付きづらいものを挙げてさらに具体的に記載します。

そして、第27条「管理費」については、国土交通省が補足・注意事項としていくつか挙げています。

その内容を全て抽出して、内容を紹介します。

また、最後の章では筆者の視点から、「管理費」について、管理組合や区分所有者が気を付けておいた方が良い点を紹介します。

標準管理規約第27条「管理費」の紹介

標準管理規約第27条「管理費」の条文は?

まずはじめに、「管理費」に関する条文を紹介します。

(管理費)
第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
一 管理員人件費
二 公租公課
三 共用設備の保守維持費及び運転費
四 備品費、通信費その他の事務費
五 共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料
六 経常的な補修費
七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
八 委託業務費
九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
十 管理組合の運営に要する費用
十一 その他第32条に定める業務に要する費用(次条に規定する経費を除く。)

おもな管理費が充当できる経費としては、上記の11項目が中心となります。

管理費11項目の一部を紹介

上記の管理費の中で特に分かりづらいものについて、特に以下の3点について解説します。

二 公租公課

公租公課とは、租税公課とも言われ、国や地方公共団体に納める税金等の総称をいいます。

具体的には、

・公租:法人税、所得税、住民税、消費税等の国税や地方税
・公課:保険料や公共機関が発行する手数料、公共団体の費用

などが該当します。

管理組合が法人なら、法人税を払う必要性も出てくるでしょう。

また、管理組合に収益事業があれば、消費税や所得税をおさめる必要も出てくるかもしれません。

六 経常的な補修費

ここに当たるのは、定期的に補修が必要な項目としての費用が該当します。

管理組合における、ちょっとした補修や小修繕などが該当するでしょう。

具体的には、

・雨漏りや漏水事故への対応
・照明機器の部品交換
・設備の軽微な破損への対応
・施設内設備の不具合対応
・非常階段の部分的な鉄部塗装

などが該当します。

後述しますが、修繕積立金で補修する事項とはまた違ってくるものです。

管理組合内において日常の使用で発生する劣化等への対応をイメージすれば分かりやすいかもしれまん。

十一 その他第32条に定める業務に要する費用(次条に規定する経費を除く。)

標準管理規約第32条に定める業務とは、

管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。

として、細かく定めている内容です。

具体的には、以下のコラム

で非常に細かく紹介していますので、参考にして頂ければと思います。

また、カッコ書きにある

(次条に規定する経費を除く。)

とは、次条、すなわち第28条の「修繕積立金」で定めている内容を含まないということになります。

「修繕積立金」は近々追って条文を紹介します。

第27条「管理費」の補足・注意事項は?

次に、気になる管理費の用途における、補足・注意事項について紹介します。

国土交通省が細かく指摘している箇所は、管理組合としても要注意すべき点と捉えられます。

その点を含めて、内容を具体的に確認していきます。

役員活動費の取り扱い

まず、役員の活動に関する費用についての補足事項です。

管理組合の運営に要する費用には役員活動費も含まることとなります。

これについては一般の人件費等を勘案して定めるものとするとされています。

また、役員は区分所有者全員の利益のために活動することを考えると、適正な水準に設定する必要があるとのことです。

なお、第37条「役員の誠実義務等」に関する補足コメントでは、外部専門家役員が就任した場合の負担についての紹介があります。

この件については、第37条「役員の誠実義務等」の項目で別途紹介します。

コミュニティ活動のための費用

国土交通省は、地域コミュニティについては、管理組合としても懸念や課題が発生するとして、注意深く説明があります。

規約を改正した経緯も含めて紹介します。

地域コミュニティの拡大解釈の懸念

第十号「管理組合の運営に要する費用」や、第32条の管理組合の業務として、改正前の標準管理規約では、

「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成(に要する費用)」

が掲げられていました。

これは、日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事等の円滑な実施などのために、コミュニティ形成についての重要性を配慮したことによるものでした。

そして、「マンションの管理」という管理組合の目的の範囲内で行われることを前提に規定していました。

しかしながら、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」との表現には、定義のあいまいさから拡大解釈の懸念もあったようです。

とりわけ、

・管理組合と自治会、町内会等を混同している
・それにより、自治会費を管理費として一体で徴収し自治会費を払っている
・自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブル等が生じている

という実態もあったとのことです。

管理組合内のコミュニティ活動

一方、管理組合による従来の活動の中でコミュニティ活動と称して行われているものも考えられます。

例えば、マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等が当てはまります。

それは、管理費等の経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動として捉えられるでしょう。

また、それ自体は、区分所有法第3条に定める管理組合の目的「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」の範囲内で行われる限りにおいて可能であるといえます。

以上を明確にするため、平成28(2016)年の規約の改正時において

・標準管理規約第27条第十号及び第32条第十五号を削除
・第32条第十二号を「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」と改める

こととしたようです。

管理組合の業務に関する費用としての解釈

従来、第十二号に

「その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用」

が掲げられていました。

しかしながら、第32条に定める業務との関連が不明確であったことから、「その他第32条に定める業務に要する費用(次条に規定する経費を除く。)」と改めることとした経緯があるようです。

また、少々言い回しがややこしいですが、第32条第十二号の業務に要する費用は、本号(第27条第十一号を指す)あるいは別の号の経費として支出することが可能であるとしています。

管理費から自治体・町内会費を支出する場合の注意点

引き続き、自治会関連についての考え方を国土交通省は示しています。

具体的には、

・管理組合は、区分所有法第3条に基づき、区分所有者全員で構成される強制加入の団体である
・居住者が任意加入する地縁団体である自治会、町内会等とは異なる性格の団体である
・管理組合と自治会、町内会等との活動を混同することのないよう注意する必要がある

としています。

さらに、

・各居住者が各自の判断で自治会又は町内会等に加入する場合に支払うこととなる自治会費又は町内会費等は、地域住民相互の親睦や福祉、助け合い等を図るために居住者が任意に負担するもの
・マンションを維持・管理していくための費用である管理費等とは別のもの

であるとして注意しています。

さらに、自治会費又は町内会費等を管理費等と一体で徴収している場合には、以下の点に留意すべきであるとして、具体的な内容を挙げています。

・自治会又は町内会等への加入を強制するものとならないようにする
・自治会又は町内会等への加入を希望しない者から自治会費又は町内会費等の徴収を行わない
・自治会費又は町内会費等を管理費とは区分経理する
・管理組合による自治会費又は町内会費等の代行徴収に係る負担について整理する

マンション管理組合と地域の自治会・町内会とは性質が違う団体であり、改めて区分することの重要性を示しています。

この点については、管理組合として十分意識しておく必要がありそうです。

マンションの管理に関わりのない活動のための費用の取り扱い

これまで紹介したような管理組合の法的性質からすれば、マンションの管理に関わりのない活動を行うことは適切ではないとしています。

例えば、

・一部の者のみに対象が限定されるクラブやサークル活動経費
・主として親睦を目的とする飲食の経費

などを挙げています。

これらは、マンションの管理業務の範囲を超え、マンション全体の資産価値向上等に資するとも言い難いとのことです。

そのため、区分所有者全員から強制徴収する管理費をそれらの費用に充てることは適切ではなく、管理費とは別に、参加者からの直接の支払や積立て等によって費用を賄うべきであるとしています。

「管理費」に対して管理組合や区分所有者が気を付けておくべき事項は?

国土交通省としては、管理費について、地域のコミュニティ活動や、自治会・町内会に使用する費用を混同することが無いように、改めてやや詳しく指摘していました。

恐らくは、区分所有者から、これらの指摘や疑問が多く挙がっていたため、補足・注意事項として掲載するとともに、改めて管理組合で見直す必要がある旨、考えていたと想定されます。

それらも踏まえて、この章では筆者独自の視点から、「管理費」について気を付けておくべき事項を紹介します。

とりわけ、管理組合と自治会・町内会の費用については、国土交通省の見解が非常に細かく記載されていますので、そちらをご参照頂く形が良いと思っています。

「経常的な補修費」の考え方は?

まず、第27条六号にある「経常的な補修費」の考え方について紹介します。

前述でも紹介しましたが、経常的な補修費とは、

・雨漏りや漏水事故への対応
・照明機器の部品交換
・設備の軽微な破損への対応
・施設内設備の不具合対応
・非常階段の部分的な鉄部塗装

など、日々のマンションにおいて発生しうる不具合や故障などへの対応となります。

また、これらの中には、第28条「修繕積立金」の使途でもある大規模修繕工事においても実施される項目が含まれるかもしれません。

具体的には、計画的に実施する大規模修繕工事の場合は、このような日常で実施しているものも、「大規模修繕工事のタイミングで合わせて工事する」ということも考えられます。

この場合は、後述する「修繕積立金の充当」にはあたりません。

ただし、「計画的な修繕工事として含まれている内容」であることが重要です。

長期修繕計画の策定や見直しの費用は?

さらに、大規模修繕工事の計画や修繕積立金計画の前提となる、長期修繕計画の策定や見直しは

「管理費」からでしょうか?

それとも「修繕積立金」からでしょうか??

回答としては「双方考えられる」ということになります。

管理費から支出する場合

管理費から支出する場合のケースを見てみましょう。

「十一 その他第32条に定める業務に要する費用(次条に規定する経費を除く。)」の中には、第32条第三号に、

三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理

という項目があります。

この項目は、第28条「修繕積立金」にはありませんので、管理費から支出することができると解釈もできます。

また、管理組合に委託している場合は、第27条八号の「委託業務費」に長期修繕計画の作成と見直しの費用が含まれる場合があります。

そのケースになると、「管理費」からの支出としても考えられます。

修繕積立金から支出できる場合

一方で、修繕積立金から支出をする場合も考えられます。

具体的には、

国土交通省が定める「長期修繕計画標準様式」

という様式があり、その中には、計画に織り込むべき「推定工事19項目」という内容があります。

詳細は以下

で紹介していますので省きますが、19番目に「長期修繕計画作成費用」という項目があります。

計画作成費用にも関わらず、工事項目の中に含まれているのです。

長期修繕計画の19項目の中には、大規模修繕工事の各項目や、エレベーターや機械式駐車場、また給排水管工事等、計画的修繕についての計画が織り込まれることとなります。

これら19項目の内容は「計画的修繕」に含まれることから、「修繕積立金」より支出することとなります。

すなわち、長期修繕計画の作成や見直し費用も、長期修繕計画にその費用が織り込まれているのであれば、「修繕積立金」から支出可能ということになります。

第28条「修繕積立金」に当てはまらない項目は「管理費」等で処理をする

別途、第28条「修繕積立金」で紹介していますが、修繕積立金に当てはまる項目以外は、「管理費」やそれ以外に区分経理した、修繕積立金以外から充当する必要があります。

普段使う項目については、「修繕積立金」の中には出てこないでしょう。

したがって、必ず「管理費」などの勘定から支出することが求められます。

このあたりは、管理会社に委託している管理組合であれば、適切に行われていることがほとんどでしょう。

気になるようでしたら、改めて管理費や修繕積立金の収支報告書や、支出明細等と照らし合わせてみることが重要です。

「管理費」項目を「修繕積立金」で処理すると修繕積立金流用の可能性

この点は管理組合として非常に気を付ける点と言っていいと思いますが、「管理費」に入っている項目は、管理費から支出する必要があります。

修繕積立金から支出することはできません。

もし、修繕積立金から支出してしまうこととなると、

「本来は管理費から支払うべきものを修繕積立金から充当・流用してしまった」

ということになってしまうためです。

・管理費と修繕積立金を区分して経理
・必ず第27条「管理費」と第28条「修繕積立金」のそれぞれに当てはまる用途で支出する

点について、国土交通省としても重要視しています。

そのため、改めて管理組合内で確認とともにルールを徹底する必要があります。

管理費の用途は多岐に渡るが、修繕積立金は充当できない

今回は、標準管理規約第27条「管理費」について紹介しました。

国土交通省としては、管理費の用途として、コミュニティ活動を中心に紹介されていました。

一方の筆者の方は、管理費を充当できるもの、またはできないものとして修繕積立金との関係を重視して紹介しました。

別途、第28条「修繕積立金」でも紹介しますが、「管理費」は決まった用途に使用することがルール上必要です。

今回のコラムを参考に、ご自身のマンションの管理費について、もう一度確認し直してみてはいかがでしょうか?

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