マンション管理に関わる皆さん、管理規約の「定義」って読んだことはありますか?
✅ 「区分所有権」と「区分所有者」の違いは?
✅ 「専有部分」と「共用部分」はどこが線引き?
✅ 「電磁的方法」や「WEB会議システム等」はどういう意味?
マンション標準管理規約第2条では、管理規約の中で頻出する重要な用語が定義されています。
この条文を正しく理解することで、管理組合の運営がスムーズになり、不要なトラブルも避けられます。
本記事では、第2条の条文や国土交通省の補足事項をわかりやすく解説し、管理組合や区分所有者が注意すべきポイントを、実務に精通しているマンション管理士が詳しく紹介します。
【規約解説】マンション標準管理規約第2条とは?管理規約に頻出する用語をわかりやすく解説!
今回紹介する内容は、以下の通りです。
✅マンション標準管理規約第2条とは?管理規約に頻出する用語の定義を解説
✅第2条に関する国土交通省の補足事項の解説
まず、最初の章では標準管理規約第2条の条文から「定義」についてそのままの文面を紹介します。
続いて、国土交通省が第2条に対する補足事項がありますので、補足事項に対する説明を含めて紹介します。
次章より当該条文について紹介します。
マンション標準管理規約第2条とは?管理規約に頻出する用語の定義を解説
以下、第2条の条文です。
(定義)
第2条 この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 区分所有権 建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第2条第1項の区分所有権をいう。
二 区分所有者 区分所有法第2条第2項の区分所有者をいう。
三 占有者 区分所有法第6条第3項の占有者をいう。
四 専有部分 区分所有法第2条第3項の専有部分をいう。
五 共用部分 区分所有法第2条第4項の共用部分をいう。
六 敷地 区分所有法第2条第5項の建物の敷地をいう。
七 共用部分等 共用部分及び附属施設をいう。
八 専用使用権 敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利をいう。
九 専用使用部分 専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の部分をいう。
十 電磁的方法 電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に定めるものをいう。
イ 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電気通信回線を通じて情報が送信され、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの
ロ 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したもの(以下「電磁的記録」という。)を交付する方法
十一 WEB会議システム等 電気通信回線を介して、即時性及び双方向性を備えた映像及び音声の通信を行うことができる会議システム等をいう。
マンション標準管理規約第2条では、マンション管理に関する基本的な用語の定義を定めています。管理組合運営において重要な概念を理解することで、トラブル防止やスムーズな管理が可能になります。
各項目について、具体的に解説します。
区分所有権とは?
「区分所有権」とは、マンションの一部(専有部分)を個別に所有する権利のことです。例えば、マンションの一室を購入した人は、その部屋に対して区分所有権を持ちます。
区分所有者とは?
「区分所有者」とは、マンションの区分所有権を持っている人のことを指します。マンションを購入した人が区分所有者となり、管理組合の一員になります。
占有者とは?
「占有者」とは、実際に専有部分を使用している人を指します。例えば、賃貸マンションの場合、オーナー(区分所有者)が別にいて、入居者(賃借人)が占有者になります。
専有部分とは?
「専有部分」とは、各区分所有者が所有しているマンションの一部で、専用に使える部分を指します。通常、マンションの住戸(各部屋)が専有部分になります。
共用部分とは?
「共用部分」とは、マンションの住人全員が共有で使う部分を指します。例えば、エントランス、廊下、エレベーター、屋根、外壁などが該当します。
敷地とは?
「敷地」とは、マンションが建っている土地のことを指します。マンション全体の共用財産となるため、管理組合で管理する必要があります。
共用部分等とは?
「共用部分等」とは、共用部分とそれに付属する施設のことを指します。例えば、自転車置き場やゴミ置き場も共用部分等に含まれる場合があります。
専用使用権とは?
「専用使用権」とは、共用部分の一部を特定の区分所有者が専用で使用できる権利のことです。例えば、バルコニーや専用庭、駐車場などが該当します。
専用使用部分とは?
「専用使用部分」とは、専用使用権が認められている共用部分のことを指します。例えば、1階住戸に専用庭がある場合、その庭が専用使用部分となります。また、各住戸にあるベランダや窓ガラス、玄関ドアも専用使用部分です。
電磁的方法とは?
「電磁的方法」とは、電子的な手段で情報を送受信したり記録したりする方法のことを指します。具体的には以下の2種類があります。
イ. 電子メールなどのオンライン通信
インターネットを通じて電子データを送受信する方法。例えば、管理組合の議事録をPDFでメール配信するケースや、共有ファイルを通じてデータを共有するケースなどが該当します。
ロ. 電磁的記録の交付
USBメモリやCD-ROMなどのデジタル記録媒体に情報を保存し、提供する方法です。
WEB会議システム等とは?
「WEB会議システム等」とは、インターネットを利用して映像や音声のやり取りができる会議システムを指します。例えば、ZoomやMicrosoft Teamsを使った管理組合のオンライン会議などが該当します。
第2条に関する国土交通省の補足事項の解説
次に、標準管理規約第2条に対して、国土交通省は以下のような補足事項を紹介しています。
第2条関係
① 電磁的方法の具体例には、電子メールの送信やウェブサイト(ホームページ)への書込みの利用、CD-R等の交付による方法等がある。
② 電磁的方法の一部のみ利用可能な管理組合は、電磁的方法の利用状況に応じた規約を制定することが望ましい。例えば、電子メールの送受信やウェブサイト(ホームページ)への書込みは利用できないが、CD-R等に記録されている内容の読込み及び表示は可能な場合、第十号においてイは規定しないことが望ましい。
電磁的方法の具体例
✅ 電磁的方法には以下のような具体例があります。
電子メールの送受信 例:管理組合が総会の議事録をPDFでメール配信
ウェブサイト(ホームページ)への書き込み 例:管理組合の専用ウェブサイトにお知らせを掲載
CD-RやUSBメモリなどの記録媒体の交付 例:総会の議事録をUSBメモリに保存し、理事や区分所有者に配布
📌 ポイント! 電子的な手段を活用すると、紙媒体でのやり取りを減らし、情報共有のスピードを向上させることが可能です。ただし、高齢の組合員が多い場合などは、電子メールやウェブサイトを活用しづらいケースもあるため、従来の紙媒体と併用することが望ましいでしょう。
管理組合ごとの電磁的方法の利用状況
✅ 管理組合ごとに電磁的方法の利用可能範囲は異なります。
ITに精通した管理組合 → 電子メールやウェブサイトを活用し、情報がほぼデジタル化
高齢者が多い管理組合 → CD-RやUSBメモリを活用し、紙媒体と併用
📌 国土交通省のコメントでは、管理組合の実態に応じた規約の整備が推奨されています。 例えば、電子メールの送受信やウェブサイトの利用が難しい場合は、第十号の「イ(オンライン通信)」を規約に含めず、「ロ(電磁的記録の交付)」のみを採用することが適切です。
また、ITが苦手な組合員向けに、管理組合内でITサポート担当を設けたり、電子化の研修を実施することで、段階的に電磁的方法を導入することも一つの方法です。
第2条を理解してスムーズな管理組合運営を!
マンション標準管理規約第2条には、管理組合運営に欠かせない用語が定義されています。
📌 要点まとめ
✅ 「区分所有権」「専有部分」「共用部分」などの基本用語を整理
✅ 「電磁的方法」や「WEB会議システム」など最新の用語も登場
✅ 国土交通省の補足事項も考慮し、管理組合の実態に合った規約を作成
管理規約を正しく理解することは、マンション管理を円滑にする第一歩です。
特に、電子化が進む現代では「電磁的方法」などの概念を押さえておくことが重要です。
コメント