横浜市内における管理計画認定マンションの特徴とは【是非学びたい】

マンション管理

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横浜市内において、管理計画認定制度において認定されたマンションは、横浜市のホームページに公表されています
※一部公表されていない物件もあります

横浜市が市の基準を満たした、管理が適切であるマンションであるというお墨付きをつけ公表することで、そのマンションの管理の質においては一定程度の評価があがり、管理が行き届いているマンションということで、マンションの資産価値向上に大きく寄与するものと想定されます。

今回はそのようなマンションの特徴を見ていくことにより、管理計画認定マンションとしてのあるべき姿を確認したいと思います。

横浜市内における管理計画認定マンションの特徴とは【是非学びたい】

今回ご紹介する内容は、以下の内容となります。

・横浜市の管理計画認定マンションを一部紹介
・管理計画認定マンションに見られる傾向
・自らのマンションが管理計画認定されるためには

横浜市のホームページで紹介されている管理計画認定制度認定一覧のマンションから、筆者の見解も踏まえてその特徴を確認します。

実際に認定マンションの中には筆者が認定にかかわったマンションもいくつかあります。
※今回の紹介事例とは無関係です

横浜市は管理計画認定制度については、現時点では他の自治体に比べて進んでいる方だと思っています。

これからマンション管理適正化推進計画を定め、認定制度を実施していく自治体も多い中で、認定制度を早期から自治体として取り組み始めた結果、他の自治体に先立って比較的認定されているマンションも多い状況です。

我々マンション管理士として、横浜市内のマンションに対してマンションの管理の実態調査に参加したり、管理組合からの相談に応じたりする機会も多く、横浜市と連携しながら取り組んでいる状況にあります。

このような横浜市の状況を踏まえつつ、横浜市に限らず管理計画認定マンションになるために必要な要件として、どのような準備や心構えが必要なのかも合わせて紹介します。

以下において、管理計画認定制度に加え、マンション管理業協会が進めるマンション管理適正評価制度についても紹介しています。

マンション管理計画認定を受けるまでの申請手続き
マンション管理計画認定を受けるまでには、提出すべき資料など申請手続きを経ていく必要があります。管理組合としてどこにお願いするのかで、複数の制度認定も可能です。申請方法の4パターンを含めて詳しく解説します。
マンション管理適正評価制度の評価状況(マンション管理新聞)
マンション管理新聞より、マンション管理適正評価制度の記事を取り上げました。評価マンションの状況とともに、自治体が実施する管理計画認定制度の取得状況と、そこに満たないマンションも3割強あるという点が挙げられていましたので、マンション管理士として見解を記載します。

横浜市の管理計画認定マンションを一部紹介

横浜市のホームページに掲載されている、管理計画認定を受けたマンションの中から、筆者が気になったマンションについて、いくつか取り上げてみたいと思います。

合わせて、マンション管理業協会のマンション管理適正評価制度とのワンストップ申請等により、双方の評価が得られているマンションもありますので、その点についても触れます。
※各データは横浜市のホームページより参照

サン・ステージ緑園都市西の街(泉区)

同マンションの詳細は次のとおりです。

●認定日
令和4年11月29日
●所在地
横浜市泉区緑園4-2-1
●棟数・戸数・建設年
6棟・638戸・1988年
●管理形態
全部委託(株式会社相鉄リビングサポート)

横浜市のマンション管理計画認定第一号として、各メディアでも取り上げられた同マンションですが、認定の数年前から管理組合のレベルアップを目指して、棚卸や自己評価に取り組んできたとのことです。

第三者の客観的な評価が得られる本制度のことを知り、迷わずに応募することとしたということで、管理組合の意識の高さがうかがえます。

資産価値向上への期待や、区分所有者における管理組合への関心が高まることにも期待しているとのことです。

また、当マンションが6棟、638戸という比較的大規模であり、それらの合意形成を作っていくべく、継続的に意識を向上させてきた管理組合は、横浜市のホームページでは紹介されていない数々の取り組みがありそうです。


※2023年12月訪問時の写真

管理組合全体を始め、理事会や各種委員会等、継続的に取り組んでいくことが必要であると感じます。

さらに、管理業協会のマンション管理適正評価制度では100点満点を取得しているので、管理組合内では、マンション管理ですべきあらゆることに取り組んでいると思われます。

竹山16-2住宅(緑区)

同マンションの詳細は次のとおりです。

●認定日
令和4年12月14日
●所在地
横浜市緑区竹山1-6-5
●棟数・戸数・建設年
6棟・152戸・1971年
●管理形態
自主管理

筆者が同団地に注目したのは、横浜市の管理計画認定第二号であることに加え、1971年に建設された、築年数が50年を超えている団地であり、管理形態が自主管理であることでした。

認定申請については、マンション管理センター等から情報を得て本制度を知ったとのことでした。

高経年化している団地の中でも、自治体からの評価を受けることにより、同団地のの良さを発信して、住みよい団地にしたいということから申請に至っているとのことです。

管理会社という、管理組合を支援してくれるところもなく、自主的な取り組みの中で従前よりマンションの管理の適正化に取り組んで来ており、その結果が今回の早期の認定に繋がったのではないでしょうか。

同団地においては、「長寿命100年マンション再生」を指針に、住み続けたい・多世代が暮らしやすい団地を目指して断熱改修など建物や設備のグレードアップなどに取り組んでいるとのことです。

取組にあたっては、日頃から居住者への情報提供を丁寧に行い、総会の前に提案内容に関する意見交換の場を設けるなど、スムーズに合意形成が進むよう心がけているとのこと。

また、独自にホームページを開設しており、組合員ではなくても閲覧が可能となっていました。

同管理組合の年表も閲覧することが出来ましたので拝見させて頂きましたが、2016年の臨時総会で法人化と自主管理を議決され、今は管理組合法人によって管理組合は運営されているようでした。

さらに、41年目の大規模修繕工事において、外壁外断熱、窓サッシ改修や屋上外断熱等を実施し、長期的なマンション管理のために対策を講じている状況もわかります。


※2023年12月訪問時の写真

このように管理組合運営においても対外的にも情報提供をしているということで、誰でも活動状況がわかる開かれた管理組合であることも確認できました。

鶴見西パーク・ホームズ(鶴見区)

同マンションの詳細は次のとおりです。

●認定日
令和5年5月23日
●所在地
横浜市鶴見区北寺尾1-9-13
●棟数・戸数・建設年
1棟・15戸・1990年

筆者が同マンションに注目したのは、15戸という、横浜市で認定されたマンションの中でも一番小規模であったことです。

小規模であるということは、理事会をはじめ、管理組合全体に比較的負担がかかります。

そのため、全区分所有者が納得の上協力しながら進めていかなければならない点もあるでしょう。

そのような状況から、合意形成が適切に図られた中で実施されたと推察され、興味深く思いました。

また、同マンションにおいては、マンション管理適正評価制度でも97点を獲得しているマンションでした。

管理会社である三井不動産レジデンシャルサービスとともに、双方の制度をワンストップで申請されたのかとも推察されます。


※2024年1月訪問時の写真

横浜パークタウン団地(南区)

最後に紹介するのが、比較的大規模な団地形態である、こちらの団地です。

●認定日
令和5年9月27日
●所在地
横浜市南区六ッ川三丁目76番地3他
●棟数・戸数・建設年
10棟・985戸(店舗等4戸除く)・1977年

管理計画認定関連の情報が横浜市のホームページ以外に掲載されていないため、経緯等は分かりませんが、冒頭に紹介したサン・ステージ緑園都市西の街以上に大きな規模の団地であることから、認定までには合意形成とともに、従前よりマンション管理における準備がなされて来ていたと推察されます。

50年近い比較的高経年マンションであることから、マンション管理におけるノウハウが管理組合内に備わっているのではと思いました。

管理会社は、東急コミュニティとのことで、同団地を紹介している他の紹介サイトに情報が掲載されていましたが、マンション管理適正評価制度の紹介には該当しなかったため、管理計画認定制度への単独での申請だったと推察されます。

管理会社の協力はありつつも、管理組合や理事会等の動きが重要になってくることから、管理組合としてもそれなりに力を割きつつ、管理組合全体で合意形成を取りながらまとめてきたのでしょう。

たまたま11月半ばに近くを通りかかったので、撮影しました。

上を通るのは横浜横須賀道路で、奥に見えるのが横浜パークタウン団地です。

管理計画認定マンションに見られる傾向

4件の認定事例や、横浜市のホームページで紹介されている他のマンションの事例、さらには別の自治体の管理計画認定マンションの事例等から、管理計画認定に至るマンションの管理組合には、それなりの取り組みを長年してきている傾向があります。
※竣工間もなく認定を獲得したマンションを除く

どのような傾向があるのか、筆者が感じる所を中心に紹介します。

普段から審査基準に沿った適正管理を意識

管理計画認定マンションに急になれるものではなく、普段の管理の状態においてどのような形が適正な状態であるか、常に意識しながら管理組合活動を行っていると考えられます。

横浜市の審査基準に沿った内容を、常日頃のマンション管理活動において意識していたり、その活動に漏れがないように実施しているのではと考えられます。

例えば、区分所有者や居住者名簿の毎年の整備においても、今回の管理計画認定に備えているというのではなく、普段の災害対策や高齢者対策等において、管理組合として当然に実施していることなのでしょう。

また、高経年マンションにあっては、高齢者も多く、修繕積立金等の滞納割合も増えてくる可能性があります。

小規模マンションにおいては、認定制度の基準をクリアするためには、数戸の滞納でも基準値に抵触することとなるかもしれません。

しかしながら、その基準もクリアしているということは、滞納対策も普段の管理においては徹底されており、滞納がある場合は速やかな回収フローも適切に実施されていると推察されます。

管理組合全体の合意形成

比較的高経年のマンションにおいては、長く住んでいて理事長や管理組合委員の経験がある区分所有者が中心となって、マンションや団地全体に対する説得や説明等の合意形成を図って来ていると考えられます。

こちらも短期間では中々構築することは難しいことから、前項同様、常日頃からマンション管理に関する意識を、理事や監事といった役員だけではなく、管理組合内全体で形成しているものと思われます。

特に鶴見西パーク・ホームズのような15戸のマンションであれば、合意形成=区分所有者全員の承認や承諾ぐらいの感覚になるのではと想定されます。

管理組合内での情報発信

竹山16-2住宅(緑区)における独自のホームページの構築や、管理組合法人内における運用は素晴らしい事例ですが、管理組合員の誰から見ても、管理組合がどのような動きを取っているのかは、管理の適正化という面においては必要な一面でしょう。

ホームページは更新性が必要であり、常に最新の情報がアップデートされていなければその役割を果たさないため、管理組合としてはそれなりの労力がかかります。

ホームページ運用までいかないにしても、普段から管理組合内でのコミュニケーションの円滑化や、広報などによる管理組合における活動状況の発信や書面による掲示、または理事会においての議事録の共有など、管理組合の見える化やその努力が不可欠になってくるでしょう。

自らのマンションが管理計画認定されるためには

管理計画認定されるためには、すでに認定されたマンションや団地の取り組み事例が参考になりますが、認定のマンションにはそれなりの管理組合や理事会での労力がかかることとなります。

管理会社に委託しているマンションにおいては、管理会社と協力しながら、各種書面をまとめていくこともできますが、それでも管理組合や理事会で準備すべき事項も多くなってきます。

まずは、これらの労力を管理組合でも割くことが出来るのかを、マンションの評価や資産価値向上に向けて管理組合内で検討していくことから始める必要があると考えられます。

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も含め、管理計画認定制度の参考になればと考えています。

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