早めに確認しておきたいマンション管理計画認定制度のメリットとは

マンション管理

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早いところは既に始まっている、マンション管理計画認定制度ですが、横浜市でも2022年11月から開始されました。

具体的にはどのような制度なのか、マンション管理士が詳しく説明します。

マンション管理計画認定制度とは

そもそも、マンション管理計画認定制度とはどのような制度なのでしょうか。

今回認定制度が開始された横浜市が公表している管理計画認定制度の例をみながら解説します。

横浜市の管理計画認定制度の概要を確認すると、

マンションの管理組合が作成した管理計画を地⽅公共団体に申請し、⼀定の基準を満たしていれば認定を受けられる制度(※)です。
※ 令和4年4⽉に改正法が施⾏された「マンション管理適正化法」により新たに創設された制度です。

と記載があります。

法律の改正に従って、地方自治体が一定基準を満たした優良マンションに認定を与える制度です。

この制度が横浜市では2022年11月から始まったこととなります。

管理計画認定を受けることによるマンションへのメリット

横浜市の認定制度においてはメリットを打ち出しています。

おもなメリットとして4つ挙げていますので、それぞれ解説します。

売買時に市場で評価されることが期待される

自治体が定めた基準をクリアして評価されたこととなるため、マンションにおいて一定の管理体制が整っていることを自治体から証明されたこととなります。

結果的に、新たに購入しようと考えている顧客が、買った後も安心して住むことができるとして、考えることができます。

従って、「住みたいマンション」「欲しいマンション」として位置づけられることから、市場での評価が高まる事となります。

建ってからある程度の年月が経っている、いわゆる高経年マンションは住民も合わせて高齢化していることが一般的です。

そのようなマンションが評価されていればどうでしょうか。

高齢者が比較的住んでいるマンションであっても、新たに購入したいと考える若い世代も出てくることが期待されます。

若い層が区分所有者として入ってくるとメリットが多くなることは、特に高齢者にとっては分かりやすいことでしょう。

理事になってくれる人がいたり、現役世代のため管理費や修繕積立金の滞納のリスクも低い、など助けてくれる人も多くなることが想定されます。

住宅⾦融⽀援機構の⾦利が優遇される

具体的には次のような商品において、住宅金融支援機構が手掛ける融資に対する金利メリットを受けることができます。

マンション共⽤部分リフォーム融資

・管理組合が⼤規模修繕⼯事を⾏う際に利⽤できる融資制度
・認定を受けたマンションは⾦利が年 0.2%引き下げられます。
※マンションすまい・る債の積⽴を⾏っていれば、年0.4%の引き下げまで拡⼤されます。
支援機構が行っている、大規模修繕工事費などの借入に使用する共用リフォーム融資において優遇があります。
仮に融資額が5,000万円であり、0.2%の優遇となる場合は、年10万円、さらにすまい・る債による積立を行っていれば、年20万円のメリットが出るということになります。

マンションすまい・る債

・管理組合が修繕積⽴⾦を計画的に積⽴てる際に利⽤できる債券
・認定を受けたマンションが債券を購⼊する際、利率が上乗せされます。
※令和5年度募集分から
マンションすまい・る債は、住宅⾦融⽀援機構が実施している積立制度です。
マンションで余剰がある修繕積立金について、そのまま普通預金に入れておいても全く利息が付かないため、すまい・る債などの積立債券で運用する方が有利に働きます。
マンションすまい・る債については、管理計画認定マンション向けマンションすまい・る債のご案内もあわせてご参照ください。

【フラット35】維持保全型

・認定マンションを購⼊する際に、購⼊者が利⽤できる住宅ローン
・認定マンションを購⼊する際、当初5年間の⾦利が年0.25%引き下げられます。
・マンションを売却する⽅にとっては、認定を受けていることが他の物件との差別化につながります。
認定マンションを購入する場合には、区分所有者だけでなく、これから区分所有者になる方にとってもメリットがあります。
フラット35の固定金利型で購入する場合、5年間で0.25%の金利引き下げ効果があります。
これも仮に5,000万円を借り入れたとすると、1年で12.5万円の金利引き下げ効果が表れるでしょう。
借入は返済に従って、5,000万円→4,900万円→4,800万円…など借入額が減少していきますが、平均効果が10万円と考えても、5年間で50万円の金利引き下げ効果が、認定マンション購入者も享受できることとなります。

マンションの管理状況を把握し、管理運営を⾒直す機会となる

・例えば、将来のために、認定基準を踏まえた⻑期修繕計画の⾒直しや修繕積⽴⾦の値上げなど、これまでの管理を⾒直すことが考えられます。

管理計画認定の諸条件をクリアするためには、現状のマンションの管理状態を17項目についてチェックすることとなります。

具体的には次回以降に紹介しますが、管理組合の運営状況、管理規約の整備状況、管理組合の経理状況、長期修繕計画の作成及び見直し等の状況など、マンション管理に重要な17項目をクリアしている必要があります。

これらの管理項目において、整っていない所があれば、管理組合として整えていく必要があるでしょう。

逆に整っていない場合は、認定のための申請しても認可されないこととなるので、申請前に予め整えておく必要があります。

そういった意味で横浜市としては、管理組合において管理運営状況を見直す良い機会となると効果を予め伝えていることとなります。

現時点で管理計画認定を取得したマンションが少ないため、非常にアピールになる

管理組合としては、資産価値が高くなり、住民の質が一定程度保たれた状態が続くことが理想でしょう。

逆に、新たに購入する方や、区分所有者から賃貸で借りられる方も、マンションの環境や管理状態を非常に気にすることと思います。

そのような中で、「当マンションは自治体から管理計画認定を取得している優良マンションである」というアピールができれば、周辺の他のマンションに対して差別化することも可能であり、管理がしっかりしているマンションということで、資産価値の低下にもつながりにくいという期待ができます。

管理計画認定マンションについては、以下のとおりです。

随時追加アップデートされていくと考えられます(2023年9月15日時点では172件登録)

まとめ

今回は横浜市の管理計画認定制度の例を挙げました。

横浜市に限らず、全国の各地方自治体が今後管理計画認定制度を進めてくることとなりますが、独自基準を定める自治体はあるものの、国が定めているチェック項目は共通で大きく変わりません。

今後の管理組合においては、管理状況次第によってマンションの価値を大きく左右する、非常に重要な制度であると考えられます。

管理組合内や理事会内で、早期に確認されることをお勧めします。

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