管理計画認定制度でマンションはどう変わる?資産価値・金融優遇など11のメリットを解説

マンション管理

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ンション市場では今、「管理されているマンション」と「管理不全リスクが高いマンション」の格差が広がり始めています。

その中で、国や自治体が進めているのが「管理計画認定制度」です。これは単なる表彰制度ではなく、

・修繕積立金
・長期修繕計画
・管理規約
・理事会運営

など、マンション管理の状態を“見える化”する制度でもあります。2026年5月16日時点で、全国で3,912件の管理組合が認定されています。

管理計画認定制度とは、具体的にはどのような制度なのか、これまで多くの管理組合の認定に関わってきたマンション管理士の筆者が詳しく説明します。

▼今回のコラムの全体像です(画像クリックで拡大します)

マンション管理計画認定制度とは

そもそも、マンション管理計画認定制度とはどのような制度なのでしょうか。

具体的に、今回認定制度が開始された横浜市が公表している管理計画認定制度の例を見ながら解説します。

横浜市の管理計画認定制度の概要を確認すると、

マンションの管理組合が作成した管理計画を地⽅公共団体に申請し、⼀定の基準を満たしていれば認定を受けられる制度(※)です。
※ 令和4年4⽉に改正法が施⾏された「マンション管理適正化法」により新たに創設された制度です。

と記載があります。

すなわち、法改正に従い、地方自治体が一定基準を満たした優良マンションに認定を与える制度です。

この制度が横浜市では2022年11月から始まっていることとなります。

管理計画認定制度で得られる11のメリット

横浜市の認定制度においてはメリットを打ち出しています。

おもなメリットとして4つ挙げていますが、実務経験上の筆者の追加7つを含めて、

それぞれ解説します。

売買時に市場で評価されることが期待される

近年では、中古マンション購入時に、

・修繕積立金の状況
・長期修繕計画
・管理組合運営

まで確認する購入者も増えています。

つまり、「管理状態」が価格や売却しやすさへ直結する時代になりつつあります。

また、自治体が定めた基準をクリアして評価されたこととなるため、マンションにおいて一定の管理体制が整っていることを自治体から証明されたこととなります。結果的に、新たに購入しようと考えている顧客が、買った後も安心して住むことができるとして、考えることができます。

従って、

「住みたいマンション」「欲しいマンション」として位置づけられる

ことから、市場での評価が高まる事となります。

建ってからある程度の年月が経っている、いわゆる高経年マンションは住民も合わせて高齢化していることが一般的です。

また、そのようなマンションがもし評価されていればどうでしょうか。

高齢者が比較的住んでいるマンションであっても、新たに購入したいと考える若い世代も出てくることが期待されます。

そして、若い層が区分所有者として入ってくるとメリットが多くなることは、特に高齢者にとっては分かりやすいことでしょう。現役世代や新規購入者が入りやすくなることで、

・理事のなり手不足
・滞納リスク
・管理組合の固定化

などの改善も期待できます。

住宅⾦融⽀援機構の⾦利優遇が受けられる

今後は、「どのマンションでも同じ条件で融資を受けられる時代」ではなくなる可能性があります。管理状態が悪いマンションでは、

・将来の修繕リスク
・資産価値下落リスク
・滞納リスク

が高いと見なされる可能性があるためです。

具体的には次のような商品において、住宅金融支援機構が手掛ける融資に対する金利メリットを受けることができます。

マンション共⽤部分リフォーム融資

・管理組合が⼤規模修繕⼯事を⾏う際に利⽤できる融資制度
・認定を受けたマンションは⾦利が年 0.2%引き下げられます。
※マンションすまい・る債の積⽴を⾏っていれば、年0.4%の引き下げまで拡⼤されます。

支援機構が行っている、

大規模修繕工事費などの借入に使用する共用リフォーム融資において優遇

があります。

仮に融資額が5,000万円であり、
・0.2%の優遇となる場合は年10万円
・すまい・る債による積立を行っていれば、年20万円

のそれぞれメリットが出るということになります。

マンションすまい・る債

・管理組合が修繕積⽴⾦を計画的に積⽴てる際に利⽤できる債券
・認定を受けたマンションが債券を購⼊する際、利率が上乗せされます。
※令和5年度募集分から

マンションすまい・る債は、住宅⾦融⽀援機構が実施している積立制度です。

余剰がある修繕積立金について、そのまま普通預金に入れておいても全く利息が付かないため、

すまい・る債などの積立債券で運用する方が有利に働きます。

マンションすまい・る債については、

管理計画認定マンション向けマンションすまい・る債のご案内

もあわせてご参照ください。

【フラット35】維持保全型

・認定マンションを購⼊する際に、購⼊者が利⽤できる住宅ローン
・認定マンションを購⼊する際、当初5年間の⾦利が年0.25%引き下げられます。
・マンションを売却する⽅にとっては、認定を受けていることが他の物件との差別化につながります。

認定マンションを購入する場合には、区分所有者だけでなく、

これから区分所有者になる方にとってもメリットがあります。

フラット35の固定金利型で購入する場合、5年間で0.25%の金利引き下げ効果があります。

これも仮に5,000万円を借り入れたとすると、

1年で12.5万円の金利引き下げ効果が表れるでしょう。

借入は返済に従って、5,000万円→4,900万円→4,800万円…など借入額が減少していきますが、

平均効果が10万円と考えても、5年間で50万円の金利引き下げ効果を、

認定マンション購入者も享受できることとなります。

【フラット35】維持保全型の紹介ページ

マンションの管理状況を把握し、管理運営を⾒直す機会となる

例えば、将来のために、認定基準を踏まえた⻑期修繕計画の⾒直しや修繕積⽴⾦の値上げなど、これまでの管理を⾒直すことが考えられます。

管理計画認定の諸条件をクリアするためには、

現状のマンションの管理状態を17項目についてチェック

することとなります。

具体的には次回以降に紹介しますが、

・管理組合の運営状況
・管理規約の整備状況
・組合経理の状況
・長期修繕計画の作成及び見直し等の状況

など、マンション管理に重要な17項目をクリアしている必要があります。

これらの管理項目において、整っていない所があれば、管理組合として整えていく必要があるでしょう。

逆に整っていない場合は、認定のための申請しても認可されないこととなるので、

申請前に予め整えておく必要があります。

そういった意味で横浜市としては、

管理組合において管理運営状況を見直す良い機会となると効果を予め伝えている

こととなります。

現時点で認定マンションが少なく差別化につながる

管理組合としては、資産価値が高くなり、住民の質が一定程度保たれた状態が続くことが理想でしょう。

逆に、新たに購入する方や、区分所有者から賃貸で借りられる方も、マンションの環境や管理状態を非常に気にすることと思います。

そのような中で、

当マンションは自治体から管理計画認定を取得している優良マンションである

というアピールができれば、周辺の他のマンションに対して差別化することも可能であり、

管理がしっかりしているマンションということで、資産価値の低下にもつながりにくいという期待ができます。

一部では、管理状態によって中古マンション価格に差が生じる可能性も指摘されています。

特に近年は、修繕積立金や長期修繕計画、管理組合運営を購入時に確認する動きも強まっており、「管理の質」が市場評価へ影響を与える時代になりつつあります。

管理計画認定マンションについては、以下のとおりです。

随時追加アップデートされていくと考えられます(2024年6月16日時点では856件登録)

長期修繕計画が最新版へ更新されやすくなる

これ以降は、筆者が審査の実務上でメリットとして感じている点を紹介します。

長期修繕計画においては、申請と認定を通じて、中身を見直すこととなります。

また、管理計画認定を継続するためには、5年後に再度申請が必要です。

その際に改めて長期修繕計画を提出することとなりますが、継続のための申請において、国土交通省が言っている、長期修繕計画の5年程度毎の見直しのサイクルに乗ってくることとなります。

特に重要なのは、「長期修繕計画を定期的に更新する」という文化が管理組合に根付くことです。

実際には、

・計画が10年以上放置されている
・修繕積立金が不足している
・工事単価が古いまま

というマンションも少なくありません。

管理計画認定制度は、こうした“管理不全予備軍”を減らす役割も持っています。

長期修繕計画の信頼性向上につながる

前項のように、頻繁に長期修繕計画を見直すこととなると、工事項目の計画も都度見直すこととなります。

また、将来の工事をそのタイミングで実施すべきか、または先延ばしが可能なのかなど、適宜、工事項目に対する細かなチェックが働くため、計画の正確性も期待できます。

それによって、長期修繕計画の信頼性も上がることから、安心した計画によって、管理組合運営を実施していくことにつながります。

修繕積立金管理の精度向上が期待できる

頻繁に長期修繕計画を見直し、その過程で工事項目の計画の信頼度が上がれば、将来的に工事にいくら必要になるかの正確性も高まります。

その正確性が高まれば、組合員からどれぐらい修繕積立金を徴収すればよいか、金額における信頼性も高まります。

すなわち、過剰に組合員から修繕積立金を徴収するのではなく、さらに、足らないというリスクも軽減されることから、組合員にとって安心した管理組合運営につながるといえるでしょう。

管理規約の見直し・改訂を促進

直近認定された管理組合であれば、審査基準に該当する内容が必ず踏まえられています。

例えば、

・災害等の緊急時や管理上必要な時の専有部の立ち入り
・修繕等の履歴情報の管理等に関する定め
・管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付

などの記載は織り込まれていることとなります。

将来的にどのような情報が必要になるかもありますが、継続的に認定を取得する場合は、

国交省が定める新たな情報を追加する必要があることから、常に管理規約が法令に則った

最新のものになることが期待できます。

管理費・修繕積立金の滞納抑制につながる

管理計画認定の基準において、

直前事業年度において修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内である

という内容があります。

認定マンションではなくても、ハードルとしてはさほど高くはないと考えられますが、

管理費や修繕積立金の滞納が多いと良くないというけん制を、管理組合内部において与えることができることから、

管理組合としても滞納を常に意識することとなり、適切な管理組合会計となることが期待できます。

マンション管理適正評価制度との相乗効果が期待できる

仮に、マンション管理業協会が主幹である、マンション管理適正評価制度と双方の認定を取得した場合には、マンションにおける評価を2つ得ているということとなります。

また、マンション管理適正評価制度と管理計画認定制度は、一度に双方をワンストップで取得できるものであり、双方取得しているマンションも多くなっています。

一度取得すると、双方の認定を継続しようという管理組合による意識も高まることから、

互いの審査・認定基準をクリアするという、より高いハードルに向き合うこととなります。

結果的にマンション管理の面においても、非常に好影響を及ぼすものとなってくるでしょう。

管理状況を見直す機会になる

2026年5月時点で横浜市は独自基準はありません

しかしながら、自治体によっては、独自の認定基準を定めているところも多数あります。

また、自治体の独自認定基準を満たしていないと、他を満たしていたとしても認定取得はできません。

一方で、認定を取得することにより、自治体の方針に即したマンション管理運営ができているということから、自治体や地域の特性を踏まえていることとなります。

とりわけ、独自基準を設けている自治体は、設けていない自治体に比べて、準備する項目も増えることから、管理組合として審査のハードルがあがるといえます。

管理組合にとっては、より高い審査をクリアしたということで、独自基準がない自治体に比べて、管理水準が高い可能性があるかもしれません。

まとめ

今回は横浜市の管理計画認定制度の例を挙げました。

横浜市に限らず、全国の各地方自治体が今後管理計画認定制度を進めてくることとなりますが、独自基準を定める自治体はあるものの、国が定めているチェック項目は共通で大きく変わりません。

今後は、

・修繕積立金
・長期修繕計画
・管理規約
・理事会運営

など、「管理状態そのもの」がマンション価値へ直結する時代になっていく可能性があります。

管理計画認定制度は、その管理状態を“見える化”する制度として、今後さらに重要性を増していくでしょう。総会や理事会で、早期に確認されることをお勧めします。

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