2022年4月にマンション管理業協会のマンション管理適正評価制度が開始されてから、1年半程度が経とうとしています。
最新のマンション管理新聞に興味深いデータが掲載されていましたので、一部紹介します。
マンション管理適正評価制度とは
上記のリンク(マンション管理計画認定を受けるまでの申請手続き)でも一部記載がありますが、
※専門家による評価を受け、総会で決議し、管理組合自らの責任(自己認証)で、情報開示を行うものです。
とホームページには記載があります。
マンションの管理会社の協会である、マンション管理業協会が独自で進めるマンションの評価制度であり、マンション管理新聞によると、6月30日時点の登録件数は1,359件とのことです。
6段階のうち、★5(最高)~★2までがマンション管理新聞に掲載されており、以下のような状況となっています。
※マンション管理新聞第1245号より
★5が291件、★4が444件、★3が457件、★2が167件とのことで、★1と★0の評価の登録はないとのことです。
またグラフにある「認定」というのが、この後にも触れる、自治体の管理計画認定制度も取得したマンションの数で、★5が44件、★4が9件で合計53件とのことです。
マンション管理適正評価制度と管理計画認定制度の関係
管理業協会が進めるマンション管理適正評価制度と、名前が似ていてややこしいのですが、自治体が進める管理計画認定制度は同時に取得することも可能です。
マンション管理適正評価制度の取得をする際に、同時に管理計画認定制度の取得も狙っていくという形になります。
同時に取得するいわゆる「ワンストップ申請」はマンション管理新聞によると49件とのことです。
前章で双方取得しているのは53件と紹介しましたが、差し引き4件はそれぞれを個別で取得したということになります。
個別に取得するということは、それぞれ別々で応募するということで、管理組合には相応の労力が必要となりますが、それでも取得したいという、かなりの意識が高いマンションであることが伺えます。
マンション管理適正評価制度と管理計画認定制度の違い
筆者が気になったのはこの双方の違いで、管理計画認定制度で評価されたマンションであっても、管理計画認定制度の評価条件を満たしていない点があるということです。
データ化されたのを確認したことがなかったため、改めて気になった点を挙げたいと思います。
修繕積立金の平均額について適正評価制度マンションの3割以上が未達
マンション管理新聞では、
と記載されています。
さらに、新聞では
とあります。
※『32.2%が「修繕積立金の額が著しく低額である」と評価された。』のデータは分からず
図3として、以下のグラフが付いていました。
※マンション管理新聞第1245号より
また、同号の別の記事ですが、国土交通省が8月10日に「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」の取りまとめを公表したとあります。
恐らくは、こちら
のものを参照したのでしょう。
長期修繕計画の各要件に対する準拠状況の差
そして、新聞には、グラフ①として、以下の要件について紹介されています。
※マンション管理新聞第1245号より
筆者としてはおなじみの項目ですが、
・「推定工事項目」19項目の内容が含まれているか
・修繕積立金の月当たり㎡単価を記載した様式が含まれているか
について、マンション管理適正評価制度で評価されたマンションには含まれていない割合が多くなっています。
もちろん、管理業協会の基準と自治体(国)の評価基準に違いがあり、差異が出るのは考えられるのですが、管理計画認定制度の評価が進まない理由も、自治体の手間や負担とともに評価内容の厳しさ等も含めてあるのかと、何となく感じた次第です。
今週同じくして発売した、週刊エコノミスト2023年8月29日号にも、『昨年4月開始も……自治体の管理計画認定制度 「管理不全」のあぶり出し不発』として紹介されています。
マンション管理適正評価制度は★が付いて売買の際にも分かりやすく、また評価マンションが1359件と多くのマンションで浸透し始めている一方で、自治体のお墨付きではない点はあります。
一方で、管理計画認定制度の認定マンションで掲載されているのは、8月16日時点で132件と新聞には記載がありました。
※筆者が8/29夜見た時は148件でした
徐々にこちらも増えていますが、マンション管理適正評価制度の10分の1程度といった感じで、まだまだこれからでしょうか。
自治体の取り組みなので、順次ということもあるかもしれませんが、今後の制度の浸透やマンションに対する制度のメリットなどにより、管理健全マンションが増加することを願っています。
まとめ
マンション管理業協会のマンション管理適正評価制度に関する記事に関連して、自治体が実施する評価制度である管理計画認定制度についての評価についても紹介しました。
2022年4月に始まり、まださほど時間が経っていないので、具体的に評価されるマンションが今後増えてくると想定されます。
いずれの制度にせよ、マンションの管理組合としては資産価値向上の観点から取り組む価値はありそうなので、今後の動向を引き続き確認していきたいと思います。

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