横浜市と周辺の斜行エレベーター付きマンション【地下室マンション】

マンション管理

※当コラムでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含むことがあります。ご了承ください。

神奈川県は、全域においてアップダウンが激しい丘状の地域が非常に多いのが特徴です。

とりわけ横浜の自然環境は、市域の7割以上を占める丘陵地・台地に発達した谷戸を中心とした田園環境です。
※横浜市 花鳥風月のまちづくりより

そのような丘陵を利用した戸建てやマンションも非常に多く見られます。

そして、マンションの建て方にも一工夫がなされている所が比較的見られます。

丘の尾根を利用して斜面上に住戸が立ち並ぶものは「斜面マンション」と呼ばれます。

通常のマンションに比べ、外観の特徴とともにエレベーターにも工夫が凝らされています。

今回は「斜面マンション」の中でも「斜行エレベーター」を兼ね備えているマンションを紹介します。

※2024年9月9日にサンヴェール保土ヶ谷マンションと東急ドエル横浜ヒルサイドガーデン追加
※2024年10月2日にシャリエ保土ヶ谷公園を追加

その前に…横浜市の地下室マンション条例を確認

横浜市には、斜面上にマンションを建てる場合において、条例で制約を定めています。

地下室マンション条例の背景

背景として、横浜市の地下室マンション条例によると、

近年、市内の斜面緑地において、周辺の住環境に比べ相当に大きなボリュームとなる「地下室マンション」に関する紛争が多発していました。これは、平成6年の建築基準法の改正により、住宅の地階部分の容積率が全国一律に緩和され、平地では地上3階までしか建築できない低層住宅地でも斜面地を利用すれば、実質、中高層のマンションでも建てられるようになったことによるものです。特に近年は緩和制度を最大限利用した極端な事例が増加していた…

とあり、ルール作りが必要との事でした。

有識者とともに検討した結果、平成16年6月1日に施行されています。

地下室マンションとは?

同じく横浜市の資料(横浜市斜面地における地下室建築物の建築及び開発の制限等に関する条例の概要)によれば、地下室建造物として、

周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える共同住宅、長屋又は老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するものの用途に供する建築物で、当該用途に供する部分を地階に有するもの

とあり、これに該当するものが「斜面マンション」にあたるようです。

地下室マンションには制限がある!

具体的な制限の内容は、同じく横浜市の資料より確認してみます。

神奈川県や千葉県はこのような斜面に沿って建てられているマンションが多いです。

また、多くの方がご覧になったことがあるでしょう。

しかしながら、制限が数多くあるのも事実です。

高さ制限と盛土(土を地面の上に盛る)の原則禁止が挙げられます。

さらには、景観美化を配慮した緑地や空地の設置等も義務付けられています。

横浜市と周辺地域にある斜行エレベーター付きの斜面マンション

斜面マンションのうち地下室マンションは、横浜市は条例に沿う必要があります。

また、今回紹介するマンションは、必ずしも地下室マンションに当たるとは限りませんが、

中でも珍しい斜行エレベーターが付いているマンションを筆者がピックアップしてみました。

※全て敷地外の前面道路もしくは離れた場所から撮影しています

ライオンズテラス弘明寺

まず初めに紹介するのが、磯子区岡村にあるライオンズテラス弘明寺です。

弘明寺とついているものの、縄文時代の遺跡として有名な三殿台遺跡の近くです。

入り口左上に、斜行エレベーターらしき斜めの滑り台上の構造物があります。

不動産会社のホームページの情報によれば、ライオンズテラス弘明寺は、1998年10月に建てられた総戸数は39戸、地上8階建てのマンションです。

この区域は、横浜市行政地図情報提供システムによると、市街化区域における第一種低層住居専用地域ということです。
※著作権法上リンクで紹介しますので、以降の紹介含めリンクを押してご確認ください

同制限地域は、高い建物が建てられない地域です。

そのため、このような斜面を利用してマンションを建てたのでしょう。

斜面上からすると、2階ぐらいの建物に収まる形で、周辺の景観と馴染んでいます。

サンヴェール横浜永田グランテラス

続いて紹介するサンヴェール横浜永田グランテラスになります。

京急井土ヶ谷駅からバスまたは徒歩でアクセスできるこちらのマンションも斜行エレベーターを持っているマンションのようです。

不動産会社のホームページの情報によれば、サンヴェール横浜永田グランテラスは1996年2月に建てられた、総戸数は83戸、地上10階、地下1階からなっています。

確認したところ、三重発動機という会社のホームページにサンヴェール横浜永田グランテラスの理事長インタビューが掲載されておりました。

エレベーター2基のうち、1基が斜行式だそうです。

横から見たところを撮影できなかったのですが、同じくGoogleMapでみることができました。

階段状になっており、高台の上にやや高めの住戸が立ち並んでいます。

用途地域としては、同じく横浜市行政地図情報提供システムから、こちらも第一種低層住居専用地域ということです。

少し高めの住戸も建築可能なため、周辺の戸建てよりも高くなっていました。

こちらのGoogleMapリンクからは、全貌を確認することができるアングルで調整して紹介します。

ガーデンテラス逗子東

横浜市から少しだけ外れますが、京急田浦駅から徒歩10分強にあるガーデンテラス逗子東も斜面上にあるマンションです。

逗子という地名が付いていますが、住所は横須賀市船越町3丁目にあります。

建築は1998年10月であり、総戸数69戸、地上13階と斜面に長く並んでいます。

隣の公園の敷地内から、斜面エレベーターを確認することができました。

ちなみに、都市計画上の用途地域は、第一種低層住居専用地域にあるマンションです。

よこすかわが街ガイド法規制・まちづくりより検索したところ、そのような結果でした。

また、隣にニックライブステイツ湘南田浦という、1988年1月に建てられた15階建てのマンションが建っていました。

同じく、横須賀市船越町3丁目の用途地域を調べてみました。

丁度ニックライブステイツ湘南田浦がある中央の黄色い所(よこすかわが街ガイド)は第1種住居地域でした。

こちらは高層のマンションを建てることでできる区域です。

その上の緑のところにある台形状のものがガーデンテラス逗子東であり、用途地域が違っていることがわかります。

近隣のマンションでもこのような差があるのは、見ていて興味深いところではあります。

サンヴェール保土ヶ谷マンション

たまたま保土ヶ谷から国道一号線沿いを歩いていた時に、斜めのエスカレーター状になっているマンションを確認しました。

JR横須賀線保土ヶ谷駅から徒歩20分弱の所になります。ちょっと近くによって確認させて頂きました。

不動産会社の情報によれば、サンヴェール保土ヶ谷マンションは、1988年2月に建てられた総戸数136戸、地上13階建てのマンションとのことです。

マンションを見ると、13階までではなく途中階まで運んでくれるマンションでした。

それ以上の階に行く際は乗り換えが必要なようです。

エレベーターの乗り換えが必要なマンションは比較的珍しいなと思って見ていました。

また、丘に沿って建っているマンションですが、上に高くそびえたっているため、用途制限はさほどなさそうな感じでした。

具体的に調べたところ第一種住居地域ということで、比較的高いマンションは可能な地域でした。

東急ドエル横浜ヒルサイドガーデン

こちらは、東海道線や横須賀線に乗っていると、車窓から見えるマンションです。

ちょうど保土ヶ谷駅と東戸塚駅の中間地点になり、こちらへのアクセスはバスが中心になります。

また、道の上を走っているのは横浜横須賀道路です。

狩場インターと新保土ヶ谷インターの間で、横浜新道や保土ヶ谷バイパスとも合流する場所にあたります。

こちらの東急ドエル横浜ヒルサイドガーデンは、1999年8月に建てられた、総戸数227戸、地上6階建ての大規模マンションです。

マンションの正面側は東海道、横須賀線とともに、その向こうには旧東海道の権太坂がある丘陵地帯となっています。

残念ながら、外観からは斜行エレベーターの確認ができませんでしたが、はまれぽの情報によればついているようです。

そして、マンションの裏側にも上ってみました。

横浜横須賀道路のうえを通行できるようになっており、向こう側も非常に良い景色です。

橋の向こうの丘に段階上になっているのは、シャリエ保土ヶ谷公園という特徴的なマンションです。

また、気になる用途制限を、横浜市行政地図情報提供システムで確認してみました。

すると、このマンションは、

・道路から50mまでは第二種住居地域
・横浜横須賀道路沿いは第一種住居地域
・道路から50mよりも奥は第一種低層住居専用地域

でした。

各住居地域を踏まえて工夫された段丘状のマンションが出来上がったことを、改めて知れてよかったです。

シャリエ保土ヶ谷公園

東急ドエル横浜ヒルサイドガーデンの頂上側から、横浜横須賀道路の先にあるのがこのマンションです。

シャリエ保土ヶ谷公園は、1992年6月に建てられた39戸の小規模タイプです。

少々行ってみることにしました。

下ったり登ったりすると、正面にたどり着きました。
※本来は坂を上るですが、このあたりは急坂なので「登る」としています

玄関側の正面からだと、斜行エレベーターがあるその姿が分かりません。

隣に公園があったので、ちょっと見てみましたが、ここからもその姿は分かりませんでした。

そのため、向かい側の丘に回ってみることにしました。

すると、向かいの公園側からその全貌が確認できました。

エレベーターがあるかははっきり分かりませんでしたが、正面右側に位置するのでしょうか。

物件の特徴には、確かに斜行エレベーターがあることが記載されています。

39戸なのに地上14階建てということで、その斜面上に建つ住戸が非常に特徴的です。

さらに坂を上って登って違う角度から。

非常に特徴的な斜面上に建つマンションで、また見てみたくなりました。

そして、気になる用途制限を、横浜市行政地図情報提供システムで確認してみました。

すると、マンションの周りはすべてグリーンの第一種低層住居専用地域ということでした。

中心の+がこのマンションの位置ですが、低層の戸建てが立ち並ぶ中の要塞的な位置づけで、一種低層のマンションならではの特徴が非常に出ています。

ルネ上星川

最後に紹介するのが、横浜というよりも斜面マンションでは筆頭格といえる、上星川駅近あるルネ上星川です。

マンションの紹介

相鉄線に乗っていたり国道16号を走っていると、気づくかもしれませんね。

斜面上に広がる壮大な住戸が確認できます。

国道16号沿いにある戸建てや小規模マンションの後ろの斜面にあるマンションです。

斜面マンションの代表格とも言えるでしょう。

不動産情報によると、ルネ上星川は1987年7月に建てられた、総戸数771戸、19階という非常に大きなマンションです。

斜行エレベーターは?

国道16号沿いにある入り口の所からみてみました。

この先にエレベーターが斜面に沿って走っており、ケーブルカーの様なイメージで上階まで上がっていく感じでしょうか。

GoogleMapでルネ上星川の入り口をみると、その様子がより確認できます。

以前、こちら

でもルネ上星川について触れています。

1987年竣工で正式には横浜市の地下室マンション条例以前に竣工しています。

また、はまれぽでの紹介

で詳しくルネ上星川の情報が掲載されていました。

そこには斜行エレベーターの様子が具体的に記載されています。

記事を見ると、まさにケーブルカーに乗っている様なエレベーターでした。

子どもたちは非常に興味深く映るのではと思いました。

そして、上層階は高台のうえにあるということです。

横浜市内が一望できる景観も素晴らしいようですね。

こちらのGoogleMapからルネ上星川の壮大なエレベーターや構造が確認できます。

そして、住んでいる人の景色もGoogleMapで疑似的に表示できます。

富士山が一望できるこのような感じでしょうか。

用途地域と地図

他のマンションと同様に、横浜市行政地図情報提供システムで調べてみました。

すると、マンションの前を走る国道16号の中心線から50mまでが準住居地域でした。

そこから丘の方向のおもに住戸が立ち並ぶ地域は第1種低層住居専用地域となっていました。

ほとんどが第1種の範囲内のため、あのような壮大な斜面マンションが現れるんですね。

地図は以下の通りです。

上星川駅前の非常に便利な場所です。

相鉄線で横浜や西谷経由で都内へも出やすくなっている立地といえます。

まとめ

筆者がたまたま発見した斜行エレベーター付きマンションを取り上げました。

各マンションとも非常に外観が特徴的であり、工夫がなされているといえます。

横浜市内は7割以上が丘陵地・台地で人口が密集している都会です。

そのため、どうしても斜面にマンションを建てる必要も発生します。

斜面にマンションを建てるとなると、階段だけでは当然住民の負担も大きくなります。

そこで、エレベーターを創る際の工夫も必要です。

ほかにも斜行エレベーターがあるマンションはありそうですので、また機会あれば追加して取り上げたいと思います。

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