マンションは増え続け、確実に古くなる──2025年ストック7,795,763戸が示す現実

マンショントピックス

※当コラムでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含むことがあります。ご了承ください。

東京カンテイが2026年1月29日に発表したデータによると、2025年末時点の全国分譲マンションストックは7,795,763戸に達しました。最多は東京都の2,048,378戸で、100万戸超は神奈川県(1,037,960戸)を含めた2都県のみという構図は変わっていません。

一方で注目すべきは供給量ではなく築年構成です。築10年以内は1,125,251戸(シェア14.4%)へ縮小する一方、築40年超は全国で1,777,080戸(シェア22.8%)と着実に増加しており、全築年帯の中で2番目に多い区分となっています。

この数字は、管理組合運営の論点が「新築時の管理立ち上げ」から「高経年ストックの維持と意思決定」という次のフェーズに移行していることを示唆します。

全国ストックの現状|増えているが、地域差は固定化

都道府県別でマンションストックが最も多いのは東京都の2,048,378戸で、次いで神奈川県の1,037,960戸、大阪府の896,069戸となっています。前年に比べて1万戸以上増えたのは東京、神奈川、大阪の3都府県のみです。

以下は、都道府県別の詳細なランキングデータです。

【表①】全国 都道府県別 マンションストック戸数ランキングおよび築年帯別シェア

※東京カンテイ調査(2025年末時点、2026年1月29日公表)

順位 都道府県名 総ストック戸数 築10年以内 戸数 築10年以内 シェア(%) 築40年超 戸数 築40年超 シェア(%)
1東京都2,048,378336,07616.4%522,13225.5%
2神奈川県1,037,960130,93912.6%237,36722.9%
3大阪府896,069151,24816.9%242,98627.1%
4兵庫県493,83751,65710.5%122,03324.7%
5埼玉県483,84851,92710.7%112,57623.3%
6千葉県468,87851,29010.9%140,95530.1%
7愛知県415,61572,19417.4%83,15920.0%
8福岡県408,63462,80815.4%69,45117.0%
9北海道226,49020,2789.0%52,41423.1%
10京都府155,91024,87716.0%38,48524.7%
11広島県143,60123,19116.1%20,08614.0%
12宮城県99,30312,96913.1%15,83916.0%
13静岡県96,4788,3578.7%20,77821.5%
14奈良県57,3483,6416.3%12,57821.9%
15新潟県52,2033,8117.3%10,38519.9%
16滋賀県48,2418,29817.2%3,4697.2%
17沖縄県45,58115,26933.5%4,0588.9%
18茨城県44,1187,72317.5%4,96911.3%
19熊本県43,2737,30516.9%3,5878.3%
20岡山県38,1548,48322.2%3,2938.6%
21大分県36,2515,05814.0%4,30311.9%
22鹿児島県32,8156,10418.6%7,19521.9%
23長崎県32,4596,25219.3%3,45710.7%
24香川県30,4204,87516.0%4,23513.9%
25山口県29,3155,39618.4%2,4878.5%
26長野県26,5143,38612.8%3,32012.5%
27愛媛県26,1214,22716.2%2,69210.3%
28群馬県24,5742,1958.9%2,83811.5%
29三重県22,1463,01013.6%2,36510.7%
30栃木県22,0983,28614.9%1,8448.3%
31岐阜県20,9683,55416.9%1,8558.8%
32福島県19,2762,33112.1%1,7829.2%
33石川県18,5602,10611.3%2,25912.2%
34和歌山県18,3191,7579.6%4,55924.9%
35宮崎県16,4373,29920.1%1,3878.4%
36岩手県14,7641,57610.7%1,86412.6%
37高知県13,9302,62818.9%1,54811.1%
38佐賀県12,5021,90115.2%2702.2%
39山梨県12,4798877.1%1,68213.5%
40徳島県11,3931,40912.4%9738.5%
41富山県10,5431,84317.5%9268.8%
42島根県7,4591,85624.9%991.3%
43山形県7,40886611.7%79410.7%
44鳥取県6,7091,11516.6%77711.6%
45秋田県6,5666139.3%3465.3%
46福井県5,92666811.3%1202.0%
47青森県5,89271212.1%5038.5%
全国7,795,7631,125,25114.4%1,777,08022.8%

※引用:東京カンテイプレスリリース マンションストック戸数ランキング 2026年1月29日 全国都道府県別マンションストック戸数ランキングおよび築年帯別シェアより、筆者が独自集計

【この表から読み取れるポイント】

  • ストックの二極化:東京都(2,048,378戸)と神奈川県(1,037,960戸)のみが100万戸を超え、全国ストック(7,795,763戸)の中でも首都圏への集中が際立ちます。ストックの偏在は“増え方”以上に固定化しており、都市部ほど合意形成や担い手確保の負荷が累積しやすい構図です。
  • 高経年化の進行築40年超の比率が最も高いのは千葉県(30.1%)で、築10年以内(10.9%)を大きく上回っています。これは築古ストックの厚みを意味し、長期修繕計画や資金計画の現実適合、総会運営の難易度が上がりやすい地域と読み取れます。

併せて、比率だけでなく絶対数にも注意が必要です。東京都(築40年超522,132戸)や大阪府(同242,986戸)のように母数が大きい地域では、個別組合の問題が“都市インフラ課題”として広がりやすくなります。

こうした高経年化への備えとして、小規模から大規模までの課題を整理した記事も併せてご覧ください。

行政区データが示すもの|江東区132,149戸の意味

行政区別では東京都江東区が132,149戸で最多です。以下は、全国主要行政区別データの抜粋です。

【表②】全国 主要行政区別 マンションストック戸数ランキングおよび築年帯別シェア

※東京カンテイ調査(2025年末時点、2026年1月29日公表)

順位 都道府県名 行政区名 総ストック戸数 築10年以内 戸数 築10年以内 シェア 築40年超 戸数 築40年超 シェア
1東京都江東区132,14923,95718.1%29,73222.5%
2東京都世田谷区115,17614,29012.4%36,39831.6%
3東京都大田区112,30916,96315.1%27,01924.1%
4東京都港区110,18117,46415.9%36,59133.2%
5東京都新宿区103,52714,76514.3%35,03033.8%
6東京都板橋区95,55716,68817.5%25,40626.6%
7東京都品川区92,01718,37120.0%27,13529.5%
8東京都中央区79,37322,21028.0%14,21117.9%
9東京都練馬区76,54513,71117.9%14,49218.9%
10東京都足立区74,32313,68318.4%13,63618.3%
11東京都渋谷区71,4968,83412.4%29,00740.6%
12千葉県船橋市71,0227,51310.6%19,85628.0%
13福岡県福岡市中央区64,73810,94316.9%14,29222.1%
14東京都杉並区64,5946,73410.4%19,88330.8%
15兵庫県西宮市62,7846,24910.0%15,58624.8%
16埼玉県川口市62,6998,50813.6%14,14222.6%
17大阪府吹田市61,2529,22915.1%20,42133.3%
18東京都墨田区60,55812,92421.3%10,28517.0%
19東京都江戸川区60,49610,42417.2%14,33223.7%
20東京都豊島区60,0078,08713.5%16,15526.9%
21東京都文京区59,7778,17913.7%14,79624.8%
22北海道札幌市中央区57,6947,53513.1%15,24926.4%
23東京都台東区55,59413,43624.2%9,89217.8%
24福岡県福岡市博多区53,91611,86622.0%7,61014.1%
25神奈川県横浜市港北区52,3986,08011.6%11,96722.8%
26東京都葛飾区52,24711,01121.1%8,31115.9%
27大阪府大阪市中央区51,35315,20329.6%9,49318.5%
28大阪府大阪市北区50,62014,05027.8%11,50922.7%
29東京都北区49,89012,76125.6%8,78917.6%
30大阪府豊中市49,6145,06210.2%16,51033.3%
31東京都八王子市49,2975,06810.3%10,29620.9%
32神奈川県横浜市鶴見区46,9135,61212.0%9,43320.1%
33兵庫県神戸市中央区46,36210,18022.0%10,25822.1%
34東京都中野区46,1307,68316.7%14,69331.9%
35東京都目黒区46,1274,97010.8%17,34937.6%
36千葉県市川市45,3563,3537.4%16,49836.4%
37兵庫県尼崎市44,2196,02213.6%11,07625.0%
38千葉県千葉市美浜区44,1236,81615.4%18,00640.8%
39千葉県松戸市44,0582,6125.9%17,14038.9%
40兵庫県神戸市東灘区43,8612,4995.7%10,99425.1%
41福岡県福岡市東区42,30310,06623.8%4,32110.2%
42神奈川県横浜市中区41,8407,93919.0%8,01619.2%
43神奈川県横浜市神奈川区41,6817,16817.2%8,41020.2%
44神奈川県川崎市中原区41,4879,42522.7%3,3538.1%
45大阪府大阪市淀川区40,6006,87316.9%14,19435.0%
46神奈川県川崎市川崎区40,4949,80424.2%5,04912.5%
47宮城県仙台市青葉区39,3365,56814.2%9,02522.9%
48神奈川県藤沢市38,4725,94415.5%8,75622.8%
49神奈川県横浜市戸塚区38,2923,88510.1%10,12326.4%
50愛知県名古屋市中区38,23317,84246.7%8,54222.3%

※引用:東京カンテイプレスリリース マンションストック戸数ランキング 2026年1月29日 全国主要行政区別マンションストック戸数ランキングおよび築年帯別シェアより、筆者が独自集計

【この表から読み取れるポイント】

  • 都心エリアの成熟化:渋谷区(築40年超40.6%)や港区(33.2%)、新宿区(33.8%)など、都心部ほど築40年超の比率が高く、マンションストックの「更新局面」に入っていることが分かります。利便性の高さと引き換えに、建替えや大規模修繕、合意形成といった管理上の重いテーマを抱えやすいエリアです。
  • 管理課題の分化:名古屋市中区は築10年以内が46.7%と高く、初期修繕・管理体制整備が中心となる一方、世田谷区や杉並区のように築40年超が3割前後のエリアでは、資金不足対策や意思決定の難易度上昇が主要課題となります。同じ「都市部」でも、築年構成によって管理組合が直面する論点は大きく異なります。

管理組合運営の一般的な課題と解決のポイントを整理しています。

管理組合実務への示唆|ストックデータは「事前に示されたリスクサイン」である

これからの管理組合の主戦場は、高経年マンションの「維持」と、それを支える「合意形成」です。今回のマンションストックデータは、将来顕在化する課題を示すものではなく、すでに管理現場で起き始めているリスクを数値として可視化したものと捉えるべきでしょう。

まず、長期修繕計画の現実適合性が強く問われます。建築資材価格や人件費が上昇する中で、従来型の前提条件のまま30年以上先を見据えた計画が、本当に実行可能なのかを再点検する必要があります。計画上は成立していても、実際には積立金が追いつかず、見直しを繰り返すケースが増えています。

次に、修繕積立金の不足リスクです。築40年超の比率が高い地域では、大規模修繕や設備更新が連続する局面に入りやすく、資金不足はそのまま工事延期や仕様縮小につながります。結果として、建物性能の低下が資産価値に直結する点は無視できません。

さらに、不在所有者や賃貸化を前提とした運営への対応も避けられません。都市部を中心に賃貸化が進む中で、総会の成立や重要議案の合意形成は年々難易度を増しています。従来の「住んでいる人が中心」という前提を見直し、意思決定プロセス自体を再設計する必要があります。

マンションの経年化は止められませんが、データを正しく読み取り、早い段階で備えることで、管理組合が選べる選択肢は確実に広がります。

「計画的な修繕」のチェックポイントはこちら。

マンションの経年化は止められません。しかし、管理計画認定制度の活用や専門家の知見により、資産価値を次世代へと繋ぐ選択肢は増やせます。


この記事は長文です。上記の印刷ボタン・リンクから飛んでいただき、印刷、またはPDFとして保存して、お手元でじっくりお読みいただけます。

【記事執筆・監修】
マンション管理士・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 古市 守
横浜マンション管理・FP研究室(研究室紹介)

マンション管理全般に精通し、管理規約変更、管理会社変更、管理計画認定制度の審査、修繕積立金の見直し、自治体相談員、コラムの執筆など、管理組合のアドバイザーとして幅広く活動。
また、上場企業やスタートアップ・ベンチャー企業のCFOや財務経理部長経験から、経営・財務経理分野にも精通。コンサルティング会社経営の傍ら、経営・財務経理視点を活かし、マンション管理の実践的サポートを行う。
古市 守の著者紹介ページはこちら

横浜マンション管理・FP研究室(研究室紹介)をフォローする
マンショントピックス
シェアする
横浜マンション管理・FP研究室(研究室紹介)をフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました