私たちが掲げるマンション管理の理念は「100年続くマンション」を実現することです。
地震大国と呼ばれる日本においても、適切な耐震補強や修繕を重ねれば、建物は世代を超えて住み継ぐことが可能です。
外国文化を受け入れてきた港町・横浜は、和洋折衷の建築が多く残る都市でもあります。震災や戦災を経ても残るビンテージ建築は、横浜の街の個性を物語る貴重な存在です。
本記事では、その中でも特に注目されるビンテージビルやマンションを取り上げ、歴史的背景やドラマロケ地としての魅力、そしてマンション管理士の視点から見た維持管理のポイントを紹介していきます。
ビンテージの定義
「ビンテージ建築」とは、単に古いというだけではなく、歴史的背景や独特のデザイン性によって価値を持つ建物を指します。
一般的には戦前から1960年代頃にかけて建てられたものが多く、横浜でも都橋商店街のように昭和を象徴する建物が横浜の歴史的建造物に認定されるとして評価されています。
また、マンションにおいても1980年代築のものが既に築40年以上を迎えており、不動産業界では「ビンテージマンション」としてブランド価値を持つケースも増えています。
こうした建物は外観の味わい深さだけでなく、資産価値や居住者のライフスタイルを左右する存在となっています。
ビンテージはその外観の味わい深さとしては見るに値するものばかりです。
一方で、住むためには耐震性を担保する必要もあります。
ビンテージクラスとなると、ほとんどの建物で旧耐震の建物であることから、耐震補強等の整備が合わせて重要であるといえるでしょう。
横浜で頑張っているビンテージビルやマンションの紹介
横浜で頑張っているビンテージ達を、今回は2つ紹介します。
都橋商店街(野毛)
横浜のビンテージ建築を語るうえで欠かせないのが、野毛・都橋商店街ビルです。
横浜市中区宮川町、大岡川沿いに弧を描くように建つその姿は、まさに横浜の夜景を彩る象徴的存在。
戦後の露店を収容するため、1964(昭和39)年の東京オリンピックを前に市の方針で建築された軽量鉄骨造2階建ての共同店舗で、横浜市歴史的建造物にも登録されています。
また、この独特のカーブを描く外観は数々のドラマや映画のロケ地として登場しており、文化財級の価値を持ちながらも今なお現役で営業を続けています。
※文化庁のホームページより
1960年代中盤でも文化的価値があるとのことです。
その為、2016年に横浜市の戦後建築として初めて横浜市歴史的建造物に登録されました。
また、既に文化庁のホームページに掲載されているということは、今後登録有形文化財や重要文化財の可能性も考えられるかもしれません。
写真を見たら、川向こうから映っている写真がありました。
筆者も同様にパノラマで撮ってみました。
※※iPhoneSEで撮影:夜の都橋商店街は、川沿いに並ぶ小さな飲食店のネオンが水面に映え、まさに横浜らしい情景を描き出しています。
対岸の正面から見ると、まさに円弧を描いておりこのような形で見ることができます。
古い建物であると共に、大岡川のカーブに沿って並んでいる所も魅力の一つでしょう。
横浜のビンテージ建築といえば、不二家横浜センター店(レーモンド設計)や弁三ビルも有名です(詳しくはシリーズ②で解説)。
AKIYAMA MANSION(秋山マンション/中区大芝台)
次に紹介するのは、中区大芝台にある秋山マンションです。
テレビ東京系列の人気ドラマ「名建築で昼食を」で、池田エライザさん演じる主人公・春野藤の住まいとして登場したことで、一躍脚光を浴びました。
桜の季節には外観がより一層映え、根岸森林公園や旧一等馬見所といったビンテージ建築群とともに散策ルートとして楽しめます。
築年数や建築年は不明な点が多いものの、その佇まいから漂うビンテージ感は多くの人を惹きつけています。
見るからにビンテージ感が出ています。
マンション管理士としてマンションの管理という点においては、外観的にはまた別の考えがありますが、一旦はこのマンションの味わいを確認するという形にさせて頂きます。
何度か外観を確認していますが、非常に味があるマンションです。
筆者もたまたま桜の咲くころにも散策しました。
ドラマの主人公でもある池田エライザさんが演じる春野藤が住んでいて、この前を通って部屋に入っていくシーンがあります。
最寄り駅からは比較的遠く、バスや自転車が必要な所ですが、人気の様で空きはなさそうです。
いつ建築されたのか非常に興味はありますが、詳細は出ていませんでした。
またマンションの裏側には、ドラマでも大きな古い建物が確認することができます。
根岸森林公園の名物建物である旧一等馬見所であり、その全貌が確認できます。
高台に建つ秋山マンションですが、周辺はこのマンション以外にも、古いビンテージマンションが建っています。
根岸森林公園の旧一等馬見所と共にビンテージ好きにとって、散策にはいい所でしょう。
100年続くマンションを
マンションは築年を重ねるほどに、外観や設備の老朽化だけでなく、耐震性や資産価値にも影響が及びます。
しかし、計画的に修繕積立金を確保し、大規模修繕や耐震補強を実施することで「100年続くマンション」は実現可能です。
ビンテージマンションを次世代に残すためには、管理組合が主体的に学び、合意形成を重ね、専門家と連携していくことが欠かせません。
そして、横浜に残るビンテージ建築を訪ね歩くことは、街の魅力を再発見する機会にもなります。
休日の散策で歴史を感じつつ、自分たちのマンションを未来にどうつなぐかを考えてみてはいかがでしょうか。
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