マンション管理組合必見!修繕積立金不足を防ぐための3つのポイント

マンション管理

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最近ではメディアでもよく取り上げられている通り、修繕積立金が不足しているマンションが増えています。

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マンション修繕費などの積立金不足で専門家検討会 国土交通省 | NHK
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また、先日発表された、令和5年度のマンション総合調査でも、「現在の積立額が計画に比べて不足している」と回答したマンションが36.6%に及んでいます。

マンションとして非常に重要な修繕積立金ですが、将来的に枯渇しないようにするためには、どのような工夫が必要なのでしょうか?

各管理組合の長期修繕計画とともに修繕積立金の状況を細かく確認している、マンション管理士である筆者の独自見解も踏まえて紹介します。

マンション管理組合必見!修繕積立金不足を防ぐための3つのポイント

今回紹介する内容は以下の通りです。

・マンション修繕積立金とは?
・修繕積立金の管理や運用の3つのポイント
・将来的な修繕積立金の課題と改善策

マンション管理調査においても、多くの管理組合において修繕積立金不足を認識しています。

また、修繕積立金に問題がないとする管理組合においても、将来に備えて値上げを検討しているところが非常に多くなっています。

特に自分たちのマンションにおいてどのようになっているのか、不明と回答しているマンションも多いことから、早い段階で解決策を打っていくことが重要です。

具体的に各章において、修繕積立金における突っ込んだ内容を紹介します。

マンション修繕積立金とは?

まず初めに、修繕積立金の金本的な点と、その重要性について紹介します。

修繕積立金の役割と必要性

マンション管理組合で話題に上がる修繕積立金とはそもそもどういうお金を指すのでしょうか?

修繕積立金は、国土交通省から出されている「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」ではのように定義されています。

・マンションの外壁や屋根、エレベーター等の共用部分は、マンションの購入者(区分所有者)で団体(管理組合)を構成し、維持管理・修繕を行う
・購入したマンションについて、安全・安心で、快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するためには、適時・適切な修繕工事を行うことが必要
・マンションの共用部分の修繕工事は長い周期で実施されるものが多く、修繕工事の実施時には、多額の費用を要する
・こうした多額の費用を修繕工事の実施時に一括で徴収することは、区分所有者にとって大きな負担となり、区分所有者間の合意形成が困難
・場合によっては、資金不足のため必要な修繕工事が実施できないといった事態にもなりかねない
・こうした事態を避けるため、将来予想される修繕工事に要する費用を、長期間にわたり計画的に積み立てていくのが「修繕積立金」

このように、修繕積立金は、マンションを長期間にわたり、良好な状態に維持していくために必要なものとなっています。

なお、修繕積立金は、共用部分について管理組合が行う修繕工事の費用に充当するための積立金であり、専有部分について各区分所有者が行うリフォームの費用は原則として含まれません。

適切な修繕積立金の計画

修繕積立金を不足なく積み立てるためには、前述の通り、「将来予想される修繕工事に要する費用」を満たさなければなりません。

また、将来の修繕工事費用はどれぐらいかかるのか、現時点から計画的に考えていく必要があります。

そこで必要となってくるのが「長期修繕計画」という概念であり、管理組合として長期的な修繕計画を立案していくことが重要です。

修繕積立金の適正額の設定方法は?

一方で、将来的な工事の計画とともに、管理組合として各区分所有者からどれぐらいの修繕積立金を積み立てることが必要なのかを検討する必要があります。

さきほど紹介した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」には、管理組合としてどれぐらいの修繕積立金を計画すればよいのか、目安としての基準値が示されています。

今回細かな紹介は割愛しますが、簡単に記載すると

・長期修繕計画で将来必要な工事を具体的な年数を含め見積もる
・工事代金を将来のインフレ等も加味して見積もる
・現在保有する修繕積立金を踏まえて将来の工事に充当すべき修繕積立金を計算する
・将来の工事に備えた修繕積立金から逆算して建築床面積あたりの平米単価を試算する
・平米単価が上記の表に当てはまれば現時点では基準値はクリアしていると判断
・基準値を満たしていない場合は値上げや金融機関からの借入等も検討する

という形になります。

修繕積立金の管理や運用の3つのポイント

次に、区分所有者から徴収する修繕積立金ですが、その管理や運用はどのように行えばよいのか、紹介します。

管理費と修繕積立金の区分経理

多くのマンションでは、普段のマンション管理に利用される「管理費」と、前章でも紹介した将来的な大規模修繕工事等に備える「修繕積立金」をそれぞれ徴収しているでしょう。

また、これら徴収したお金は、それぞれ違う用途で使用されることから「区分して経理」することが必要となります。

総会で提示される資料から、ご自宅の管理組合の状況を確認していただくと分かりますが、収支計算書は「管理費」「修繕積立金」で分かれているのが一般的です。

これらを混同してはならず必ず分けて管理することで、将来的な修繕に備える必要があります。

長期修繕計画と修繕積立金との整合

前章の「修繕積立金の適正額の設定方法は?」でも紹介しましたが、まずは長期修繕計画を立案して、将来想定される工事費用を計画する必要があります。

そこから逆算して、必要な修繕積立金の見積もりを行うこととなります。

そして、これらは必ず関連付けて算出する必要があり、それぞれ別個で計算すると本当に必要な積立額が分からなくなります。

将来的に必要な工事を適切に見積もり、必要な修繕積立金を精緻に算出していく必要があります。

余剰となる修繕積立金の活用

徴収した修繕積立金は将来に備えるという観点から、ある程度の緊急のために備える以外は直近使用しない場合もあるでしょう。

また、特にタワーマンションや団地等の大規模マンションになるとその額が億単位と莫大になり、ただ銀行の修繕積立金口座に寝かせておくだけでは勿体ないということにもなります。

そこで考えられるのが、修繕積立金を運用するという考え方です。

中でも、住宅金融支援機構で展開している「マンションすまい・る債」は修繕積立金の運用手段として有名です。

具体的には

2024年度の債券の利率(10年満期時年平均利率(税引前))として
・マンションすまい・る債:0.500%
・管理計画認定を受けた場合は0.05%上乗せの0.550%
・住宅⾦融⽀援機構の信⽤状況の悪化等により元本割れの可能性があるものの、住宅⾦融⽀援機構の財産から優先的に弁済されることが定められており、財産を保全措置が講じられている
マンションすまい・る債FAQより)

となっています。

ちなみに、前年度は2,700組合が購入を希望したとのことで、安定性もあり人気のある運用先となっています。

マンション管理組合、資産運用に活路 23年度、専用債券の応募最多 修繕費上昇で住民負担抑制 - 日本経済新聞
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将来的な修繕積立金の課題と改善策

最後に、多くの管理組合に当てはまる修繕積立金に関する課題と、その改善策について紹介します。

管理組合内での意識の統一

まず、管理組合内において修繕積立金に対する意識を統一しなければなりません。

前提としては、将来的な修繕工事を考えた場合、このままでは多くのマンションでは修繕積立金が不足するであろうという現実です。

これは修繕工事のための材料の物価や工事担当者の人件費の上昇等のインフレに加え、将来的には予測しえない劣化の可能性もあるためです。

特に高経年マンションについては劣化に加えて、住民の高齢化という「2つの老い」が将来どのマンションにおいてもますます進んでしまいます。

高齢者が多いマンションは「自分たちの代だけでなんとかなればよい」と考える傾向も少なからず発生することから、修繕積立金に対する値上げへの反発の可能性もあります。

若い方も同居している場合、なによりも管理組合としての修繕積立金の考え方の方向感を統一することで、全体としての合意形成を図っていくことが何よりも重要です。

将来的な不足への早期対応

修繕積立金に対する将来的な不足が具体化すれば、その手当を早期に行っていく必要があり、各戸から徴収する修繕積立金の値上げを決める必要があります。

自ら責任を負うことを避けたいとして、現役員として修繕積立金の額を改定することに対し先送りにすることは、管理組合としてよいことはありません

役員のみの責任ではなく、区分所有者個々の問題として管理組合全体の責任として位置づけ、一日でも早く手当していくことが望まれます。

速やかに長期修繕計画を改定して、修繕積立金のあるべき額の明確化とともに、総会での決議によって管理組合全体として合意形成を図っていくことが必要でしょう。

長期修繕計画の定期的見直しと適切な金額設定

修繕積立金と密接に関係する長期修繕計画は、一度作ればそれでよいという訳ではなく、定期的に見直す必要があります。

基本的には30年以上の長期修繕計画を策定し、5年程度毎に見直していくことを国土交通省も推奨しています。

5年後には、さらに更新版の30年以上の長期修繕計画を作成する必要があり、前回に対してさらに将来5年以上を追加して作成することが求められます。

さらには、5年後の時点においての物価や人件費の影響等をできるだけ反映し工事費に踏まえるとともに、再度修繕積立金が適正であるかどうか、チェックすることも必要でしょう。

まずは修繕積立金に対する現状認識が重要

お住まいの各管理組合における修繕積立金の現状をまずは把握する必要があります。

定量的な理解ができれば尚よいですが、定性的な課題感をもって管理組合運営に臨むことが求められます。

役員である理事長をはじめとした理事や監事だけではなく、区分所有者全員の課題として認識することが重要といえるでしょう。

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