マンション管理上、マンションについて基本的な課題や質問を、質疑形式で回答する形で紹介します。
マンションの基本として、知っておいた方がいいことや、プラスアルファの知識の参考になればと考えています。
※Q&Aについては、筆者が所属する浜管ネット(横浜マンション管理ネットワーク)や、マンション管理センター等の切り口を参考に記載しています。
【管理組合Q&A】管理組合とはどのような団体なのでしょうか?他
今回は以下の様な内容を分かりやすく紹介します。
・管理組合運営における規定・ルールはどのように定められているのでしょうか?
・管理組合を法人化するメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
理事の就任が初めてだったり、さらには初めてマンションを購入する場合においては「管理組合?自治会や町内会とどう違うのか??」など、疑問に感じる方も多いと思います。
また、管理組合には運営上のルールがあり、組合員や組合員から賃貸で借りて住んでいる人は、ルールを守りながら生活をしていく必要があります。
また、管理組合は法人化も可能ですが、法人化した場合のメリットやデメリットについても解説します。
管理組合とはどのような団体なのでしょうか?
そもそも管理組合とは、どのような団体・集まりのことを指すのでしょうか。
マンションのことを定めている区分所有法の第三条には、
と規定されています。
「団体の構成」が管理組合として位置づけることができますが、この団体構成と区分所有者が加入することは義務として位置づけられています。
そのため、「マンションを買ったけど、管理組合には加入しない」ということはできないこととなります。
管理組合員から賃貸でマンションを借りている住民は、区分所有者ではないことから、管理組合員とはなりません。
また、後半の「集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」という文面は、集会はこの法律ではこの言い方ですが、規約では「総会」の位置づけ、管理者は同様に「理事長」に近い位置づけです。
この文章の「置くことができる。」とあるのは、極論区分所有法の解釈では管理組合さえできていれば、総会や規約、理事(長)はいらないということも考えらえます。
しかしながら、現状の管理組合運営においては、これらが機能していないとほぼマンション管理が行えず、「総会やってません」「管理規約ありません」「理事(長)いません」というマンションはほぼないことから、強制とはいえないまでも、管理組合総会を実施し、管理規約を定めて、理事長をはじめとする理事や監事等の役員を定めるのが一般的です。
管理組合運営における規定・ルールはどのように定められているのでしょうか?
前章の区分所有法の第三条において、管理組合総会を開き、管理規約を定め、理事長をはじめとした役員を配置する必要がある点を紹介しました。
まずは管理組合において意思決定機関である総会を開催して、管理規約を定めて、役員を選任することが必要となります。
総会は、株式会社でいう株主総会に近い形でイメージすると良いかもしれません。
管理規約は、管理組合として最低限守るべきルールであり、総会の特別決議(区分所有者数及び議決権の4分の3以上の決議)で、制定や変更、廃止がなされることとなります。
国土交通省が定めているひな形として、「マンション標準管理規約」があるので、直近定めるのであれば、最新法令が踏まえられている最新版に準拠していることが望まれます。
そして、総会において管理組合員の中から、理事長を始め理事や監事等、役員を選任することとなります。
マンションの役員は同じく株式会社でいうところの、取締役や監査役に相当する位置づけであり、任期は管理規約に定めている期間の間就任する形となります。
就任中は理事会を開催し、各理事はもちろんですが、監事も出席することができます。
こちらは株式会社でいう取締役会に相当するものとなります。
また、管理規約を寄り細部まで取り決めをした、使用細則というルールもあります。
使用細則には、駐車場や駐輪場があるマンションにおいてはその使用細則として「駐車場使用細則」「駐輪場使用細則」、さらにペットを飼うことの可否や飼ってもよいペットなどを定める「ペット飼育細則」などがあります。
管理組合を法人化するメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
管理組合自体を法人化する、いわゆる「管理組合法人」とすることもできるのですが、この場合におけるメリットやデメリットについて、確認します。
管理組合法人のメリットは?
管理組合法人にすることのメリットについては、次のようなメリットがあります。
管理組合法人名義で銀行口座を作ることができる
法人ではないマンション管理組合の銀行口座は、理事長名義で開設することとなりますが、法人の場合は管理組合法人名義で口座を作ることができます。
これにより、管理組合法人名義で管理組合の財産の存在が法的に認められることとなります。
理事長が交代する度に銀行口座の理事長名を変更する必要がなくなることとなります。
管理組合法人で訴訟提起ができる
法人でないマンション管理組合が訴訟を提起する場合や、提起される場合は、理事長が代表となって訴訟を追行することとなりますが、法人化すれば管理組合法人で対応することとなります。
偶然訴訟の状態で理事長に就任した場合においては、理事長に心理的な負担が掛かりますが、その心配もいらないということとなります。
また、理事長が交代になった場合の訴訟手続きの手間等も省けることとなるでしょう。
法人名義で取引が可能となる
法人化されていない管理組合に対して、法人名義で取引が可能となり、取引先によっては法人としての信用力がでてくることが考えられます。
その結果、新規取引のしやすさなども想定されます。
管理組合法人のデメリットは?
対して、管理組合を法人化する場合においては、多少のデメリットもあるので紹介します。
役員変更等の登記が都度必要となる
会社(法人)であるため、株式会社などと同様に役員の変更には変更登記が必要となります。
基本的には役員が選任された総会後2週間以内に登記手続きをする必要があり、事務的な負担も増える可能性があります。
登記のための経費がかかる
管理組合法人にとっては登記のための登録免許税はかかりませんが、仮に司法書士に書類作成や登記を依頼したりする場合は、別途費用が掛かることとなります。
仮に役員の任期が2年で、1年で半数交代を行う場合は、毎年登記をすることとなり、費用負担も増えることが想定されます。
管理組合運営には細かなルールが存在する
管理組合の運営には総会、管理規約、役員組織等、細かなルールが存在し、そのルールに沿って判断を行っていく必要があります。
いわゆる管理組合員全員が社員である、会社組織に近い形でイメージできると思います。
会社にはルールがあるのと同様に、管理組合にもルールがあり、組合員である区分所有者はそのルールに従って日々生活していく必要があるでしょう。
コメント