【最新版】マンションリフォームで最大210万円の補助金!長期優良住宅化リフォーム推進事業を徹底解説【事例・注意点付き】

マンション管理

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マンションにお住まいの皆様、築年数が経過し、設備の老朽化や間取りへの不満から「そろそろリフォームを検討したい」とお考えではありませんか?単に見た目を新しくするだけでなく、建物の性能を高めてより長く安心して暮らせる「長期優良住宅化リフォーム」が、今、国を挙げて推進されています。そして、この取り組みには国の手厚い補助金制度「長期優良住宅化リフォーム推進事業」が活用でき、リフォームにかかる費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。

本コラムでは、マンションリフォームをご検討中の皆様がこの補助金制度を賢く活用できるよう、長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要から、マンション特有の活用方法、補助金の対象となる具体的な工事内容、申請手続き、そして実際に活用された事例や注意点までを、実際にこの補助金を活用して管理組合の大規模修繕工事を行ったマンション管理士である筆者が、徹底的に解説します。

国の補助金を上手に活用して、マンションの価値を高め、快適で安全な暮らしを実現しましょう。

※当該制度上、マンション管理組合だけでなく戸建ての内容も含まれています

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは?

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅ストックの質の向上、子育てしやすい環境、防災性及びレジリエンス性の向上を図ることを目的とした国の事業です。インスペクション(建物状況調査)の実施、性能の向上を図るリフォーム、三世代同居等の複数世帯同居への対応に資するリフォーム、適切なメンテナンスによる既存住宅の長寿命化に資する取り組みに対し、国がその費用の一部を支援します。

この事業は、戸建て住宅だけでなく、共同住宅(マンション)も補助対象となります。ただし、事務所や店舗などの住宅以外の建物は対象外です。併用住宅の場合は、床面積の過半が住宅であれば対象となり得ます。

マンションにおける本事業の活用

マンションにおける長期優良住宅化リフォーム推進事業の活用方法は、大きく分けて以下の2つがあります。

  • 住戸単位でのリフォーム
  • 管理組合が発注する大規模修繕工事

住戸単位での活用 が見込めるのは、建築時やその後の大規模修繕・点検等の際の図書が保管されており、耐震性を有し、かつ、劣化対策の基準に適合していることが確認できる場合です。

一方、管理組合が発注する工事の場合 は、少し手続きが異なります。

  1. 管理組合の理事会で施工業者を選定する。
  2. 事業者登録・住宅登録及び交付申請を行う。
  3. 交付決定後、管理組合の総会の決議を経て、工事請負契約を締結する。 契約締結後は速やかに契約書の写しや総会の議事録など、合意形成されたことが確認できる資料の提出が必要です。合意形成が取れていないことが発覚した場合、申請が差し戻される場合があります。 さらに、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」に基づく「マンション管理計画認定」の取得が要件となるため、上記の資料と併せて認定通知書の提出も必要です。

本事業の申請者はリフォーム工事の施工業者、または買取再販業者となります。発注者(マンションの区分所有者や管理組合)が直接申請することはできません。施工業者が補助事業者となり、発注者を共同事業者として、共同事業実施規約を締結し提出する必要があります。この規約には発注者の記名押印が必要です。

補助金の対象となる工事内容

本事業の補助対象となるリフォーム工事は、以下のいずれかの工事を含む必要があります。

  1. 住宅の性能基準に適合させるための工事
  2. 三世代同居対応改修工事及び子育て世帯向け改修工事
  3. 防災性、レジリエンス性向上改修工事

これらの工事と合わせて行うことで、その他のリフォーム工事も補助対象となる場合があります。また、リフォーム工事に先立って行うインスペクション費用、リフォーム工事の履歴情報作成費用、維持保全計画作成費用、そしてリフォーム瑕疵保険の保険料も補助対象となります。

具体的な性能向上リフォーム工事の例

マンションリフォームで性能向上を目指す工事には様々なものがあります。

  • 耐震性向上工事: 建物の揺れや損傷を軽減するための工事などが含まれます。
  • 省エネルギー対策工事: 断熱改修などにより、夏は涼しく冬は暖かい快適な室内環境を実現できます。開口部(窓)の交換工事や、サッシ交換で採用するガラス交換、カバー工法、既存サッシ交換にあたっては、省エネルギー対策の評価基準に定める熱貫流率、日射熱取得率のものとすることが求められる場合があります。
  • 維持保全・維持管理の容易性向上工事: 適切なメンテナンスや、メンテナンスしやすい仕様への変更などが含まれます。
  • 劣化対策工事: 劣化事象の有無を確認し(事前インスペクションで確認)、必要に応じて土台の交換や防腐防蟻処理などを行う工事です。

三世代同居対応改修工事及び子育て世帯向け改修工事

これらの改修工事も補助対象となります。多世代が共に暮らしやすい、あるいは子育てしやすい環境を整備するためのリフォームが該当します。

防災性、レジリエンス性の向上改修工事

近年重要視されている、災害への備えとなるリフォーム工事も補助対象です。以下のような具体的な工事が挙げられます。

  • 地震災害への備え:
    • 制振装置の設置工事
    • 内装・下地の補強工事(外壁側・内壁側からの施工)
    • 耐震ドアへの玄関ドア交換工事(地震で変形しにくく、ドアの開閉が可能な性能を持つもの)
    • 家具固定用の下地補強工事(付け長押等、固定用金物自体は対象外)
    • 給水給湯・排水・ガス配管のフレキシブル配管への交換
    • 瓦の交換や下地補強(ガイドライン工法によるもの)
  • 台風(風災害)への備え:
    • 雨戸、シャッター等の設置・交換工事(一定以上の耐風圧性能(JIS A4706 S-2以上)を持つもの)
    • 開口部(ガラス又はサッシ)の交換工事(合わせガラス(中間膜30mil以上)等)
    • 瓦の交換や下地補強(ガイドライン工法によるもの)
  • 水害への備え:
    • 宅地内への下水の逆流を低減するための設備設置(逆流防止弁等)
    • 雨樋の交換(高排水性能を有するもの、共同住宅の場合は一棟申請に限る)
    • 床下換気口への止水板等設置(床下浸水を防止する工事、容易に取り外せるものは対象外)
    • 玄関ドア・サッシの交換(高い水密性能を持つもの、玄関ドア:JIS A4706 W-2以上、サッシ:JIS A4706 W-4以上)
    • 建築物への浸水防止用設備(止水板等)設置(JIS A4716 Ws-3と同等以上の性能)
    • 電気設備の浸水対策工事(電気室の移設、止水板等、防水扉はJIS A4716 Ws-3と同等以上の性能)
  • 火災への備え:
    • 外壁開口部の防火性能向上(防火設備への交換、ただし防火地域・準防火地域にある建築物は対象外)
    • 感震ブレーカー付き分電盤の設置(感震機能、避難安全性等確保機能付き)
    • トラッキングコンセントの設置(トラッキング検出機能付き)
  • 電力の確保:
    • 蓄電池設置工事(停電時に宅内給電可能、住戸全体で電気使用可能)
    • V2H(電気自動車からの給電)やパワーコンディショナの設置工事(住戸全体で電気使用可能)
    • 自家発電設備設置工事(配線工事含む)
    • 家庭用コージェネレーション設備の設置工事(停電時発電継続機能付き)
  • 水の確保:
    • 固定式貯水タンクの設置(飲料水として使用可能なもの)
    • 貯水タンクを有する給湯器の設置(JIS C9220に基づく一定効率、タンク容量150リットル以上、非常用水取り出し機能付き)
    • 雨水利用タンクの設置(容量100リットル以上、固定式)
  • 防災備蓄スペースの確保:
    • 防災用品置き場スペースの設置工事(改修前に防災倉庫等がない場合、合計0.1㎡/戸以上の有効面積が必要)

インスペクション等に係る補助対象費用

リフォーム工事の費用だけでなく、工事に関連する以下の費用も補助対象となります。筆者が対応したマンションでも、この費用が補助金対象経費として含むことができました。

  • リフォーム工事に先立って行う既存住宅のインスペクション(建物状況調査)に要する費用
  • リフォーム工事の履歴情報の作成に要する費用
  • 維持保全計画の作成に要する費用
  • リフォーム瑕疵保険の保険料

リフォーム瑕疵保険は、リフォーム工事に万が一瑕疵(欠陥)が見つかった場合に、その修補費用などをまかなう保険です。保険期間は1年から10年で、保険金額は工事請負金額などにより異なります。特に、施工業者が倒産した場合など、発注者(消費者)には填補率100%で保険金が支払われる場合があり、リフォームを安心して進めるための重要な制度です。マンション大規模修繕工事を対象とした瑕疵保険も存在します。

補助額と加算措置

補助額は、リフォーム後の住宅性能や事業タイプによって補助限度額が異なります。

  • 評価基準型・提案型: 認定基準には満たないが一定の性能確保が見込まれる場合、1住戸につき80万円 が補助限度額です。
  • 認定長期優良住宅型: 長期優良住宅(増改築)認定を取得するための基準を満たす場合、1住戸につき160万円 が補助限度額です。

いずれの事業タイプにおいても、以下のいずれかの要件を満たす場合、50万円を上限に補助金が加算されます。これにより、最大で210万円の補助金を受けることが可能です。

  • 三世代同居対応改修工事を実施する場合
  • 若者・子育て世帯が改修工事を実施する場合
  • 既存住宅を購入し改修工事を実施する場合

ただし、1申請あたりの補助金額が10万円以下(補助対象工事費等が30万円以下)の場合は補助対象外となります。

交付された補助金は、施工業者が補助対象者と合意した方法(最終支払いに充当、または現金支払い)により還元されます。

申請手続きガイド

本事業の申請は、リフォーム工事の施工業者や買取再販業者といった「補助事業者」を通じて行います。発注者であるマンションの区分所有者や管理組合が直接申請することはできません。

補助金を受けるためには、改修着手前に必ず事業者登録と住宅登録を済ませる必要があります。これらの登録前に契約や着工した工事は補助対象外となりますので十分注意が必要です。

手続きの概要

手続きの概略は以下の通りです。

  1. アカウント発行: 事業者登録のために、事前にポータルサイトでのアカウント発行が必要です。登録メールアドレス宛にサイトURLやID・パスワードが届きます。
  2. 事業者登録: ポータルサイトへログイン後、事業者情報(会社情報、営業エリア等)を入力・登録し、事業者情報の公表に同意します。
  3. 住宅登録: リフォーム工事を行う住宅が決まったら、住宅の所有者(発注者)や所在地などの情報を登録します。
  4. 交付申請: 電子申請システムを用いて申請書類を提出します。

提出書類

提出が必要な主な書類は以下の通りです。

  • 工事請負契約書(注文書のみでは不可。注文書と注文請書の両方)の写し
  • 共同事業実施規約 (リフォームの施工業者が補助事業者、発注者が共同事業者として締結し提出。発注者の記名押印が必要)

加算措置を適用する場合は?

加算措置を適用する場合は、追加で以下の書類が必要になります。

  • 若者・子育て世帯の場合: 住民票の写し等
  • 既存住宅を購入し改修工事を実施する場合: 当該売買契約書

管理組合での申請の場合 は、理事会での業者選定後に事業者登録等を行い、交付決定後に総会の決議を経て工事請負契約を締結するという特殊な流れになります。契約締結後は総会決議の議事録など、合意形成を証明する資料の提出が求められます。また、「マンション管理計画認定」の取得も必須であり、認定通知書の提出も必要です。

申請手続きに関する最新情報は、事業のホームページで確認することが推奨されています。

本事業を活用するメリットと注意点

メリット

本事業を活用することで、マンションリフォームにおいて様々なメリットが得られます。

  • 費用の軽減: 国からの補助金により、リフォーム費用負担を大幅に軽減できます。補助金があることで、お客様の予算が上がり、より質の高い工事や付帯工事を選択できる傾向があります。
  • 住宅性能の向上: 耐震性、省エネルギー性、劣化対策など、マンションの性能を高めるリフォームを計画的に実施できます。これにより、夏は涼しく冬は暖かい快適な居住環境や、地震や台風などの災害に対する安全性の向上が期待できます。
  • 資産価値の維持・向上: 適切な性能向上リフォームやメンテナンスは、マンションを長く良好な状態で維持し、将来的な売却や賃貸における資産価値の維持・向上に繋がります。
  • 信頼性の高い工事: 国が推進する基準に基づき、インスペクションや維持保全計画の策定を経て工事が行われます。また、リフォーム瑕疵保険が付帯されるため、第三者機関の確認が入ることで工事の信頼性が高まり、安心して工事を任せることができます。
  • リフォーム瑕疵保険による安心: 工事完了後に瑕疵が見つかった場合の修補費用等が保険でカバーされます。万が一、施工業者が倒産した場合でも発注者には保険金が支払われる仕組みがあり、大きな安心感を得られます。

注意点

メリットが非常に大きなこの事業を活用する上でいくつか注意すべき点があります。

  • 登録・申請のタイミング: 工事着手前に事業者登録と住宅登録が必須です。これを怠ると補助金を受けられなくなります。
  • 予算と期間: 本事業には予算があり、募集期間が設けられています。予算が早期に上限に達した場合、申請できなくなる可能性があります。最新の情報を常に確認する必要があります。非常に人気の補助金のため、管理組合からの応募が殺到し、早期に締め切る可能性があります。
  • 補助金申請と工事のタイミング:補助金を活用する年度と工事を行う年度を上手く合わせる必要があります。年度の対象に合わない工事を行う場合は、補助金対象外となるため、注意が必要です。
  • 必要書類の提出: 工事請負契約書(注文書と注文請書の両方)や共同事業実施規約など、提出が必須の書類があります。加算措置を受ける場合も、戸建ての場合であれば住民票や売買契約書などの追加書類が必要です。
  • 業者選び: 本事業への取り組み実績が豊富で、事業の価値を理解している信頼できる業者を選ぶことが重要です。補助金を餌にした安易な値引き提案だけでなく、建物の性能向上という本質的な価値を提案できる業者を選びましょう。
  • 情報伝達の重要性: 複雑な提案内容や工事工程を正確に伝えるために、書類だけでなく図や写真を用いることが、審査側や関係者双方の理解を深める上で有効です。

活用の事例

実際に本事業を活用されたお客様からは、様々な良い声が届いています。

以下、国土交通省の資料より抜粋した情報です。戸建ての事例が中心ですが、マンション管理組合でも同様の対応が可能な場合があります。

  • 「補助金を使ってきちんと直すことにしました。国の指針に沿ったチェックや提案、工事中の瑕疵保険による第三者機関の確認があったので、いつも以上に安心できました。工事後は暖かく、地震や雨漏れ、水漏れの心配が無くなり安心して生活しています。」(仙台市青葉区 T様)
  • 「工事をして本当によかった!床暖房を入れたんじゃないかってくらい家が暖かくなりました。耐震工事もしっかりでき、見えていなかった雨漏れや床下の傷んでいた部分を全部交換できたので、今では安心してぐっすり眠っています。」(仙台市泉区 K様)
  • 「こういう事業は本当に助かるね。工事の際もより良いものを選べるようになる。今回補助事業があったので予算を上げることができ、外壁の塗料を良い塗料に選ぶことができた。外観がきれいになって心も晴れ晴れ、そして家を長持ちさせるためにリフォームをしたという満足感があります。リフォーム瑕疵担保責任保険もさらに安心できる良い制度ですね。」(仙台市泉区 Y様)
  • 「補助金の申請実績の多さが契約の決め手になりました。一番の目的だった寒さ対策は100点満点ですね。」(仙台市泉区 H様)

これらの事例からも、補助金活用による費用面のメリットだけでなく、住宅性能の向上による快適性や安心感、そして信頼できる工事への満足感といった、様々な効果が得られていることが分かります。

まとめ

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、マンションの区分所有者や管理組合が、大切な住まいをより長く、より快適に、より安全に保つための強力な後押しとなる制度です。多岐にわたる性能向上工事や災害への備えとなるリフォームが補助対象となり、インスペクションやリフォーム瑕疵保険といった安心のための費用も支援されます。

申請は施工業者等を通じて行う必要があり、工事着手前の事業者登録・住宅登録が必須となる など、特有の手続きや注意点があります。しかし、これらの点を踏まえ、本事業に精通した信頼できるパートナー(施工業者)と連携することで、補助金を賢く活用し、マンションの長期的な価値向上と、安心して快適に暮らせる住環境の実現を目指すことができます。

マンションリフォームをご検討の際は、ぜひ長期優良住宅化リフォーム推進事業の活用を検討してみてはいかがでしょうか。最新の情報は、事業の公式ホームページや施工業者等の事業者に随時ご確認いただくことをお勧めします。

音声解説の紹介

今回のコラムも、簡単に分かるように音声解説で制度の概要を入れました。

【長期優良住宅化リフォーム推進事業の音声解説】

音声紹介の内容は施工業者等の事業者寄りとなっています。ただ、実際には施工業者と協働した取り組みが重要であることは事実です。

まずはこちらから概要を掴んでいただくことが良いかと考えます。

参考文献

今回のコラムならびに、音声解説は以下の資料を参考に作成しています。

✅国土交通省 令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 
ホームページ 
令和7年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業に関する説明資料
令和7年度当初予算事業 長期優良住宅化リフォーム推進事業 パンフレット
平成 30 年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業 事例集 
平成28年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業シンポジウム 
取り組み事例紹介
✅横浜マンション管理・FP研究室 
【令和7年度最新】国土交通省補助金(マンション関連等)の概要
令和6年度国土交通省補助金(マンション関連)等の概要【要確認】

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