今回、気になった日経の記事
について、確認しておきたいと思い、以下まとめてみました。
前半で日経記事の解説、後半で管理組合としても注意しておきたい点を筆者独自の視点で紹介します。
「置き配」トラブル増 盗難や誤配、自治体は対策費補助 日経記事解説
まずは、日経記事の解説です。
置き配の現状と課題
近年、「置き配」の利用者が急増しています。宅配業者が玄関先や指定の場所に荷物を置いて配達を完了する方式で、特に新型コロナウイルスの流行以降、対面受け取りを避けるために普及しました。2024年からのドライバー不足による再配達削減の流れもあり、政府も推奨する傾向にあります。
しかし、この便利な仕組みには誤配・盗難・破損といったリスクが伴います。消費者相談窓口には「荷物が届かない」「破損していた」といった苦情が増加しており、東京都消費生活総合センターの統計によると、置き配に関する相談件数は2019年度の 104件から2023年度には368件へと3.5倍に増加。2024年度もさらに増える見込みです。
実際に起きたトラブル事例は?
東海地方の男性(40代)が15万円の時計をオンラインで購入し、対面受け取りを希望したものの、玄関に「置き配OK」のステッカーが貼られていたため、配達員は玄関前に荷物を置いて配達を完了。その後、商品が盗まれてしまいました。
このように 「置き配OK」のステッカーや設定によって、意図せず荷物が置き配扱いになるケースもあるため、注意が必要です。
置き配トラブルを防ぐ方法
トラブルを防ぐために、消費者・管理組合・自治体がそれぞれ対策を講じることが重要です。
消費者ができる対策
- 対面受け取りを指定し、置き配ステッカーを使わない
- 宅配ボックスの活用(戸建てでも導入可能な製品あり)
- 置き配場所を指定(玄関前以外に、駐車場や物置など選べるサービスもある)
- 防犯カメラや盗難防止グッズを活用(折り畳み式置き配バッグ「OKIPPA」など)
配送業者の対策
- 配達完了時に写真を撮影して送信(Amazonなど一部のECサイトが導入)
- 配達時間の事前通知
- 再配達の柔軟な対応(コンビニ受け取り、宅配ロッカーの活用)
管理組合や自治体の対策
- マンションの宅配ボックス設置を推進(東京都江東区、埼玉県川口市では新築マンションに義務化)
- 戸建て住宅向けの宅配ボックス設置費用を補助(東京都や山梨県などが助成制度を導入)
- マンションの共用部分に置き配専用エリアを確保(管理規約の見直しも検討)
管理組合として考えられる対策は?
続いて、日経の記事から現状を確認したところで、分譲マンションにフォーカスして考えてみます。
マンション管理組合としても 「置き配」の課題にどう対応するかを検討する時期に来ています。盗難防止やトラブル防止のために、以下のような施策を進めることが望まれます。
管理規約や使用細則の整備
日経の記事にもありましたが、コロナ禍を通じて、国土交通省も置き配や宅配ボックスに関する対策を強化しています。
そのため、管理組合としては
・置き配のルールを明確にする(共用部分での置き配を許可するかどうか)
・宅配ボックスの利用を推奨
などを管理規約や使用細則に織り込むなどして、居住者に対するルールを整備していくことが求められます。
セキュリティ対策の充実
さらに、配達業者がマンション内を出入りするということで、以下のような対策も講じていく必要があります。
・玄関周辺や廊下、エレベーターなど共有部分における監視カメラ設置
・置き配専用エリアの管理強化
居住者への情報提供
対策を講じたとしても、事故が発生するリスクは少なからずあるでしょう。
そのため、以下のような情報提供を行っていく必要があります。
・置き配のリスクと対策を周知
・盗難時の対応(配送業者・警察への連絡方法など)
・不審者と見られる外部者への対応
まとめ
「置き配」は便利な一方で、盗難や誤配といったリスクが増加しています。消費者自身が宅配ボックスの活用や置き場所の指定を工夫することが重要です。マンション管理組合としても、宅配ボックスの設置促進や管理規約・使用細則の整備、セキュリティ強化などの対応が求められます。
居住者に対して置き配のリスクを周知し、トラブルを未然に防ぐ取り組みを進めることが、安心・安全な住環境の維持につながるでしょう。
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