マンション管理適正評価制度の点数の意味を解説!自宅の評価とメリットを徹底分析

マンション管理

※当コラムでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含むことがあります。ご了承ください。

「うちのマンションの評価点数は高いのか、低いのか…?」「この点数、実際には何を意味するの?」

マンション管理適正評価制度で自宅の評価を受けた方や、これから評価を検討している管理組合や区分所有者にとって、点数の意味やその影響は気になるところでしょう。

本記事では、マンション管理適正評価制度の最新登録状況や点数の仕組みを詳しく解説し、点数評価がもたらすメリットを紹介します。

自宅の管理状態が市場価値や居住環境にどう影響するのか、ぜひ確認してみてください。

マンション管理適正評価制度の点数の意味を解説!自宅の評価とメリットを徹底分析

今回紹介する内容は以下の通りです。

・マンション管理適正評価制度の登録状況は?
・マンション管理適正評価制度での点数の付き方は?
・点数評価におけるおもなメリットは?

まず、現状のマンション管理適正評価制度の運用状況として、登録マンションについて確認します。

次に、当該制度は点数化される訳ですが、実際に点数はどのようにつくのか、評価基準についてみていきます。

最後に、点数が付いた場合の考えられるおもなメリットについて紹介します。

マンション管理適正評価制度の最新登録状況(2025年3月17日時点)

まずはじめに、マンション管理適正評価制度の登録状況について確認します。

マンション管理適正評価サイトから実際に検索してみました。

最新登録件数(2025年3月17日時点)は?

検索サイトのトップページにいくと、

現在7,680件公開中

との文字がありました。

2024年8月2日に「マンション管理適正評価制度 登録件数5,000件に到達」のプレスリリースが出ていました。

その後、2025年3月17日時点で登録件数は7,680件(※最新データに基づく)に増加しており、約7か月で2,600件以上登録が進んだことになります。

★5(特に優れている)マンションの登録件数と割合

続いて、マンション管理適正評価サイトから、★5をチェックして件数をカウントしてみます。

すると、2,327件のマンションが該当しました。

全7,680件に対する割合として、30.3%のマンションが★5を獲得していました。

登録初期段階では優良マンションが先行して登録している傾向があり、全体の約3分の1が最高評価を得ています。

★4(優れている)マンションの登録件数と割合

次に、優れているとされる★4のマンションについてみていきます。

同様にチェックを入れて検索したところ3,259件、全登録数に対して42.4%の割合となりました。

★3(良好)マンションの登録件数と割合

さらに、良好と位置付けられる★3についても同様に見ていきます。

こちらについては1,720件が該当しました。

全登録数に対して、22.4%の割合です。

ちなみに、★3~★5を獲得しているマンション数は7,306件、割合にして95.1%となりました。

マンション管理適正評価制度の運用から約3年経ちましたが、引き続き優良マンションを中心に登録に動いていることが分かります。

点数の仕組みを解説:評価基準と項目別のポイント

次に、これらの点数はどのような仕組みで付けられるのでしょうか?

項目別持ち点としては以下の通りです。

1 管理体制 20ポイント
2 建築・設備 20ポイント
3 管理組合収支 40ポイント
4 耐震診断関係 10ポイント
5 生活関連 10ポイント
※マンション管理業協会 「マンション管理適正評価制度 登録情報項目一覧表 (管理状態等級評価)」より抜粋
以下の項目においても、マンション管理業協会 「マンション管理適正評価制度 登録情報項目一覧表 (管理状態等級評価)」を参照します。

管理体制の評価基準(20ポイント)

まず、管理体制についての状況が評価されます。具体的には

1-1 管理者等の設置
-2 集会(総会)の開催
-3 総会議事録
-4 管理規約の有無
-5 管理規約への規程の有無
-6 規約改正状況

について、それぞれチェック項目があります。

1-1~1-5は該当項目の有無で点数が付与され、項目がない場合は0点となります。

一方、1-6は規約改正に関するチェック項目で、規約に記載されている内容に応じて0~4点が加算されます。

具体的な加算項目は「マンション管理適正評価制度 登録情報項目一覧表 (管理状態等級評価)」のPDFシートを参照ください。以下、同様となります。

建築・設備の評価基準(20ポイント)

次に、建築・設備に関する評価があります。具体的には次の項目があります。

2-1 特定建築物定期調査
建築設備定期検査
昇降機(エレベーター)定期検査
専用水道定期水質検査
簡易専用水道管理状況検査
貯水槽の清掃(水道法施行規則の基づく)浄化槽の保守点検、清掃、定期検査
消防用設備等点検
自家用電気工作物定期点検
-2 長期修繕計画の有無
-3 直近5年間の共用部分の修繕等の履歴情報

2-1は法定点検として、それぞれ実施状況や報告書の保管の有無で点数が付きます。

法定点検であることから、無い場合はマイナス5点の減点です。

2-2の長期修繕計画は、有った場合であっても、要件に準拠しているか否かで点数の付き方が異なります。

そして、無い場合はマイナス5点の減点対象です。

2-3については、ある場合や修繕実績がない場合は10点、履歴情報はあるものの竣工図書が無い場合は5点、履歴情報が残されていない場合は0点となります。

過去の竣工図書の保管が重要となります。

管理組合収支の評価基準(40ポイント)

さらに、管理組合における収支における状況もチェックされます。具体的には以下の通りです。

3-1 管理費と修繕積立金の区分経理
-2 管理費会計収支
-3 修繕積立金会計収支
-4 管理費滞納額【戸数】【期間】【滞納率】
-5  修繕積立金滞納額【滞納率】
-6 修繕積立金の額

3-1は区分経理がなされているか、3-2は修繕積立金から他会計(管理費等)への充当がなされていないかの有無で点数が付きます。該当しない場合はマイナス5点です。

3-3は修繕積立金がどのように計画されているかのチェックです。均等積立方式の方が段階増額方式よりも高評価となります。それぞれのチェック項目で点数が変わってきます。

3-4は管理費の滞納状況ですが、戸数、期間、滞納率の項目に合わせて×の評価の場合は、それぞれマイナス4点の減点対象です。

同様に、3-5は修繕積立金の滞納状況で、チェック項目によって×の評価の場合はマイナス4点です。

最後に、3-6として修繕積立金が著しく低額でないかどうかで、プラス5点かマイナス5点の評価がつきます。

耐震診断の評価基準(10ポイント)

この項目のチェックは1点のみです。

4-1 耐震性(耐震診断の実施)

マンションが1981年6月以降に竣工した新耐震基準であれば無条件で10点付与です。また、旧耐震の場合はチェック項目に応じて加点され、減点はありません。

生活関連の評価基準(10ポイント)

最後の評価項目は生活関連です。項目は以下の通りです。

5-1 緊急対応
-2 消防訓練の実施状況
-3 名簿の整備状況
-4 防災対策

5-1は設備等の警報発報による緊急対応の体制がチェックされます。各チェック項目によって加点となります。

5-2は法令上の義務に基づく当該事業年度内の消防訓練の実施状況であり、実施していない場合はマイナス5点の減点対象となります。

5-3は名簿の有無で加点評価、5-4は災害への対策の準備に応じて加点されます。

筆者として見ていると、この生活関連で点数が伸びない管理組合が多い印象です。

理由として、管理組合が自主的に取り組まなければならない項目であることが考えられそうです。

点数評価のメリット:管理組合のモチベーションと資産価値への影響

最初の章で確認したとおり、現時点では登録マンションの95%が★3の良好とされる水準を超えていることが分かりました。

そのように、現在では優良マンションを中心に登録が進んでいると考えられます。

最後に、点数評価が今後マンション管理組合にどのような影響を及ぼすのか、想定されるメリットを確認します。

上位評価を目指す管理組合のモチベーション向上

特に★4以下のマンションでは、より高い評価を目指すモチベーションが高まると考えられます。

上位評価が存在することで、管理組合全体が改善に向けた取り組みを強化する傾向があります。

そのため、管理組合全体として、前章で紹介したチェック項目をクリアしようというモチベーションが高まることが想定されます。

★5評価の維持が管理組合のモチベーションを高める

逆に、最上位の★5のマンションはどうでしょうか。

当然、一段下の★4であっても下に落ちたくないと考えるのが普通でしょう。

そのため、管理組合において評価を維持したいというモチベーションが当然働くことが想定されます。

管理計画認定制度とのダブル評価で市場評価が向上

マンション管理適正評価制度は、自治体の管理計画認定制度とワンストップでの申請が可能です。

そのため、双方申請して、評価を獲得したいと考えるのが普通でしょう。

評価項目が被る点があることも考えられます。

従って、ダブルで評価を獲得したいと考える管理組合が多い傾向にあります。

★付きマンションは資産価値が向上する可能性

新たに物件を購入する際、高い★が付いているマンションと評価されていないマンションでは、どちらが良い印象を与えるでしょうか?

多くの場合、高い★が付いているマンションが管理状態の良好さを示し、購入者に安心感を与えます。

マンション管理適正評価制度で★が付いていると、一定の管理状態にあるということが定量的に分かるためです。

また、恐らくこの点は売買する不動産会社も強調して説明するでしょう。

逆に売却の場合も、管理面が行き届いた評価が高いマンションであることから、周りの同規模や同年数のマンションと比べ、高価格で売却できることも期待できます。

すなわち、これらは資産価値の高評価につながるということとなります。

マンション管理適正評価制度の登録が6,000近くある(記事記載時点)とはいえ、まだ制度が始まった初期段階です。

その段階で一定の★を獲得できたことは、周りのマンションよりも良い管理状態にあることが証明されているといえるかもしれません。

マンション管理適正評価制度で管理状態を可視化:今後の展望

今回はマンション管理適正評価制度の点数の仕組みを徹底解説し、最新登録状況(2025年3月17日時点:7,680件)や評価基準(★5~★3の割合)、点数評価がもたらすメリット(モチベーション向上、資産価値向上)を紹介しました。

登録件数は増加傾向にあり、今後もさらなる普及が見込まれます。

自宅マンションが未評価の場合、管理組合での検討を早めに進め、マンションの管理状態を可視化し、資産価値向上につなげましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました