管理会社からマンション管理適正評価制度への登録を提案されたことはないでしょうか。
また、
「登録するとどのようなメリットがあるのか」
「毎年更新する意味はあるのか」
「管理計画認定制度とは何が違うのか」
と疑問を持つ管理組合や区分所有者も多いかと思います。
マンション管理業協会が運営するマンション管理適正評価制度は2022年4月にスタートしました。登録件数は年々増加しており、
・2024年7月末 5,000件到達
・2025年4月29日 8,329件
・2025年10月5日 9,587件
・2026年3月末 11,801件
となっています。制度開始から約4年で登録件数は1万件を超え、現在も増加傾向が続いています。
一方で、2026年3月末時点のデータを見ると、管理計画認定を取得しているマンションは2,677件となっており、登録件数との間には大きな差があります。
また、★5を取得しているマンションであっても必ずしも管理計画認定を取得しているとは限らず、両制度は似ているようで異なる制度であることも見えてきました。
さらに、制度の普及には管理組合だけでなく管理会社の取り組みも大きく影響していると考えられます。
マンション管理適正評価制度は単なる「★評価」を取得する制度ではありません。
管理組合運営、長期修繕計画、資金計画などを見える化し、自分たちのマンションの管理状態を客観的に確認する仕組みでもあります。
本記事では、2026年時点の最新データも踏まえながら、マンション管理適正評価制度の概要やメリット・デメリット、管理計画認定制度との違い、登録時の注意点について、マンション管理士の視点から解説します。
マンション管理適正評価制度のメリット・デメリットとは?登録11,801件から見える現状
今回紹介する内容は以下の通りです。
・マンション管理適正評価制度とは?評価基準とメリットを解説
・マンション管理適正評価制度に登録するメリットとは?
・管理計画認定制度との違いとは?
・登録する際の注意点とは?
制度開始から約4年で登録件数は11,801件に達しており、多くの管理組合が制度を活用する時代になりました。
一方で、登録件数が増えたからといって、すべてのマンションが同じように活用しているわけではありません。
実際には、管理計画認定制度との違い、管理会社による制度普及の影響、評価を維持するための継続的な取り組みなど、登録件数だけでは見えてこない論点もあります。
また、高評価を取得した場合のメリットがある一方で、毎年の更新負担や評価維持に関する課題も存在します。
本記事では、2026年時点の最新データも踏まえながら、マンション管理適正評価制度の概要やメリット・デメリット、管理計画認定制度との違い、登録時の注意点について解説します。
マンション管理適正評価制度とは?評価基準とメリットを解説
マンション管理適正評価制度について、そもそもどのような制度なのか、改めて確認しておきます。
具体的には、
・管理会社の団体であるマンション管理業協会が独自で作ったマンション評価制度
・マンションの管理状態や管理組合運営の状態を一定の基準により★5~★0の6段階で評価し、インターネットを通じて情報を公開
という制度です。
国の方針に従って、自治体が独自で進める管理計画認定制度と同時に開始されました。
双方を一括で申請する、いわゆるワンストップ申請を行う管理組合も多く、評価制度で★を取得し、管理計画認定制度を取得することも多くなっているようです。
評価制度は★が付くため必ず評価されることとなるのに対して、管理計画認定制度は、自治体の基準を満たしていないと認定されない場合もあります。
すなわち、認定か非認定かのいずれかになります。
★5でも管理計画認定とは限らない
2026年3月末時点のデータを見ると、★5の4,038件のうち管理計画認定を取得しているマンションは2,068件です。
また、★4は5,020件ある一方で認定取得は594件にとどまっています。つまり、高評価マンションと管理計画認定マンションは必ずしも一致していません。両制度は似ているように見えますが、評価基準や目的が異なります。
そのため、「★5だから認定取得済み」「認定を受けていないから管理状態が悪い」と単純には判断できない点に注意が必要です。
管理計画認定を取得しているマンションは、評価制度の登録よりも少ないことから、認定取得を断念しているマンションも一定程度はあると考えられます。
管理適正評価制度11,801件のデータから見える現状
2026年3月末時点で、マンション管理適正評価制度の登録件数は11,801件に達しています。制度開始当初は一部のマンションに限られていましたが、現在では全国に広がりつつあります。ただし、この数字を見て「日本のマンション管理水準は高い」と結論付けるのは早計です。
評価制度へ登録するためには一定の準備や管理会社との連携が必要であり、現時点では管理に対する意識が高いマンションが先行して参加している可能性があります。
そのため、このデータは全国の平均像というよりも、比較的管理意識が高いマンション群の実態を示していると考える方が自然でしょう。
マンション管理適正評価制度に登録するメリットとは?

次に、マンション管理適正評価制度で登録を行う場合のメリットはどのような点が考えられるのか、マンション管理業協会が掲げるメリットを含め、具体的に挙げてみたいと思います。
管理組合の目標設定を支援し運営がスムーズに
★を獲得する基準がある程度明確化されていることから、一段上の目標にいくことや、★を維持するためにはどのような対応を管理組合でしなければならないか、明確になるでしょう。
そのため、足らない点や継続的に実施すべき点等の課題も明確になり、管理組合運営がしやすくなることが期待できます。
管理状態の長期的な維持と改善が可能に
管理組合として目標を掲げ、その課題を順次こなしていくことによって、継続的な課題解消が期待できます。
そして、それらを維持、さらには継続することによって、将来にわたって良好な管理状態を維持することにつながります。
マンションの市場評価を高める最新情報の公開
マンション管理適正評価制度は、インターネットを通じて情報を公開することができます。
そのため、自分たちのマンションが良い評価を得ているということを発信することで、あのマンションは良いマンションだというイメージを、地域をはじめとした対外的にも持っていただくことも可能となります。
その結果、マンションが属する地域・地区に対しても好影響をもたらすことにもつながるかもしれません。
リセールバリュー向上の可能性
「管理を買う」ことが重要なマンションにとって、★を獲得しているマンションにおいては、売買の際には管理が行き届いているマンションであるとの評価を得ることも可能でしょう。
そのため、資産価値が下がらない、リセールバリューがついたマンションとの位置づけを得ることができ、売却を考えている区分所有者はもとより、現在住んでいる区分所有者の不動産所有価値も上がると考えられます。
また、価値が高いマンションである場合は、新たな入居者もその価値を認めて購入して区分所有者となることから、管理組合においても良質な新陳代謝が期待できるかもしれません。
住宅ローン金利優遇サービスの利用
マンション管理業協会の2024年8月2日のリリース「マンション管理適正評価制度 登録件数5,000件に到達」には、個人向け住宅ローン等の金利優遇サービスを提供する金融機関が7社(三十三銀行、七十七銀行、仙台銀行、十六銀行、清水銀行、岐阜信用金庫、三井住友トラスト・パナソニックファイナンス)あるとの紹介がありました。
※その後2024年8月6日に北洋銀行が追加され8社
適正評価制度で一定の評価を得ているマンションを購入する際に、これらの金融機関経由で、住宅ローンを申し込んだ際には一定の金利優遇が考えられます。
リセールを行う際も価値がつくということから、金融機関も一定の配慮をしていると考えられます。
ワンストップ制度で管理計画認定も取得
適正評価制度の中でも、★4~5の高水準マンションにおいては、管理計画認定制度の認定取得の可能性も十分にあります。
両制度から時間が経過するとともに、ワンストップ制度を活用し双方の取得を目指し、マンションの管理の質の向上とともに、資産価値向上を目指している管理組合も比較的見られるようになりました。
適正評価制度、認定制度バラバラに申請するよりも、一括で申請したほうが管理組合における、仕組みづくりや長期修繕計画の見直し、総会決議の手間、そして費用面でも効果的であるといえるでしょう。
制度普及を支えているのは管理会社でもある
公開されている管理適正評価サイトを見ると、制度普及には管理会社の存在も大きいことが分かります。
2026年5月30日時点では、
・三井不動産レジデンシャルサービス 1,221件
・日本ハウズイング 1,174件
が登録されています。
もちろん管理組合の意思が前提ですが、実際には管理会社が制度の説明や申請支援を行うケースも多く、制度普及には管理会社側の取り組みが大きく影響していると考えられます。
現状では、大手管理会社が管理するマンションが先行して登録している可能性もあるでしょう。
マンション管理適正評価制度登録時の注意点とは?

対して、登録することにおける注意点についてです。
ここについては、主催している管理業協会が自ら公言することはないですが、アンケート結果等、客観的な視点から考えられることについて記載します。
評価継続には毎年審査が必要
継続して評価を得るためには、毎年審査を受けて評価を受ける必要があります。
そのための審査資料の準備や、審査コスト、さらには審査を受けるにあたっての管理組合総会での承認等を経ることが必要となります。
管理計画認定制度が5年に一度に対して、こちらは毎年なので、その点は手間がかかるといえます。
また、管理状況によっては、評価を受けて★が下がる可能性もあるかもしれません。
評価下落のリスクと公開時の影響
例えば前年までは★5であり、新たに更新のための評価を受けた時には、管理状態によって★4や3に下がる可能性も考えられます。
その場合は、管理組合として、前年対比で下がったこととなり、ネガティブになってしまう可能性があります。
継続的に高評価を獲得するためには、メリットでもあったとおり、目標を設定して課題をクリアしていくという管理組合の姿勢が大切になってくるでしょう。
改善できない場合、登録のメリットが薄れる可能性
仮に、前述の通り★評価が下がった場合、さらには★が4以下で同一評価でよい方向に改善が見られない場合は、継続することによるメリットがあるのかという疑問も出てきます。
さらに低い★3や★2の状態が継続してしまうと、管理組合として更新しようかという姿勢が薄れてくる懸念があります。
インセンティブが必ずしも得られるわけではない
メリットして、新規購入側には金融機関によっては一定の金利優遇はあるとのことでした。
対して、現状住んでいる区分所有者や管理組合全体にとって、高評価を得たからといってなんらかのインセンティブがあるという訳ではありません。
市場からの評価が上がるという、資産価値の向上という点では大きなメリットではありますが、継続的に住んでいる区分所有者にとっては売却するわけではないので、★がついたとしてもすぐにインセンティブが得られるという訳ではないということでしょうか。
これらについては、マンション管理業協会が実施した「マンション管理トレンド調査2024」でも意見として出ていました。
管理適正評価制度は「評価」よりも管理状態の見える化に価値がある
今回のデータを見る限り、現時点では管理意識の高いマンションや制度活用に積極的な管理会社が先行して参加している段階と考えられます。
そのため、登録件数11,801件という数字は、日本全国すべてのマンションの実態というよりも、管理に前向きなマンション群の状況を映し出しているともいえるでしょう。
重要なのは★の数そのものではありません。
自分たちのマンションの管理状態を客観的に確認し、長期修繕計画や資金計画、管理組合運営の改善につなげることです。
今後さらに登録件数が増えれば、日本のマンション管理の実態がより鮮明に見えてくるはずです。






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