【規約解説】マンション標準管理規約第52条とは?理事会の招集ルールと管理組合の対応策を解説

管理規約解説

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マンション管理組合における理事会は、管理運営の重要な意思決定を行う場です。しかし、理事長が理事会を開かない場合や、理事が自主的に招集できるケースについて、正しく理解している方は少ないのではないでしょうか?

本記事では、マンション標準管理規約第52条に定められた理事会の招集ルールを詳しく解説し、理事会運営における注意点や国土交通省の見解を、実務に精通しているマンション管理士が分かりやすく説明します。

  1. 【規約解説】【規約解説】マンション標準管理規約第52条とは?理事会の招集ルールと管理組合の対応策を解説
  2. マンション標準管理規約第52条とは?理事会の招集ルールを解説
    1. 理事会を招集するのは誰?基本ルールを解説
    2. 理事長が理事会を開かない場合の対処法(理事からの招集請求)
    3. 理事長が対応しない場合の最終手段(理事自身による招集)
    4. 理事会の招集手続き(第52条第4項)を詳しく解説
      1. なぜ理事会の招集は総会のルールを準用するのか?
      2. 総会の招集ルール(第43条)を簡単に解説
      3. 理事会では総会と異なる招集ルールが適用される?
        1. 「組合員」から「理事及び監事」へ—読み替えルールとは?
        2. 理事会の決議要件—「理事会の承認」との違いとは?
        3. 理事会独自の招集ルールを設定できる?
  3. 国土交通省の見解を詳しく解説!理事会招集に関する補足事項
    1. 理事が理事会の開催を求めるには?
    2. 理事長が対応しない場合、理事はどう動くべきか?
      1. 理事が一定数の同意を得て理事会を請求する方法(第52条第2項)
      2. 理事長が拒否した場合、理事自身が理事会を開ける?(第52条第3項)
    3. 理事会はWEB会議でも開催可能?その注意点とは
  4. 理事会招集のポイントとは?マンション管理士の視点で徹底解説
    1. 書面決議や電磁的方法を活用すれば理事会は実質不要?(第50条)
    2. 書面決議が適用されるケース—リフォームや窓ガラス改修の決議
    3. 理事長が不在でも対応可能!理事会運営の工夫とは?
  5. 理事会の招集ルールを理解し、スムーズな運営を実現しよう

【規約解説】【規約解説】マンション標準管理規約第52条とは?理事会の招集ルールと管理組合の対応策を解説

今回紹介する内容は、以下の通りです。

✅マンション標準管理規約第52条とは?理事会の招集ルールを解説
✅国土交通省の見解を詳しく解説!理事会招集に関する補足事項
✅理事会招集のポイントとは?マンション管理士の視点で徹底解説

まず、最初の章では標準管理規約第52条の条文から理事会の「招集」についてそのままの文面を紹介します。

続いて、この条文についての補足事項や、注意しておくべき事項について国土交通省より提示されています。

さらに、その文面の解説を、イメージしやすい具体的な例を踏まえながら紹介します。

そして、最後の章では第52条理事会の「招集」の条文や補足事項を踏まえて、管理組合や区分所有者が注意すべき点を、マンション管理士である筆者独自の視点から具体的に紹介します。

それでは、次章より当該条文について紹介します。

マンション標準管理規約第52条とは?理事会の招集ルールを解説

理事会の招集についてはルールがあります。

以下がその条文となります。

(招集)
第52条 理事会は、理事長が招集する。
2 理事が○分の1以上の理事の同意を得て理事会の招集を請求した場合には、理事長は速やかに理事会を招集しなければならない。
3 前項の規定による請求があった日から○日以内に、その請求があった日から○日以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした理事は、理事会を招集することができる。
4 理事会の招集手続については、第43条(建替え決議又はマンション敷地売却決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第8項までを除く。)の規定を準用する。この場合において、同条中「組合員」とあるのは「理事及び監事」と、同条第9項中「理事会の承認」とあるのは「理事及び監事の全員の同意」と読み替えるものとする。ただし、理事会において別段の定めをすることができる。

マンション管理組合の理事会は、管理運営に関する重要な意思決定を行う場です。その理事会をどのように招集するのかを定めているのが「第52条」です。ここでは、専門知識がなくても理解できるように、ポイントを分かりやすく解説します。

理事会を招集するのは誰?基本ルールを解説

→ 基本的に「理事長」が招集します。

マンションの管理組合では、日々の運営をスムーズに進めるため、理事会が定期的に開かれます。その理事会を開催するための手続きは、基本的に理事長が行います。理事長は組合の代表として、必要に応じて理事会を開き、管理に関する重要な決定を行います。

理事長が理事会を開かない場合の対処法(理事からの招集請求)

→ 理事の一定数の賛成があれば、理事長に理事会の開催を請求できる。

もし理事長が理事会を開かず、他の理事が会議を開きたいと考えた場合はどうでしょうか?
この場合、一定数(○分の1以上)の理事の同意があれば、理事会の開催を理事長に請求できます。

たとえば、理事が10人いる場合、3人以上の同意があれば理事長に理事会の開催を求められるといったルールが設定できます。(○分の1の具体的な割合は、各組合が定めた管理規約で異なります。)

理事長が対応しない場合の最終手段(理事自身による招集)

→ 一定期間内に理事会が招集されないなら、理事自身が理事会を開ける。

理事長が請求を無視して理事会を開かない場合、
「○日以内に理事会を開くよう通知が出されなかったら、理事が自分たちで理事会を招集できる」
というルールがあります。

たとえば、請求した日から7日以内に通知が出されず、14日以内に理事会が開催されない場合、請求した理事が自主的に理事会を開けるという仕組みです。(実際の日数は、各組合が定めた管理規約で設定されます。)

理事会の招集手続き(第52条第4項)を詳しく解説

理事会の招集手続きは、第43条(総会の招集手続き)を基本とし、一部を理事会向けに調整して適用するというルールが定められています。この条文をわかりやすく解説していきます。

なぜ理事会の招集は総会のルールを準用するのか?

理事会を招集する際には、総会の招集ルール(第43条)をベースにすることで、会議運営の手続きを統一し、スムーズに開催できるようにしています。

ただし、総会のルールをそのまま適用すると、マンションの建替えや敷地売却に関する特別な手続きまで含まれてしまうため、それらの適用を除外し、理事会向けに調整しています。

総会の招集ルール(第43条)を簡単に解説

第43条(総会の招集)では、次のようなルールが定められています。

✅原則として会議の2週間前までに通知する(建替え決議や敷地売却決議の場合は2か月前)
✅通知の方法を定める(組合員への郵送や掲示など)
✅議案の要点を通知に含める(建替え決議や敷地売却決議の場合は詳細な理由や費用も記載)
✅緊急の場合、理事会の承認を得れば招集期間を5日間まで短縮できる

理事会では総会と異なる招集ルールが適用される?

第52条第4項では、総会の招集ルール(第43条)を理事会向けに読み替えるよう規定しています。具体的には、以下のような変更が行われます。

「組合員」から「理事及び監事」へ—読み替えルールとは?

総会では「組合員」に通知することが前提ですが、理事会は理事と監事のみが参加する会議です。そのため、通知の対象を「理事及び監事」に変更します。

理事会の決議要件—「理事会の承認」との違いとは?

第43条では、緊急時に招集期間を短縮する場合、理事会の承認が必要とされています。
しかし、理事会の場合は「理事及び監事の全員の同意」が必要になります。

👉 つまり、緊急時に通常の招集期間を短縮するには、理事と監事全員が納得する必要がある、ということです。

理事会独自の招集ルールを設定できる?

「ただし、理事会において別段の定めをすることができる」と書かれているため、管理規約とは別に、理事会独自の招集ルールを決めることも可能です。
例えば、理事会で「通常の招集期間を1週間に短縮する」などのルールを決めることもできます。

国土交通省の見解を詳しく解説!理事会招集に関する補足事項

次に、第52条の条文に加えて、国土交通省の補足事項について、理事や組合員でも理解しやすいように、筆者の解説を交えて紹介します。

第52条関係
各理事は、理事会の開催が必要であると考える場合には、理事長に対し、理事会の目的である事項を示して、理事会の招集を促すこともできる。ただし、理事長が招集しない場合には、第2項の手続により招集を請求することとなる。それでも理事長が招集の通知を発出しない場合には、招集を請求した理事が、理事会を招集できることとなる。
なお、第4項で理事会の招集手続につき第43条を準用しているが、WEB会議システム等を用いて開催する理事会についても同条が準用され、その場合の開催方法の考え方については、コメント第43条第1項関係を参照。

理事が理事会の開催を求めるには?

条文の中にもあり、繰り返しになりますが、理事会は理事長が招集することになっています。

しかしながら、理事の立場から理事会の開催を求めることも可能です。

例えば、以下のような場合に理事会を開きたいと考えることがあります。

✅管理会社の対応に不満があるので話し合いたい
✅マンションの修繕について取り急ぎ検討したい
✅新たな理事長の選出が必要になってしまった

こうした場合、理事は理事長に「○○について話し合うために理事会を開いてほしい」と要望を伝えることができます。

理事長が対応しない場合、理事はどう動くべきか?

こちらも条文解説でも紹介しましたが、もし理事長が理事会の招集に応じない場合は、次のステップを踏むことができます。

理事が一定数の同意を得て理事会を請求する方法(第52条第2項)

理事が「理事会を開くべきだ」と考えた場合、一定の人数の理事(規約で決められた割合)が賛成すれば、理事会の開催を理事長に正式に請求できます。

✅ 例:理事が10人いる場合、4人以上が同意すれば請求できる(規約で定める割合による)

理事長が拒否した場合、理事自身が理事会を開ける?(第52条第3項)

もし理事長が請求を無視し、一定期間(規約で定める日数)を過ぎても理事会の通知を出さない場合、請求した理事たちが自ら理事会を開くことができます。

✅ 要するに、理事長が理事会を開こうとしなくても、理事の側で手続きを踏めば開催できるという仕組みです。

理事会はWEB会議でも開催可能?その注意点とは

第52条第4項では、理事会の招集手続きについて総会の招集ルール(第43条)を準用するとしています。
このルールには、WEB会議システム(ZoomやTeamsなど)を使って開催する場合の考え方も含まれます。

✅ つまり、理事会は必ずしも対面で行う必要はなく、WEB会議システムを使って開催することも可能です。

この場合、WEB会議の開催方法(URLの通知方法や発言ルールなど)については、第43条の解釈に従うことになります。
具体的なルールは、管理組合の方針や理事会の決定により決めることができます。

理事会招集のポイントとは?マンション管理士の視点で徹底解説

この章では、筆者独自の視点から、これまで紹介されていなかった点を中心に、管理組合や区分所有者向けの補足をします。

書面決議や電磁的方法を活用すれば理事会は実質不要?(第50条)

メールで呼びかけることによって、議決に対する賛同を促すことも一つの理事会開催と決議の方法です。

前回紹介した、第50条「書面(又は電磁的方法)による決議」を有効活用することによって、わざわざ集まって決めなくても、理事会議案を可決することが可能となります。

書面決議が適用されるケース—リフォームや窓ガラス改修の決議

とりわけ、専有部分のリフォームや、窓ガラス等の交換に関する理事会決議においては、この書面決議が有効に機能します。

専有部分のリフォームについては、2か月おきに理事会をやっている管理組合なら、最大2か月理事会開催まで待たされることとなってしまいます。

窓ガラスが割れて大至急修復しなければならない時はどうでしょうか?

今回の第52条に従って臨時招集によってわざわざ臨時の理事会の開催まで待っていると、生活に支障をきたすこととなります。

そのため、書面で急ぎ各理事からの承認を取ることも考えられます。

理事長が不在でも対応可能!理事会運営の工夫とは?

例えば、理事長が業務上の都合で長期間海外出張に出ていたり、介護によってマンションを不在にしていて連絡が取れない場合です。

また、理事長が理事会招集に向けて動かない場合ではなく、「動けない」場合としてこの手法を活用したいところです。

そしてこの場合は、理事長はWEB会議システム等を用いても会合に出れない場合も考えられることから、副理事長が代行することになります。

理事会の招集ルールを理解し、スムーズな運営を実現しよう

理事会はマンション管理組合の運営にとって重要な意思決定の場であり、その招集ルールを理解しておくことは非常に大切です。

特に、理事長が理事会を開かない場合や、緊急対応が求められる場合の手続きを知っておくことで、スムーズな理事会運営が可能になります。

本記事で紹介したマンション標準管理規約第52条の内容を参考に、組合のルールを見直し、より円滑な理事会運営を目指しましょう。

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