【規約解説】マンションの損害保険の仕組みとは?標準管理規約第24条を管理組合向けに分かりやすく解説【令和8年マンション法改正対応済】

管理規約解説

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マンションの損害保険は、共用部分の修繕や災害対応に欠かせない重要な仕組みです。しかし、「管理組合が勝手に保険を契約できるのか?」「理事長が代理で保険金を受け取るのはなぜ?」といった疑問を持つ管理組合役員の方も多いでしょう。

この記事では、マンション標準管理規約第24条をもとに、管理組合の損害保険契約の仕組み注意点を現役のマンション管理士が分かりやすく解説します。

【規約解説】マンションの損害保険の仕組みとは?標準管理規約第24条を管理組合向けに分かりやすく解説

まずはじめに、第24条「損害保険契約の締結」の条文を紹介します。

※令和7年10月17日の標準管理規約改正で、第24条の見出しは「損害保険」から「損害保険契約の締結」に変わりました。この改正は、令和8年4月1日に施行された改正区分所有法等に対応したものです。
赤字が変更箇所です。

改正後の第24条は、1項からなる比較的シンプルな条文です。改正前は2項からなっていました。

(損害保険契約の締結
第24条 区分所有者は、共用部分等に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する。

以下、条文について解説します。

第1項の解説:管理組合の損害保険契約と区分所有者の承認とは?

マンションの共用部分(エントランス・廊下・外壁・屋根など)は、個人ではなく管理組合が一括して管理します。

そのため、共用部分が火災や地震などで被害を受けたときに備えて、管理組合が損害保険を契約するのが一般的です。

この第1項では、区分所有者(各住戸のオーナー)は、管理組合が損害保険を契約することを承認すると明記されています。

区分所有者の承認が必要な理由とその重要性

共用部分等は、区分所有者全員の共有財産です。そのため、第24条では、管理組合が共用部分等について損害保険契約を一括して締結できるよう、各区分所有者がその契約締結を規約上あらかじめ承認する形をとっています。

なお、具体的な保険契約について総会決議を経るかどうかは、各マンションの管理規約、収支予算・事業計画、契約内容の重要性などに応じて判断します。

また、管理組合の保険は原則として共用部分等を対象とするため、専有部分や家財などの補償については、各区分所有者が個別に検討する必要があります。

そして、保険の契約については、第32条「業務」の中で、管理組合として実施すべき業務として挙げられています。

旧第2項について:第24条の2への移行

旧第24条第2項の内容は、新設された第24条の2「保険金等の請求及び受領等」に移され、内容も拡充されました。詳しくは、次の解説をご参照ください。

理事長が代理する理由

理事長の役割全般については、以下の第38条(理事長)の解説もご確認ください。

損害保険契約のポイント!管理組合が注意すべき点とは?

次に、上記以外または上記に関連する筆者独自の視点から、管理組合や区分所有者が知っておくべき損害保険の注意点を紹介します。

総会決議は必要?損害保険契約の承認ルール

以下のリンク先で詳しく紹介していますが、損害保険契約の締結自体は、一律に独立した総会決議事項とされているわけではありません。

もっとも、保険料は管理費から支出するため、通常は収支予算・事業計画の承認を通じて総会の決議を経ることになります。

また、補償内容の大幅な変更や高額な長期契約など、管理組合の業務に関する重要事項に当たる場合には、第48条第18号「その他管理組合の業務に関する重要事項」に基づき、個別に総会の承認を得ることも考えられます。

1年契約?5年契約?損害保険の契約期間と費用の違い

管理組合向けの火災保険は、一般に1年から5年の範囲で契約し、現在の新規契約では5年が最長です。

かつては10年契約も可能でしたが、現在は最長でも5年ごとに契約内容を見直すことになります。

ここで注意したいのは、「保険期間」と「保険料の支払方法」は別だという点です。5年契約であっても、5年分をまとめて支払う「長期一括払」と、1年ごとに支払う「長期年払」などがあります。選択できる支払方法は、保険会社や商品によって異なります。

一般に、長期契約や一括払は保険料の総額を抑えやすい一方、長期一括払では契約時の支出額が大きくなります。

そのため、保険期間と支払方法は、補償内容だけでなく、管理費会計の資金繰りも確認したうえで検討する必要があります。

標準管理規約では、修繕積立金で損害保険料を支払えない理由とは?

標準管理規約に準拠している管理組合では、損害保険料を修繕積立金から支出することは通常ありません。ただし、筆者の経験上、まれに保険料を修繕積立金から拠出できる内容の管理規約も見受けられます。

標準管理規約第27条第5号では、共用部分等に係る損害保険料は、管理費から支出するものとされています。一方、第28条に定める修繕積立金の使途には損害保険料が含まれていません。

そのため、標準管理規約に準拠する場合、損害保険料は修繕積立金ではなく、管理費から支出することになります。

昨今の保険料高騰により、管理費会計からの支出が難しい管理組合もあるでしょう。それでも、標準管理規約に準拠する限り、修繕積立金を保険料に充てることはできません。

また、第28条第4項では、修繕積立金は管理費と区分して経理することとされています。

そのため、保険料の支払いによる管理費負担をあらかじめ見込み、必要に応じて管理費の額や補償内容、支払方法を検討することが重要です。

損害保険契約のルールを正しく理解しよう!

今回は、標準管理規約第24条「損害保険契約の締結」の条文とともに、管理組合や区分所有者が注意しておいた方がよい点を紹介しました。

損害保険契約については、

✅契約内容や保険料を収支予算・事業計画に反映し、重要な変更等は必要に応じて個別に総会決議を行う
✅保険金等の請求・受領は、第24条の2に基づき、理事長が区分所有者等を代理して行う
✅標準管理規約では、損害保険料は修繕積立金ではなく管理費から支出する

ことが重要です。改めてご確認いただければ幸いです。

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