毎年恒例のマンション管理会社の受託戸数ランキングが、業界紙「マンション管理新聞」2025年5月25日号で発表されました。マンションの管理戸数(分譲マンションの総戸数)の多さは管理会社の規模やシェアを示す重要な指標です。
この記事では、2025年版の総合管理受託戸数ランキング上位50社と、年間増加戸数ランキング上位各社を、一般のマンション所有者や管理組合の皆さん向けに、マンション管理士である筆者が分かりやすくご紹介します(※ランキングは2025年3月末時点、戸数は管理受託戸数)。管理会社選びや自分のマンションの委託先の位置づけを把握する参考になれば幸いです。
2025年マンション管理会社・受託戸数ランキング(上位50社)
2025年版のマンション総合管理受託戸数ランキングでは、昨年に引き続き日本ハウズイングが約50.9万戸を受託して首位に立ちました。前年同様に東急コミュニティーは約47.3万戸で2位となり、トップ2社が頭ひとつ抜けた規模となっています。以下、大京アステージ、長谷工コミュニティ、三菱地所コミュニティが続き、上位5社で約215万戸を管理しています。
上位15社の合計で市場全体の約51%にのぼり、上位50社合計では全体の約75%を占める規模です。管理戸数上位企業ほど大規模マンションの管理を数多く受託している傾向があり、一方で独立系中堅企業は小規模物件を多数管理する傾向も見られます。
1~10位(受託戸数と主な管理棟数)
- 日本ハウズイング – 508,812戸(管理棟数 10,690棟)
- 東急コミュニティー – 473,527戸(管理棟数 9,295棟)
- 大京アステージ – 424,628戸(管理棟数 7,897棟)
- 長谷工コミュニティ – 412,768戸
- 三菱地所コミュニティ – 332,892戸
- 大和ライフネクスト – 285,173戸
- 合人社計画研究所 – 257,917戸
- 三井不動産レジデンシャルサービス – 218,010戸
- 野村不動産パートナーズ – 182,306戸
- あなぶきハウジングサービス – 173,036戸
11~20位
- 住友不動産建物サービス – 171,828戸
- 日本総合住生活 – 159,615戸
- 穴吹コミュニティ – 114,275戸
- グローバルコミュニティ(大阪) – 107,568戸
- 伊藤忠アーバンコミュニティ – 107,167戸
- 東京建物アメニティサポート – 83,144戸
- 近鉄住宅管理 – 72,833戸
- ライフポート西洋 – 70,642戸
- レーベンコミュニティ – 67,560戸
- ナイスコミュニティー – 61,544戸
21~30位
- 浪速管理 – 60,335戸
- 大成有楽不動産 – 56,749戸
- 日鉄コミュニティ – 53,735戸
- 明和地所コミュニティ – 50,385戸
- 日本管財住宅管理 – 49,373戸
- 日本住宅管理 – 47,278戸
- 関電コミュニティ – 44,194戸
- ホームライフ管理 – 43,672戸
- 阪急阪神ハウジングサポート – 38,678戸
- エスリード建物管理 – 38,216戸
31~40位
- MMSマンションマネージメントサービス – 37,769戸
- 日神管財 – 35,238戸
- 住商建物 – 34,373戸
- 伏見管理サービス – 33,817戸
- 三井不動産レジデンシャルサービス関西 – 32,169戸
- 双日ライフワン – 30,450戸
- ユニオン・シティサービス – 28,729戸
- サニーライフ – 28,212戸
- 大和地所コミュニティライフ – 27,810戸
- 互光建物管理 – 26,577戸
41~50位
- 積水ハウスGMパートナーズ – 26,235戸
- 長谷工コミュニティ九州 – 25,961戸
- エステム管理サービス – 25,337戸
- エフ・ジェー・コミュニティ – 25,039戸
- クラシテ – 24,805戸
- 名鉄コミュニティライフ – 24,776戸
- プレストサービス – 24,099戸
- 大和ライフリンク(旧マリモコミュニティ) – 22,272戸
- スカイサービス – 21,885戸
- エム・シー・サービス – 21,507戸
出典:マンション管理新聞 2025年5月25日号(各社の組合数・棟数も同紙に掲載)。
上位50社の顔ぶれは前年と大きくは変わりませんが、50位のエム・シー・サービスが新たに50位圏外からランクインしています。逆に前年ランク圏内だった一部企業が圏外に後退しており、業界内の再編や勢力図の変化もうかがえます。
👉ポイント解説
首位の日本ハウズイングは管理戸数を前年比+9,487戸伸ばし、前年首位だった東急コミュニティーを逆転しました。一方、東急コミュニティーは▲10,072戸と大幅に管理戸数を減らしており、管理委託費の適正価格見直しに伴う契約解除が続いたことが要因です。東急コミュニティ―は前年度も▲18,271戸減で、今回も大幅減少が続きました。
また、上位では住友不動産建物サービスもここ数年減少傾向で、今回はわずか+416戸の増加にとどまっています。一方、長谷工コミュニティはグループ内再編等で+14,920戸と大幅増となり、前年4位から管理戸数を伸ばしています。
上位以外では、日本ハウズイング以外の独立系大手(合人社計画研究所など)も堅調に戸数を伸ばし、逆に管理戸数を減らした企業は東急コミュニティーや住友不動産系など数社に限られました。
以下、筆者が同じく監修している、管理会社変更マッチングサイトであるLinksの記事
も合わせてご参照ください。
2025年・管理戸数増加ランキング
次に、2024年から2025年にかけて管理戸数を増やした企業のランキングです(増加戸数が600戸以上の49社が対象)。業界全体では、管理戸数を増加させた会社が171社、減少させた会社が107社あり(マンション管理業協会調べ)、大手による管理契約見直しによる撤退がある一方、中堅管理会社が物件を引き継いで戸数を増やす動きも目立っています。
増加戸数トップ15社(年間増加戸数)
- 長谷工コミュニティ – +14,920戸(※合併・事業譲渡含む)
- 合人社計画研究所 – +14,279戸
- 日本ハウズイング – +9,487戸
- あなぶきハウジングサービス – +7,192戸
- 大和ライフネクスト – +4,806戸
- 野村不動産パートナーズ – +3,719戸
- 明和地所コミュニティ – +2,980戸
- TFDコミュニティ – +2,877戸
- レーベンコミュニティ – +2,870戸
- サニーライフ – +2,688戸
- グローバルコミュニティ(大阪) – +2,324戸
- 阪急阪神ハウジングサポート – +2,216戸
- 三井不動産レジデンシャルサービス – +2,208戸
- 三菱地所コミュニティ – +2,016戸
- ハリマライフサポート – +1,822戸
出典:マンション管理新聞 2025年版 増加戸数ランキング(年間増加)
上位15社には、大手のみならず地方・独立系の中堅社も含まれています。例えば阪急阪神ハウジングサポート(12位)は関西の中堅社ですが、2,216戸の増加となりました。
16位~25位
- エスリード建物管理 – +1,777戸
- ワールドライフパートナー – +1,774戸
- 東京建物アメニティサポート – +1,705戸
- 東武ビルマネジメント – +1,684戸
- メイプルリビングサービス – +1,478戸
- アイワマネージメント – +1,431戸
- オープンハウス合人社コミュニティ – +1,349戸
- 大和地所コミュニティライフ – +1,325戸
- 日本ネットワークサービス – +1,287戸
- 長谷工コミュニティ九州– +1,248戸
(以下省略:その他増加戸数が600戸を超えた企業として、関電コミュニティ、GMアソシエ、ホームライフ管理、浪速管理等がランクイン)
増加戸数ランキングでは、上記企業を含め合計49社が前年比+600戸以上の増加を記録しました。中でも、大手の日本ハウズイングやあなぶきハウジングサービスなどは管理物件の着実な積み増しで順位を上げています。また、大和ライフリンク(旧マリモコミュニティ)は他社から物件を引き継ぐ形で管理戸数を伸ばし、新たに上位ランキングに食い込んできています。
👉増加ランキングから見える動向
今年度は長谷工コミュニティがグループ再編等で突出した増加を示しましたが、その他では合人社計画研究所(独立系、全国展開)も前年から+14,279戸と大幅増となりました。これには、同社が提唱する「新・合人社方式」(管理会社が管理者となる第三者管理者方式)の普及戦略が奏功した側面があります。
一方、大手デベロッパー系では三菱地所コミュニティが+2,976戸と3年ぶりに増加に転じた中で、東急コミュニティーや住友不動産建物サービスのように管理契約の見直しで減少傾向が続く企業もあります。
増加戸数ランキングには、こうした大手から契約解除された物件を引き受けて成長する中堅企業の存在も浮き彫りになっています。「管理会社を替えたいが、どこが良いだろう?」と検討する管理組合にとっては、独立系や地域密着型の管理会社も十分選択肢になり得る状況と言えるでしょう。
まとめ:ランキング活用のポイント
2025年版の管理会社ランキングを見ると、業界トップクラスの企業に依頼している管理組合は多いものの、上位10社で全マンションの約46%、上位50社では約75%です。つまり残り25%程度は中小の管理会社が担っており、実績を伸ばしている中堅も少なくありません。管理会社の規模が大きいほど安心というわけではなく、サービス品質や費用対効果も重要です。
管理組合の皆さんへのアドバイス: 自分たちのマンションを任せている管理会社がこのランキングでどの位置にいるかを確認しつつ、以下の点を定期的に見直すとよいでしょう。
- 現在の管理内容・費用は適正か?(頻度・サービスと料金のバランス)
- 管理会社の対応は満足できるか?(フロント担当者の対応品質や支援体制)
- 他社への切り替えのメリットは?(サービス向上やコスト削減の可能性)
最近は人材不足もあり管理会社側から契約解除を通告されるケースも出ています。万一そのような事態になっても慌てず、他の管理会社を速やかに候補検討することが大切です。本ランキングや各社の実績はあくまで一つの目安ですが、「マンションは管理を買え」とも言われるように、信頼できる管理会社選びはマンションの資産価値にも直結します。規模や知名度だけでなく、管理会社の姿勢や方針、フロント担当者における管理組合への仕事への向き合い方、スキルなど、自分たちのマンションに合ったサービスを提供してくれるかを総合的に判断し、必要に応じて管理会社の変更(リプレイス)も検討してみましょう。
最後に、ランキング上位だから絶対安心というわけではありませんし、下位でも地域密着で評判の良い会社もあります。ランキング結果は参考材料の一つとして活用しつつ、管理組合として主体的に管理会社との関係を見直し、より良いマンション管理を目指していきましょう。
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