登録件数5000のマンション管理適正評価制度、メリットや注意点は

マンション管理

※当コラムでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含むことがあります。ご了承ください。

管理会社が勧めてくるマンション管理適正評価制度にはメリットがあるのだろうか?

また、

うちのマンションは登録しているようだけど、今後も継続的に毎年更新したほうがいいのだろうか?

制度についてこのような疑問を持たれているマンション管理組合や区分所有者も多いかと思います。

管理会社が加盟するマンション管理業協会によるマンション管理適正評価制度が令和4年4月に始まってから、令和6年7月末時点で、登録件数が5,000件に到達したとのプレスリリースが出ていました。

令和6年8月11日現在、管理計画認定マンションが1,035件であるのと比べ、多くのマンションが登録されています。

各制度は単純に比較はできないですが、5,000件ものマンションが登録しているマンション管理適正評価制度は一定の評価が得られているといえるかもしれません。

そのような制度ですが、筆者が感じた当該制度のメリットや注意点について、改めて確認してみます。

登録件数5000のマンション管理適正評価制度、メリットや注意点は

今回紹介する内容は以下の通りです。

・制度の概要 マンション管理適正評価制度とは?
・マンション管理適正評価制度の登録のメリットは?
・登録することによる注意点は?

制度開始からしばらくたっており、5,000件もの登録数があるということは、比較的制度で★を取得しているマンションも身近にありそうです。

登録することによって、マンションの管理状況が可視化され、一定の評価を得ているか分かりやすくなります。

反面、評価が得られてもインセンティブがあるのかどうか、また★の評価が4や5に上がらない場合は登録を継続してよいのかなど、制度やマンション独自に起因するものも考えられます。

このようなマンション管理適正評価制度ですが、制度の概要や登録のメリット、注意点等について紹介します。

制度の概要 マンション管理適正評価制度とは?

マンション管理適正評価制度について、そもそもどのような制度なのか、改めて確認しておきます。

具体的には、

・管理会社の団体であるマンション管理業協会が独自で作ったマンション評価制度
・マンションの管理状態や管理組合運営の状態を一定の基準により★5~★0の6段階で評価し、インターネットを通じて情報を公開

という制度です。

国の方針に従って、自治体が独自で進める管理計画認定制度と同時に開始されました。

双方を一括で申請する、いわゆるワンストップ申請を行う管理組合も多く、評価制度で★を取得し、管理計画認定制度を取得することも多くなっているようです。

評価制度は★が付くため必ず評価されることとなるのに対して、管理計画認定制度は、自治体の基準を満たしていないと認定されない場合もあります。

すなわち、認定か非認定かのいずれかになります。

そして、上記の記事にも記載していますが、評価基準が違うため、評価制度で一定の★を獲得していても、必ずしも自治体の管理計画認定を受けることができるとは限らない点もあります。

管理計画認定を取得しているマンションは、評価制度の登録よりも少ないことから、認定取得を断念しているマンションも一定程度はあると考えられます。

マンション管理適正評価制度の登録のメリットは?

次に、マンション管理適正評価制度で登録を行う場合のメリットはどのような点が考えられるのか、マンション管理業協会が掲げるメリットを含め、具体的に挙げてみたいと思います。

管理組合で行う目標設定や運営がしやすくなる

★を獲得する基準がある程度明確化されていることから、一段上の目標にいくことや、★を維持するためにはどのような対応を管理組合でしなければならないか、明確になるでしょう。

そのため、足らない点や継続的に実施すべき点等の課題も明確になり、管理組合運営がしやすくなることが期待できます。

1つ1つの課題に取り組み改善していくことで、管理の行き届いた状態を長期的に維持することができる

管理組合として目標を掲げ、その課題を順次こなしていくことによって、継続的な課題解消が期待できます。

そして、それらを維持、さらには継続することによって、将来にわたって良好な管理状態を維持することにつながります。

管理状態の最新の情報を発信することで市場での評価が期待できる

マンション管理適正評価制度は、インターネットを通じて情報を公開することができます。

そのため、自分たちのマンションが良い評価を得ているということを発信することで、あのマンションは良いマンションだというイメージを、地域をはじめとした対外的にも持っていただくことも可能となります。

その結果、マンションが属する地域・地区に対しても好影響をもたらすことにもつながるかもしれません。

適切な管理を維持することで、リセールバリューの向上も見込める

「管理を買う」ことが重要なマンションにとって、★を獲得しているマンションにおいては、売買の際には管理が行き届いているマンションであるとの評価を得ることも可能でしょう。

そのため、資産価値が下がらない、リセールバリューがついたマンションとの位置づけを得ることができ、売却を考えている区分所有者はもとより、現在住んでいる区分所有者の不動産所有価値も上がると考えられます。

また、価値が高いマンションである場合は、新たな入居者もその価値を認めて購入して区分所有者となることから、管理組合においても良質な新陳代謝が期待できるかもしれません。

金融機関によっては個人向け住宅ローンの金利優遇サービスもある

マンション管理業協会のリリース「マンション管理適正評価制度 登録件数5,000件に到達」には、個人向け住宅ローン等の金利優遇サービスを提供する金融機関が7社あるとの紹介がありました。

適正評価制度で一定の評価を得ているマンションを購入する際に、これらの金融機関経由で、住宅ローンを申し込んだ際には一定の金利優遇が考えられます。

リセールを行う際も価値がつくということから、金融機関も一定の配慮をしていると考えられます。

ワンストップ制度を活用すれば管理計画認定制度における認定取得も可能

適正評価制度の中でも、★4~5の高水準マンションにおいては、管理計画認定制度の認定取得の可能性も十分にあります。

両制度から時間が経過するとともに、ワンストップ制度を活用し双方の取得を目指し、マンションの管理の質の向上とともに、資産価値向上を目指している管理組合も比較的見られるようになりました。

適正評価制度、認定制度バラバラに申請するよりも、一括で申請したほうが管理組合における、仕組みづくりや長期修繕計画の見直し、総会決議の手間、そして費用面でも効果的であるといえるでしょう。

登録することによる注意点は?

対して、登録することにおける注意点についてです。

ここについては、主催している管理業協会が自ら公言することはないですが、アンケート結果等、客観的な視点から考えられることについて記載します。

継続的に評価を得るためには毎年審査を受けなければならない

継続して評価を得るためには、毎年審査を受けて評価を受ける必要があります。

そのための審査資料の準備や、審査コスト、さらには審査を受けるにあたっての管理組合総会での承認等を経ることが必要となります。

管理計画認定制度が5年に一度に対して、こちらは毎年なので、その点は手間がかかるといえます。

また、管理状況によっては、評価を受けて★が下がる可能性もあるかもしれません。

評価次第では公開すること自体がデメリットになる

例えば前年までは★5であり、新たに更新のための評価を受けた時には、管理状態によって★4や3に下がる可能性も考えられます。

その場合は、管理組合として、前年対比で下がったこととなり、ネガティブになってしまう可能性があります。

継続的に高評価を獲得するためには、メリットでもあったとおり、目標を設定して課題をクリアしていくという管理組合の姿勢が大切になってくるでしょう。

管理状態が改善できない場合は継続のメリットがない可能性

仮に、前述の通り★評価が下がった場合、さらには★が4以下で同一評価でよい方向に改善が見られない場合は、継続することによるメリットがあるのかという疑問も出てきます。

さらに低い★3や★2の状態が継続してしまうと、管理組合として更新しようかという姿勢が薄れてくる懸念があります。

★5がついても必ずしもインセンティブがあるわけではない

メリットして、新規購入側には金融機関によっては一定の金利優遇はあるとのことでした。

対して、現状住んでいる区分所有者や管理組合全体にとって、高評価を得たからといってなんらかのインセンティブがあるという訳ではありません。

市場からの評価が上がるという、資産価値の向上という点では大きなメリットではありますが、継続的に住んでいる区分所有者にとっては売却するわけではないので、★がついたとしてもすぐにインセンティブが得られるという訳ではないということでしょうか。

これらについては、マンション管理業協会が実施した「マンション管理トレンド調査2024」でも意見として出ていました。

マンション管理適正評価制度で評価を得るには継続性が必要

マンション管理適正評価制度の概要と、メリットや考えられる注意点について確認しました。

メリットにも記載があったとおり、評価を維持・継続していくことによって、マンション管理の状態が良くなっていくことになる点が最大のメリットであるといえるのではないかと考えます。

しかしながら、継続して評価を得ていく中で、果たして労力やコストに対するメリットが享受できているのか見えづらいという、管理組合の意見が出ることもあるでしょう。

新たにマンションを購入する方にとっては安心感や借り入れる金融機関によっては金利優遇等、得られるメリットがあります。

対する管理組合側にもメリットは多いものの、デメリットもあるだろうと感じました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました