管理会社が行う基幹業務とは?マンション管理士が解説【確認したい】

マンション管理

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管理会社から配布される重要事項説明書に基幹業務と入っているけど、これはどういう業務だろうか?

また、

管理委託契約書に記載されている基幹業務とは具体的にどういうものだろうか?

このような疑問を持っている区分所有者や管理組合役員も多いかと思います。

名前の通り、物事の中心となるものである業務と捉えられますが、マンション管理においてはどのようなことを指すのか、イマイチピンとこないですね。

今回はこの基幹業務について、管理委託契約を色々とみてきているマンション管理士である筆者が、具体的に解説します。

管理会社が行う基幹業務とは?マンション管理士が解説【確認したい】

今回紹介する内容は以下の通りです。

・管理会社が提供する基幹業務とは?
・基幹業務以外の業務とは?
・基幹業務の具体例は?
・重要事項説明書に記載された基幹業務を確認するうえで注意すべき点は?

まず初めの章で、管理会社が提供する基幹業務とはどのような業務であるのかを確認します。

次に、基幹業務の中で具体例を挙げて、業務のイメージを確認できるように紹介します。

最後に、重要事項説明書にこれらの基幹業務が記載されていますが、管理組合役員や区分所有者が見ておいた方が良い、注意すべき点を紹介します。

管理会社が提供する基幹業務とは?

管理組合に対して、管理会社が実施する基幹業務については以下の3つです。

国土交通省の様式集の中に、業務関係という項目があります。

そこに管理会社が区分所有者に説明する重要事項説明書のひな形がありますので、参考にしながら紹介します。


引用:国土交通省 重要事項説明書 マンション管理業協会の記載例より一部抜粋

管理組合の会計の収入及び支出の調定

まず1つ目として、管理組合の収支についての業務です。

管理組合の収支管理は、区分所有者からの管理費や修繕積立金の徴収に関するものであり、予算や実績を伴う重要なものとなります。

また、それらは月次ベースによって行われ、その業務を重要な基幹業務として位置づけています。

出納

この業務は、実際に区分所有者が納入する管理費や修繕積立金の管理に関するものです。

出納とあるので、実際に管理組合の入出金に関する業務を行います。

それらに付随する通帳の管理や、支払いが行わなかった区分所有者に対する催促などもこの業務となります。

マンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整

マンションの共用部分は日々劣化していくため、そのためには維持や修繕が必要になります。

どのように修繕をすればよいのかを管理会社が考え、実施する場合には施工業者と調整を行います。

普段生活している区分所有者が共用部分の異変に気付くことはあるかもしれませんが、専門的な視点から日々見て貰い、修繕することが必要です。

基幹業務以外の業務とは?

日々のマンション管理運営においては、前章で紹介したような基幹業務に対して、それ以外の業務も当然考えられます。

「3つの切り口以外の全て」が基幹業務以外として考えられますが、具体的にはどのような業務が該当するのか、おもな業務を見ていきます。


引用:国土交通省 重要事項説明書 マンション管理業協会の記載例より一部抜粋

管理員業務

通勤の場合は日々管理員さんはマンションに来て管理員業務をすることになります。

業務をするうえで、まずはどのような勤務を行うのかが定められます。

勤務形態として、週何日、何曜日のいつの時間帯で稼働するのか、さらに休日はいつなのかなどが明確に示されることとなります。

特に管理員さんのなり手も少なくなっている中、労働者としてのこの辺りの明確な取り決めは非常に重要となっています。

そして、おもな業務としてどのような対応があるのか、概要が記載されます。

清掃業務

マンションの玄関や廊下、また建物周辺などの共用部分や敷地内においての清掃は、日々の区分所有者の生活においても重要な業務といえるでしょう。

そのため、これらについても定めておくことが考えられます。

基幹業務以外ということで、管理会社経由で契約せずに個別で契約する場合は、重要事項説明の中では省かれることも考えられます。

当該業務が踏まえられる場合は、日々行う日常清掃や、数カ月に1度行う定期清掃等についてどのような対応を行うかを取り決める必要があります。

建物・設備管理業務

ここでは、建物として必ず行わなければならない法定点検と、それ以外の業務についての対応となります。

法定点検は、具体的に定められているため、どのタイミングで何を実施するか、業務を明確化する必要があります。

それ以外の建物の外観目視点検や専有部分・共有部分の排水管清掃等の業務についても、管理会社経由で実施する場合は定めておく必要があるでしょう。

その他の管理業務

これまでに紹介した、基幹業務や基幹業務以外の業務で当てはまらないものはその他の管理業務として位置づけられます。

具体的には、管理組合総会や理事会の支援、図書の管理、点検時の助言等、多岐に渡ります。

この辺りは取り決めができない部分も出てくるため、管理組合としては随時管理会社に業務内かどうか確認する必要も出てきます。

業務外となると、別途費用が掛かる可能性がある点にも注意が必要です。

基幹業務の具体例は?

管理組合として重要な基幹業務ですが、管理会社が実施する業務として具体的にどのようなものがあるのか、例を挙げて紹介します。

収支予算案や収支決算案の作成

管理組合における定時総会時に提出される資料には、翌期の収支予算案や、当期の収支決算案が入っています。

これは基幹業務として管理会社が作成してくることが一般的です。

内容については、日々の月次の収支決算は理事会でも確認することが多いでしょう。

一方で年間となると、月次12か月分の集計や、決算整理手続きなどの決算時の調整などが反映されたものとなって出てきます。

その点は管理会社の経理担当が各管理組合の収支を細かく集計する必要があります。

また、収支予算に関しても同様です。

毎月、または定期的に行われる業務やその費用、さらには臨時に予想される費用、そして想定外の支出のための費用(予備費)など、計画的に考えておく必要があります。

この点についても、ノウハウを持っている管理会社が実施することが中心となるでしょう。

管理組合会計における支払い手続きや入金管理

日々の管理組合における管理費用の支払いは管理費勘定から行う必要があります。

その口座の支払い手続きも、請求書をもとに管理会社が行うこととなります。

逆に、区分所有者からの日々の管理費や修繕積立金の入金や、管理組合の収益事業からの入金等の管理も行うこととなります。

とくに入金は、区分所有者から定期的に決まったタイミングで行われる必要があります。

うっかりの支払い漏れを防ぐため、区分所有者の銀行口座から引き落としを行うことが一般的でしょう。

その際に引き落としや支払いが行われない、いわゆる滞納が発生することもあります。

その管理も管理会社が基幹業務として実施することとなります。

通帳の保管と記帳

通帳の保管は管理会社が行い、引き出す際に必要な印鑑は理事長等、管理組合が管理することもあります。

そのため、管理会社が管理組合の日々の入出金状況等を通帳に記帳する必要があります。

とりわけ、通帳と印鑑の保管方法は、マンション管理適正化法や施行規則で定められているため、適切に守られていると考えられます。

長期修繕計画の策定や見直し

マンションの長期的な計画である、長期修繕計画の策定や見直しも管理会社の業務に含まれていることがあります。

「ことがある」という点では、長期修繕計画は別費用で行う場合も、契約によっては考えられるためです。

また、長期修繕計画策定のために、調査診断を行う場合もあり、その点も契約外の追加業務となる可能性が考えられます。

次章の注意点でも紹介しますが、この長期修繕計画に限らず、別費用となる場合には管理組合として想定外とならないような予算編成も必要となります。

大規模修繕工事の企画や実施のための提案

大規模修繕工事を実施する場合は、マンションのどの部分を修繕するのかを考える必要があります。

そのために工事に先立って建物全体の劣化状況を把握するための調査・診断を行うこととなります。

また、具体的に工事の時期に合わせて、いつの段階から調査診断を行い工事に着手するのか、さらには工期はどれぐらいかかるのかなど、具体的な計画を考えていくこととなります。

一方で、管理会社は見積もり取得や業者調整等の支援はするものの、外注をすることも考えられます。

大規模修繕工事の元請けを行わずに、他に依頼するケースという考え方です。

管理会社またはその系列会社に元請を依頼する責任施工方式のが良いのか、または第三者の視点も入れる設計監理方式がよいのかは管理組合の考え方もあるでしょう。

そして、依頼している管理会社の方針も考えられます。

双方メリット、デメリットがあるので、良し悪しは管理組合の個別具体的な事情に照らして考える必要があり難しいですが、管理組合として最適な考え方を選択する必要があるでしょう。

重要事項説明書に記載された基幹業務を確認するうえで注意すべき点は?

最後の章では、基幹業務を確認するうえで注意すべき点を紹介します。

管理組合でも十分に業務内容や業務結果をチェックする

管理組合役員は、日々の理事会で確認することも可能です。

一方の区分所有者が管理会社の基幹業務の状況を確認できるのはおもに総会になります。

よって、総会や理事会において、管理会社から提示された資料を十分にチェックする必要があります。

マンション管理においては素人集団となってしまう区分所有者にとっては、なかなかどこに問題があるのかが把握しずらいともいえます。

しかしながら、疑問点がある場合は、事前質問の準備や総会当日等、管理会社に業務状況については、年1度の定期総会で確認することが望まれます。

契約外のものが該当したら追加費用が発生する場合もある

前章で少し触れましたが、基幹業務において契約外の業務が発生した場合は、追加で費用が発生することとなります。

管理組合として、予備費から捻出するのか、また高額で予算から充当できない場合は別途臨時総会を開催して区分所有者から承認を得るなど等の対策が必要となります。

この点は管理組合としても、管理会社とよく確認の上、対応する必要があると言えるでしょう。

業務内容や結果、提案の良し悪しが分からない場合は第三者視点も検討する

基幹業務の内容やその業務結果、また新たな提案が管理組合としての判断がつかない場合もあるでしょう。

管理組合対管理会社の構図は、お互いの都合で提案して採用するかしないかを決めることになります。

すなわち、判断がつかず良い提案であっても受け入れなかったり、逆に受け入れない方が良い提案や対案がある提案を受け入れたりする場合も考えられます。

そのような場合は、専門家の第三者視点を入れて参考にしたり、役員以外の他の区分所有者の意見も幅広く聞くなどして、管理組合として何が最善なのか、多面的な観点で考えていくことも必要です。

管理組合にとっても基幹業務は必要に応じて細かく見ていくことも必要

今回は、管理会社との契約において主要かつ重要な業務となる基幹業務について紹介しました。

管理組合としても、管理会社にお願いしないといけない基幹業務は、日々の業務として軽く流しがちな点もあります。

一方で、重要でありかつ管理費として一番費用も掛けている業務であることから、適切なものであるかを確認する機会も必要であるといえます。

今回の内容を参考に、管理組合としてよりよい取り組みができることを願っています。

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