マンション管理組合が消費税を納める必要がある収入とはどんな時?

マンション管理

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マンション管理組合において、多くの場合は収入は区分所有者からの管理費や修繕積立金、さらには駐車場収入によるものが多いでしょう。

一方で、それ以外の収入も考えられます。

そのため、管理組合としては

管理会社から収入があった場合に消費税を支払う必要があるって聞いたけど、どのような収入が当てはまるのか?

また、

管理組合で購入した物品や修繕で事前に支払った消費税はどうなるのか?

などの疑問もあるでしょう。

今回はこのような疑問を含め、マンション管理組合で掛かってくる消費税について、経理分野にも明るい筆者が解説します。

※消費税に関する個別具体的な内容について、マンション管理士は業務対象外のため、一般的な内容を紹介します

マンション管理組合が消費税を納める必要がある収入とはどんな時?

今回紹介する内容は次の通りです。

・マンション管理組合において消費税を支払う必要がある取引は?
・管理組合内からの収入は消費税を支払う必要がない
・マンション管理組合における消費税発生取引の注意点は??

企業取引の中では、消費税を含んだ取引が発生するのが普通です。

また、

・販売先に対する売上が上がれば、消費税を乗せて請求
・仕入先から物品を購入したり取引先に業務を発注する場合は、消費税を乗せて支払う

というのが当たり前でしょう。

しかしながらマンション管理組合においては、このような企業取引のように、売上・収入について消費税を含めて受け取るということがあまり発生しません。

このようなマンション管理組合における消費税の扱いについて、一般的な視点から解説します。

マンション管理組合において消費税を支払う必要がある取引は?

まず初めに、消費税を支払う必要がある取引について確認します。

管理組合員以外からの収入が発生した場合

なかなか分かりづらい論点である、この管理組合員以外からの収入についてです。

一般的に、以下のような収入で消費税を徴収している場合は、管理組合として消費税を納める必要があるかもしれません。

・屋上に携帯電話会社のアンテナを設置してその設置料を得ている
・管理組合以外の方に空き駐車場を貸与して収入を得ている
・集会室を区分所有者以外にも開放して賃料を得ている
・カーシェア収入があり、区分所有者以外にも開放している

このような収入がある場合は注意が必要です。

しかしながら、消費税の課税対象となる売上・収入は消費税込みで1,000万円超となる場合です。

また、上記のような、区分所有者以外からの収入が1,000万円を超えるときといえば、

・管理組合として大規模なアンテナ設置
・都心に非常に大きな駐車場があり、外部からの駐車場収入がある場合

など、比較的限られるかもしれません。

そして、消費税込み収入で、これらのこれらの月間84万円以上(1,000万円÷12か月)の規模であれば対象となる可能性があります。

その場合は、消費税課税事業者の届出が必要になってきます。

一方で、1000万円以下の場合は消費税の納税義務は免除されます。

また、1,000万円超の基準は管理費や修繕積立金の収入は除いてカウントすることとなるため、多くの管理組合は該当しないこととなるでしょう。

物品を購入したり修繕を発注した場合

こちらは普段の管理組合運営の中で、物品を購入したり修繕をしたりする場合は、通常通り消費税を支払うこととなります。

そして、これは我々普段の生活において、消費税を支払っているという感覚と同じになるかと考えられます。

管理組合内からの収入は消費税を支払う必要がない

一方で、管理組合内の取引は消費税を支払う必要がないので、詳細を紹介します。

また、分譲マンションに住んでいる区分所有者であれば、毎月、管理費と修繕積立金を管理組合に支払っているでしょう。

一般的に、

・管理組合に対する管理費や修繕積立金
・駐輪場や駐車場の利用料
・ルーフバルコニーや専用庭などの利用料

など、区分所有者が管理組合に対して支払うことによる、管理組合の収入は消費税がかかりません。

こちらは普段の支払いで消費税を徴収されたことがないことから、なんとなく理解できるでしょう。

冒頭に紹介した国税庁のホームページにも、以下のような記載

マンション管理組合は、その居住者である区分所有者を構成員とする組合であり、その組合員との間で行う取引は営業に該当しません。

があることから、該当しないことが分かります。

マンション管理組合における消費税発生取引の注意点は??

最後に、マンション管理組合において、消費税発生取引が発生した場合の注意点を紹介します。

区分所有者以外から1,000万円超の収入をマンション管理組合が得ている場合

タワーマンションや大規模団地等、管理組合として1,000万円超の収入を区分所有者以外から得ている場合は注意が必要です。

前述の通り、1,000万円超を達成した事業年度から2年後の事業年度より消費税納税義務が発生するためです。

また、この際に前述した消費税課税事業者の届出が必要となってくるため、管理会社や顧問税理士との整合が必要となってくるでしょう。

収入で受け取った消費税と購入で支払った消費税の扱い

本来、企業であれば収入で受け取った消費税と、支出で支払った消費税は相殺できます。

それぞれ仮受消費税、仮払消費税という扱いです。

また、管理組合の事例として検索しても出てこなかったので、念のため国税局に問い合わせたところ、

管理組合として収入1,000万円超の課税事業者となった場合は相殺できるが、1,000万円以下の消費税免税事業者の場合は相殺できない

とのことで、企業や個人事業主の扱いと同様でした。

また、恐らくこの規模になっている管理組合は毎年発生する税務について管理組合法人として、法人化されており、確定申告等ルーティン化しているところも多いでしょう。

一方で、多くの管理組合は相殺できないことから、物品購入等で支払った消費税は我々の普段の生活同様に、そのままの支払いっぱなしの扱いになります。

多くの管理組合は消費税免税事業者扱い

課税売上が1000万円を超える管理組合はそう多くはないと考えられます。

一方で、管理組合としては区分所有者以外からの収入の手段として、消費税課税取引は重要な手段であるともいえます。

外部からの収入は通常の管理のための支払いに充てたり、余剰となった場合には将来の管理費や修繕積立金への振替も可能でしょう。

高経年化とともに、高齢化が進むマンション管理組合にとっては、新たな収益化手段を検討することも、非常に重要であると考えられます。

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