【罠に注意】国土交通省の「標準管理委託契約書」に潜む3つの落とし穴とチェックすべき重要項目

マンション管理

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大規模修繕を控え、管理会社から提示された契約書にサインしようとしていませんか?

その契約書には、国交省の標準ひな形を逸脱した「管理組合に不利な3つの落とし穴」が潜んでいる可能性があります。

知らずにサインすると、将来的な費用負担や解約時の高額な違約金に繋がります。このリスクを回避するため、マンション管理士として多くの契約内容をチェックしてきた筆者が、具体的なチェックポイントを解説します。

※筆者作成

  1. マンション管理委託契約書の重要ポイントと確認方法
  2. 管理委託契約書の見方を徹底解説!注意すべきポイントは?
    1. 管理委託契約書とは?基本から解説
    2. マンション標準管理委託契約書の内容を分かりやすく解説
    3. 管理委託契約の主な条項と押さえるべきポイント
      1. 管理事務の内容及び実施方法、第三者への再委託、善管注意義務(3~5条)
      2. 管理事務に要する費用の負担及び支払方法(6条)
      3. 管理事務室等の使用(7条)
      4. 専有部分等への立入り(13条)
      5. 管理規約の提供等(14条)
    4. 管理委託契約書別表第1 「事務管理業務」の内容とは?
      1. 基幹事務
        1. 管理組合会計の収入及び支出の調定
        2. 出納業務
        3. 管理費等滞納者に対する催促
        4. 通帳等の保管等
        5. マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整
      2. 基幹事務以外の事務管理業務
        1. 理事会や総会の支援
        2. 各種の点検業務
    5. 管理委託契約書別表第2 「管理員業務」の内容とポイント
    6. 管理委託契約書別表第3 「清掃業務」のチェックポイント
    7. 管理委託契約書別表第4 「建物・設備管理業務」の確認事項
  3. なぜ管理委託契約書のチェックが重要なのか?
  4. ⚠️ 契約書に潜む「3つの落とし穴」とチェックすべき最重要項目
    1. 落とし穴(1):管理会社の「免責範囲」が過度に広くないか
    2. 落とし穴(2):将来的な管理委託費の「値上げ・増額」に関する条項
    3. 落とし穴(3):管理組合からの「解約条件」が厳しすぎる
  5. 管理委託契約書のポイントまとめ!最適な契約を結ぶために

マンション管理委託契約書の重要ポイントと確認方法

今回のテーマは次の項目を中心に紹介します。

・管理会社から提示される管理委託契約書の見方をまとめました
・管理委託契約書のチェックが重要な理由
・管理委託契約を締結する際に注意すべき点3つ

管理会社からの重要事項説明が行われた後、管理組合総会において管理会社との管理委託契約の議案が議論されます。

・重要事項説明会として説明会を開催する場合
・前期と同一の内容であれば説明会が省略される場合

双方あります。また、

・管理委託契約書は契約書面により、内容を文書で記載
・重要事項説明書は契約内容を分かりやすく箇条書きや図表等で記載

と違いがあります。

実質は、重要事項説明書の内容を確認して、契約を締結するか否かを区分所有者全員が総会に出席して判断することとなります。

そのため、重要事項説明書の内容をしっかりと確認することが重要です。

契約書に署名・押印するのは、その時期に在任している理事長です。慎重な判断が求められます。

そのような契約書について、

・見方やチェックが重要な理由
・管理委託契約を締結する際に注意すべき点を3つ

について紹介します。

管理委託契約書の見方を徹底解説!注意すべきポイントは?

管理会社との管理委託契約時に交わす、管理委託契約書の内容を確認します。

要点について、確認しておいた方が良い点を中心に、具体的に解説します。

細かい点も多いですが、特に重要なポイントを中心に解説します。

管理委託契約書とは?基本から解説

管理会社と管理組合の間での管理委託契約に関する定めは、

マンション管理適正化法第73条「契約成立時の書面」

として、明確に定められています。

契約の前に、管理会社が管理組合と管理の委託を受けることを内容とする契約を締結しようとする時に、あらかじめ国土交通省令で定める説明会を開催する必要があります。

この時に区分所有者に配布される書面のことを重要事項説明書といいます。

契約の内容を、理事長や区分所有者が理解しやすいように、まとめられているものと理解すればよいでしょう。

重要事項説明書については、こちら

に詳しく紹介していますので、合わせてご参照ください。

そして、管理委託契約書については、国土交通省により、

マンション標準管理委託契約書

として、ひな形が紹介されています。

国土交通省 マンション標準管理委託契約書https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000011.html

マンション標準管理委託契約書
https://www.mlit.go.jp/common/000117888.pdf

契約書 別表
https://www.mlit.go.jp/common/000117889.pdf

内容として、重要事項説明書の内容を契約独特の言い回しにしています。

具体的な文書に落とし込まれているものです。

マンション標準管理委託契約書の内容を分かりやすく解説

今回のコラムとあわせて、リンクを貼ったマンション標準管理委託契約書のPDFひな形
https://www.mlit.go.jp/common/000117888.pdf

と見比べてみてください。

また、重要事項説明書のひな形(作成例)https://www.kanrikyo.or.jp/format/pdf/jyuuyou/jyuusetsurei_20220603.pdf

とも見比べて頂ければ、重要事項説明書が分かりやすいことが分かります。

契約書の立て付けとしては、

・どのマンションでも一般的な取り決めとなる契約書の条項が並んでいる
・細かく記載すべき金額等は条項の外の別紙として表で記載している
・別表として、マンション独自の記載がある
(締め日や期間、実施回数等の記載)

という形になっています。

管理委託契約の主な条項と押さえるべきポイント

契約の条項に記載されている内容を確認してみます。

重要事項説明書と被る分は、そちらをご参照頂ければより分かりやすいでしょう。

代わりに、記載されていない所を中心に厚めに紹介します。

以下、画像は国土交通省の標準管理委託契約書ひな形からの抜粋となります。

国土交通省のひな形は一般的な記載・取り決めとなります。

マンション個別で管理会社との取り決めを行う場合もあるでしょう。

その際は別個の解釈(ひな形から契約書面の修正等)も考えられます。

管理事務の内容及び実施方法、第三者への再委託、善管注意義務(3~5条)

また、「第三者への再委託」は、管理会社のみで完結しない業務は、第三者への委託を実施することで業務を行う取り決めです。

「善管注意義務」とは、

「善良なる管理者の注意義務」という民法上の言い回しです。

業務受託側がその専門的立場から、通常期待される注意義務を払うことです。

管理事務に要する費用の負担及び支払方法(6条)

4項に管理事務を行うにあたって、掛かってくる諸費用は管理費負担であるということが記載されています。

管理事務室等の使用(7条)

すなわち、これら備品は管理組合側で準備するということです。

2項は、管理事務室で使用する備品について、管理会社または管理組合のどちらが負担するかという点が記載されています。

例えば、管理事務室のコピー代負担は以下のように取り決めできます。

✅総会用など枚数が多い印刷物 → 管理組合が負担
✅理事会用など軽微な印刷物 → 管理会社が負担

このように、管理委託契約書には具体的な費用負担の取り決めが記載されるため、事前にしっかり確認しておくことが重要です。

専有部分等への立入り(13条)

これは、最新版の標準管理規約にも同様の定め(管理会社ではなく、管理組合や理事長として記載)があります。

災害時等の緊急時において、管理組合や理事長が対応できない場合は、管理員をはじめとした管理会社側にでも対応可能にしています。

管理規約の提供等(14条)

管理会社が代わりに、管理規約や滞納状況、修繕履歴等が出せる定めです。

もちろん、区分所有者より管理会社が対応した方がスムーズな場合もあります。

代わりに不動産業者からの要請に対応できることへの配慮されています。

管理委託契約書別表第1 「事務管理業務」の内容とは?

続いて、別表についても確認しておきます。

契約の条項には、概要しか記載されていません。

細かなことは別表等に逃がすことにより、詳細が記載されています。

そのため、この別表も見逃すことができない重要な情報が折り込まれています。

別表において確認しておいた方がよい点を、具体的に確認していきます。

標準管理委託契約書の別表
https://www.mlit.go.jp/common/000117889.pdf

と合わせてご確認頂ければと思います。

基幹事務

別表に書かれている内容において、まずは基幹事務から確認します。

管理組合会計の収入及び支出の調定

また、毎月の収支状況の取り決めも明文化され、記載がなされている形です。

出納業務

・管理費等の収納のタイミング
・収納・保管口座の口座名
・保証内容等

の記載がなされます。

以下、出納業務について管理組合との契約形態により、重要事項説明書のコラムでも紹介したイ、ロ、ハの方法のそれぞれのケースがひな形には紹介されています。

こちらは「出納(保証契約を締結して甲の収納口座と甲の保管口座を設ける場合)」なので、重要事項説明書の「イの方法」となります。

管理費等滞納者に対する催促

管理会社は管理組合と決めた間は、電話や自宅訪問等で督促を行うものの、支払わない場合は業務を終了することとなります。

すなわちこれ以上は督促対応は行わないとの取り決めです。

管理会社としては、管理組合を支援するために一定の間は督促業務を行います。

一方で、管理会社は管理費等の督促を専門で行う訳ではありません。

従って、その後の対応は管理組合の責任によって行うこととなります。

通帳等の保管等
マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整

改善のための助言はしてくれるものの、この場合は

長期修繕計画案の作成や劣化状況の調査診断等は別個の契約

であることが定められています。

すなわち、管理委託契約の対象外ということになります。

実施する場合には、別途契約を締結し、業務を依頼しなければなりません。

ただし、管理委託契約の中で既に定める場合もあります。

記載例としては、

二 長期修繕計画案の作成業務及び建物・設備の劣化状況などを把握するための調査・診断を実施し、その結果に基づき行う当該計画の作成及び見直し業務を実施し、管理組合に提出する。

など、長期修繕計画を作成や見直しをする旨の記載があれば、契約内に含まれることとなります。

もし、分かりづらい場合は、必ず管理会社に

長期修繕計画案の作成や見直しは管理委託契約に含まれるのか?

を確認するようにしましょう。

さらに、外注により管理会社以外の業者が行う場合もあるでしょう。

発注の補助等を実施して貰える事となりますが、あくまでも間を繋ぐ業務が中心になる点に注意が必要です。

基幹事務以外の事務管理業務

理事会支援と総会支援業務についてです。

理事会支援業務としては、組合員等の名簿整備がまず挙げられています。

自治体が進める管理計画認定制度においては、組合員等の名簿が1年毎に更新されているかというチェック項目があります。

ポイントとしては、「組合員等」という点であり、

この「等」には「区分所有者+賃借人」が含まれる点です。

契約上、この名簿の整備が入っている場合は、管理会社との業務上の確認を行った方がよいでしょう。

理事会や総会の支援

また、理事会の支援についてです。

この場合、開催日の調整や議事録案の作成も管理会社が行うこととなります。

そのため、

・2ヶ月に一度等適切に開催されているか
・理事会議案の提示がなされているか
・議事録案が適切に提出されているか

等も確認が必要でしょう。

総会の開催についても同様となります。

各種の点検業務

そのため、管理会社経由で手続きをすることとなるでしょう。

図書の保管等の内容が入っていれば

・管理会社が適切に保管管理しているか
・図書に漏れがないか

の確認も、管理組合や理事会側で定期的に実施することが望まれます。

管理委託契約書別表第2 「管理員業務」の内容とポイント

管理員の勤務形態や、実施する業務の取り決めが記載されます。

・建物の外観目視点検
・照明器具の稼働状況
・ポンプ等諸設備の運転、作動状況

は管理員が実施する場合があります。

また、立会業務として、外注業者やゴミ搬出も挙げられます。

さらに、報告連絡業務として、

・掲示板への文書の掲示や各戸への配布
・点検結果等の報告

も含まれます。

管理委託契約書別表第3 「清掃業務」のチェックポイント

どこまで実施するかは管理会社との取り決めや金額次第となるでしょう。

それぞれの項目について、回数と頻度の記載が行われることとなります。

項目が多いため、一部抜粋して紹介します。

当然頻度や回数が多いと綺麗になりますが、その分金額も上がるでしょう。

費用対効果と清掃後の質を考えながら、回数、頻度を判断することとなります。

また、業務実施においては、

・清掃は通常要すると認められる範囲と時間で実施
・使用頻度が多くてすぐに汚れる所は通常の作業を実施した段階で作業完了
・実施において使用する光熱費は管理組合負担

が明記されています。

管理委託契約書別表第4 「建物・設備管理業務」の確認事項

別表の最後、第4で建物や設備の管理業務の取り決めが細かくされています。

また、今回は点検内容の詳細を細かく紹介しませんが、一部抜粋して紹介します。

あくまでも管理員や専門業者による目視点検となるため、劣化状況を細かく知るためには、詳細の調査をする必要が出てくるでしょう。

特殊建築物の定期検査は、自治体により対象になる場合や対象外になる場合も想定されます。

そのため、マンションの状況を確認する必要があるでしょう。

また、エレベータの点検は必ず実施しなければならない法定点検(昇降機定期検査)と、メンテナンス会社と契約で決まったタイミングで実施する定期点検があります。

それぞれの実施頻度について記載されています。

・消防法に規定する機器点検や総合点検
・機械式駐車場がある場合の点検

等も記載されます。

なぜ管理委託契約書のチェックが重要なのか?

管理委託契約書の説明においては、契約内容とともに別紙の詳細資料を含めて、重要事項説明書の記事で記載した以外のところを中心に紹介しました。

該当設備がなかったり、管理会社との取り決めがなかったり等で、紹介内容の全てが管理委託契約に折り込まれるかどうかは、マンションによって異なるでしょう。

一方で、自分自身のマンションに関することで分からないことは多いものの、管理委託費は毎月支払う管理費から充当されることとなるため、どのようなことに使用されるかは知っておいてよいかと思います

その観点から、前項で紹介した全ての内容を把握する必要はないものの、区分所有者としては月額の管理費や、イレギュラーで非定期的に発生してしまう費用、さらには、「点検を実施するとこれぐらいの費用が発生するのか…」などのイメージを掴んでおくことも大切です。

重要事項説明を経て総会に諮られた際には、普通決議により可決される可能性が比較的高い管理委託契約です。

現状と照らし内容が適切で金額的にも妥当なら否決の必要はありませんが、

なぜ可決するのか、改めて管理委託契約内容を確認することで、事前に見解を固めておくことも重要

と言えるでしょう。

⚠️ 契約書に潜む「3つの落とし穴」とチェックすべき最重要項目

管理会社から提示される管理委託契約書は、管理組合の合意(総会決議)をもって契約締結となります。しかし、総会で可決されてしまえば契約締結となるため、議案が諮られる前の段階で、リスクになり得る3つの落とし穴を詳細に確認しておくことが不可欠です。

特に以下の3つの項目については、標準管理委託契約書から逸脱した条項になっていないか、この記事を通じて、専門家の視点から確認すべき具体的なポイントを整理していきましょう。

項目 国交省標準との比較(原則) 落とし穴/リスク
免責範囲 管理会社が善良なる管理者の注意(善管注意義務)を果たした上での損害は免責される。 賠償上限額が不当に低い、または、管理会社の軽微な過失まで免責としている。
費用増額 管理委託費の改定は、合理的な根拠に基づき甲乙協議のうえ合意する。 「協議」の条項がない、または、管理会社の一方的な「通知」のみで増額できる規定になっている。
解約条件 契約期間満了の少なくとも3ヶ月前までに文書で申し入れることにより終了できる。 通知期間が6ヶ月以上に設定されている。残期間の全額を違約金とする不当な規定がある。
まとめ 義務と責任のバランスを重視し、管理組合の権利を尊重した規定。 管理組合に不利な「一方的な負担」を負わせる構造になっていないか注意。

落とし穴(1):管理会社の「免責範囲」が過度に広くないか

契約書に潜む最初の落とし穴は、管理会社が自らの責任を過度に軽くしていないかという点です。免責(めんせき)とは、管理会社に落ち度があった場合でも、損害賠償責任を負わない範囲を定める条項のことです。

なぜこれが落とし穴なのか?
国土交通省の標準契約書でさえ、管理会社が不利にならないよう一定の配慮がされていますが、問題は、提示された契約書が標準委託契約書から逸脱して管理会社に有利に書き換えられているケースです。

【チェックすべき具体的な条項】
管理組合側は、以下の2点を厳しくチェックする必要があります。

1. 「重大な過失」がない場合も免責範囲に含まれていないか(軽微なミスで済まされないか)。
2. 管理会社の責めに帰すべき事由により管理組合が損害を被った際の損害賠償の上限額が不当に低く設定されていないか。

過度に管理会社の免責が広い契約書にサインすると、何か問題が起きた際に「契約書に書いてありますから」と責任逃れされ、管理組合がすべての費用を負担する事態になりかねません。

落とし穴(2):将来的な管理委託費の「値上げ・増額」に関する条項

管理会社から提示される契約書をチェックする際、最も将来の費用負担に直結するのが、管理委託費の「値上げのルール」です。

なぜこれが落とし穴なのか?
管理会社は、人件費高騰などを理由に定期的に値上げ交渉をしてきます。しかし、契約書に値上げに関する明確な取り決めがない場合、管理組合は「相場」ではなく「管理会社の言い値」を受け入れざるを得なくなるリスクがあります。

【チェックすべき具体的な条項】

値上げの「根拠」と「上限」: 「社会経済情勢の変動等により必要と認められるとき」といった抽象的な文言で、管理会社の一方的な判断で増額できる条項になっていないか。値上げ率の上限が設定されているか。
業務「頻度」の見直し条項:契約の細目(清掃や点検の回数・頻度)が過剰に多く設定されていないか。これは、コスト削減交渉の余地を事前に奪うことになります。業務の回数や頻度を見直すための協議の機会が明記されているかも重要です。

💡 コスト削減につながる「実施回数」のチェックポイント

上記の「業務頻度」のチェックにおいて、特に以下の項目は法律や自治体の条例に定めがない場合が多いため、適正化の検討余地が大きいです。

定期清掃業務、植栽管理の頻度:実施回数が過剰に多くないか、または省略しても影響がない作業はないか。
給排水管清掃、自動ドアのメンテナンス回数の見直し:法律で定められた点検回数以外の部分について、現在の実施回数が妥当か、費用対効果で検討する。
専門業者コストの比較検討:エレベーターのメンテナンスなどをメーカー系から独立系に切り替えるなど、業務内容を維持しつつコストを下げる選択肢を常に検討できる余地を残しておく必要があります。

落とし穴(3):管理組合からの「解約条件」が厳しすぎる

管理会社との契約において、最も管理組合の自由度を奪うのが「解約条件」に関する条項です。管理会社と長期的に付き合っていくことは望ましいですが、万が一の際の「逃げ道」は確保しておく必要があります。

なぜこれが落とし穴なのか?
管理会社は、解約を防ぐため、解約通知期間を不当に長く設定したり、高額な違約金を要求する条項を盛り込むことがあります。このような条項にサインすると、管理会社のサービスに不満があっても、解約に伴う負担や関係悪化を恐れて、サービスの見直しや値上げ交渉ができなくなる事態に陥ります。

【チェックすべき具体的な条項】

✅解約通知の期間:標準的な期間(通常3ヶ月程度)よりも不当に長く設定されていないか(例:6ヶ月〜1年)。期間が長いほど、次の管理会社を探す負担が増大します。
✅中途解約時の違約金:契約期間の途中で解約した場合に、残存期間の委託費全額など、不当に高額な違約金が発生する条項になっていないか。違約金は、管理会社の実損額の範囲内に収まるのが一般的です。
✅相見積もり取得の難易度:他社と比較検討するために相見積もりを取得しようとした際に、現在の管理会社に知られないよう秘密裏に実施しなければならないという難易度が伴います。しかし、契約書上の解約条項が明確であれば、秘密裏に行う必要性は低くなります。

管理委託契約は、管理組合が「不満なサービス」を我慢する鎖になってはいけません。契約締結時に、いつでも適切な手続きで自由に見直せる権利が確保されているかを必ず確認しましょう。

管理委託契約書のポイントまとめ!最適な契約を結ぶために

今回は、将来の管理組合の費用負担を左右する、管理委託契約書に潜む「3つの落とし穴」と、そこから資産を守るためのチェックポイントを解説しました。

重要事項説明書だけでは見えない、管理会社の「免責範囲」「値上げ条項」「解約条件」の3点を事前に確認することが、数千万円規模の無駄な支出を防ぐ防衛策になります。

総会で契約締結が可決される前の段階で、必ず専門家の視点を取り入れ、余裕を持って事前の確認・交渉を行うことが、あなたのマンションの資産価値を守る上で最も重要な準備です。

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