マンション室内をリフォームしたいのですが、リフォームするにも制限があると聞いた…
または、
ベランダは自分たちの所有している部分なのではないのか??
さらに、
35年ローンを組んで頭金も準備して購入したのに…自分たちのものでない部分があるの?
このような疑問を持っている、マンションに住んでまだ日が浅い方やマンション購入検討している方も多いでしょう。
確かに、マンションを購入しても、実は室内やベランダ等に自分たちのものではない所があるというのを、意外とイメージできない方もいらっしゃると思います。
今回は、自分たちが購入したマンションであっても、自分たちのものではないという点にフォーカスを当て、マンションの専門家であるマンション管理士が具体的に解説します。
特に、過去マンションを購入したことが無い方や、賃貸に住んでいて購入を検討されている方、また、マンションを購入された方でも改めて確認したい方向けの内容です。
買ったマンションでも自分のものではない箇所があるってホント?
今回の記事は以下の内容となります。
・マンションの中なのに共用部分に当てはまる所は?
・住戸内を使用する際に注意すべき点は?
マンションに長年お住いの方は、もちろんこれらについて熟知されている方も多いでしょう。
しかしながら、
長年住んでいても知らなかった…
また、
なるほど、そういう構成だったのか…
など、改めて感じることもあるでしょう。
普段の生活では意識せずに自分のものとして使っているためです。
具体的に順を追って確認していきましょう。
買ったマンション室内の構成は?
購入したマンション室内の構成はどのようになっているのでしょうか?
具体的には、専有部分と共用部分に分けられます。
専有部分とは?
購入したマンションの専有部分とは、単に「部屋」に該当する部分をイメージすればいいのですが、ただ含まれない所もあります。
マンションの決まりを決めるものに管理規約という文書があります。
その管理規約には、国土交通省が推奨するひな型があり、その中には、
第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
という記載があり、この解釈が一般的です。
すなわち、
・天井、床、壁の躯体部分(マンションの構造を支える骨組み部分)を除く箇所で、表面部分
・玄関扉は鍵と内側の塗装部分
という解釈です。
マンション室内の共用部分とは??
次に、共用部分と言われる所です。
共用部分とは、
(自分のものではない)マンション管理組合のもの
であり、室内にも実は共用部分があります。
先ほど、
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
とあったことから、玄関扉の鍵以外や扉本体、窓枠及び窓ガラスは専有部分には含まれないという場合もあります。
とりわけ、自分達しか使えない共用部分のことを、専用使用部分と言われることもあります。
この専用使用部分を使用する場合は注意が必要で、具体的な注意点は最後の章で紹介します。
また、窓ガラスや窓サッシ、玄関ドアを交換する場合は、マンション全体で一斉に実施することが多いでしょう。
ただし、管理規約や使用細則によって、自分たちで実施することを定めていたり、専有部分扱いとされている場合も考えられます。
そのため、各マンションの管理規約や使用細則にどのような決まりがあるのか、十分確認する必要があります。
マンションの中なのに共用部分に当てはまる所は?
具体的には、以下のような箇所が自分たちのものではない共用部分とされることが多く、管理規約や使用細則という、マンションのルールに則った使用上注意する必要があります。
窓枠及び窓ガラス
窓枠や窓ガラスって、部屋の中なので自分たちのものではないのか?
という疑問が沸くでしょう。
多くのマンションにおいては、共用部分の扱いとなっています。
そのため、自分たちの都合で断熱性に優れる窓枠や窓ガラスに交換することができない場合がほとんどです。
各住戸で自由に窓ガラスや窓枠を変えてしまうとどうでしょうか?
マンションの外観や構造上、統一感がないものとなってしまい、その価値が毀損する可能性があるからです。
玄関ドア
玄関ドアも鍵と内側の塗装は専有部分となっていました。
それ以外の、玄関ドア本体や外側の塗装は共用部分となることが一般的です。
窓ガラスや窓サッシ同様、外観や構造上の統一感を保つためと考えられます。
バルコニー
こちらも共用部分として位置づけられています。
理由としては、窓ガラスや窓サッシ、玄関ドア同様に、勝手に変えたりすると外観の統一感を損なう可能性があることや、上下階における避難経路として考えられているためです。
ベランダに非常口や避難はしごが設置されているのを見たことがある方も多いと思います。
屋上テラス(ルーフバルコニー)
屋上テラスもベランダ同様に、避難時等に重要な役割を果たすことから、共用部分です。
また、そもそも屋上テラスの下は住戸になっていることが多く、その住戸にとっての屋根として位置づけられます。
自由に使うことができるものの、屋根となっている部分は自分たちの持ち物ではないと考えることもできるでしょう。
1階に面する庭(専用庭)
マンションの中には、1階が庭になっている所もあるでしょう。
普通の戸建てであれば、1階の庭は当然自分たちのものです。
しかしながら、マンションでは共用部分として位置づけられます。
理由としては、ベランダ同様に、外観の統一性や、避難時に使用される所であるためです。
住戸内を使用する際に注意すべき点は?
最後に、自分たちで購入したマンション住戸内ですが、使用する際に注意すべき点があります。
管理規約や使用細則を遵守しないと、管理組合から原状回復を求められる場合もあります。
具体的にどのような箇所が該当するのか、確認していきます。
窓ガラス、窓サッシは勝手に変えない
窓ガラスや窓サッシは共用部分としての扱いであることが多く、勝手に変更することはできません。
リフォーム時に購入する際に、不動産会社が変えてしまっている…そんなこともゼロではないかもしれません。
事前に十分に確認して、購入することが求められます。
ただ、生活している中で、窓ガラスが割れてしまうことも考えられます。
共有部分だからと言って、放置しておくと生活に支障をきたしてしまいます。
その場合は、管理規約や使用細則に、故意の場合は自費で修理することについて記載されていることも多いでしょう。
室内の共用部分である専用使用部分は、持ち主の管理の下で使用する必要があるためです。
指定された窓ガラスを入れることで対応する必要が出てきます。
バルコニーやルーフバルコニー、専用庭での造作物
バルコニーにおいて、管理規約や使用細則に禁止とされているものを造作しないように注意する必要があります。
とりわけ、ルーフバルコニーや専用庭はスペースが大きくなることから、マンションを買った時には自分の庭ということで、何かを置きたいと期待してしまいます。
しかしながら、倉庫やサンルーフ等を設置できないことが一般的です。
また、避難経路に該当する箇所に物置を置くなどをしてしまうと、避難経路が確保できないため、厳禁と言えるでしょう。
室内リフォーム時の届出
購入後にリフォームを考えている方も比較的多いと考えられます。
とりわけ、築年数が経過したマンションでは、専有部分も劣化してくるためリフォームが必要となるでしょう。
その場合は、室内リフォームをする際の管理組合への届出を義務付けているマンションも多いです。
理由としては、
・資材搬入のためのエレベーターや廊下などの共用部分の利用
・駐車場の工事車両の使用
など、共用部分や他の住民に影響を与えることが多いためです。
また、工事の際にはマンション内の所定箇所への掲示も必要になってくるでしょう。
自分の住まいであってもマンションのルールを守っての使用が重要
自分のマンション室内であっても、管理規約や使用細則といった、管理組合のルールが適用されます。
今回はマンションの持ち物である共用部分や専用使用部分に関連する内容を紹介しました。
他にもマンション室内でペットを飼ってはいけないことや、騒音に注意する、ベランダでの喫煙は禁止など、マンション独自のルールがあります。
住民一人一人が管理組合のルールを守って快適な生活を心がけることが重要といえるでしょう。
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