前回に引き続き、ChatGPT5と対談した内容をご紹介します。今回は修繕積立金不足にフォーカスを当てて、再びChatGPTの音声機能を用いて対談してみました。筆者が契約しているChatGPT Plusでも時間の制約もあり、15分程度の対談です。
そのような中で、修繕積立金不足については、2024年に公表された国土交通省の調査でも全国の約37%ものマンションで積立金が不足している現状が明らかになりました。建設コストの高騰や築年数の増加により、必要な工事費用に対して資金が追いつかない管理組合が増えており、将来への不安が広がっています。
これまでの対談内容です。
会話で読み解く:修繕積立金不足問題の実態と対策
どれくらいのマンションで資金不足が起きているのか?
(横浜マンション管理FP研究室、以下YMK)最近、「うちのマンションは将来の大規模修繕に備えて貯金が足りないかも…」なんて声をよく耳にします。実際、修繕積立金が不足しているマンションって多いんでしょうか?
(GPT-5)そうですね。国土交通省の最新の調査によれば、現在の積立金残高が長期修繕計画の想定より不足している管理組合が約36〜37%にのぼるとの結果が出ています。5年前の前回調査よりも割合が増えていて、状況は確実に深刻化しています。つまり3棟に1棟以上は計画よりお金が足りていない状況で、これは他人事ではありませんね。
(YMK)3割以上ですか!結構な割合ですね…。現場感覚でも、特に築年数が経ったマンションほど「このままじゃ将来の工事費がまかなえない」という話は増えている印象です。
補足解説:
実際、修繕積立金不足は年々顕在化している問題です。建設費や人件費の高騰、築30年以上のマンション増加などが要因で、想定以上に修繕コストが膨らみ資金計画が追いつかないケースが増えています。
国交省の令和5年度「マンション総合調査」でも、積立金不足のマンション割合は5年前調査比で1.8ポイント増加し36.6%に達したと報告されています。
なぜ修繕積立金が不足してしまうのか?
(YMK)どうしてそんなに積立金不足が起きてしまうんでしょう?皆が計画を立ててコツコツ貯めていても足りなくなるものなんですか?
(GPT-5)背景にはいくつか理由があります。一つは物価上昇です。近年、建築資材の価格や人件費が大きく上がり、2015年から2024年にかけて工事費が約1.3倍になっています。当初の長期修繕計画で想定していたよりも工事費用が高騰し、積立金が追いつかなくなっているんです。
もう一つは新築当初の積立金設定に問題があるケースです。売主(デベロッパー)が販売しやすくするため、新築時の月額積立金を低めに設定しがちなんですよね。その結果、後になって積立金が全然足りないと判明することがあります。特に段階増額積立方式(初め低く後で上げる方式)を採用しているマンションでは、将来の値上げ幅が大きくなりすぎて計画通りに増額できない事態も起きています。(YMK)最初に安く設定しすぎると後から苦しくなる…マンションあるあるですね。住民にとっては月々の支払いが安い方が喜ばれるから、販売時には低く設定しがちだけど、いざ工事の時期が近づくと「全然足りない!」って。
(GPT-5)そうなんです。それから長期修繕計画自体が古くて精度が低い場合もあります。例えば築20年を超えても一度も計画を見直していないと、物価変動や工事範囲の拡大を反映できていません。その結果、実際に必要な金額が計画より増えてしまい、不足を招くんですね。
(YMK)要は「予定より工事費が高くついた」「そもそもの積立額の設定ミス」あたりが主要因と。外部要因と内部要因、両方あるわけですね。
補足解説:
修繕積立金不足の原因としては、(1)修繕費用の増加と(2)積立計画の不備が挙げられます。近年の物価高騰は著しく、資材費・労務費の上昇が各管理組合の修繕コスト試算を狂わせています。また、新築時の積立金設定額が低すぎたり、長期修繕計画の見直しを怠ったりすると、計画と現実にギャップが生じます。国交省ガイドラインでは、積立金の段階増額幅の目安を定め、初期設定額は必要額の60%以上、最終段階でも110%以内に収めるよう推奨しています。これは初期設定が低すぎて後年に急激な値上げが必要となる事態を防ぐ狙いがあります。
積立金が不足したらどう対処すべきか?
(YMK)では、実際に「このままではお金が足りない!」と判明したら、管理組合はどう動けばいいでしょう?いきなり積立金をドーンと値上げすれば解決ですかね?
(GPT-5)急激に値上げするのは現実的には難しいですね…。理事会としてまずやるべきは、状況の把握と打ち手の検討です。具体的には長期修繕計画の見直しを専門家に依頼し、足りない金額を明確化します。その上で対応策としてはいくつか選択肢があります。
一つは修繕積立一時金(臨時徴収)です。各戸から一時的にまとまった額を徴収して、不足分を埋める方法ですね。ただ、一度に数十万円単位の負担となると区分所有者の合意を得るのは非常に大変です。
二つ目は金融機関からの借入(ローン)です。管理組合向けの修繕ローンを利用すれば、今すぐ資金が足りなくても工事を実施できます。ただし借入金は将来に返済していかなければならず、金利負担も生じますから慎重な検討が必要です。
三つ目の選択肢として、工事内容の見直しや段階施行も考えられます。優先度の高い工事とそうでない部分を見極めて、工事時期をずらしたり仕様を見直したりしてコストを圧縮するんです。もちろん延ばしすぎると不具合が広がるリスクもありますから、専門家の判断が重要です。(YMK)なるほど…。どれも一長一短ですが、最終的には「追加でお金を集める」か「借りる」か「費用を減らす」かってことですね。
(GPT-5)そうなります。そして忘れてはいけないのが区分所有者への丁寧な説明と合意形成です。お金の話はデリケートなので、「なぜ不足したのか」「このままだとどうなるのか」「各対策のメリット・デメリット」をしっかり資料にまとめて提示し、理解を得るプロセスが欠かせません。
補足解説:
積立金不足が判明した場合、管理組合には早急な意思決定が求められます。代表的な対処法として、臨時徴収(一時金)や管理組合の借入があります。一時金徴収は公平性の観点で区分所有者が一律に負担する方法ですが、生活に支障をきたす可能性もあるため、お勧めはできません。一方の借入は将来世代も含めて負担を平準化できるメリットがあります。ただし借入には審査や利息負担が伴います。
そのため、長期修繕計画の見直しにより優先順位を付け、工事内容を精査してコスト削減を図ることも有効です。
いずれの策を講じるにしても、総会での特別決議が必要になるケースが多く、組合員への丁寧な情報提供と合意形成が成功の鍵を握ります。
将来の不足を防ぐために今できることは?
(YMK)では逆に、まだ資金が足りなくなる前の段階で、将来の不足を防ぐために今からできることってありますか?
(GPT-5)予防策としては主に3つあります。
まず(1) 長期修繕計画と積立金額の定期見直し。5年に一度くらいは専門家にチェックを依頼して、最新の物価や建物状態を反映させることが大切です。早め早めに積立額を調整すれば、大幅不足になるリスクを減らせます。
次に(2) 修繕コスト削減の工夫です。具体的には複数業者から見積もりを取って比較検討したり、安くて質の良い代替工法を調べたりすることですね。同じ工事でもやり方次第で費用が数割違うこともありますから、管理会社やコンサルタントの協力を得て無駄を省きます。
そして(3) 外部資金や支援制度の活用。行政の補助金や助成金が利用できないか調べたり、先ほど触れたローンの活用も選択肢です。最近では余剰資金を運用して増やすサービスなんかも出てきていますが、元本割れリスクもあるので慎重に判断してください。(YMK)予防のための「貯める・減らす・足りない分は借りるor補助を使う」の3つですね。確かに、いざ足りなくなってからバタバタするより、事前に手を打っておくのが理想です。特に積立金の見直しは、理事会の重要業務として定期的にやっておきたいですね。
(GPT-5)そうですね。「現状を知り、早めに手を打つ」——これに尽きると思います。積立金の不足は放置すると建物価値の低下や生活インフラの劣化につながりかねません。管理組合としては将来を見据えて計画をアップデートし続ける姿勢が求められます。
補足解説:
将来に備えるためには、計画的な積立てとコスト管理が肝要です。(1) 長期修繕計画の定期的な見直しにより、時勢に合った積立金額へ見直すこと、(2) 工事費用の適正化(相見積もりやVE提案の活用等)で支出そのものを減らす努力、(3) 公的支援策やローンの活用で不足分を補うこと——これらを組み合わせて対策を講じることが重要です。また、日頃から管理組合内で資金計画の透明性を高めておくと、いざ見直しが必要になった際も合意形成がスムーズになります。
制度・資料リンク(一次資料)
- 国土交通省「令和5年度マンション総合調査」結果概要(修繕積立金の不足状況や管理組合運営の実態を5年に一度調査)asahi.com
- 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改訂。積立方式や増額幅の目安等を提示)yokohama-mankan.com
まとめ:複合アプローチで備える修繕積立金不足対策
修繕積立金不足は、物価上昇や計画未達による複合的な課題です。一つの解決策で魔法のように解消するものではなく、複数のアプローチを組み合わせることが求められます。
- 積立計画の定期点検と積立金見直し:(早期に不足を察知し手当てする)
- 修繕コストの精査と効率化:(工夫で出費自体を抑える)
- 外部資金の活用:(一時金徴収・借入・公的支援で不足を補う)
管理組合役員の皆様は、まず自分たちのマンションの財政状況を客観的に把握することがスタートです。その上で、専門家の知恵も借りながら「貯める・減らす・補う」のバランスを取り、将来に備えることが大切です。早め早めの対応で、マンションの資産価値と安心な暮らしを次世代につないでいきましょう。
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