多くの管理組合は輪番制を敷いています。
そのため、一定のタイミングで役員(理事や監事)の順番が回ってきます。
一方で、規約や細則等、管理組合の定めによっては、輪番制から外れることもあり、役員就任から除外されることも考えられます。
そのため、役員に就任することによって区分所有者が不利になる可能性もあるでしょう。
そうならない様にどのような取り決めを行えばよいのか、マンション管理士の筆者が解説します。
管理組合役員に就任する人は除外される人に対して負担が出てしまうのではないか?
このような疑問を持たれる方も多いようです。
逆に、対象外となる場合に心配される方もいるでしょう。
具体的な対応策について紹介します。
役員就任の年齢上限を上げる
まず、役員就任の年齢を上げることが考えられます。
本来は75歳等、一定の年齢になれば役員の就任を辞退できるというものです。
管理規約や細則等でも定められていることもあるでしょう。
しかしながら、高経年マンションで、長年住んでいる人が多くなると、日本の人口構成同様、マンションの構成においても高齢化率が高まることが考えられます。
その場合は、一定の方に役員が集中してしまいます。
そこを回避するためには、
・年齢上限を定めない
なども要検討となる課題でしょう。
区分所有者の家族でも役員になる
他に、区分所有者の家族でも役員になれるようにする対策です。
国土交通省が出している「独自の規定を定めている管理規約の事例 」
の2ページ目には、次のような例の記載があります。
※国土交通省 独自の規定を定めている管理規約の事例
例には、
・本人の直系二親等
等記載があります。
※厚生労働省 6親等以内の血族より
1親等なら子ども、2親等なら孫や兄弟姉妹まで含まれることとなります。
従って、規約の変更により、管理組合の実態、区分所有者構成に応じて合わせていくことが考えられます。
役員就任によるメリットはあるのか?
管理組合は、区分所有者にとって強制的に所属しなければならない団体です。
区分所有者にとって、役員になるメリットはあるのでしょうか?
一定の方に負担が生じることを想定した場合のメリットを考えます。
役員報酬の設定
マンションの中には、現役世代の若い方に負担な寄りがちな場合も想定されます。
若い方に不満が出てしまうと、引っ越しを考えることとなり、ますます高齢化が進みます。
若い方が長く住んでもらうための対策が必要になります。
その場合は、役員就任者に報酬を設定することも考えられます。
負担が無いように工夫することで、任期を全うして貰うことも重要でしょう。
外部所有者からの役員協力金の設定
都心部においては、売買需要も多いことから、投資目的で購入される方も多いでしょう。
・タワーマンションの一室を外国人が購入する
・ワンルームマンションをサラリーマンが購入する
なども考えられますが、実際住んでいないことも多くあります。
そのような場合は、外部所有者から協力金を徴収することも考えなければなりません。
負担が軽減できない場合は第三者管理者方式の検討も?
これらの施策でも、さらに負担が軽減できない場合です。
その場合は、外部に任せることも考えなければなりません。
管理組合においては、区分所有者に対する役員報酬以上に、一定の負担が生じる可能性も考えられます。
外部専門家の活用
まず、外部専門家を活用することです。
筆者のように、管理士会に所属するマンション管理士の中には外部専門家として対応できる認定マンション管理士資格を持つ方もいます。
外部専門家としては、
・マンション管理士や一級建築士、弁護士や税理士等の士業
・マンション管理のコンサルタント
が考えられます。
また、管理会社の中でも、第三者管理者としてのサービスを拡大している企業もあります。
委託している管理会社の中にも第三者管理者を受託している場合もあるでしょう。
ただし、管理会社による利益相反に注意
第三者管理者については、国土交通省もケアしながら、制度化を進めています。
将来的には、整備しておかなければならない第三者管理者方式と言えます。
しかしながら、制度を整えずにマンションの管理を行う管理会社が第三者管理者(≒役員)を兼ねるとなると、管理者がやりたい放題になってしまいます。
その場合の懸念を払拭すべく、管理組合としても対策が必要となります。
前項のマンション管理士は、管理会社は別の立場となります。
むしろ、管理組合支援側の立ち位置でもあるため、その点は客観的な視点をもつ専門家といえます。
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