【規約解説】マンション管理組合必見!管理費等滞納時の対応と国土交通省の見解は?

管理規約解説

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先日の理事会で管理費等の滞納が発生しているという共有が管理会社からあったけど、役員としてどうすればいいのだろうか…?

また、

管理費と修繕積立金の引き落とし時にうっかり残高が無かったので、引き落とせなかったけどどうすればいいのだろうか…?

さらには、

管理費等を滞納してしまった…払いたいがどれぐらいの遅延損害金が出るのだろうか…?

などなど、管理費等(管理費+修繕積立金)の徴収に関する疑問を持っている組合員も少なくありません。

そのため、今回はマンション標準管理規約第60条「管理費等の徴収」から、条文とともに、国土交通省が補足している内容を取り上げます。

そして最後の章で、これらを踏まえて、マンション管理士である筆者独自の視点からマンション管理組合や組合員が気を付けておいた方が良い点を紹介します。

  1. 【規約解説】マンション管理組合必見!管理費等滞納時の対応と国土交通省の見解は?
  2. マンション標準管理規約第60条「管理費等の徴収」とは?管理組合や組合員が知っておくべきこと
    1. 第60条「管理費等の徴収」条文は?
    2. 第1項 管理費等や使用料の徴収方法
    3. 第2項 管理費等や使用料を納入しない場合
    4. 第3項 滞納組合員に対する督促
    5. 第4項 理事長による未納金に対する訴訟対応
    6. 第5項 徴収金が支払債務に満たない場合
    7. 第6項 第2項の遅延損害金や諸費用の取り扱い
    8. 第7項 管理費等や使用料は返還できない
  3. 第60条「管理費等の徴収」の規定に対して国土交通省が指摘する補足・注意事項は?
    1. 管理費等の徴収方法の補足
      1. 適正化法施行規則第87条第2項とは?
      2. イやハの方法とは?
    2. 徴収日を別に定めている理由
    3. 滞納管理費の回収が極めて重要であること
      1. 滞納管理費の回収は管理組合(理事長)の職務
      2. 滞納管理費等回収のためのフローチャート
    4. 国土交通省による滞納管理費等の遅延損害金の考え方
      1. 滞納が起こるとマンションの資産価値や居住環境に影響を与える
      2. 管理組合は滞納管理費回収の専門家ではない
      3. 管理組合であれば法律に捉われない遅延損害金利率の設定も考えられる
    5. 督促や徴収に要する費用とは?
    6. 違約金としての弁護士費用等並びに督促及び徴収の諸費用の取り扱い
  4. 「管理費等の徴収」に対して管理組合や組合員が気を付けておくべき事項は?
    1. 滞納管理費等は放置せず管理組合で回収する
    2. 滞納管理費等をスムーズに回収するため、理事会決議で行えるように管理規約を改める
    3. 滞納管理費等の遅延損害金の利率は法令で定められた基準に合わせる必要はない
    4. 管理組合として「滞納は良くない」という風土も重要
    5. 管理会社を変更する場合は徴収手続きを変更する可能性も
  5. 滞納管理費等には柔軟に、速やかに回収する必要がある

【規約解説】マンション管理組合必見!管理費等滞納時の対応と国土交通省の見解は?

今回紹介する内容は、以下の通りです。

・マンション標準管理規約第60条「管理費等の徴収」とは?管理組合や組合員が知っておくべきこと
・第60条「管理費等の徴収」の規定に対して国土交通省が指摘する補足・注意事項は?
・「管理費等の徴収」に対して管理組合や組合員が気を付けておくべき事項は?

まず、最初の章では標準管理規約第60条の条文から「管理費等の徴収」についてそのままの文面を紹介します。

続いて、この条文についての補足事項や、注意しておくべき事項について国土交通省より提示されています。

今回は、国土交通省が示している文面を筆者が意訳せずにまずはそのまま紹介します。

その後、その文面の解説を、イメージしやすい具体的な例を踏まえながら紹介します。

そして、最後の章では第60条「管理費等の徴収」の条文や補足事項を踏まえて、管理組合や区分所有者が気を付けておいた方が良い点を、マンション管理士である筆者独自の視点から具体的に紹介します。

それでは、次章より当該条文について紹介します。

マンション標準管理規約第60条「管理費等の徴収」とは?管理組合や組合員が知っておくべきこと

まずはじめに、第60条「管理費等の徴収」の条文内容について紹介します。

そして、条文に対する筆者の補足説明をします。

第60条「管理費等の徴収」条文は?

条文の内容は、以下の通り定められています。

(管理費等の徴収)
第60条 管理組合は、第25条に定める管理費等及び第29条に定める使用料について、組合員が各自開設する預金口座から口座振替の方法により第62条に定める口座に受け入れることとし、当月分は別に定める徴収日までに一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合には、別に定めるところによる。
2 組合員が前項の期日までに納入すべき金額を納入しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用等並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる。
3 管理組合は、納入すべき金額を納入しない組合員に対し、督促を行うなど、必要な措置を講ずるものとする。
4 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。
5 収納金が全ての債務を消滅させるのに足りないときは、管理組合は、理事会の決議により定める弁済の充当の順序に従い、その弁済を充当することができる。
6 第2項に基づき請求した遅延損害金、弁護士費用等並びに督促及び徴収の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
7 組合員は、納入した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。

第7項まである比較的長い条文になります。

各項について、解説していきます。

第1項 管理費等や使用料の徴収方法

第1項では、第25条「管理費等」や、第29条「使用料」それぞれについて定められている項目についての支払い方法が記載されています。

具体的には、

・組合員が開設する預金口座からの口座振替
・第62条に定める管理組合の預金口座への入金

が必要として記されています。

また、管理組合が決めた徴収日までに一括で徴収することとなっています。

さらに、臨時に要することとなった費用として特別に徴収する場合は、別途定めるとしています。

ちなみに、わざわざ組合員の都度の振込手続きとせずに引き落とし(口座振替)としているのは、「うっかり」を含めた払い漏れを防ぐための工夫です。

第2項 管理費等や使用料を納入しない場合

組合員が管理費等や使用料を期日までに納入しない場合は、

・未納金額に対して一定の年利の遅延損害金
・違約金としての弁護士費用等
・督促及び徴収の諸費用

を加算して、遅延した組合員に請求できるとしています。

ちなみに、「〇」となっている所は、管理組合個別で検討して入れる箇所です。

この点は次章で国土交通省のコメントで細かく紹介していることから、筆者の補足も含めて解説します。

第3項 滞納組合員に対する督促

管理組合は、管理費等を納入しない組合員に対しては、督促するなどの必要な手続きを行う必要があるとしています。

管理費等が未納であっても放置してはいけない旨が、規約の条文に明確に定められています。

第4項 理事長による未納金に対する訴訟対応

未納があり、督促をしてもなお入金されない場合は、理事長によって訴訟やその他法的措置を取ることができます。

また、この対応は理事会の決議によって実施することができます。

この理事会決議は、第54条「議決事項」の第1項第七号

によるものです。

内容は上記で紹介しています。

第5項 徴収金が支払債務に満たない場合

組合員から徴収した金額が、管理組合が支払うべき債務に足らない場合は、どのようにしたらよいかという取り決めです。

これは、理事会の決議によって、支払う順番を決めて支払うことができると定められています。

前項と同じく、この理事会決議は、第54条「議決事項」の第1項第八号

に定めがあります。

第6項 第2項の遅延損害金や諸費用の取り扱い

第2項で、未納の管理費等を回収する際に、未納金(滞納)に加えて、依頼した弁護士や徴収のために要した事務手数料や備品等の諸費用も考えられます。

それらも合わせて回収した場合は、第27条「管理費」に定める費用に充当することができるとしています。

第27条「管理費」については、以下

に細かく紹介しています。

管理費が充当できる経費はおもに11項目あります。

第7項 管理費等や使用料は返還できない

管理組合が組合員より集めた管理費等(管理費+修繕積立金)や使用料について、組合員は返還して欲しいとして請求できません。

そして分割による請求もできません。

管理組合において、マンションの価値向上のために使われる資金として充当されます。

第60条「管理費等の徴収」の規定に対して国土交通省が指摘する補足・注意事項は?

この章では、第60条の条文に対して、国土交通省が補足している事項を紹介します。

滞納に関する徴収を中心に、全部で6項目ありますので、それぞれ紹介するとともに、筆者の解説も加えたいと思います。

管理費等の徴収方法の補足

組合員からの管理費等の徴収方法には、法令規則に定めた方法により行う必要があるとしています。

① 管理費等に関し、組合員が各自開設する預金口座から管理組合の口座に受け入れる旨を規定する第1項の規定は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(平成13年国土交通省令第110号。以下「適正化法施行規則」という。)第87条第2項第一号イの方法(収納口座の名義人を管理組合又は管理者とする場合に限る。)又は同号ハの方法を前提とした規定であり、これ以外の方法をとる場合には、その実状にあった規定とする必要がある。その際、管理費等の管理をマンション管理業者に委託する場合には、適正化法施行規則第87条第2項に定める方法に則した管理方法とする必要がある。

詳細については、以下において参考までに紹介します。

適正化法施行規則第87条第2項とは?

細かくなりますが、マンション管理適正化法に関する手続き等を細かく定めたものに同法の施行規則があります。

その第87条第2項に「財産の分別管理」として、管理組合から集めた管理費等の所る方法が細かく定められています。

イやハの方法とは?

ここも細かくなるので紹介は省きますが、管理会社からの重要事項説明の際に、重要事項説明書に記載の方法となります。

具体的には、以下

で非常に細かく紹介していますので、共有しておきます。

徴収日を別に定めている理由

こちらは以下の通り記載があります。
② 徴収日を別に定めることとしているのは、管理業者や口座(金融機関)の変更等に伴う納入期日の変更に円滑に対応できるようにするためである。

規約や細則に定めてしまうと、仮に納入期日の変更があった場合は、わざわざ総会の決議をもって変更する煩雑さがあることから、円滑対応として徴収日を別途定めていることとなります。

ただ、管理費等の徴収期日の変更がある場合は、管理会社変更等のなんらかの総会決議が入ることも想定されます。

その場合は、口座変更や納入期日変更等も合わせて決議する必要があるでしょう。

滞納管理費の回収が極めて重要であること

国土交通省として、管理費等は確実に徴収するとともに、滞納があった場合も回収をすることが極めて重要であるとのことです。
③ 管理費等の確実な徴収は、管理組合がマンションの適正な管理を行う上での根幹的な事項である。管理費等の滞納は、管理組合の会計に悪影響を及ぼすのはもちろんのこと、他の区分所有者への負担転嫁等の弊害もあることから、滞納された管理費等の回収は極めて重要であり、管理費等の滞納者に対する必要な措置を講じることは、管理組合(理事長)の最も重要な職務の一つであるといえる。管理組合が滞納者に対してとり得る各種の措置について段階的にまとめたフローチャート及びその解説を別添3に掲げたので、実務の参考とされたい。

以下、補足します。

滞納管理費の回収は管理組合(理事長)の職務

第4項にもありましたが、訴訟等を含めた滞納管理費の回収は、理事長が理事会の決議によって行うことができます。

理事長一人の責任という訳ではありませんが、理事長を中心として管理組合として滞納管理費等を回収することは極めて重要であると考えられます。

滞納管理費等回収のためのフローチャート

フローチャートは、マンション標準管理規約(単棟型)別添3に以下のものが添付されています。


引用:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)より抜粋

法的手続きの内容が濃くなっており、また少々細かくて解説も分かりづらい点もあるかもしれません。

そのため、こちらの具体的な解説や手法など、以下の記事

で細かく紹介していますので、合わせてご参照ください。

国土交通省による滞納管理費等の遅延損害金の考え方

4つ目は、国土交通省は管理組合における滞納管理費に対する遅延損害金の考え方について紹介しています。
④ 滞納管理費等に係る遅延損害金の利率の水準については、管理費等は、マンションの日々の維持管理のために必要不可欠なものであり、その滞納はマンションの資産価値や居住環境に影響し得ること、管理組合による滞納管理費等の回収は、専門的な知識・ノウハウを有し大数の法則が働く金融機関等の事業者による債権回収とは違い、手間や時間コストなどの回収コストが膨大となり得ること等から、利息制限法や消費者契約法等における遅延損害金利率よりも高く設定することも考えられる。

こちらについても少し分かりづらいので、筆者の方でかみ砕いて解説します。

滞納が起こるとマンションの資産価値や居住環境に影響を与える

利率を考える前に、滞納が発生すると管理組合全体における資産価値や、外部への支払い等によって管理を行うことに支障をきたすなど、居住環境にも影響があるとしています。

管理組合は滞納管理費回収の専門家ではない

そして、管理組合は滞納管理費の回収に熟知している訳ではありません。

金融機関であれば、専門的スキルやノウハウ、そして大数の法則による豊富なリソース等によって、滞納の債権回収も専門としている所もあります。

それに対して、管理組合が滞納管理費を回収するとなると、手間や時間が膨大にかかることも想定されます。

管理組合であれば法律に捉われない遅延損害金利率の設定も考えられる

ノウハウや大数の法則が働く金融機関と違って、管理組合には様々なハードルが考えられます。

そのため、利息制限法や消費者契約法等によって定められた遅延損害金利率以上に高めに設定することも考えられると国土交通省は考えています。

督促や徴収に要する費用とは?

5つ目として、督促や徴収に要する費用について紹介しています。

⑤ 督促及び徴収に要する費用とは、次のような費用である。
ア)配達証明付内容証明郵便による督促は、郵便代の実費及び事務手数料
イ)支払督促申立その他の法的措置については、それに伴う印紙代、予納切手代、その他の実費
ウ)その他督促及び徴収に要した費用

実際の督促に掛かった費用は全般的に検討できると考えられます。

違約金としての弁護士費用等並びに督促及び徴収の諸費用の取り扱い

最後の6つ目は、違約金としての費用の取り扱いについてです。
⑥ 第2項では、遅延損害金と、違約金としての弁護士費用等並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することが「できる」と規定しているが、これらについては、請求しないことについて合理的事情がある場合を除き、請求すべきものと考えられる。なお、違約金としての弁護士費用等には、司法書士費用が含まれる。

条文上は、文章の関係から「しなければならない」という強制力はなく、「できる」と記載されているものの、国土交通省としては「すべき」として補足しています。

また、ここでは「違約金としての弁護士費用」と記載されているのがポイントです。

通常であれば原告側で弁護士を依頼しても、弁護士費用は訴訟費用には入らず、原告持ちであり被告側には請求できないこととなります。

しかしながら、管理規約でこれを定めていると、違約罰(制裁金)の扱いとして弁護士費用も合わせて請求することができることとなります。

具体的には、東京高裁平成26年4月16日判決の判例(マンション管理業協会のリンク)に詳細がありますので、そちらをご参照ください。

 

以上、第60条「管理費等の徴収」の条文ならびに、国土交通省の補足として突っ込んだ内容を、筆者の解説も含めて紹介しました。

最後の章では、これら以外に管理組合や組合員において、気を付けておくべき事項を、速やかに回収することや各管理組合の規約を改めて確認することの重要性について、マンション管理士である筆者独自の視点から紹介します。

「管理費等の徴収」に対して管理組合や組合員が気を付けておくべき事項は?

これまでに第60条「管理費等の徴収」の条文や、国土交通省が挙げる補足事項等を紹介しましたが、この章では、筆者がこれらを踏まえて独自の視点から、管理組合や組合員が気を付けておいた方がよい点を紹介します。

滞納管理費等は放置せず管理組合で回収する

これは当然のことですが、管理費等の滞納が発生した場合には、速やかに回収に動くことが求められます。

前章でも紹介した、「滞納管理費等回収のためのフローチャート」と筆者のコラム

が参考になります。

滞納状況は、理事会開催時に管理会社から各役員に共有されることが多いでしょう。

一度の滞納であれば、「引き落とし口座に残高を残していなかった」などの「うっかり」も考えられます。

その場合は、速やかに支払いをしてもらうよう催促すべきです。

しかしながら、催促に対しても応じない場合は、前述のフローに従って対応していく必要があります。

2,3か月経っても支払いが無い場合は、放置せずに回収のために動くことが求められるでしょう。

滞納が長ければ長いほど、雪だるま式に増えていき、滞納している組合員にとっても後回しになってしまう可能性があるためです。

滞納管理費等をスムーズに回収するため、理事会決議で行えるように管理規約を改める

今の管理組合の管理規約において、滞納管理費等におけ法的手続きの訟対応がどのようになっているか確認する必要があります。

最新の標準管理規約では、これまでに紹介したとおり理事会の決議にて、滞納管理費等の法的手続きを行うことができます。

一方で、滞納管理費等に関する法的手続きが、第60条のようになっていない可能性も、古い管理規約であれば考えられるかもしれません。

その場合、総会の決議となっている場合があれば、規約の改正を検討すべきでしょう。

「総会で決議できないから法的手続きが出来ない」

となると、滞納管理費等の雪だるまがどんどん大きくなっていくのを、管理組合としても総会決議が終わるのを見ているだけで、その後に着手しなければならないことになってしまいます。

まずは理事会から改正を検討することが重要と言えるでしょう。

滞納管理費等の遅延損害金の利率は法令で定められた基準に合わせる必要はない

国土交通省の補足説明でもありましたが、遅延損害金はそれぞれ

・利息制限法の上限:年15~20% 日本貸金業協会のHPより
・消費者契約法の上限:14.6% freeeの解説より

と決められています。

しかしながら、国土交通省の補足では、管理組合が滞納管理費に対して設定する遅延損害金利率は、これに縛られる必要はないとしています。

管理組合は金融機関ではなく、回収ノウハウもないため回収に手間が掛かり、法律で定める遅延損害金以上に手間が掛かることも考えられるためです。

また、管理組合でどれぐらいに設定するかは各管理規約の定めで決めることとなりますが、国土交通省の補足説明を考えると、

管理組合が設定する遅延損害金利率は20%以上でもよい

という考え方もできます。

そして、極論を言えばいくらでもよいということになりますが、弁護士費用や督促・徴収の諸費用も請求できることとなるため、常識の範囲内で設定することが求められそうです。

管理組合として「滞納は良くない」という風土も重要

国土交通省の補足説明に

管理費等の滞納は、管理組合の会計に悪影響を及ぼすのはもちろんのこと、他の区分所有者への負担転嫁等の弊害もある

とあった通り、管理費等の滞納は管理組合全体への影響を及ぼすこととなります。

従って、その影響を最小限にするためには、組合員それぞれが滞納は良くないことだと認識することが重要です。

マンションは管理組合という集団生活であり、管理規約や使用細則等の一定のルールを守りながら生活する必要があります。

その中でも、管理費と修繕積立金は、マンションの将来を作っていく重要財産であるともいえます。

その点を各々の組合員が意識することによって、管理組合内で滞納をしないという風土を作っていくことも重要と言えるでしょう。

管理会社を変更する場合は徴収手続きを変更する可能性も

もし、管理組合としてやむを得ず管理会社を変更することとなった場合には、前章の徴収日を別に定める理由でも記載した通り、管理費等の徴収先の金融機関や引き落とし日が変わることも想定されます。

引き落とし先の金融機関は、管理会社が設定している収納口座の存在が考えられます。

そのため、管理会社の変更を伴う場合は、収納口座の変更も可能性として考えられることから、改めて組合員ごとに変更する必要も出てくるかもしれません。

滞納管理費等には柔軟に、速やかに回収する必要がある

今回は、マンション標準管理規約第60条「管理費等の徴収」の条文ならびに、国土交通省の補足事項、さらにはこれらを踏まえた筆者の解説を紹介しました。

「管理費等の徴収」という内容であっても、大半が滞納管理費等の回収のための対策という話題になりました。

それは、国土交通省の補足コメント「滞納された管理費等の回収は極めて重要」という一文が大きな影響を与えているような気もします。

今回のコラムが、管理組合ならびに組合員の方の参考になれば非常に幸いです。

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