【規約解説】区分所有者全員が確認したい総会の開催のルールとは?

管理規約解説

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今度管理組合の総会があるのですが、総会ってそもそもどういうルールがあるのだろうか…?

また、

総会って、いつまでにやらないといけないものなのかな…?

さらには、

毎年開催される定期総会以外に臨時総会もあるけど、そのルールってどうなっているのかな…?

などなど、管理組合で都度開催される総会について気になっている管理組合役員や、区分所有者も多いと思われます。

確かに、総会には毎年開催される通常総会(定期総会)と臨時総会が、それぞれ開催されることもあります。

今回は、管理組合として年間での一番のイベントともいえる、総会について、標準管理規約第42条に関して詳しく説明します。

【規約解説】区分所有者全員が確認したい総会の開催のルールとは?

今回紹介する内容は以下の通りです。

・標準管理規約第42条「総会」の紹介
・第42条「総会」の補足・注意事項は?
・総会のルールに対して管理組合で想定される事項は?

まず、標準管理規約第42条を引用して、総会に関する内容を紹介します。

続いて、第42条には、規約を解釈するうえでの補足や注意事項が標準管理規約のコメントとして紹介されています。

その内容をピックアップして具体的に説明します。

そして、総会について、標準管理規約のようなルールに対して管理組合で想定される事項を、前章で紹介した補足や注意事項、さらには筆者が経験した事例等も踏まえながら、具体的に紹介します。

標準管理規約第42条「総会」の紹介

まずはじめに、標準管理規約第42条の総会についての条文を紹介します。

第42条の条文は?

(総会)
第42条 管理組合の総会は、総組合員で組織する。
2 総会は、通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする。
3 理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない。
4 理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる。
5 総会の議長は、理事長が務める。

第42条の具体的な条項について

総会に関する第42条は第1項~第5項まであります。

総会は、総組合員、すなわち区分所有者全員で開催することになります。

また、総会は通常総会と臨時総会があります。

そして、区分所有法に定める集会という言い方がされていますが、

・区分所有法=集会
・標準管理規約=総会

という言い方の違いぐらいに捉えておいて頂ければと考えます。

そして、総会は新年度開始以降、2か月以内に開催される必要があります。

すなわち、12月が管理組合の決算であれば、2月末までに総会を開くこととなるでしょう。

時間的に余裕を持たせることで、規約の変更を行っている管理組合も多く見られます。

具体的には、

毎年1回新会計年度開始以後3か月以内に招集

という具合です。この場合は、3月末までに開催すればよいことになります。

臨時総会の開催は?

条文によれば、

理事長が必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集できる

とあるので、定期総会まで待てない議案がある場合は、臨時総会を開催することがあります。

臨時総会の開催タイミングは、「いつでも」とあるので、いつ開催してもよいこととなります。

また、回数も特に制限がありませんので、何回開催しても問題ありません。

しかしながら、役員や区分所有者の負担を考えると、なるべく議案をまとめて決議することが求められます。

第42条「総会」の補足・注意事項は?

総会に関する第42条の補足や注意事項としては、おもに以下の2点が挙げられています。

具体的に紹介します。

第3項の通常総会開催タイミング

補足事項として、やむを得ない場合の対応方法が紹介されています。

具体的には、災害又は感染症の感染拡大等への対応として、WEB会議システム等を用いて会議を開催することも考えられます。

しかしながら、それも含めて開催することが難しい場合においては、通常総会を必ずしも「新会計年度開始以後2か月以内」に招集する必要はないようです。

開催については、これらの状況が解消された後、遅滞なく招集すれば問題ないとの方針を、国土交通省としては想定しています。

第5項の総会の議長

標準管理規約に従うと、管理組合として望ましい考え方は、

総会の議長は、理事長が務める。

ということです。

しかしながら、補足事項として、国土交通省は総会の議長を、(理事長以外に別途)選任する旨の定めをすることもできるとしています。

そもそも、標準管理規約のベースとなる法律である区分所有法には、その第41条に

(議長)
第四十一条 集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の一人が議長となる。

という定めがあります。

こちらは、「管理者≒理事長」又は「集会≒総会を招集した区分所有者の一人」が議長として示されています。

したがって、議長は

・理事長
・総会を招集した人
・規約で別途定めた考え方(理事長・副理事長がいない場合など)

が考えられそうです。

もっとも、副理事長は、

理事長に事故があるときは、その職務を代行する(標準管理規約第39条)

職務を担うことから、仮に理事長が欠員の場合は副理事長が議長役を担うこととなります。

総会のルールに対して管理組合で想定される事項は?

標準管理規約第42条の条文や説明から、管理組合で標準的に考えられる総会の形を見てみました。

この章では、これら以外にも、総会で想定されそうな事項が考えられるので、その点をさらに深堀して確認していきます。

通常総会の開催期限を2か月以内→3か月以内とする

管理組合では、標準管理規約に変更を加えて、総会の開催時期をさらに遅らせることが考えられます。

また、標準管理規約に定める2か月以内から、3か月以内と設定している管理組合も比較的多く見られます。

理由としては、

・事業年度後の決算準備のため
・理事会の事前承認が必要なため
・株式会社の株主総会の開催期限である事業年度終了後3か月と合わせるため

なども要因としてありそうです。

ちなみに、株式会社の株主総会が、事業年度終了後3か月以内となっているのは、株主の議決権行使の期限が3か月を超えることが出来ない(会社法第124条第2項)ためです。

この場合は、管理組合の管理規約に対応する株式会社の定款も、標準の2か月→3か月と変更することとなります。

なお、標準管理規約の根拠となる区分所有法の総会(≒集会)に関する条文は、

(集会の招集)
第三十四条 集会は、管理者が招集する。
2 管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。(以下、省略)

とあります。

第2項のとおり、「少なくとも毎年一回集会を招集」とあり、特に期日は設けられていません。

対して、標準管理規約として反映する際に、年度終了後の一定期間後には開催するのが望ましいとのことで、期日を定めています。

臨時総会を「定期的」に実施している

必ず毎年必要な決議事項は、通常総会に集約して決議することにより、役員や区分所有者への負担も軽減するでしょう。

一方で、その間に定期的に期日が来るものがある場合で、総会議決事項になるものが考えられます。

例えば、12月決算の管理組合で、3月までに通常総会を実施するものの、夏場の7~8月ごろに以下のような更新がある場合です。

・管理会社との管理委託契約の更新
・火災保険等の保険契約の年度更新(標準管理規約では総会議決事項ではないが、管理組合では重要事項として総会決議としている所もある)
・毎年更新する必要がある管理業協会のマンション管理適正評価制度の更新審査

このように、事業年度の真ん中に期限が決まっている事項であれば、臨時総会を毎年一定のタイミングで「定期的に」開催ざるを得ないかもしれません。

そして、毎年実施する議決事項であれば、通常総会に持ってこれないか、うまくタイミングを図ることも検討する必要が出てきそうです。

管理組合の総会は、理事会や役員で組織している

多くの管理組合において、区分所有者が総会に出席して、意見を述べていることでしょう。

一方で、理事長をはじめ、役員や管理会社が中心となって構成することが多い管理組合も考えられます。

そのような中でも、第1項にある通り、

管理組合の総会は、総組合員で組織する。

とあります。

この条文に従うと、役員以外の組合員(区分所有者)も積極的に参加することが望まれます。

また、総会は理事長をはじめ、役員中心でやるものでもなく、組合員全員が議決権を行使して総会に主体的に参加していくということも、非常に重要な視点と言えるでしょう。

総会を開催するにも基本的なルールがある

今回は、標準管理規約第42条を取り上げ、総会に関するルールについて確認しました。

総会のルールがあるといっても、管理組合内でそれぞれ特徴も見られます。

なかなか他の管理組合の事例は確認できないうえ、自分たちの管理組合のやり方が適切かどうか、分からないかもしれませんね。

当コラムをはじめ、担当する管理会社や顧問等にも事例を確認しつつ、新たなルールを考えていくことが望まれます。

※標準管理規約は都度変更になるため、専用書籍はあるものの、法改正により古くなってしまいます。そのため、マンション管理センターのこちらの書籍の最新版

を確認されることをお勧めします。

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