【規約解説】マンション管理組合はどこまで委託すべき?標準管理規約33条を徹底解説!

管理規約解説

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マンション管理において、管理会社へ業務を委託するのは一般的ですが、その範囲や契約内容をきちんと理解しているでしょうか?

「マンション標準管理規約第33条」では、管理組合が業務をどこまで委託できるのかを定めています。

しかし、全部委託と一部委託の違い、自主管理との比較、委託契約の注意点などを正しく把握していないと、不必要なコストが発生したり、トラブルに巻き込まれるリスクもあります。

この記事では、マンション標準管理規約第33条の解説に加え、管理組合が知っておくべきポイントや注意点を、マンション管理士である筆者の視点から詳しく解説します。

【規約解説】マンション管理組合はどこまで委託すべき?標準管理規約33条を徹底解説!

今回紹介する内容は、以下の通りです。

・管理会社にどこまで委託できる?マンション標準管理規約第33条の概要
・国土交通省が指摘する補足事項
・「業務の委託等」に対して管理組合や区分所有者の注意点

まず、最初の章では標準管理規約第33条条文から「業務の委託等」についてそのままの文面を紹介します。

続いて、この条文についての補足事項や、注意しておくべき事項について国土交通省より提示されています。

さらに、その文面の解説を、イメージしやすい具体的な例を踏まえながら紹介します。

そして、最後の章では第33条「業務の委託等」の条文や補足事項を踏まえて、管理組合や区分所有者が気を付けておいた方が良い点を、マンション管理士である筆者独自の視点から具体的に紹介します。

それでは、次章より当該条文について紹介します。

管理会社にどこまで委託できる?マンション標準管理規約第33条の概要

まず、はじめにマンション標準管理規約第33条「業務の委託等」の条文を紹介します。

この条文は1項のみからなります。

(業務の委託等)
第33条 管理組合は、前条に定める業務の全部又は一部を、マンション管理業者(適正化法第2条第八号の「マンション管理業者」をいう。)等第三者に委託し、又は請け負わせて執行することができる。
条文の内容を受け、以下の項目について、筆者の視点で解説します。

管理組合は外部のマンション管理業者に委託できる

ほとんどの管理組合は外部のマンション管理業者(管理会社)に委託していると考えられます。

しかしながら、高経年マンションや小規模分譲マンションを中心として、管理組合自ら管理を行っている、いわゆる「自主管理マンション」も存在します。

また、以下の記事でも紹介している令和5年度マンション総合調査

によると、全部委託、一部委託、そして自主管理の割合は

・全部委託:72.9%
・一部委託:13.3%
・自主管理:5.2%
・その他・不明:8.4%
※各項目四捨五入しているため足して100%にはならない

となっています。

データから、全部又は一部委託で9割弱と、管理会社に委託している割合が圧倒的に多くなっています。

業務の委託範囲は「全部」でも「一部」でも可能

上記のデータより、管理会社に委託するのは、必ずしもすべてを委託する必要はありません。

令和5年度マンション総合調査からも、

・基幹事務は全部委託し、基幹事務以外は一部を委託している
・基幹事務の一部を委託している
・基幹事務以外の一部を委託している

など、委託方法は管理組合によって各タイプが想定されます。

「マンション管理業者」とは? 適正化法第2条第八号の定義

そして、マンション管理適正化法第2条第八号の「マンション管理業者」についても補足しておきます。

ここには、

八 マンション管理業者 第四十四条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。
とあり、国土交通省から登録を受けている業者である必要があります。

国土交通省の補足事項:管理委託契約の重要性

次に、国土交通省が指摘する補足事項についてです。

シンプルに以下の1点だけです。

第三者に委託する場合は、マンション標準管理委託契約書による。

管理組合がマンション管理を管理会社に委託する場合は、管理委託契約を締結する必要があります。

そして、その内容に沿う必要があるということです。

また、マンション管理委託契約書の解説は、以下

で非常に細かく各項目を解説していますので、参考までに共有します。

管理組合と区分所有者が注意すべき「業務の委託等」のポイント

最後の章では、管理組合や区分所有者が注意しておいた方が良い点を、マンション管理士である筆者独自の視点から紹介します。

一部外部委託の場合、契約の対象範囲を必ず確認

管理組合にとって一部外部委託を行う場合の注意すべき点もあります。

一部外部委託の場合は、令和5年度のマンション総合調査から考えると、

・メインで依頼している管理会社に一部を委託し、残りを他の業者に一部委託する場合
・メインで依頼している管理会社に一部を委託し、残りを管理組合自ら実施する場合

が考えられます。

したがって、管理組合と専門業者間で直接契約を結ぶか、管理組合自ら行うこととなります。

多くの管理組合では前者の「メインの管理会社+その他の業者」での委託形態でしょう。

その場合、どこまでがメインで依頼している管理会社の委託業務であり、それ以外の契約内容はどうなっているのか、確認する必要があるでしょう。

全部委託と一部委託、それぞれのメリット・デメリット

令和5年度マンション総合調査では、全部委託しているマンションが圧倒的でした。

しかしながら、全部委託又は一部委託それぞれにメリットやデメリットも存在します。

仮に、一部委託メリットを挙げるとすると、

・マンション管理委託コスト全体が削減できる可能性がある
・管理組合で一部担う場合は組合内にノウハウが蓄積される
・管理会社以外接外部業者と直接取引する際には、クリーンな取引形態が期待できる

反面、デメリットとしては、

・管理組合での手間が増える
・多くを委託している管理会社と一部委託している業者とのすみわけ
・都度業者発注する手間や相見積もり取得の必要性
・役員が一部委託に関与する利益相反リスク

などが想定されます。

全部委託の場合は、おもに上記のメリット、デメリットが逆転することとなります。

詳しくは、こちら

でも細かく解説しています。

自主管理から管理会社委託へ切り替える際の注意点

令和5年度のマンション総合調査からも、5.2%の管理組合が自主管理形態をとっているとの回答結果でした。

さらに、

・その前の平成30年度のマンション総合調査では自主管理形態と答えた管理組合は6.3%
・さらに遡って平成25年度の調査では5.0%

という結果でした。

自主管理を行っているマンションは、比較的高経年マンションが多い傾向にあります。

また高経年化にしたがって区分所有者の高齢化、いわゆる「管理組合の2つ老い」に直面しています。

そのため、自主管理マンションは、常に今後そのまま自主管理を継続できるのかという課題が常にあります。

そして、新たに管理会社委託に切り替えるという判断をしているマンションもあります。

その場合は、管理会社変更と同様の手続きを経て、新たなマンション管理会社と契約締結する必要がでてくるでしょう。

管理組合にとって、管理会社への委託は自然な流れ

今回は、マンション標準管理規約第33条「業務の委託等」の条文とともに、国土交通省の補足事項、さらには筆者が管理組合や区分所有者にとって注意すべき点を紹介しました。

当該条文の定めを問わず、今や、管理会社にマンションを委託することはどのマンションも当たり前になっています。

また、中には今回紹介したような、全部をメインの管理会社に委託せずに、一部を外部の別の業者に委託している管理組合も考えられます。

その場合には、2方面以上に委託するということで、管理組合としても注意も必要となってくることから、その点も補足しました。

改めて、管理組合内で管理会社への委託内容がどのようになっているか、確認の機会として頂ければ幸いです。

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