【規約解説】マンション標準管理規約第20条とは?区分所有者の責務を徹底解説!

管理規約解説

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マンション標準管理規約には、区分所有者が守るべき責務が明記されています。特に第20条は、マンションの価値や機能を維持するための重要なルールです。しかし、具体的にどのような行動が求められるのか、曖昧な点もあるかもしれません。

本記事では、マンション標準管理規約第20条の条文を確認しながら、区分所有者や管理組合が注意すべきポイントを解説します。マンション管理士の視点から、実際に役立つ対策やルール運用のコツを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

【規約解説】マンション標準管理規約第20条とは?区分所有者の責務を徹底解説!

今回紹介する内容は、以下の通りです。

✅区分所有者の責務とは?第20条の基本ルールとポイント
✅区分所有者の責務を果たすための注意点と対策

まず、最初の章では標準管理規約第20条の条文から「区分所有者の責務」についてそのままの文面を紹介します。

今回はこの条文についての補足事項や、注意しておくべき事項について国土交通省より提示されてません。

そのため、第20条「区分所有者の責務」の条文を踏まえて、管理組合や区分所有者が気を付けておいた方が良い点を、マンション管理士である筆者独自の視点から具体的に紹介します。

それでは、次章より当該条文について紹介します。

区分所有者の責務とは?第20条の基本ルールとポイント

マンション標準管理規約第20条では、区分所有者が守るべき責務について定めています。

(区分所有者の責務)
第20条 区分所有者は、対象物件について、その価値及び機能の維持増進を図るため、常に適正な管理を行うよう努めなければならない。
以下、条文を解説します。

第20条の要点と解釈

この条文は短いので、内容を分割してそれぞれの要点を解説します。

「価値及び機能の維持増進」の具体例

具体的には、価値と機能の例としては

✅価値:マンションの資産価値(市場価格など)を保つこと
✅機能:建物の安全性・快適性(設備の維持、共用部分の清掃など)を保つこと

が該当します。

「適正な管理を行う」とは具体的に何を指すのか?

この点は、区分所有者が主体的に

✅共用部分(エントランス、廊下、エレベーターなど)を汚さない
✅ルールを守り、ゴミ出しや騒音に配慮する
✅管理組合の活動に参加し、管理費等の滞納をしない

などを行っていくことが考えられます。

また、主語は「区分所有者は…」となっていますが、対象になる点は賃貸で借りている人や、家族や親族など区分所有者の同居人など、「居住者は」として考えておく必要があります。

区分所有者の責務が重要な理由

マンションは、一戸建てとは違い共同で管理する資産です。個々の区分所有者が無関心だと、

✅建物が劣化し、資産価値が下がる
✅トラブルが増え、住み心地が悪くなる
✅管理費等の滞納が増え、修繕ができなくなる

などの事象が発生してしまいます。

結果として、マンション全体の価値が低下するリスクがあります。

区分所有者の責務を果たすための注意点と対策

第20条「区分所有者の責務」の観点から、筆者独自の視点で管理組合や区分所有者に対する注意点を紹介します。

管理組合が講じるべき対策とは?

繰り返しになりますが、条文の主語は「区分所有者は…」となっていますが、マンション全体の対策は、管理組合として講じることが求められます。

基本的な事項ですが、以下のようなことも区分所有者が責務を全うするうえでは必要でしょう。

✅長期修繕計画を立て定期的に見直す
✅管理費や修繕積立金の適正額を維持する
✅住民向けにルールを周知し、啓発活動を行う
✅管理規約や使用細則等のルール変更は柔軟に行う

これらを徹底することで、マンション全体の価値を守ることができます。

区分所有者だけでなく居住者全員が守るべきルールがある

当然のお話ですが、区分所有者が守るべき責務は、マンションの所有者である区分所有者(組合員)のみが守ればよいという訳ではありません。

マンション内に居住している、賃借人や区分所有者の同居人である家族や親族、友人、また場合によっては来客者も徹底することが求められます。

したがって、前項目で上げた管理組合で考えた対策を、居住者全体で守っていく必要があるでしょう。

個人負担とマンション全体の維持、どうバランスを取る?

標準管理規約第20条では「区分所有者の責務」とされているものの、実際には個人が負担すべき管理(専有部分の使用ルール)と、管理組合が担うべき管理(共用部分の維持・管理)のバランスを理解することが重要です。

✅専有部分(各戸の内部)使用ルール
✅共用部分(エントランス・配管・エレベーター等)の管理は管理組合が主体

この線引きを曖昧にすると、「これは管理組合がやるべきでは?」「個人負担なの?」といったトラブルの原因になります。特に、専有部分と共用部分がつながる設備(配管・ベランダ・窓など)は不明確になりやすいため、管理規約で明確にするとともに、周知することが大切です。

管理費・修繕積立金の適正な負担とその影響

マンションの価値維持には、適切な管理費・修繕積立金の負担が不可欠です。しかし、区分所有者の中には「管理費が高い」と感じる人もおり、十分な積立ができず、長期的にマンションの資産価値が低下するリスクがあります。

特に問題となるのは、以下のケースが考えられます。

✅修繕積立金の値上げが先送りされ、長期的な修繕計画に支障が出る
✅管理費や修繕積立金の未納者が増え、管理組合の財政が悪化する
✅節約のために最低限の管理しか行わず、建物の劣化が進む

対策として

✅長期修繕計画とともに修繕積立金の適正額を試算し、計画的に見直す
✅未納対策として支払いのルールを明確化し、滞納者への対応を強化する
✅節約だけを重視せず、長期的な価値維持を考えた管理計画を立てる

なども非常に重要な論点でしょう。

長期的な資産価値を維持する管理のポイント

マンションの管理は、単なる維持ではなく、「資産価値の向上」を目的とするべきです。

例えば、

✅建物の美観を保つ(外壁補修・エントランスのリニューアル)
✅共用施設のアップグレード(宅配ボックス設置・防犯カメラの増設)
✅省エネ対策やスマート化の導入(LED照明化・スマートキーの導入)

これらの施策は、管理組合の予算との兼ね合いもありますが、リフォーム・設備投資の判断基準を持つことで、将来的な資産価値を維持しやすくなります。

ちなみに、国土交通省の長期修繕計画ガイドライン51ページ(枚数では61枚目)によると、

◆新築マンションの場合、経年に伴う物理的な劣化などにより低下する性能・機能を新築
時の水準に維持、回復すること(修繕)が基本となります。
◆既存マンションの場合、経年に伴う生活様式や社会環境の変化等の社会的な要因などか
ら、耐震性や断熱性など建物及び設備の性能・機能を新築時の水準から向上させること(改
良)も必要となります。

とのコメントがあります。

また、マンションの補修・修繕・改修の概念図として、以下のイメージ図が提示されています。


引用:国土交通省 長期修繕計画作成ガイドライン(令和6年6月改定) 51ページより

経年していくマンションであっても、社会変化により向上していく水準に合わせつつ、断熱水準やバリアフリーなど、現在の一般的水準に持って行くための、性能向上対策が必要になってきます。

そして、マンションの修繕における考え方としては、以下の記事

も参考になるので、合わせてご参照ください。

マンション価値と機能を向上させるための継続的な取り組みが重要

今回は、マンション標準管理規約第20条「区分所有者の責務」から、条文とともに、注意しておきたい事項を筆者独自の視点で紹介しました。

管理組合内で果たすべき責務は、まずは区分所有者が実施する必要があります。

そして、賃借人や同居人である家族や親族、友人等も同様に使用上のルールを遵守する必要があります。

さらに、マンション価値や機能向上のための対策は、管理組合として常に意識しながら区分所有者にも協力して貰う体制が不可欠です。

今回の記事を参考に、改めて第20条「区分所有者の責務」についての背景を確認頂ければ幸いです。

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