人材不足で物流がひっ迫しており、再度来てもらうのは申し訳ない
また、
平日は仕事で出ているので、宅配に来てもなかなか受け取ってもらえない
さらには、
宅配ボックスがいっぱいだったので、配達員が荷物を持って帰ってしまった…
このように感じているマンション住まいの方も非常に多いでしょう。
最近筆者も、いない時に宅配がくるときがありますが、宅配ボックスに入っていると一安心します。
対して、いない時に不在者連絡が入っていると少々申し訳ない気持ちになります。
以前はそのようなことは無かったのですが、再度わざわざ配達に来ていただくことや再配達で特に追加請求されることもないためです。
多くのマンションは、エントランスにオートロックが設置されています。
中に入るためには居住者のオートロック解除が必要になることが多いでしょう。
戸建ての場合は、玄関先にロック式の宅配ボックスを設置している住戸も見られるようになっています。
対するマンションにも宅配ボックスがありますが、設置数に限界があるため、場合によっては配達員さんが荷物を持ち帰ってしまうこともあります。
このような中、居住の安全性と宅配のひっ迫や効率化を両立させるためのさまざまな手段がマンション管理や配送業者で検討されています。
今回はこのような課題の現状とともに、管理組合やマンション居住者はどのような対応を心がければよいのか、具体的に紹介します。
最近のマンションにおける宅配事情は?【管理組合も配慮したい】
今回紹介する内容は以下の通りです。
・マンション管理組合や居住者が心がけておきたいことは?
・管理組合が今後検討したい対応策は?
まず、配達における取り組み事例として、管理会社の大和ライフネクストが実験的に行っている取り組みや、三井不動産レジデンシャルリースとAmazon、さらには国土交通省の取り組みを紹介します。
さらに、居住者側にも気を付けておいた方が良い点を、筆者の事例も含めて紹介します。
そして、管理組合として検討したい対応策について、基本的なものについてまとめてみました。
最近の配達業者や管理会社、管理組合の取り組みは?
まず初めに、最近の企業や国の取り組みについて紹介します。
大和ライフネクストと配送業者の取り組み例
2024年11月11日付の日本経済新聞において、大和ハウス系、マンション管理人が荷物を戸別にお届けという記事が紹介されていました。
こちらは、管理会社大和ライフネクストの管理人が一旦は配達業者からの荷物をまとめて受け取り、個別に届けるというサービスです。
まずは、東京都中央区にある約200戸のタワーマンションで実証実験を開始するということです。
戸数に対して備え付けの宅配ボックスは30個しかなく、再配達をすることも多いとのこと。
タワーマンションは上階への配達は配達員も結構苦労すると考えられ、再配達の軽減も期待されます。
一方で、管理人の業務が増えるということから、管理人の給与に反映する方針だそうです。
また、運送各社は大和ライフネクストに対して荷物1個ごとに委託料を支払うことになるということです。
タワーマンションなどの大規模物件には、配達員が棟内を移動することに抵抗感を抱く居住者も少なくない中で、顔なじみの管理人が配達してくれるということで抵抗感も減らせる効果も期待できます。
ちなみに、令和5年度マンション総合調査から筆者が独自で算出した傾向としては、宅配ボックス1台あたり
・151~200戸:11.2戸
・201~300戸:16.1戸
・301~500戸:12.1戸
・501戸以上:12.2戸
でシェアしているという状況でした。
Amazonの配達例
次に、Amazonや管理会社が提携する配達業者との事例です。
賃貸マンションではありますが、三井不動産レジデンシャルリースとアマゾンジャパンと共同で、配達員が荷物に添付されたQRコードなどを専用のアプリで読み込むことで、マンションの入り口のオートロックを解錠するシステムを導入しています。
また、安全対策として、あらかじめ宅配業者側が登録していた配達スケジュールや位置情報と合致しているか、システム上で確認が行われるとのこと。
分譲マンションでも同様の取り組みが行われています。
三菱地所コミュニティや東急コミュニティーもマンションの管理組合の同意をあらかじめ得た上で、提携する宅配業者の配達員がデジタルキーを使ってオートロックを解錠し、マンションの玄関先まで荷物を届けるサービスを提供しています。
利便性向上のために、管理会社が一定の責任をもって宅配業者と提携していると考えられます。
物流業者と管理会社が関与する配達の仕組みはますます広がりそうです。
国土交通省の再配達削減の取組み
国としても、物流ひっ迫については危機感をもっています。
具体的には、具体的には
というものです。
居住者としてはポイント付与という言葉に弱く、メリットがあるのであれば、獲得しようというモチベーションが働くでしょう。
そのため、このような施策も効果を生むのではないかと考えられます。
マンション管理組合や居住者が心がけておきたいことは
先ほどの国土交通省の記事の最後に、大学教授が
「最後は利用者の意識が変わらないかぎり、再配達は減らせない」
と紹介していました。
確かに、居住者が一定の配慮をしながら、配達に向き合う必要もあると考えられます。
具体的にどのような点を意識すればよいのか、筆者が普段の生活で感じる視点も含めて紹介します。
必ず自宅にいる時間に指定して配達して貰う
まず、注文する側としては、注文した品を的確に、かつ早期に受け取りたいと一般的に考えるでしょう。
そのため、確実に受け取れる手段を検討することも重要です。
具体的には、
・遠出で留守にしている間は配達日に指定しない
・やむを得ず再配達になる場合も同様の対策を意識する
などがありそうです。
一方で、商品が無く、入荷次第配達する場合は難儀です。
商品注文時に配達日も不明確で時間指定できない場合は、居住者として難しいところはあります。
このような場合は、居住者側はどうすることもできないため、配達側の販売業者の仕組みが変わればよいと考えられます。
宅配ボックスに入っているものは速やかに取り出す
この点も重要な論点だと思われます。
先の東京都中央区のタワーマンションの事例のように、宅配ボックスの設置には、設置場所な問題や設置コスト等を加味すると、1住戸1台という訳にもいきません。
また、令和5年度のマンション総合調査の結果でも、タワーマンションが該当する200戸以上の住戸については、平均として10数戸に対して1台をシェアしている状況にありました。
そのため、宅配ボックスに入っていることに気付いた居住者は、あとの方や宅配業者のために速やかに荷物を取り出すことが重要です。
また、長時間放置されている場合は、一定期間経過後には管理員が取り出せるなど、ルールを決めておくことも一つでしょう。
持ち運びに負担のないものは必ず受け取れるコンビニ受け取り等を利用する
帰宅が遅い場合、さらに近隣にコンビニがある場合やマンションに宅配ボックスが無い場合に積極的に活用したいのが、コンビ二受け取りです。
宅配業者
コンビニエンスストア
もこの点は紹介があります。
取り扱いサイトは限られるかもしれませんが、24時間無料で受け取り可能なので、慣れればうまく受け取ることができるでしょう。
管理組合が今後検討したい対応策は?
配達業者や管理会社等の企業の取り組みや、管理組合・居住者が心がけておきたい点を確認したところで、具体的にルール化したい検討事項を紹介します。
宅配ボックスの設置や増設
比較的新しいマンションを中心に、すでに多くのマンションでは宅配ボックスが設置されています。
一方で、設置がまだないマンションについては、これまでの課題があることから設置を検討したいところです。
また、共用部分における場所や追加費用の問題もありますが、あまりにも宅配ボックスの空きがない場合は追加設置も要検討課題でしょう。
管理組合として、前半で紹介した宅配ボックス1台当たりの戸数以上にシェアしなければならない場合は、その目安も踏まえて増設を検討したいところです。
ちなみに、国土交通省は、共同住宅に対する宅配ボックス設置で使える4つの補助金として宅配ボックス設置に対する補助金も準備しています。
置き配の容認
マンションとしては、共有部分に物を置くということで、置き配について容認しない場合があります。
また、配達員が居住者のいない間にマンション内に入ることへの心配や、紛失した場合の責任などもあるでしょう。
一方で、配達のひっ迫を回避し、必ず居住者が荷物を受け取ることができる手段の一つとして、取り急ぎ置き配という考え方も、管理組合として検討する必要があるかもしれません。
管理規約や使用細則の改定
宅配ボックスの設置や、置き配については管理組合としてルールを定めて運用することが求められます。
そのため、管理規約や使用細則の改定を伴う可能性があります。
宅配ボックスについては、居住者が速やかに取り出すことはもちろんのこととして、一定の期間経過の後、管理員が取り出し預かることなども明文化することが望まれます。
また、前項のとおり置き配は取り急ぎの対策として管理組合として居住者に容認することも考えられます。
その後、書面でルール化し、管理組合総会を通じて管理規約や使用細則で定めることが重要です。
管理員を介する配達の検討や一時預かり
冒頭の取り組み事例でも紹介しましたが、確実に受け取る手段としては、管理員を介する配達の検討です。
また、居住者にとっては留守の間でも安心して確実に荷物を受け取ることができる反面、
・管理員が常駐していない巡回の場合は対応ができない
・通常業務に付加されるため管理員業務がひっ迫する
・大規模マンションやタワーマンションに適する施策
も課題としてあるでしょう。
配達員の代わりに、管理員が受け持つということから、間に管理員が入ることで配送業務の一部を引き継ぐという形です。
そのため、管理組合の形態によっては、導入が難しい可能性も考えられます。
マンションにおける配達の課題はまだまだ続く
我々としては、インターネットであらゆるものが購入できる利便性によって、お店に行かなくても手軽に物が購入できる世の中になりました。
重いものを購入してもお店からマンションの部屋までわざわざ運ぶ必要がない訳です。
時代は完全にこの流れになってしまい、あとに戻ることはないでしょう。
その代償として、人材不足やコスト増による配送の課題がますます高まっています。
配送業者や管理会社をはじめとする企業や国がさまざまな課題対応に向けて動いていても、実証実験段階であったり、管理組合側の事情もあることから、まだまだ配達の課題は続きそうな印象です。
そのため、マンションの居住者が商品配送に対して一定の配慮をしなければならない時代にも来ていると言えます。
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