日々新たな掲示が行われているが、マンション内での掲示漏れはないのか?
または、
マンションの掲示板にはさまざまな掲示が日々行われるが、どのようなものが対象なのか?
さらには、
掲示が決められているものもあると聞いたがどのようなものがあるのだろうか…?
このような管理組合役員やマンション居住者も多いと思います。
確かに、どのような基準で掲示が行われるのか知りたいですよね。
今回の記事は基本的な話題になりますが、マンション居住者にとって重要なマンション内の情報共有としての掲示内容について紹介します。
マンション内に掲示が必要な書面の種類やポイントを6つ紹介【確認】
本日紹介する掲示に関する内容は、以下の通りです。
・具体的な掲示物の紹介
・管理組合の掲示板に書面を掲示する際に気を付けたい6つのポイント
まず初めに、国土交通省が定めている標準管理規約から、掲示すべき内容にはどのようなものがあるのか、確認してみます。
次に、標準管理規約の内容を含めて、管理組合として掲示しておきたいおもな掲示物について紹介します。
さらに、掲示する際の注意点を、管理組合での対応や筆者の経験上も含めて紹介します。
標準管理規約に紹介する通り、各管理組合の管理規約で定めている内容については、管理組合の掲示板等に書面を掲示する必要もあるでしょう。
一方で、必ずしも掲示する必要がなく、掲示しておけば管理組合の重要情報として届きやすいため、居住者にとっても便利な内容もあります。
また、管理組合として、重要情報であれば的確に情報が伝わるための工夫も必要と言えます。
このような視点を含めて、日々マンション掲示板に貼られている掲示書面についてケアしている筆者が具体的に紹介します。
マンション内の掲示物に取り決めはあるのか?
まず初めに、そもそも居住者に伝える必要がある内容を掲示しなければならない取り決めはあるのでしょうか?
国土交通省が定める標準管理規約を引用しながら紹介します。
総会議事録の保管場所
標準管理規約第49条(電磁的方法が利用可能ではない場合)に以下のような記載があります。
第49条(中略)
4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。
また、電磁的方法が利用可能な場合は、6項に同様の内容があります。
具体的な掲示方法としては、
管理員室に保管しております
や、
集会室の書庫に保管しております
等の記載が必要となります。
規約原本や使用細則の保管場所
同様に、第72条の規約原本等(電磁的方法が利用可能ではない場合)より、保管についての取り決めがどのようになっているのか、確認してみましょう。
第72条 (中略)
6 理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等及び細則内容書面の保管場所を掲示しなければならない。
総会議事録同様に、規約の原本や使用細則の書面がどこに保管されているか、掲示することが求められています。
総会の招集通知
第43条には、総会の招集手続きについての記載があります。
その中で、掲示が必要な内容が含まれているので紹介します。
第43条(中略)
3 第1項の通知(総会招集通知)は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。(中略)
8 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
※第45条第2項:区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。
招集通知が区分所有者本人に伝えようがない場合は、掲示で代えることができる内容です。
また、賃借人等の占有者が、総会目的事項で利害関係がある場合には総会に出席することができます。
例えば、規約や細則の変更によって、ペット可から不可になる場合に、賃借人であっても参加できるなどが考えられます。
賃借人には招集通知は届かないことから、所定の掲示場所に掲示する必要があると考えられます。
理事会の議事録は?
標準管理規約によると、基本的には理事会議事録は総会議事録の規定を準用するとされています。
しかしながら、議事録については少し違います。具体的に条文を見てみましょう。
第53条 (中略)
4 議事録については、第49条(電磁的方法が利用可能ではない場合の第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。
第49条第4項はまさに総会の議事録の保管場所のことを指します。
理事会については、これを除くということなので、理事会議事録の保管場所までは求められていないということになります。
具体的な掲示物の紹介
標準管理規約で定められている掲示書面として、
・規約原本や使用細則の保管場所
・総会の招集通知
について紹介しました。
これら以外に、掲示対象として挙げられる主な掲示物を紹介します。
総会決議の結果報告
招集通知や総会議事録の保管場所等は掲示する必要はありますが、結果は特に掲示は求められていません。
しかしながら、委任状による議決権行使等を行った場合には、総会会場に基本行かないので、結果が分かりません。
そのため、総会結果がどうなったのかを掲示することも考えられます。
総会時の質問に対する回答なども共有する場合は、掲示では難しい場合があるので、その場合は資料を配布することも考えられます。
定期点検や定期清掃の予定
建物や消防などの法定点検では、マンションの中を点検する業者が出入りすることが考えられます。
例えば消防点検になると、実際に警報機の音をテスト的に鳴らしたりする可能性もあります。
また、定期清掃ならば、廊下を専用器具で清掃することもあることから、大きな音が出る可能性も考えられます。
そのため、これらの予定がある場合には、予め掲示することで、通知することが多いでしょう。
エレベーター点検の予定
エレベーターはその稼働状況について、一時的に稼働を止めて点検を行い、1年に1回特定行政庁に届け出る必要があります。
そのため、必ず定期的にエレベーターが止まることとなります。
したがって、1機しかないマンションなら全く使えなくなる可能性もあることから、居住者に予め予定を通知することが一般的です。
住戸別排水管清掃
マンション内の全住戸のつまりをなくし、排水の流れを良くするためには、各住戸への清掃が不可欠です。
そのため、専用業者が専有部分に入り、風呂やキッチン等の排水溝を高圧洗浄を行うことが多いでしょう。
その際には、当然居住者が在宅している必要があります。
掲示だけでは、何月何日の何時ごろ来るかも分からないため、個別に訪問する時間を書面で配布することも考えられます。
排水管清掃は、都合が悪いからということでできないという訳にはいかないと考えられます。
マンション全体に影響する重要な対応事項であるため、日時を調整して在宅する必要があるでしょう。
居住者に影響する専有部分の工事
標準管理規約には、第17条に専有部分の修繕等に関する条項がありますが、第7項には届出の記載があります。
具体的には以下の内容です。
第17条(中略)
7 区分所有者は、第1項の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届け出なければならない。
また、標準管理規約のコメントには、次のような内容があります。
大規模修繕工事関連の重要情報
こちらは、大規模修繕工事期間中にはなりますが、管理組合専用の掲示板では足らないことから、別途掲示板が設置されることもあるでしょう。
その中で、全体の工事計画や居住者が気を付けておくべき事項として、各住戸別に洗濯物を干してよいか否かの一覧、さらには壁面工事で大きな音がでるなどの重要事項が日々更新される形で掲示されます。
一例として、筆者が関わった管理組合の例を紹介します。
このように、現状どれぐらいの工事進捗状況であり、計画通りか、そうでないかなど、この施工会社の例では記載されています。
管理組合の掲示板に書面を掲示する際に気を付けたい6つのポイント
管理組合の情報を書面を通じて掲示板に掲示する際にはどのようなポイントがあるのか、この最後の章で6つ紹介します。
重要なものは掲示を継続する
例えば、管理会社宛の緊急連絡先の掲示は継続して掲示しているところがほとんどでしょう。
また、必ず守らなければならないルールを掲示している所も多いです。
さらには、総会や理事会議事録の保管場所、さらには規約原本の保管場所等は管理規約で義務化している所もあり、常時掲示されていると考えられます。
このように、居住者が困らないようにするための情報は、継続的に掲示しておく必要があります。
期限終了で速やかに差し替える
当然ですが、古い情報がいつまでも掲示されていると、ほかに新たな情報がないのか居住者として不安になります。
この点については管理組合や管理会社、管理員さんと連携して対応が必要になるでしょう。
期限終了のものは速やかには外して、居住者に必ず伝えるべき最新情報のみ掲示することが求められます。
また、期間の定めがないものについては、重要度や他の情報との兼ね合いを検討して一定の周知がなされたと考えられる2週間~1か月を目途に掲載終了を行うことも望まれます。
管理組合と自治会や町内会の掲示内容とは明確にする
管理組合は、区分所有者を含めた居住者に必ず知っておかなければならない内容もあります。
対して、自治会や町内会は、加入が任意であることもあり、知っていたらお得である情報も含まれます。
そのため、管理組合として必ず伝えなければならない内容と、自治会・町内会の内容を明確に区分することによって、居住者への的確な通知を行っていくことも重要でしょう。
モニターを活用した電子掲示板という手段も?
最近では、掲示板に書面を貼るというタイプ以外にも、ディスプレーを活用して掲示内容を表示するパターンも見られます。
印刷の手間が掛からず更新手続きが容易にでできるため、便利な方法です。
具体的に、「マンション内の掲示物に取り決めはあるのか?」の章で紹介した、標準管理規約の第43条第3項、第8項の補足説明では次のような内容が記載されています。
所定の掲示場所は、建物内の見やすい場所に設けるものとする。また、書面での掲示のほか、ディスプレイに情報を投影する掲示方法も想定される。以下同じ。
すなわち、書面以外の方法で、ディスプレイも具体的に紹介されています。
反面、ディスプレーに表示できる情報が限られるため、暫く眺めておく必要があったり、情報が多い場合はタイミングよく確認できないこと、さらには一定の情報に限られるなども考えられます。
そのため、
・必ず伝えたいトピックス的な情報を電子掲示板で流す
など、管理組合として管理会社や管理員さんなどと情報を精査するひと工夫も必要でしょう。
掲示書面の文字の大きさや強調したい箇所等の工夫
筆者も経験がありますが、掲示書面の文字が小さいと、高齢の方が読みづらいこともあります。
また、文字が多い場合は、管理組合として何が言いたいのか、分かりづらいこともあります。
居住者に対して情報を的確に伝えるためにも、文字の大きさや伝えたいことを色を変えて明確化することも重要です。
必ず伝えたい場合は掲示+各住戸への書面配布も検討する
掲示以上に住民に必ず伝えるための最良の手段は、掲示した内容と同様の書面を各住戸への配布を検討することです。
掲示を見ない方に対しても有効的な手段といえます。
ただし、遠出していて暫くは住戸に戻っていない方に対しては、掲示であれ、配布であれ効果は限定的となってしまいます。
その場合は、そもそもの居住者への伝え方として、別途メールや管理組合専用の電子掲示板等の電磁的方法を検討することも必要となるでしょう。
必ず掲示すべき内容を掲示するとともに書面の工夫も大切
今回は基本的な内容として、管理組合内で掲示すべき書面について紹介しました。
必ず掲示する必要があるものは忘れずに掲示する必要がある一方で、その必要がないものの、居住者にとって重要な情報もあります。
また、一目見て伝わりやすいように書面の工夫も必要となります。
現在の掲示内容をさらに工夫をするうえで少しでも参考になれば幸いです。
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