管理組合役員になるとお金が貰える!?役員報酬はいくらが適切か解説

マンション管理

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管理組合役員の順番がそろそろ回ってきそうで、せっかくの週末がつぶれてしまう…

または、

理事の就任を打診されているが、就任した場合には報酬が出るのだろうか…?

さらには、

管理組合役員の報酬額はどれぐらいが適正なのか…??

このような疑問を持っている区分所有者も多いと思います。

そうです、管理組合の役員(理事や監事)は必ず回ってくることとなります。

なぜなら、管理組合は役員の設置が必要であり、それはマンションの持ち主である区分所有者が就任する必要があるためです。

一方で、最近では役員就任には一定の負担が掛かるとして、報酬が設けられている所も多くなっています。

今回はこのような役員の負担の見返りとなる報酬について紹介します。

管理組合役員になるとお金が貰える!?役員報酬はいくらが適切か解説

今回紹介する内容は以下の通りです。

・役員報酬の実施傾向と金額感はどれぐらいか?
・役員報酬を設定する場合のメリットは?
・一方で役員報酬を設定する場合の注意点は?

管理組合役員に就任する際に、報酬が貰えるとなると、新たな収入が期待できるという、目に見えるようなメリットがあるでしょう。

一方で、役員報酬を設定する際の注意点も存在することも事実です。

今回は役員報酬の調査結果や、役員報酬を設定する際のメリットや注意点について、詳しく解説します。

役員報酬の実施傾向と金額感はどれぐらいか?

まず、役員報酬の傾向について、最新版の令和5年度のマンション総合調査には結果がありませんでした。

したがって少々古くなりますが、平成30年度マンション総合調査から見てきます。

平成30年度マンション総合調査結果から見る役員報酬の有無は?

はじめに、管理組合側が回答したアンケート結果からです。

全体の傾向としてそもそも役員報酬があるのか、ないのかを見ていきます。

7割以上の管理組合が役員報酬は支払っていないと回答しています。

対して、理事には払っているが2割強、理事長のみに払っているところはごく少数という傾向でした。

新しいマンションほど、役員報酬がないと回答しているマンションが多いことが分かります。

まずは区分所有者全員が、管理組合役員を担当しましょうという傾向が見られます。

各役員への報酬額の傾向は?

次に、一律に払っている場合や、そうでない場合における各役員の報酬の傾向を見ていきます。

こちらも管理組合側が回答したアンケート結果です。

役員報酬が各役員一律の場合の月額報酬額

役職に関係なく、一律に役員報酬を払っている場合の傾向は以下の通りです。

平均額は3.9千円/月という実績であり、千円以下も30.1%でした。

対して、9千円超や、1万円超もそれぞれ5%前後を占め、払うところは払っている状況でした。

ただ母数が103件と少ないため、どこまで信頼性があるかは不明です。

一律でない場合の理事長の月額報酬額は?

役員全員が一律ではなく、役職ごとによって決まる場合の理事長の月額報酬額についてみていきます。

平均額は9.5千円/月であり、千円以下の割合が6.8%と非常に少なくなりました。

対して、1万円超が20%、9千円~1万円が10.8%と、負担が非常に大きい理事長にはそれなりに報いる形になっています。

また、完成年次別で見れば、古いマンションほど理事長報酬が高くなっています。

高経年化すれば管理組合として対応事項が多いため、理事長負担が大きくなることが想定されます。

一律でない場合の理事の月額報酬額は?

そして、一律でない場合の理事の月額報酬も見ていきます。

理事に対する報酬の平均額は3.9千円であり、理事長とは反対に千円以下が一番多く31.1%を占めました。

対して、1万円超が5.5%、9千円超~1万円が5.8%と、理事長と比べて割合が低いものの、一定の負担があるとして報酬を定めています。

理事長の場合と同様、高経年マンションほど報酬が高くなっているものの、千円以下の割合も高めでした。

一律でない場合の監事の月額報酬額は?

最後に、監事の報酬も見ておきます。

監事に対する報酬平均は3.2千円であり、理事同様に千円以下が一番多く34.2%を占めました。

2千円以下が約半数を占め、5千円以下が約7割を占めています。

1万円超や9千円~1万円の報酬は理事よりも低水準である傾向が見られました。

理事長を引き受ける際の妥当な報酬月額は?

これまでは管理組合側が回答したアンケート結果集計でしたが、一方で、区分所有者側が回答したデータもあります。

以下、具体的にみていきます。

 全体ならびに世帯主の年齢別の回答

全体の傾向としては、63.5%もの区分所有者が報酬は不要と回答しています。

また、1万円未満が17.1%に対して、1万円以上と回答した割合も17.6%ありました。

世帯別では、50代が報酬は不要と回答した割合が高く、回答数は少ないものの20代が低くなっています。

マンションの完成年次別の回答

完成年次別では、高経年マンションほど報酬額が高く、報酬が不要と答えた割合が少ない傾向にあります。

管理組合の回答同様に、高経年マンションの理事長は対応事項も多いためか、就任するとなるとそれなりの報酬を求める傾向がありました。

役員報酬を設定する場合のメリットは?

役員報酬のデータを確認したところ、理事長や理事、監事でばらつきがあることも分かりました。

このように、役員報酬を設定することによるメリットはどのような点にあるのでしょうか。

想定されることについて確認してみます。

役員としての業務の対価を金銭報酬として得られる

役員はそうではない区分所有者と違い、頻繁に開催される理事会に出席したり、総会に出席することが求められます。

また、理事長であれば、日々の管理組合内の書類の承認や捺印、届出など、より負担が掛かる業務が発生することとなります。

これらの管理組合としての業務の対価が適正に金銭報酬として得られることは、収入が増えるという観点から、生活するうえでの大きなメリットであると考えられます。

報酬を得ることにより役員としての責任感が生まれる

次に、管理組合からの役員報酬を得るということは、業務に対する責任が生まれるということです。

報酬の対価としての業務ということであり、それぞれ密接に結びつくものではあるでしょう。

従って、役員に就任して業務を担当する場合は、その担当業務を全うする必要があるといえます。

区分所有者にも役員はボランティアではないことを周知できる

管理組合においては、役員は報酬に見合わない、一種のボランティア活動の要素も否めません。

しかしながら、少なからず報酬を設定することで、完全なるボランティアではないことを周知することも可能です。

ボランティア活動なら、区分所有者も完全に難色を示すところはありますが、必ず役員が回ってくるにせよ、報酬が得られるとすれば、少しは懸念が和らぐのではないかと考えられます。

一方で役員報酬を設定する場合の注意点は?

メリットの反面、役員報酬を設定する場合の注意点も考えられます。

最後の章ではこの点に触れて詳細を説明します。

管理規約や細則に定めておく必要がある

役員に対する報酬を支払うことについては、管理規約や細則に則って行う必要があります。

また、管理規約や役員細則等の変更が必要な場合は、必ず総会決議になりますので、この点も注意が必要です。

結果的には管理組合内で周知されることによって、区分所有者に対しては役員報酬があることを認識している状態であることが望まれます。

役員業務に従って高すぎず、安すぎない合理的な額を検討する

管理組合の役員は一種のボランティア的な側面もある反面、理事長や諮問委員会を兼務している理事などにおいては、役職によっては負担も相応に発生します。

従って、役職別含めてある程度の報酬を検討することも合理的ですが、業務負担が大きいからと言って報酬を高すぎないようにすることも重要です。

さらに、安すぎる場合も、そもそも報酬の意味をなさない可能性もあり、少なからずモチベーションにも影響するため、良い塩梅で配慮すべきかもしれません。

そのため、平成30年のマンション総合調査のデータでもあったような、

役員報酬は月額数千円(管理組合の方針によっては理事長はさらにプラスの場合もあり)

というのが一つの目安になりそうです。

場合によっては管理費の負担となる

役員数や報酬単価などによっては、管理費における一定の負担を伴います。

仮に

役員数5名で、マンション総合調査の役員一律支給報酬の平均値に近い4千円とした場合、
・月額報酬額トータルで2万円
・年間で24万円

を管理費から各役員に支払うこととなります。

そのために、必ず固定で必要となる管理費を確認しながら、管理費全体に対する役員報酬の負担割合をどれぐらいにしていくかを見ることも重要でしょう。

役員の業務状況によって随時報酬を見直す

平成30年度のマンション総合調査でもあったとおり、築年数が古いほど役員の報酬額が上がっていく傾向が見られました。

これは、高経年マンションになれば、通常の総会、理事会業務に加え、大規模修繕工事やその調整、さらには修繕委員会の組成含めた各種委員会への参加等、やることが多く役員の負担が増大することが考えられるためです。

そのため、管理規約や細則に定める、今の報酬体系でよいのかは随時確認しておく必要があります。

負担が多くなっても、かつて決めた役員報酬のままでは、役員の業務に対するモチベーションにも影響するため、気に掛けておきたい事項と言えるでしょう。

役員の負担を考えながら、管理組合全体として報酬額を決めることが重要

今回は役員報酬を、平成30年のマンション総合調査のデータをベースに、役員報酬のメリットや設定上の注意点について確認しました。

貴重な週末を中心に時間を割かなければならない役員ですが、そう考えると役員報酬はかならずしも多い訳ではないと感じる方も多いでしょう。

一方で、管理組合の財産であり、各区分所有者から徴収した管理費から捻出することになるため、多額の報酬を得ることも難しいのが現実です。

当記事を通じて、役員の業務は、今後の管理組合やマンション全体を良くし、資産価値を上げていくための取組と捉え、金銭的報酬のみに捕らわれない視点も大切な気がしました。

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