【規約解説】初心に返り、改めて管理組合とはどういう団体なのか紹介

管理規約解説

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マンションの管理組合ってそもそもどういう集まりなのだろうか…?

また、

管理組合でなすべき事ってどういったことがあるのだろうか…?

さらに、

管理組合は必ず入らなければならないのだろうか…?

などなど、基本的な管理組合に対する疑問をお持ちの方も非常に多いようです。

管理組合の役員においても、実はこれらのことを区分所有者から聞かれても、なかなかうまく説明するのは難しいのではないでしょうか?

抽象的な概念が多いことも関係しているでしょう。

一方で、このような疑問を解消するための内容は、管理規約があるどの管理組合においても実は明確になっています。

今回は標準管理規約第6条の「管理組合」を題材として、基本的な管理組合の内容をマンション管理士の筆者が解説します。

【規約解説】初心に返り、改めて管理組合とはどういう団体なのか紹介

今回紹介する内容は、以下の通りです。

・標準管理規約第6条「管理組合」の紹介
・第6条「管理組合」についての規定に対する補足・注意事項は?
・第6条の条文「管理組合」に対して管理組合や区分所有者が気を付けておくべき事項は?

この章立てに従って、まず初めに第6条「管理組合」の内容について紹介します。

続いて、条文「管理組合」に対して、国土交通省として補足・注意事項が紹介されています。

その内容を全て抽出して、さらに補足を入れながら紹介します。

さらに、条文ならびに補足・注意事項を踏まえて、管理組合や区分所有者にとってさらに気を付けておいた方が良い点を、筆者の視点から具体的に紹介します。

標準管理規約第6条「管理組合」の紹介

早速、標準管理規約第6条「管理組合」の条文を紹介します。
(管理組合)
第6条 区分所有者は、区分所有法第3条に定める建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体として、第1条に定める目的を達成するため、区分所有者全員をもって○○マンション管理組合(以下「管理組合」という。)を構成する。
2 管理組合は、事務所を○○内に置く。
3 管理組合の業務、組織等については、第6章に定めるところによる。

また、細かくなるため、第6条各項について、項目立てて紹介します。

第1項の管理組合構成について

第1項は、管理組合の構成について決められています。

また、区分所有法第3条に定める建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行う団体となっています。

ちなみに、区分所有法第3条は

(区分所有者の団体)
第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。

とあります。

すなわち、標準管理規約第6条としては、この区分所有法第3条の条文の一部をそのまま持ってきているということになります。

そして、区分所有者が集まれば、自然発生的に管理組合が成立することとなります。

第2項の管理組合事務所の設置場所

続いて、第2項にある管理組合事務所の設置場所についてです。

事務所とは、管理組合の役員がおもに業務対応を行なう場所と言えます。

普段はマンション内で行うことが一般的ですので、○○の中にはマンション名が入ることとなります。

第3項の管理組合業務や組織について

管理組合が具体的に何をするのか、またどういう組織形態で成り立っているのかは、別途「第6章 管理組合」という章立てをしてまとめています。

その中でさらに

・組合員の位置づけ
・管理組合の業務
・理事と監事といった役員について
・総会のルール
・理事会のルール

として細分化され紹介されています。

また、標準管理規約では、第30条~第55条という全体の約3分の1を占める内容でまとめられています。

各条項についてはこれまで紹介したもの、またはこれから記載予定です。

第6条「管理組合」についての規定に対する補足・注意事項は?

次に、標準管理規約の補足事項として、国土交通省が挙げている内容を確認します。

第6条に関しては、おもに4点ありますので、それぞれ具体的に見ていきましょう。

管理組合は区分所有者全員が加入する

恐らくは、冒頭であったような、「管理組合には必ず加入しなければならないのか?」に対する補足をしています。

具体的には、国土交通省のコメント内容をそのまま掲載すると、

管理組合は、「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」(区分所有法第3条)であって、マンションの管理をより円滑に実施し、もって区分所有者の共同の利益の増進と良好な住環境の確保を図るため構成するものであり、区分所有者全員が加入するものである。

ということのようです。

第6条は権利能力なき社団を想定している

第6条の規約の条文は、「権利能力なき社団」を想定しています。

権利能力なき社団とは、法律上の要件を満たしていないため、法人格を持たない団体を指す。具体的には、同窓会、町内会、ボランティア団体など、非営利目的で活動する団体が多く挙げられます。

管理組合もこれらの範疇に入ります。

実際には、区分所有者の数が2名以上の管理組合は法人となることは可能です。

管理組合法人について、詳しくは以下

をご参照頂ければ、権利能力なき社団との比較等も記載しています。

管理組合業務の範囲は限定されている

管理組合は、区分所有者全員の強制加入の団体です。

また、脱退の自由がなく、任意加入の団体とは異なります。

したがって、区分所有者は全て管理組合の意思決定に従う義務を負うこととなります。

そのため、管理組合の業務は、区分所有法第3条の目的の範囲内に限定されるとしています。

区分所有法第3条は、前章で紹介しましたが、

建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うこと

が管理組合組成の目的であるため、この範囲を超えないということとなります。

ただし、建物等の物理的な管理自体ではなくても、それに附随し又は附帯する事項は管理組合の目的
の範囲内としています。

各専有部分の使用に関する事項でも、区分所有者の共同利益に関する事項は目的に含まれることとなります。

そのため、専有部分の使用のルールについても、第12条「専有部分の用途」としてに定められています。

団体の意思決定に左右することも含まれる

管理組合が行う、マンションの管理についての追加事項です。

前項で紹介した専有部分の用途への規制に加えて、多数決による建替え決議など、団体的な意思決定に関わってくる事項も広く含まれるとしています。

さらに、管理組合内部における意思決定や業務執行についての統制も、法と規約に基づき行われることが要請されていることに留意する必要があるとのことです。

すなわち、権利能力なき社団という、法律上の要件を満たさない法人格を持たない団体であっても、区分所有法をはじめとするマンション関連法や管理組合内で定めた管理規約に基づき、業務と統制(理事間の相互チェックや監査)が行われる点にも留意する必要がありそうです。

第6条の条文「管理組合」に対して管理組合や区分所有者が気を付けておくべき事項は?

標準管理規約にある「管理組合」の条文とともに、国土交通省が補足・注意すべき点として挙げている点を紹介しました。

区分所有者が属しており、普段その意味合いを考えないことも多いことから、説明を行うとなると抽象的な側面になっているかもしれません。

この章では、これらを踏まえて管理組合や区分所有者として気を付けておいた方が良い点を、実際の考えられるケースを想定しながら、具体的に紹介します。

管理組合は強制加入であるため、脱会には区分所有者で無くなる必要がある

これも当然の話になりますが、国土交通省のコメントとしても、繰り返し区分所有者は管理組合に強制的に加入する必要があるとしています。

すなわち、マンションを購入したら、自然と管理組合に入ることとなります。

それによって、管理組合のルールである管理規約を当たり前のように守ることとなります。

管理費や修繕積立金の支払も、共同の利益のために当然に行うこととなります。

そのため、脱会という概念はない訳ですが、強いて脱会をするということを考えると、

区分所有者で無くなること

となります。

すなわち、売却して引越しするか、または売却して賃借人として住むかということとなります。

一種の集団生活であるマンション暮らしよりも、ルールがない戸建てがいいという方であれば、このような選択肢も考えられます。

管理組合への強制加入がデメリットと捉えられるかどうかですが、その他を含めてマンションにも一定のデメリットとメリットがあることを踏まえておくことが望まれます。

管理組合と自治会や町内会との違い

自治会や町内会と同様な点として、先に述べた通り管理組合法人でなければ「権利能力なき社団である」という点を紹介しました。

ただし、ここが解釈の違う所であり、区分所有者にとって

管理組合は強制加入
自治会や町内会は任意加入

という点です。

当然、管理組合や区分所有者としても、自治会や町内会に加入することにより、それぞれ連携しながら対応することが望まれます。

管理組合業務の範囲は限定されているものの、実際は幅広い

おもな管理組合の業務は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うことやそれに付随することとありました。

さらには、管理組合の共同の利益に関することや、意思決定に関することも含まれるとありました。

すなわち、マンションで暮らす中において、他の区分所有者に影響することであれば全てが含まれる可能性があります。

専有部分であっても、工事する場合は管理組合共同の持ち物である共有部分に影響を与えないかどうか、確認する必要が出てきます。

また、工事する際には、エレベーターやエントランスを工事業者が使うため、それなりのルールに従って出入りする必要があります。

そして、管理組合の業務は理事会役員だけがやる訳ではありません。

理事や監事は総会で選ばれた、その事業年度における区分所有者の代表者です。

実際の管理組合活動は、区分所有者全員が何らかの形で関与していくことが重要といえます。

改めて、管理組合とは!?

今回は「管理組合」がどのような団体なのか、標準管理規約第6条の条文と補足説明を踏まえて紹介しました。

確かに、これらを確認しても普段加入している管理組合は、どのような団体であるのかを説明することは難しいかもしれません。

今回のコラムで改めて確認するとすれば、管理組合は

・管理組合は区分所有者が集まって自然発生的にできる団体である
・区分所有者(組合員)は強制的に管理組合に加入させられる
・管理組合の業務範囲は建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うことと限定されている
・上記に附随し又は附帯する事項や共同の利益、意思決定に関することも含まれる

ということを行う団体であることを踏まえておいて頂ければ幸いです。

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