神奈川県のマンション管理費と修繕積立金の設定ガイド:管理組合向け参考データ

マンション管理

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マンション管理新聞2025年3月25日発行の1298号に、神奈川県既存マンションの管理費・修繕積立金の調査というデータが掲載されていました。

神奈川県内の分譲マンションの管理費と修繕積立金について、2024年12月から2025年2月に流通した既存分譲マンションのデータ(5,198件)と、2024年下半期の新築マンションのデータ(66件)を基に、管理組合が参考にできる情報をまとめました。

管理費と修繕積立金の適切な設定は、マンションの長期的な維持管理や資産価値の保全に直結します。神奈川県の傾向を踏まえ、具体的な運用ポイントを解説します。

以下、データについては、マンション管理新聞のデータを参照し、研究室独自でまとめ、傾向と対策を紹介しています。

神奈川県の管理費と修繕積立金の全体傾向

まず、神奈川県内の既存分譲マンション(5,198件)のデータをもとに、地域ごとの特徴をまとめてみました。神奈川県の政令指定都市である横浜市内、川崎市内、相模原市内と、それ以外の市外のデータから傾向を詳しくご紹介します。

地域 対象物件件数 平均戸数 平均価格(万円) 価格(万円/㎡) 平均専有面積(㎡) 平均管理費(円) 管理費(円/㎡) 平均修繕積立金(円) 修繕積立金(円/㎡)
横浜市内 2,584 95.0 4,210 61.1 68.85 13,342 194 14,605 212
川崎市内 981 85.5 4,386 64.5 67.97 13,402 197 15,261 225
相模原市内 337 85.0 2,811 42.6 65.92 11,830 179 13,671 207
市外 1,296 87.8 3,332 46.3 71.99 13,901 193 14,668 204
合計 5,198 91.3 3,933 56.8 69.28 13,453 194 14,684 212

物件件数の分布が地域で大きく異なる

横浜市内は2,584件と物件数が圧倒的に多く、全体の約半分を占めています。川崎市内は981件、市外は1,296件と続き、相模原市内は337件と少なめです。横浜市内は選択肢が多いエリアと言えそうです。

平均戸数は横浜市内が最多

平均戸数は横浜市内が95.0戸と最も多く、川崎市内が85.5戸、相模原市内が85.0戸、市外が87.8戸です。全体平均は91.3戸で、横浜市内が平均を上回っています。大きなマンションが多い地域といえます。

価格と㎡単価は川崎市内と横浜市内が高い

平均価格は川崎市内が4,386万円、横浜市内が4,210万円と高めです。一方、相模原市内は2,811万円と手頃で、市外は3,332万円と中間的です。

㎡単価も川崎市内が64.5万円/㎡、横浜市内が61.1万円/㎡と高く、相模原市内は42.6万円/㎡と低めです。全体平均は3,933万円、㎡単価は56.8万円/㎡で、都市部と郊外の価格差がはっきりしています。

専有面積は市外が広め

平均専有面積は市外が71.99㎡と最も広く、横浜市内が68.85㎡、川崎市内が67.97㎡、相模原市内が65.92㎡です。全体平均は69.28㎡で、地域による差は小さいものの、ゆったりした住まいを求めるなら市外が良さそうです。

管理費と修繕積立金は川崎市内が突出

平均管理費は市外が13,901円、川崎市内が13,402円、横浜市内が13,342円と高く、相模原市内は11,830円と低めです。㎡当たり管理費も川崎市内が197円/㎡と高く、相模原市内は179円/㎡と抑えめでした。

修繕積立金は川崎市内が15,261円、㎡当たり修繕積立金が225円/㎡と最も高く、相模原市内は13,671円、207円/㎡と低めです。全体平均は管理費が13,453円、修繕積立金が14,684円で、川崎市内の高さが目立ちます。

実際にさらに細かい資料には、各自治体別の資料もありました。その中で

✅㎡当たり管理費単価について、1位は足柄下郡の413円、2位は葉山町の259円、3位は横浜市西区の236円
✅㎡当たり修繕積立金単価について、1位は川崎市中原区の245円、2位は横浜市青葉区の244円、3位は川崎市宮前区の240円

となっていました。

足柄下郡には箱根が含まれ、葉山町と共にリゾートマンションが多く管理費が高くなっていると考えられます。

一方の川崎市中原区には武蔵小杉が含まれており、タワーマンションが比較的多く建っている地域です。戸数も多い中で修繕積立金を比較的徴収していると想定され、川崎市全体の平均値の底上げに繋がっていると考えられます。

横浜、川崎、相模原、地域ごとの特徴が明確

横浜市内と川崎市内は物件数が多く、価格や維持費が高い都市部の特徴があります。一方、相模原市内は価格やコストが低い傾向にありました。市外は専有面積が広く、価格は中間的な傾向を示していることも分かっています。

神奈川県の管理費と修繕積立金の平均値:築年数別の傾向

前章のとおり、神奈川県内の既存分譲マンション(5,198件)のデータによると、1平方メートル(㎡)当たりの平均管理費は194円、修繕積立金は212円でした。70㎡のマンションの場合、月々の管理費は約13,580円、修繕積立金は約14,840円となり、合計で約28,420円が必要です。

この数値は前回調査の2015年比で管理費が8円、修繕積立金に至っては50円/㎡増加しており、コスト上昇とともに、修繕積立金の重要性が認知されてきたと言えるかもしれません。

築年 対象物件件数 平均戸数 平均価格(万円) 価格(万円/㎡) 平均専有面積(㎡) 平均管理費(円) 管理費(円/㎡) 平均修繕積立金(円)
修繕積立金(円/㎡)
50年以上 378 121.5 2264 39.1 57.94 10311 178 12952 224
40年~50年未満 859 82.1 2527 38.6 65.49 10897 166 13120 200
30年~40年未満 1322 63.5 2874 42.7 67.31 14272 212 14640 218
20年~30年未満 1538 84.6 4511 60.6 74.39 13705 184 16628 224
10年~20年未満 699 134.6 5792 77.9 74.37 14551 196 16116 217
5年~10年未満 234 132.3 7148 101.3 70.55 15289 217 11736 166
5年未満 168 113.7 6951 108.3 64 15912 249 7267 114
全体 5198 91.3 3933 56.8 69.28 13453 194 14684 212

築年数別に詳細を見ると、以下のような傾向があります:

築50年以上(378件)

管理費178円/㎡、修繕積立金224円/㎡。古いマンションでは管理費が抑えられていますが、修繕積立金が高額です。老朽化に伴う大規模修繕の頻度が高まるため、修繕積立金の積み立てが重要です。

築40年~50年未満(859件)

管理費166円/㎡、修繕積立金200円/㎡。管理費が最も低いゾーンですが、修繕積立金は依然として高めです。築40年を超えると、大規模修繕工事における外壁や設備の更新、さらには玄関ドアや窓サッシ等の改修が必要になるため、修繕積立金の見直しが求められます。

築30年~40年未満(1,322件)

管理費212円/㎡、修繕積立金218円/㎡。管理費と修繕積立金がともに高水準で、大規模修繕工事も、2~3回の実施を経て、今後迎える高経年マンションとしての備えが本格化する時期です。

築20年~30年未満(1,538件)

管理費184円/㎡、修繕積立金224円/㎡。修繕積立金が最も高く、築20年を超えると修繕の頻度が増えるため、修繕積立金の確保が課題となります。段階的に修繕積立金を見直しておく必要性も出てくるでしょう。

築10年~20年未満(699件)

管理費196円/㎡、修繕積立金217円/㎡。比較的新しい物件ですが、修繕積立金の積み立てが重要です。この時期においては、竣工後の第一回目の大規模修繕工事が実施される時期になります。そして、当初低めに設定されている修繕積立金を見直す必要が出てきます。

築5年~10年未満(234件)

管理費217円/㎡、修繕積立金166円/㎡。新しい物件では修繕積立金が抑えられる傾向がありますが、この時期においては、長期修繕計画と共に修繕積立金計画を見直し、将来の修繕に備えた計画が必要です。

築5年未満(168件)

管理費249円/㎡、修繕積立金114円/㎡。管理費が最も高く、修繕積立金が低いゾーンです。新しいマンションでは共用施設の充実や管理サービスの質向上のために管理費が高く設定されます。一方で、デベロッパーが中心に立案した修繕積立金は低めに設定されており、あとあと管理組合の大きな問題になると言えます。

そのため、このタイミングで「この修繕積立金で良いのか?」を管理組合で討議することが求められます。

管理組合としては、築年数に応じた管理費と修繕積立金のバランスを見直すことが重要です。特に築30年以上の物件では、修繕積立金の不足が問題となるケースが多いため、早めの見直しをおすすめします。

地域別の管理形態:自主管理と管理会社委託の比較

神奈川県内の地域別データを見ると、管理形態に地域差があります。全体では71.8%が管理会社に委託していますが、自主管理や管理費なしの物件も一定数存在します。

かつては一般的であった管理員の常駐は、今や神奈川県全体でも3%しかありません。タワーマンション等の大規模マンションに限られる傾向となっています。

地域 常駐 通勤 巡回 管理員なし委託 自主管理 その他・不明
横浜市内 52
(2.0%)
1,858
(71.9%)
508
(19.7%)
71
(2.7%)
92
(3.6%)
3
(0.1%)
川崎市内 28
(2.2%)
679
(69.2%)
222
(22.6%)
23
(2.3%)
29
(3.0%)
相模原市内 9
(2.7%)
218
(64.7%)
89
(26.4%)
12
(3.6%)
9
(2.7%)
市外 66
(5.1%)
978
(75.5%)
176
(13.6%)
21
(1.6%)
53
(4.1%)
2
(0.2%)
全体 155
(3.0%)
3,733
(71.8%)
995
(19.1%)
127
(2.4%)
183
(3.5%)
5
(0.1%)
  • 横浜市内(2,584件):管理会社委託が71.9%、管理員なしが2.7%、自主管理が3.6%。自主管理の割合が比較的高く、管理員なしの物件も多いです。
  • 川崎市内(981件):管理会社委託が69.2%、管理員なしが2.3%、自主管理が3.0%。自主管理を選択する傾向が強いです。
  • 相模原市内(337件):管理会社委託が64.7%、管理員なしが3.6%、自主管理が2.7%。管理会社への委託率が低く、管理員なしの割合も高いです。
  • 市外(1,296件):管理会社委託が75.5%、管理員なしが1.6%、自主管理が4.1%。管理会社への委託率が最も高く、管理費なしの割合が低いです。また、自主管理の割合も政令市に比べて高くなっています。

全体平均(管理費194円/㎡、修繕積立金212円/㎡)を参考にすると、横浜市や川崎市のような都市部では管理費が高くなる傾向があると考えられます。自主管理を選択する物件は管理費を抑えられるメリットがありますが、修繕積立金の管理やトラブル対応が難しいため、管理組合の運営能力が問われます。

新築マンションのトレンド:管理会社委託の増加

2024年下半期の新築マンション(66件)のデータを見ると、管理形態に変化が見られます。全体の95.5%が管理会社に委託しており、管理費なしの物件は3.0%に減少しています。

  • 横浜市内(28件):管理会社委託が89.3%、管理員の巡回管理が7.1%。
  • 川崎市内(15件)相模原市内(9件)市外(14件):すべて管理会社委託が100%。

新築マンションでは竣工当初から管理会社に委託することが一般的です。管理会社に委託することで共用部の維持管理や修繕計画の立案がスムーズに行えるメリットがあります。管理組合としては、新築時の管理費設定が高額になる傾向があるため、長期的なコスト見直しを視野に入れることが重要です。

管理組合が参考にすべきポイント

管理費と修繕積立金の設定は、マンションの維持管理や資産価値の保全に直結します。神奈川県のデータを基に、管理組合が参考にすべきポイントを以下にまとめます。

築年数に応じた管理費・修繕積立金の設定

築年数別のデータから、築30年以上の物件では修繕積立金が高額になる傾向があります。たとえば、築50年以上の物件では修繕積立金が224円/㎡と高く、築5年未満の物件では114円/㎡と低めです。管理組合としては、以下の点を考慮して設定を見直しましょう:

  • 築30年以上の物件:修繕積立金を増額し、大規模修繕に備える。不足分を補うために、段階的な増額計画を検討する。
  • 築10年未満の物件:修繕積立金が低く設定されがちだが、将来の修繕に備えて早めに積み立てを開始する。

自主管理と管理会社委託の選択

自主管理を選択する物件は管理費を抑えられる一方、理事会をはじめとした管理組合の負担が増大することや、修繕積立金の管理やトラブル対応が難しいという課題があります。横浜市内や川崎市内では自主管理の割合が高いため、管理組合の運営能力が重要です。以下のポイントを参考にしてください:

  • 自主管理の場合:修繕積立金の積立状況を定期的に確認し、長期修繕計画を策定する。専門家のアドバイスを受けることも検討する。
  • 管理会社委託の場合:管理費が高額になる傾向があるため、サービス内容とコストのバランスを見極める。管理会社との契約内容を定期的に見直す。

地域特性を踏まえた設定

横浜市や川崎市では自主管理の割合が高く、管理費なしの物件も多いです。一方、市外では管理会社への委託率が高い傾向があります。地域特性を踏まえ、以下の点を考慮しましょう:

  • 横浜市・川崎市:自主管理の物件が比較的見られるため、管理組合の運営能力を強化する。修繕積立金の不足に注意し、積立計画を見直す。
  • 市外:管理会社委託が多いため、管理費の妥当性を定期的にチェックする。管理会社との連携を強化し、修繕計画を明確化する。

まとめ:管理組合のための管理費・修繕積立金設定の指針

神奈川県のマンション管理費と修繕積立金のデータから、築年数や地域、管理形態によってコストが大きく異なることが分かりました。管理組合としては、以下の指針を参考にしてください:

築年数に応じたバランスの取れた設定:築30年以上の物件では修繕積立金を増額し、大規模修繕に備える。新築物件では将来の修繕に備えた積み立てを早めに開始する。
巡回管理形態の有効活用:管理員が常駐しない巡回管理は管理費コスト削減に寄与するものの、タイムリーな対応が難しいこともある点に注意する。
自主管理と管理会社委託の適切な選択:自主管理を選択する場合は、修繕積立金の管理や長期修繕計画の策定を徹底する。管理会社委託の場合は、コストとサービスのバランスを見極める。

管理費と修繕積立金の適切な設定は、マンションの長期的な維持管理と資産価値の保全に不可欠です。神奈川県のデータを参考に、管理組合としての賢い運用を目指してください。

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