管理組合役員に就任したのだけれど、理事会の開催ルールがどうなっているのか知りたい…
また、
管理組合として理事会をどのように運営するのか、確認しておきたい…
さらには、
管理組合の監事をやっているけど、理事会でどのような役割を果たせばよいのか?
このような理事会開催に関する管理組合や区分所有者である役員が確認しておきたいことが多々あるでしょう。
確かに、理事会について、他の管理組合や一般的な考え方はどのようなものなのか理解しておきたいと考えている人も多いですよね。
今回は、標準管理規約第51条「理事会」をテーマに、具体的なルールについてマンション管理士の筆者が解説します。
【規約解説】理事会の具体的な役割を紹介(監事の立ち位置は?)
今回紹介する内容は、以下の通りです。
・第51条「理事会」についての規定に対する補足・注意事項は?
・「理事会」に対して管理組合や区分所有者が気を付けておくべき事項は?
まず、理事会について記載されている、標準管理規約第51条について解説します。
その後、この条文についての補足や注意しておくべき事項が国土交通省より提示されています。
内容を具体的に確認したいと思います。
そして最後の章で、第51条の条文と国土交通省の補足コメントを通じて、筆者が考える理事会において気を付けておくべき事項を紹介します。
標準管理規約第51条「理事会」の紹介
はじめに、標準管理規約第51条「理事会」の条文を紹介します。
第51条 理事会は、理事をもって構成する。
2 理事会は、次に掲げる職務を行う。
一 規約若しくは使用細則等又は総会の決議により理事会の権限として定められた管理組合の業務執行の決定
二 理事の職務の執行の監督
三 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任
3 理事会の議長は、理事長が務める。
理事会の構成員は?
1項は「理事会は理事をもって構成」とあることから、監事や他の委員などのオブザーバー、さらには管理会社のフロント担当や顧問などがいなくても開催できることとなります。
また、間違いやすいのが、監事の出席が必須という所ですが、監事については、標準管理規約第41条「監事」の4項には、
とあり、出席して必要がある時には意見を述べなければならないという義務があります。
理事の職務執行監督機能
さらに、第51条第2項第2号に記載の通り、理事会は理事の監督機関との定めもあります。
また、理事の業務をチェックする役割でもある監事は、前項のとおり理事会に出席して必要があれば意見を述べる必要があるということとなります。
理事の互選による役職の決定
総会の議事録には、
総会終了後の理事会にて、理事の互選により役職を決定した
ということで、理事の役職と担当者の氏名が残されることが一般的です。
また、第2項3号の
における「選任」については、「理事の互選により役職を決める」ということと同義となります。
ここで注意が必要なのは、
監事は入っていない
ということです。
監事は、管理組合において独立した機関ともいえるべき立ち位置であることから、総会で選任されることが一般的です。
株式会社にある「取締役⇔理事」と「監査役⇔監事」と似たような関係ともいえます。
すなわち、株式会社の株主総会も、取締役と監査役をそれぞれ選任し、あとの取締役会で代表取締役や常務取締役等、役職を決めるという形となります。
理事長は理事会の議長
互選で選ばれた理事長は、その後開催される理事会において進行役である議長を務めることとなります。
管理組合の理事会進行方法によっては、その他の役割として会社で行う会議と同様に、書記やファシリテーター、タイムキーパー等も考えられるでしょう。
第51条「理事会」についての規定に対する補足・注意事項は?
標準管理規約第51条には次に紹介するような補足、注意事項が国土交通省から2項目出されています。
特に第51条第2項について言及していますが、その内容を紹介します。
業務執行の監視・監督機関としての機能を理事会が有することの明確化
理事会は、管理組合の業務執行の決定を行うことが中心になっていると考えられます。
一方で、各理事の業務執行の監視・監督機関としての機能を持っているという側面もあります。
ここでは、その点を理事会が有することを明確化しています。
株式会社の取締役会が取締役の職務をチェックする機能を有しているのと似ています。
また、標準管理規約第35条第3項の規定
に基づく理事長等の選任及び解任を含め、理事会の職務について明示しているとのことです。
理事の役職を解任することと理事自体を解任することの違い
この点についてですが、理事については
②理事自体の役職を解任する
という点の補足説明があります。
①については、理事会の過半数の決議によってその職を解くことができるとしています。
一方で、②については、総会の決議を経なければ解任することは出来ないこととなっています。
ただし、前回の記事
で紹介した通り、やむを得ず理事(役員)を抜けることとなる場合は、
・補欠役員を理事会決議で選任できる
などの予防線を引いておく必要もあるでしょう。
「理事会」に対して管理組合や区分所有者が気を付けておくべき事項は?
管理組合ならびに役員である区分所有者として、理事会を進めるにあたって気を付けておいた方がよい事項について、この章で紹介します。
理事会の権限と重要業務の関係
標準管理規約には、第2項1号に
とありました。
規約や細則に「理事会の承認」「理事会の業務」等の記載があれば、わざわざ総会に諮らずとも理事会の決議でスムーズに進めることができます。
一方で、標準管理規約第48条には、総会の決議事項一覧が記載されています。
その中に、
という条項があります。
何をもって重要事項か?という点においては、管理組合や理事会の意向もあると考えられます。
そのため、理事会や各理事として、管理組合にとって重要事項と考える決議事項がある場合は、理事会決議事項であっても、総会に諮るかどうかを検討することも一つです。
理事会の互選で決めるのは「理事の役職」であり、監事は含まれない
第51条の理事会については、監事のことは一切触れられていません。
具体的には、前章の国土交通省のコメントでも紹介しましたが、第51条2項3号には「理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任」という条項があります。
また、理事会で決議できるのは
ことであり、監事という役職をここで選ぶことはできません。
第35条役員に関する記事
においても、第2項に
とあり、「理事」と「監事」は総会で選ぶ必要があります。
管理組合の規約によっては、理事及び監事という記載ではなく、
という記載をしている所もあるかもしれません。
しかしながら、株式会社(会社法)における監査役と同様に、監事は独立している機関とも考えられることから、本来は総会で選任されることが望ましいと考えられます。
また標準管理規約の解説で監事の説明の機会があれば詳細をご紹介させて頂きます。
理事間の業務報告が欠かせない
理事の中でも一番業務に携わることが多いのは、おもに理事長でしょう。
管理会社がフォローしながら、理事長からの報告が行われることも多いと考えられます。
一方で、理事会の目的である「理事の職務の執行の監督」という観点からすると、各理事が抱えている業務を報告することが求められます。
そして、業務上に問題があるかどうか、お互いの理事がけん制機能としてチェックすることも重要です。
ここも取締役会⇔理事会の関係に近いですが、会社の取締役会の目的の一つでもある、各取締役に対するけん制機能が重要となります。
相互けん制によって、業務上不正を働いていないか、または利益相反行為が行われていないか等、客観的な立場で確認していくことも重要な業務と言えるでしょう。
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