第三者管理者方式の現状からメリットやリスクを確認【日経記事から】

マンション管理

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先日の日本経済新聞の記事で、

マンションの第三者管理方式についての内容

が出ていましたので、改めて確認してみます。

※国土交通省の資料などでは、第三者管理者方式と記載されているが、比較的第三者管理方式と記載されている場合が多数です

第三者管理方式については、マンション管理側の立場として有効に働く場合もありますが、

逆に任せた場合のリスクも出て来るのが実態です。

どのようなメリットやリスクがあるのか、確認してみます。

第三者管理者方式の現状からメリットやリスクを確認【日経記事から】

2023年9月28日の日本経済新聞から参照します。

第三者管理方式とは、簡単にいえば

管理組合の運営を、管理会社やマンション管理士などマンション管理に詳しい第三者に任せる方式

といえます。

第三者管理者方式の仕組み等詳細は、筆者の別のコラム

にも詳細が記載されています。

そちらをご参照頂ければ、更に詳しく理解できますので、合わせてご参照ください。

第三者管理方式にはどのようなメリットがあるのか?

まずは、メリットからですが、日経の記事も参照にしながら考えられることを確認します。

理事や監事等管理組合役員の担い手不足に対応できる

理事長や理事を経験された方は強く感じているかと思いますが、

管理組合役員は相応の負担を伴うものであり、出来ればやりたくないものです。

さらに、マンション管理に関する専門的なノウハウもないため、

なにをやっていいのかさっぱりという方も非常に多いでしょう。

しかしながら、輪番制を敷いているところは必ず何年かに一度、

役員(理事または監事)の順番が回ってくることとなります。

第三者管理方式の3つの方式の中でも、理事会がない場合である

外部管理者総会監督型を選択すれば、理事になることもなく、全面的に第三者に任せることができる

ということになるでしょう。

さらに、投資マンションやリゾートマンション等、区分所有者がそこにいない場合は

さらに住んでいる役員に気を遣うことなく、第三者に業務という形で任せればよくなります。

結果的に、手間が省けると言えます。

管理会社のビジネスの拡大

管理会社にとっては通常のマンション管理に加えて管理組合内部を管理するという、

理事会や総会の掌握がビジネスになると捉えていると考えられます。


※国土交通省 マンションを取り巻く現状より

マンション管理業協会による「マンション管理トレンド調査」によれば、

2023年時点で管理者業務を「受託している」

もしくは「今後受託を検討している」

と回答した管理業者は167社となっており、2020年と比べて約3割増加しています。

自分の管理しているマンションの状況を一番知っているのは、ほかでもない管理会社です。

区分所有者の年齢構成や住民特性、さらには過去の理事の特徴や理事会、総会の雰囲気、進め方等も抑えています。

そういった自分たちが管理しているマンションに

「第三者管理方式はどうですか?」というのもセールスしやすい上、

仮に断られたとしても通常の理事会方式を継続しつつ、

来るべき再提案の機会を待つこともできそうです。

逆に、第三者管理方式のリスクは?

これだけ取り上げられている第三者管理方式は、便利な反面、リスクも存在します。

メリットを享受する半面で考えられるリスクを確認していきます。

第三者管理を受託した管理会社に有利に働く

仮に、管理会社が第三者管理者業務を受託した場合を想定してみます。

管理組合の中では、

・定期清掃
・メンテナンス等の管理に関する費用
・ちょっとした小修繕工事
・大規模修繕工事

などを、管理会社を通じて行っているところが多いでしょう。

その場合において、

管理組合(≒理事会)→管理会社→受託業者

から、第三者管理として

管理組合(≒管理会社)→管理会社→受託業者

となった場合には、管理組合や理事会のチェックが働きづらい点が考えられます。

少額の発注ならまだしも、

大規模修繕工事において管理会社に近いところの高い施工会社(受託業者)に発注された場合であっても、

管理組合が関与しづらくなることから、ほぼ管理組合は言いなりになってしまうのではないでしょうか。

仮に、これらの取引が

管理組合の不利益・管理会社の利益ということで利益相反を招く

としても、チェック機能が働かないため、さらなる第三者のチェック機能が

場合によっては必要となり、コスト高が懸念されます。

ちなみに、管理会社における利益相反に留意した取り組み事例としては

以下の様なものが挙げられます。

第三者管理方式が広まり始めたのは、

外部の専門家を役員として選任できることとなった2016年の標準管理規約改正からと言われています。

まださほど時間は経っていないですが、今後ますます取組事例も増えてくることと考えられます。

管理組合において財産が残らない可能性

仮に第三者管理が管理会社中心に進められた場合を想定します。

管理について、

これまで以上に管理会社側の第三者の方で管理業務を追加

することで、管理費増にも繋がってしまうかもしれません。

また、折角貯めた修繕積立金が管理会社と距離が近い施工会社に工事発注が行われれば、より高い工事代金のところ(≒管理会社の利益がでるところ)に発注する可能性もあるかもしれません。

その場合、

管理費や修繕積立金の値上げや、修繕積立金の預金額の減少も懸念されます。

さらに日経記事には、

管理会社が安価で第三者管理を提案するところは、理事会業務等理論上は対価が増えるはずだが、追加費用は軽微又は不要

という働き掛けもあるといいます。ただ、これがどういう事なのかは、具体的には分かりません。

しかしながら、管理組合に対して管理会社側で何らかの対策が練られていることが想定されます。

管理組合内におけるマンション管理ノウハウが無くなってしまう

これまでは住んでいる区分所有者を中心に行っていた理事会や総会運営ですが、

それが全て第三者管理者が実施することとなると、

多くのことが他人事となるため管理組合内にマンション管理のノウハウが残らない可能性があります。

結果的に、一度任せてしまえば関心が薄くなってしまい、

区分所有者の中にマンション管理の実態を知る人がいなくなる可能性があります。

理事会方式に戻すには相当難易度が上がる

一度、第三者管理方式に慣れた区分所有者が、改めて役員に就任することは考えられるでしょうか?

楽なマンション管理に慣れてしまったら、負担を伴う役員への就任は一定のハードルが伴います。

また、理事会方式に戻すためには、第三者管理方式の書式になっていた、管理規約の変更を伴います。

規約の変更は、

特別決議として、区分所有者総数及び議決権総数の4分の3以上

の承認が必要になります。

その合意形成はかなりのハードルがあると考えられます。

まとめ 今後の第三者管理の在り方は?

日経新聞の記事では、まとめのところで

国が示す修繕積立金の目安の金額に達していないマンションにとっては、資金不足に陥る潜在リスクがある

と紹介されています。

そのような中で、第三者管理方式のリスクの部分が出るとマンションにとって打撃は大きいでしょう。

そして、メリットとリスクを検討する必要があるとして記事を終えています。

第三者管理を管理会社に任せるか、他の専門家に任せるかはありますが、

本質は長年住み続けられるマンションの管理の維持向上に寄与していくことです。

そのため、管理組合と管理会社をはじめとした第三者管理者双方にとって、

メリットがある落としどころを探すことが重要であると言えるでしょう。

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