管理組合総会が不成立にならない為に実施すべき対策9選【確認必須】

マンション管理

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総会を開催するが不成立にならないようにするにはどうしたらよいのか知りたい

また、

現在居住している区分所有者が少なく、外部所有者が総会に参加してくれるか非常に不安だ…

さらには、

居住している区分所有者も高齢者が多く、また管理組合活動に無関心なため、議決権が集まらない可能性がある…

このような点において総会が不成立になるのではないかと不安視している管理組合役員も非常に多いでしょう。

確かに、総会は議案内容によっては、一定の区分所有者の参加や議決権の行使が必要です。

このような管理組合の悩みを解消すべく、管理組合役員でも工夫すれば参加者が増える対策を、これまで総会の課題に数多く対応している、マンション管理士である筆者が具体的に紹介します。

管理組合総会が不成立にならない為に実施すべき対策9選【確認必須】

今回紹介する内容は以下の通りです。

・総会成立や可決の要件を標準管理規約の条文から確認
・具体的に総会が不成立にならないための対策を9つ紹介
・対策を講じるために管理組合として気を付けておきたいことは?

まず初めに、そもそも総会はどのような条件で成立し、可決されるされるのかを国土交通省が定めているマンション管理規約のひな型ともいえる、標準管理規約の条文から確認します。

続いて、標準管理規約の条件を前提として、これらの条件を満たす、すなわち管理組合として総会が不成立にならないためには、どのような対策を講じる必要があるのか、紹介します。

また、そもそも総会を成立させるためには、管理組合内や理事会、さらには役員においても工夫や努力が必要となります。

こちらも対策に近い考え方ではありますが、総会に関与する方が努力をする以前に、管理組合内で前提として考えておきたいことや、気を付けておきたいことなどを紹介します。

総会成立や可決の要件を標準管理規約の条文から確認

まずはじめに、総会成立の条件として、管理規約のひな型である標準管理規約ではどのような記載がされているのか、確認してみたいと思います。

以下、国土交通省が出しているマンション標準管理規約(担当型)から各条文を引用します。

招集通知送付のルールは?

区分所有者が議案の検討をするために、総会開催日から一定期間前には区分所有者に発送する必要があります。

条文の内容

具体的には、以下の通りです。

(招集手続)
第43条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所(WEB会議システム等を用いて会議を開催するときは、その開催方法)及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
(中略)9 第1項(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。

条文の解釈は?

条文内は細かな記載となっていますが、建替え等の議案を除き、2週間前には、区分所有者に対して招集通知を出す必要があります。

また、5日を下回らない範囲で期間短縮も可能です。

さらに、住んでいる、または外部に住んでいて届出のない区分所有者に対しては、掲示板等への掲示でも問題ない旨、規定されています。

すなわち、これらに抵触するような内容になってしまって、区分所有者から指摘されてしまうと、総会成立要件を満たしていないのではないかと指摘される可能性も考えられます。

そのため、招集通知の発送については、十分余裕をもって対応する必要があるでしょう。

総会議事の承認は?

こちらについても、総会承認の条件がありますので、紹介します。

条文の内容

具体的には、以下の通りです。

(総会の会議及び議事)
第47条 総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、前条第1項(各組合員の議決権の割合)に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。(中略)4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。
5 マンション敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。(以下、省略)

総会の成立要件は?

まず、総会成立のためには、

・議決権総数の半数以上を有する組合員
・総会への出席

の必要があります。

議決権総数の半数以上を有する組合員とは、仮に1戸1議決と定めている場合は、全100戸のうち、50戸以上が出席する必要があります。

この出席は、事前の議決権行使(区分所有者が議案に賛成するか、反対するかの意思の表示)や委任状の提出でも出席とみなされます。

そのため、当日総会会場に来場しなくても出席となります。

ただし、白紙や区分所有者が分からない、記名されていないものについては、委任状や議決権行使書の内容によっては、無効票となる可能性があるため、注意が必要です。

議案の可決要件は?

可決するためには、

・出席組合員の議決権の過半数
・組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
・マンション建替えは組合総数、議決権総数の5分の4以上
・敷地売却は組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上

という条件です。

建替えと敷地売却は総会ではほぼないので、それ以外の点について説明します。

「出席組合員の議決権過半数」であるため、実際に出席した中で「賛成」とした方が、過半数あればよいということになります。

前述の全100戸の例を出すと、50戸以上が出席し、過半数の26戸以上の区分所有者が「賛成」とすれば可決となります。

さらに、注意すべき事項は「組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上」の場合です。

ここが総会が成立しないこととなるパターンとして非常に多くなっています。

100戸のマンションである場合は、75戸以上が出席して、75戸以上が賛成が可決要件となります。

過半数と違い、「以上」なので、丁度その数でも可決となります。

重要事項の可決には、一定のハードルが課されていると言えるでしょう。

具体的に総会が不成立にならないための対策を9つ紹介

わざわざ準備してきた総会に対して、当日は成立するように臨みたいと管理組合役員の誰もが考えてることと思います。

また、特に外部の区分所有者や高齢者が多いマンションでは、可決されるためにはアナログで泥臭い対応が必要となってくることもあります。

筆者も実践している、管理組合総会が不成立にならないための工夫は以下の9つです。

・招集通知の発送タイミングを早める
・居住していない外部の区分所有者に極力配慮する
・議決権行使や委任状を提出してもらうために役員で手分けして各戸を回る
・各戸を回った際にその場で議決権行使書や委任状に記入して貰う
・何度行っても留守の場合は役員名と連絡先、議決権行使書を再度投函する
・議決権行使が電磁的方法でもできるように配慮する
・総会のオンライン参加も可能とする
・予め代理人を決めておいてもらう
・総会を実施することを事あるごとに話す

それぞれ具体的に紹介します。

招集通知の発送タイミングを早める

まず、区分所有者の手元に招集周知が届くタイミングとして、総会開催日までの間余裕を持つことが重要です。

行き違いや、区分所有者の確認漏れ等も考えられます。

前述で紹介したとおり、通常の総会議案であれば、

少なくとも会議を開く日の2週間前までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知

とありました。

「2週間前までに」なので、極論1か月前から通知してもよい訳です。

少なくとも、区分所有者が留守である等も考えて、余裕をもって提出できるように配慮することも一つの考え方です。

居住していない外部の区分所有者に極力配慮する

前項にも関係しますが、居住していない外部所有者にも必ず招集通知や総会があることが伝わることが大切です。

そのため、郵送での招集通知の発送に加え、電話やメールでの連絡等も実施すべきでしょう。

特に外部の区分所有者の場合は、なるべく余裕をもった日付で対応するとともに、居住区分所有者以上に工夫が必要で手間が掛かるかもしれません。

議決権行使や委任状を提出してもらうために役員で手分けして各戸を回る

仮に、総会で特別決議案を決議するのに、まだ半数しか集まっていないとなると、開催前に議案が成立せず否決されるリスクがあります。

これまで理事会で検討してきた議案でもあり、このようなことは何としてでも避けなければなりません。

そのため、議決権行使をしていない区分所有者に対しては、必ず提出して貰うために、各戸を回ってお願いしたり、電話で行使を伝えたり等も必要になってくるでしょう。

各戸を回った際にその場で議決権行使書や委任状に記入して貰う

各戸を回った場合に良くあるのが、

「議決権行使をお願いいたします。」

とお願いすることで終わることも多いでしょう。

しかしながら、役員としては、訪問しているため、議決権を必ず行使して欲しい訳です。

そのため、その場で議決権を行使して貰うことをお願いするのも重要です。

また、区分所有者が予め貰った収集通知が書類がどこに行ったか分からない場合もあります。

それも配慮して、議決権行使書とペンを持って行って、その場で待機して、記載して貰うのが良いでしょう。

区分所有者にとっては忙しいタイミングと重なってしまうかもしれませんが、議決権行使には代えられないので、その場でお願いすることも重要です。

何度行っても留守の場合は役員名と連絡先、議決権行使書を再度投函する

これも工夫の中では大切な考え方です。

例えば、以下のような書面を考えておくことも一つでしょう。

数日戻ってこなかったらどうしようもありませんが、次回は注意して議決権行使を行ってくれることと思います。

議決権行使が電磁的方法でもできるように配慮する

区分所有者にとっては、紙にわざわざ〇を付けて、管理組合ポストに投函するのは煩わしいでしょう。

外部の区分所有者の場合は、さらに管理組合に郵送する手間もあります。

そのため、管理組合として、メールや投票システム等の電磁的方法を用いる所も多くなっています。

標準管理規約にも、以下のような条文があります。

(議決権)
第46条(中略)
7 組合員は、第4項(書面又は代理人によって議決権を行使することができる。)の書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することができる。
8 組合員又は代理人は、第6項の書面(組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。)の提出に代えて、電磁的方法によって提出することができる。

従って、この形が導入できれば、総会参加者の増加も期待できるでしょう。

総会のオンライン参加も可能とする

前章の標準管理規約の条文からも確認した通り、総会はWEB会議システム等を用いたオンライン開催も可能です。

遠隔参加や外部区分所有者の利便性を向上させるために、ぜひとも導入しておきたい手段です。

これによって、参加を促す一定の効果も期待できます。

ただし後述するように、規約や細則内でしっかり定めて、議案の賛否の際のルール等も決めておくことが重要でしょう。

予め代理人を決めておいてもらう

区分所有者が高齢者であったり、外部に居住していなかったり、長い間遠方に出ておりマンションにいる時間が短い等、議決権を行使することがどうしても出来ない場合もあるでしょう。

その場合は、予め代理人を決めておいてもらうことも一つです。

前半で紹介した標準管理規約には次のような条文があります。

(議決権)
第46条 (中略)
4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
5 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
二 その組合員の住戸に同居する親族
三 他の組合員
6 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。

総会を実施することを事あるごとに話す

役員がマンション内で他の区分所有者と遭遇することも多々あるでしょう。

その場合には、「11/24(日)に管理組合総会があるから、必ず出席して欲しい」ことや、

「議案によっては議決権が足らなくなる恐れがあり、必ず議決権行使をして欲しい」

など、伝えていくことも重要です。

継続的に実施することによって、区分所有者に対して、管理組合活動の参加者意識を常に高めていくことにもつながります。

対策を講じるために管理組合として気を付けておきたいことは?

最後に、前章のような対策を管理組合として講じる場合、予め気を付けておいた方が良い点もあります。

これらについて、具体的に紹介します。

管理規約や細則の変更を伴う場合がある

マンション管理組合として、区分所有者が総会に参加しやすい管理規約や使用細則になっているか、改めて確認する必要があります。

これまで標準管理規約の条文をいくつか紹介しましたが、総会不成立にならないための前提として、予め仕組みを整備しておくことも、管理組合として重要です。

とりわけ、電磁的方法やオンライン参加できるなど、アナログ対策ではなくデジタルな仕組みで解決できる問題は、役員をはじめ管理組合全体の省力化にも寄与します。

さらには、若い区分所有者層の参加を促すこともに繋がるので、是非事前に準備しておきたい視点です。

普段から総会参加意識を高める

管理組合として、年に多くても数回の総会には、積極的に区分所有者に関与して貰う働きかけが重要です。

また、普段から管理組合活動の広報を出したり、管理組合としての重要事項の検討においては、区分所有者に情報を出すなど、地道な活動も必要かもしれません。

そして、前章でも紹介したとおり、外部に住む区分所有者は、今住んでいる住まいのことではないため、意識がやや遠のくことが多いでしょう。

しかしながら、マンション管理の良し悪しによって、マンションの価値に影響することから、外部の区分所有者も共通の関心事と言えます。

役員間や管理会社との協力体制を強化する

理事会メンバーである理事長をはじめ、理事や監事の各メンバーとともに、総会が不成立にならずに開催されるという目的を達成する必要があります。

その目的や目標を達成するためには、役員間や管理会社との協力は不可欠といえます。

そして、決議で否決されるのは仕方がないものの、本来は可決されるような有効な議案が、総会不成立で否決されるということは、役員をはじめ管理組合全体としても不幸です。

また、このあたりのノウハウは管理会社も持ち合わせているので、基本は協力して貰うこととなるでしょう。

総会が不成立にならないためには管理組合として工夫が必要

今回は総会が不成立にならないための対応策を紹介しました。

管理組合としてデジタルな仕組みを作ったり、アナログな対応を行っても、最終的には区分所有者の参加意識が重要と言えます。

そのためには、管理組合全体として、マンション管理に興味関心を持つことが必要です。

輪番制のタイミングで就任した役員だけが頑張ればよいのではなく、区分所有者全員で捉えていきたい課題と言えそうです。

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