今回は基本的なお話です。
基本的なお話といっても、以下のような疑問を持っている区分所有者や管理組合の役員も多いのではないでしょうか?
毎月管理費と修繕積立金が徴収されているけど、これは管理組合に払っているのだろうか?
または、
管理費や修繕積立金はどのように支払額が決まるのだろうか…?
さらには、
うちのマンションの管理規約の別添資料に、住戸ごとの管理費や修繕積立金の負担割合が記載されているけど、部屋の大きさで決まっているのだろうか…?
等々の疑問もあると思います。
普段、自分自身のマンションが全体に対してどれぐらいの額なのか、気にせずに日々引き落とされていると感じている方も多いでしょう。
上記の疑問でもあった通り、各区分所有者毎に負担額が決まっています。
今回はこのような管理費や修繕積立金の支払ルールについて、標準管理規約第25条の規定に基づき、具体的に紹介します。
【規約解説】分譲マンションの管理費と修繕積立金の支払ルールは?
今回紹介する標準管理規約第25条については、以下の通りです。
・第25条「管理費等」の補足・注意事項は?
・「管理費等」の決まりに対して管理組合や区分所有者が気を付けておくべき事項は?
まず、標準管理規約の第25条を参照しながら、管理費等の内容について紹介します。
さらに、第25条の解釈について、補足事項として説明がありますので、そちらについても紹介します。
そして、管理費等の決まり事に対して、管理組合や区分所有者として注意すべき点があります。
条文や補足事項、さらには筆者の経験した内容を含めて、具体的に紹介します。
標準管理規約第25条「管理費等」の紹介
まず、標準管理規約第25条「管理費等」の条文を紹介します。
第25条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
一 管理費
二 修繕積立金
2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。
区分所有者として、敷地や共用部分等の管理のための費用に充てる、管理費と修繕積立金を納入する必要があります。
として管理規約全体としても使用されています。
さらに、第2項として、管理費等は
と記載されています。
ここでは、
と一般的に扱われることが多く、大きな住戸が共有持分が多いということになります。
そのため、大きな住戸ほど、管理費等の金額が高くなると考えられます。
第25条「管理費等」の補足・注意事項は?
次に、標準管理規約に記載されている第25条「管理費等」の補足・注意事項について、次の4項目が紹介されています。
各項目について、具体例を挙げながら紹介します。
マンション内の施設の使用頻度について
まず、管理費等の負担割合を設定する場合に、その使用頻度等について確認しています。
ということです。
分かりやすい例として、筆者の場合はエレベーターの使用を挙げますが、
ということです。
使用頻度等の「等」はこの頻繁に使うか以外にも、
・マンション入り口の奥の方に住居がある場合は「廊下を長い間歩く」
などが考えられそうです。
このように、居住者の事情を考えれば、施設の使用についてさまざまな観点が出てくるため、使用頻度等は勘案しないということになっています。
管理組合運営に関する費用について
さらに、管理組合の運営に関する費用についても触れています。
共用部分や施設等の管理に掛かる費用以外に、理事会や総会、役員の活動などに関する費用と考えらえます。
この場合は、組合費として、分離して徴収することも可能としています。
議決権の設定方法について
マンションによっては、管理組合の議決権割合の設定は、共用部分の共有持分ではなく、
・価値割合
を採用する場合も考えられます。
この点については、第46条「議決権」にて追って確認いたしますが、価値割合とは、
を議決権に反映する考え方です(第46条関係コメントより)。
しかしながら、議決権の考え方と管理費等の考え方を切り離して、共用部分の共有持分に応じて算出するということも考えられるとのことです。
管理費等の徴収方法や滞納があった場合の取り扱いについて
管理費等の徴収方法については、第60条「管理費等の徴収」として、銀行口座から引き落とすことや、遅延した場合、さらには滞納した場合の取り決めが紹介されています。
さらには未納の場合の対応方法についても記載があります。
第60条については、また別の機会に紹介できればと考えておりますが、以下に参考記事を載せておきます。
「管理費等」の決まりに対して管理組合や区分所有者が気を付けておくべき事項は?
第25条「管理費等」の条文や、補足事項を踏まえながら、管理組合として気を付けておきたい事項を紹介します。
管理費等の負担と議決権の割合の関係
第25条の補足・注意事項に
と紹介しました。
これは、
・議決権は価値割合、管理費等は共有部分の共有持分割合
・議決権、管理費等ともに共有部分の共有持分割合
と、管理費等は「共有部分の共有持分割合」が望ましいという考え方です。
仮に、
とした場合、専有面積が大きい区画は、ベランダの大きさやマンション全体に対する躯体部分の占める割合も大きくなる可能性があります。
そのような住戸と、小さな区画の住戸が同一の管理費等の金額であっても良いのかどうかは、管理組合として検討すべき課題かと考えられます。
マンション内施設の使用頻度について
区分所有者が頻繁に利用するマンション内の施設において、
・低層階は階段を良く使うと想定されることから階段のメンテナンス・清掃料を多く徴収する
・マンションエントランスから遠方の住戸は廊下を長い距離歩くことから、距離に応じて清掃料を多く徴収する
などの個別の事情を考えてしまうと、マンション管理が非常に煩雑になってしまいます。
恐らく管理組合や管理委託先管理会社も管理できないのではないでしょうか。
また、筆者の経験上でもエレベーターの住居の階数で、管理費等の金額を変えている管理組合は聞いたことがありません。
そのため、このような考え方は一般的ではないと想定されます。
一方で施設であっても、たまに利用する
・来客時のゲストルーム
・来客用駐車場
などは特定の方の使用に限定され、利用回数も把握できることから、1回あたりの金額を設定することも考えられます。
管理費等の支払いにはマンション管理の背景がベースにある
今回は基本的なテーマとして、標準管理規約第25条から、管理費と修繕積立金に関するルールを取り上げました。
マンションの管理に使用されるこれらの費用は、一定のルールのもと徴収される仕組みとなっています。
使用の頻度において、徴収額を変えてしまうと、マンション内の施設全体について確認する必要があり、マンション管理上非常に煩雑になってしまいます。
そのため、「共用部分の共有持分」等、一定の考え方をもとに算出されることが一般的です。
今回の記事をマンション管理の参考として頂ければ幸いです。
※標準管理規約は都度変更になるため、専用書籍はあるものの、法改正により古くなってしまいます。そのため、マンション管理センターのこちらの書籍の最新版
を確認されることをお勧めします。
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